CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)と一口に言っても本当にいろんなモノを指します。

まずはその辺の整理を順番に行っていきたいと思います。

■概念としてのCRM
まず最初に出て来たのが概念としてのCRMで、90年初頭ごろから
「既存顧客との関係性を見直そう」
という考えが海外からCRMという名前をつけて輸入されてきたことが最初のきっかけだと思います。(手元に出典がありませんのではっきりしませんが。)

出版が90年から2005年ごろまでに出版されているCRMはおおむねそのあたりがベースになっています。

パレートの法則(8:2の法則)
「売上の8割は全顧客の2割が生み出している」
とか、
1:5の法則
「新規顧客に販売するコストは既存顧客の5倍のコストが掛かる」
とか、
5:25の法則
「顧客離れを5%改善すれば、利益率は25%以上改善される」
など。

もっとも「パレートの法則」自体はWikiなんかを見ていると物事のばらつきが大体8:2に集約されることを指しているだけのようですが。
(会社は優秀な2割の社員で持っているとか。)

また、概念としてのCRMで欠かせない用語がLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)です。
LTVとは一生涯で顧客が企業や製品に対して支払う金額の合計値から諸経費を除いた利益のことで、「1人の顧客がその企業に対してどれだけ利益をもたらすか」を指します。

「10万円の販促費用で100万円の商品を1回購入したAさん」より
「20万円の顧客維持コストが掛かる1年間毎月10万円の定期購入をするBさん」
「1円の顧客維持コストもかからないで10年間毎月1万円の定期購入をするCさん」
ならCさんが最もLTVの高い囲い込むべき顧客となります。

実際LTVを計測してどうこうするということは実際ほとんどないのですが・・・

ともかく、この概念としてのCRMは今も通用するそれなりに素晴らしいものだと思います。
これをシステムでやろうとする時にさまざまななパターンに分かれます。

■システムとしてのCRM

概念としてのCRMの考えをシステムで実現しようとして導入されたのが、eCRMです。
私の知る限りCRMと一口にっても以下のような広い範囲があります。

・CTI(コールセンターテレフォニーインテグレーション)
いわゆるコールセンターの受電システムです。インバウンド(外から電話を受ける)のコールセンターから発展していき、顧客からの電話がなると即座に電話番号から該当顧客の個人情報、過去の購入商品、対応記録などが呼び出され対応者が適切に対応することができるというものです。
コールセンターの受電システムとは親和性が高く急速に導入が進みましたが、携帯からの電話が多かったり、よほど大企業でもないかぎりメールでの問い合わせやFAQで解決させたりが主流になったりと、その効果は正直疑問視されています。

・データベースマーケティング
旧来は通販業者のDM発送管理のシステムとして、現在はEC向けのマーケティングシステムとして、顧客に紐づいた購買情報を元に直接顧客にアプローチするマーケティング手法です。DMが主流のものをダイレクトマーケティング、メールが主体のものはメールマーケティングと呼ぶことが多いようです。

・SFA(セールスフォースオートメーション)
営業の日報や交換した名刺情報などを集約し、主に顧客接点での商談情報を集約管理して、担当営業以外が参照できるようにすることで相乗効果を生むことが目的で設計されています。そのまんま社名にもなってるSalesForce社が国内でも主要シェアを占めているようです。

上記の3つに加えて、社内の基幹業務まで一気通貫で対応できるものは「CRMスイート」と呼ばれ、ERPなどと並ぶシステム導入の花形として90年代後半から現在まで多くのSIerが専門チームを組んで導入を進めています。

そのほかにもBtoC領域では以下のものが含まれます。

・FSP(フリークエントショッパーズプログラム)
いわゆるマイレージなどのポイントシステムです。決められた期間内にポイントを多く利用した顧客にはより多くを還元することで顧客の囲い込みを狙います。

・マイページ
会員登録をしたユーザに対してユーザ情報に応じ表示内容をカスタマイズさせることで最適化させることができます。

「ウチも最近CRMを導入したんだ。」的な話をクライアントから聞く時はだいたい上記のようなパターンのいずれかまたはそれらの組み合わせに分かれます。

おおむね「会って5分話せば(もしくは無礼を承知で聞けば)、すぐにわかることを「見える化」するために膨大なコストをかけること」に血道を上げたのがCRMをベースにしたシステムの特徴で、そのために「思ったような効果を生まなかった」と呼ばれる事が多いのもこれまでのCRMの特徴でした。