先週末、いいライヴをふたつ観た。

ひとつは、オーストラリアのBlue King Brown。

BKB昨年よりも少し落ち着いて、
やりたい事がより明確になって
来ているようにみえた。
ファーストアルバムに入っていない、
新しい曲も数曲。
恐らく今レコーディングしている
セカンドに収録されるのだろう。


このバンドは本当に魅力がある。ナタリー(Vo/G)のフロントの顔としての華、
カーロ(B)のリーダーとしての牽引力、サム(Key)のサウンド面での貢献度、
そして何より、ピート(Dr)とサルバドール(Per)のバネのあるビート。
今回は新しいメンバーに、トランペットとトロンボーンが加わり、演奏面では
ソロイストが増えた分だけ、より音楽的に幅が出ていて、ソウル、ラテン、
レゲエ、アフロビートに加え、若干のジャズ的フレイバーもあったように
感じた。ヴォーカル・ギター、ベース、ドラム、キーボード、パーカッション、
サイドヴォーカル2名にトランペット、トロンボーンの9人編成。

特に感じたのは、やはりビート感、グルーヴの素晴しさ!

ドラム・パーカッション・ベースの土台に、元々パーカッショニストだった
ナタリーの刻むギターのサイドカッティングが乗り、そしてサムの弾く
ウーリッツァーのソウルフルな響きがバンドのグルーヴを揺らし、うねらす。

やっぱ、バンドってリズムっていうか、タイム感なんだな〜。
見事に会場の床が上下に揺れていた。

セカンドアルバムが楽しみである。

*  *  *

そしてもうひとつは、ジョージ・ハリスンの74年米国ツアーを
ライヴで演奏するバンド、POE こと、Peace On Earth。

POE
メンバー全員が写る角度で
写真が撮れなかったが、
こちらも総勢9人の大所帯。
ギターが3人、ドラム、ベース、
サックス、キーボード、パーカッション、
そしてサイレン。

サイレン?って、どんな楽器?
いや、楽器ではない。いや?このバンドにおいては楽器かもな?

Peace On Earth の正式メンバーなのかどうか内情はわからないが、
ステージが始まる時と終る時に、ハンドル手回し式のサイレンの音が
鳴り響く。そのサイレンのハンドルを回す専門の担当メンバーがいるのだ。
そして、このサイレンの音は、バンドのステージングにおいて、重要な
構成音のひとつだと、僕にはそう思えたな。

ギターが3人必要な理由は、ジョージ・ハリスンの音楽をご存知の方なら
すぐに理解できるだろう。そう、彼の曲をライヴで演奏するには、
スライドギター2本がハモるメロディがあるから
スライド奏者が2名必要で、そこにアコースティックギターなり
エレクトリックのソロなりを同時に鳴らす必要があれば、当然ギターが
3人必要となる。

このバンドについては、 

「こんな素晴しいバンドの音を聴く事が出来て、ほんとに幸せ!!」

以上(笑)。


"Peace On Earth" ... 僕も自分のバンドで歌い演奏している、ひょっとしたら
自分にとって最も大切な歌の、「5本の指」に入るかもしれない、73年の
ジョージの歌、"Give Me Love" の歌詞の一節がバンド名。
彼らは、衣装から何からこだわりにこだわって、ジョージの74年ツアーを
再現しているバンドだ、という話しを以前から聞いていて、ずっと観たかった。

このライヴは、本当に楽しかった。


*  *  *

よくこのブログに書くのだけれど、ぼくはただ音楽ファンなだけで、
マニアックに入れ込んでいる音楽アーティストって、実はいない。

ジョージ・ハリスンの残してくれた音楽は、本当にものすごく大好き。
僕にとってジョージの音楽は、心の中心部にかなり近いところにある、と
そう感じる。

それでも、僕はブートとかを集めたことないし、74年のツアー音源すら
実は聴いた事がない。衣装がどんな風で、メンバーが誰だったのかも、
それほど詳しくは知らない。トム・スコット(Sax)やロベン・フォード(G)の
いた、L.A. Expressがバックバンドだったと聞いた事があったり、大好きな
ウィリー・ウィークス(B)やアンディ・ニューマーク(Dr)が参加してたらしい、
とか、そんな事を聞いたことはある。
けどそれが本当なのかどうかも良く知らない。
だいたいは、アルバム「ダーク・ホース」のあたりの音の感じだったのかな、
と想像してるぐらいで、本当にその程度しか知らない。


でも、バンドって、当たり前だけど、人のカラダが楽器を演奏し、
人の声が歌う、「人間」が、何人か集まって出来てるもんなんだよな。

コピーだろうとカヴァーだろうとオリジナルだろうと、とにかくひとりひとりの
人間には個々に特有のヴァイブレーションがあって、その個人が持っている
ヴァイブレーション(派動、波長)が、他の人間と共鳴し合うから、その人間の
発するヴァイブレーションがそれを受け取る他の人間にとって心地良いもの
であるなら、必ずしも1+1=2ではなくって、1+1が時には3にも4にもなって
響きあったりする。

それが、バンドの楽しさなんだよな。

そして、圧倒的に云えるのは、
楽しいバンドはとにかく楽しいし、
つまらんバンドは上手くてもまったくつまらん。


僕はなぜか縁あってBKBのメンバーとお友達で、彼らが日本に来ると
お互い「よっ、元気してた?」って感じになる。でも、だから彼らの音楽が
好きだ、ってワケじゃなく、やっぱりそれぞれのメンバーの持っている波長の
共鳴のし具合が素晴しいから、彼らのライヴは楽しいし、楽曲も素晴しいと
感じる。人として、良いヴァイブを感じるんだな。
そしてもちろん、各メンバーのあいだに響きあって共鳴しているヴァイブが
素晴しいから、バンド全体に、とてもハッピーで、力強く、ピースフルな
ヴァイブが漂っている。

テクニカルな面で云えば、ナタリーのギターは決して「上手い」わけじゃない。

でも、9人のソウルが合わさると、100にも1,000にもなれる。


同様に、Peace On Earth の演奏も、もちろん自分の大好きなジョージの
曲を演奏してくれるから楽しい、ってのはあるんだけど、でもそっくりだから
楽しかったというわけじゃなく、やっぱりそれぞれの人の持っている遊び心や
特有のヴァイブが見事に共鳴し合っていたから、全体のバンドの音が楽しく
転がって響き合っていたんだと思う。

グルーヴ感で云えば、このバンドのグルーヴは、ウィリー&アンディなど
70年代のリズム・セクションよりタイトでオンな印象だったし、それだから、
なおさらギターのタイム感がアフターに感じて気持ちよかったし、サックスや
スライドギターの滑らかな溶け具合が心地良く響いたし、ピアノの音や
ビートの倍の裏拍に入り込んで来るタンバリンのキレがまた絶妙だった。
てことは、やっぱりそれぞれの人のカラダが持っている固有のタイム感と
グルーヴ感、その合わさり具合、そしていちばん大事な「気持ちの響き方」
その共鳴の具合が全体の「バンドの音」をいい感じに鳴らすんだろうな。


いいライヴを観ると、そのいい感じのヴァイブをもらえて、
気持ちが元気になって、観てる方もいい感じになって来る。

音楽以外で、このしあわせ感って、あんまりない気がする。