とあるBMW専門ショップのHPに、目を疑うようなコトが書いてあった。
「当店ではトルクレンチを使ってBMW社が指定するトルクでボルト&ナットを締めています。」
ふむふむ、プロとしては当然のコトやし、トルク管理は整備の基本ですわ。
「トルクレンチはSnap-Onのものを主に使用し、一年に一回、必ず校正を行っています。」
トルクレンチは整備工具であると同時に測定工具でもあるから、校正を行うのは当然やね。
Snap-Onである必要は無いけど(^^;
むしろ東日とかカノンを使っている方が好印象(笑)
「一ケ所に対して最低2回トルクを掛けてトルク管理しています。時間はかかりますがお客様に安心していただくために必ず2回以上トルクを掛けるのが当店の基本です。」
はぁ?
アナタ、トルクレンチの使い方、知らないんですか???
すべてのネジをオーバートルクで締めてますヨ。
クルマの整備で一般に広く用いられているのは、プリセット型と呼ばれるタイプのトルクレンチだ。
規定トルクになると「カチッ」という音と手応えで知らせる構造になっている。
この「カチッ」っと鳴った後はトルクが掛からなくなると思っている人が多いが、これは大きな間違い。
実際にプリセット型トルクレンチをお持ちでこの事実はご存知ない方は、以下のような方法で確認していただくと理解できると思う。
ホイールナット(欧州車はボルト)を一本緩める。
緩めたナット(ボルト)を標準的な締付けトルク(普通は100Nm程度)より弱い値(70Nm程度が適当かな)にセットしたトルクレンチで締める。
カチッと鳴っても、そのまま締め続ける。
どうです?音が鳴ったのにどんどん締まっていくでしょ?
このように、トルクレンチの「カチッ」は「これ以上トルクは掛かりません」ではなく、「セットしたトルクになったから手の力を抜け」という合図である。
現実には「カチッ」の瞬間に力を抜くことは不可能に近いので、どうしてもオーバートルク気味になってしまうのがプリセット型の構造である。
それを複数回カチカチやるってコトは……カンペキなオーバートルクになっているはず。
いくら正しいトルク値を知っていても、いくら正確なトルクレンチを用意しても、締付け方を間違っていれば何の意味も無い。
大型カー用品店等のピットで、勢い良く何度もカチカチカチカチとトルクレンチを鳴らしている光景をよく目にするが、アレは「ワタシ、トルクレンチの使い方、知りません」と暴露しているようなものだ。
勢いがつけばつくほどカチッと鳴った後に加わる力は大きくなるので、セットした値よりも大幅に上回ったトルクで締め付けていることになる。
トルクレンチの意味が完全に無くなってしまう使い方だ。
プリセット型を使って規定トルクで締めた後、ビーム型かダイヤル型で確認するという方法が無いわけではない。
でもそれならきちんと校正されたプリセット型の値を信用していないコトになるし、締付け不足は防げるが、締付け過ぎはわからない。
それにHPに自慢げに掲載されていたトルクレンチの写真はプリセット型のみ。
このショップには「正しいトルク管理」の方法を知っている整備士がいないとしか思えない。
私は間違ってもこのショップにクルマを預けることはしたくない。
ま、遠方だから行く事もないだろうけど。
p.s.
営業妨害と言われたり、余計なトラブルの元になるのが嫌なので、ショップの実名は出さないでおきます。
メール等でもお答えいたしかねます。
オフミ等で実際に顔を合わせる機会があれば、話の流れで言ってしまうことがあるかもしれませんが(^^;