完熟トリオ20120224サムズアップ「完熟トリオ2012ACT1」
横浜Thumbs Upへ行ってきた。
小坂忠、鈴木茂、中野督夫、いわずもがな
日本のロックシーンの初期から活動している
ベテランお三方である。

まだまだ日本のロックが洋楽の真似事だった頃
細野晴臣らと共に、日本人による
日本語のロックをやり始めたミュージシャンたち。
そんな中のひとり、ベテランシンガー小坂忠。
そしてはっぴいえんどのギタリスト鈴木茂。
結成38年、日本現役最長のロックグループ
センチメンタル・シティ・ロマンスの中野督夫。

完熟トリオ2012「完熟トリオ」とはよくぞ名付けたもので
それはそれは、熟成された音楽。
どの人の演奏も、その人の出している音が
「単体」で、すでに「音楽」になっているんだな。
それらが合わさって音世界を作っている。
忠さんの歌声、茂さんのギターの音色、
督夫さんの歌とギターとサービス精神。
どれをとっても、流石に見事。

しかし今日あえてエントリーの話題の中心にしたいのは、
パーカッション・ドラムスのサポートメンバー、永原元さんである。

初めてお会いして演奏を聴かせてもらい、すこしだけお話もさせて頂いた。
またひとり素晴らしいミュージシャンにお会いすることができて幸せだ。

gen nagahara昨日のセットでは鈴木茂さんが数曲で
ベースを弾いたが、それ以外は
基本、ベースレスの構成であった。
なので、「弾き語り」的な音アプローチを
予想していたのだが、いやいやどうして。

僕としては憧れの大先輩ミュージシャンが
三人フロントにいるわけで、始まったらもう
見た目だけで、うわ、うわ、なわけよね。
忠さんの歌声。
茂さんと督夫さんのギター。

ところが、はじまって数曲のうちに
過不足のない低音の入ったビートに
耳が、目が、カラダが反応しはじめた。

おんや?このビート感は妙に持って行かれるぞ。
なんか普通のロックやポップスのグルーヴ感とは違う。

普通、ロックバンド的な音アプローチのグルーヴは
ドラム・ベースのコンビネーションで出てくるもんだが
ベースレスでこの低音の効いたバネのあるビートの鳴り具合
こりゃいったい、どうしたわけだ?

というわけで、以後、ドラムス・パーカッションの永原元氏に釘付け。

最初の数曲はシンプルなドラムスだったと記憶しているが
本領発揮を見たのは、ファンでもあり親しくして頂いてもいる
中野督夫さんのセンチの新しい曲「Sun, Sunny Friend」が
静かにギターで始まり、その途中からビートが流れこんできた場面だ。

なにしろ恥ずかしながら初めて聴く元さんの演奏なので
それがアフリカン・パーカッションだということも知らなかったんだが
ここでビートが流れ始めた瞬間、思わず叫び声を上げてしまった。
このサイズの店だとけっこう恥ずかしいもんだが
でも出ちゃうもんはしょうがないのだ。 

言葉にしようがない。
ものすごく気持ちがよかった、としか言いようがない。
その「ものすごく気持ちがいい」ビートが、風のように流れこんできたわけだ。

ああ文字にできない歯がゆさよ。

それが、普通のロックバンド的なビートのアプローチとは
まったく異質なものだったので、余計に新鮮だった。


あえて言葉にするなら、それまで「ギターの音」や「歌の声」という
いくつかの音源リソースがステージ上に別々に存在していて
この「リズム」というものが流れこんで来たら、とたんに
それらが「互いに」コミュニケートし始めた、というような感覚だ。
それぞれの音に『 いのち 』が吹きこまれたかのように。

リズムは、この地球上でエナジーの根源だと確信した次第である。


さてこのパーカッションは「ジャンベ」というものらしいのだが
この低音が非常に表情豊かに鳴るのだ。
昨日の元さんのセットは写真のようなジャズ用の小さなドラムセットに
これを組み合わせて使用したり、また単体で使用したりと
場面によって曲によって使い分けていたようだ。

ライブ後、少しだけお話を聞いたところ、確か、ドラムセットは
小ぶりなグレッチのジャズ用のセットだと言っていたと思うが
バスドラとジャンベの低音をある音程までチューニングし
ベースが居ない分だけ低音の音程に表情が出るように
工夫しているとの事だった。
なるほど、言われてみれば確かにベースレスの場面でも
低音に変化があってきちんとグルーヴが出ていた。
そしてバスドラの長いサスティーン(音の響く長さ)を利用して
キックの踏み方で長く響かせたり短くミュートしたりして
表情をつける試みをしている、という話だった。
なるほど、そういうことか!膝ポン!であった。

そのおかげで、音の全体像としては2本のエレクトリックギターの音が
非常にクリアによく聴こえており、また歌にもよく溶けていて
なおかつ、過不足ないじゅうぶんな音量のビート感が曲に溶けていた。


さて、今日になってネット検索してみて
永原元さんのプロフィールを読んだりしていたんだが、
このインタビュー記事を読んで「あー若い頃そんな風だったんだ」と
やっぱりどっか違う人は歩んできてる道のりが違うんだなと
あらためて思った次第だが

ハタチの時にアフリカにいきなり修行に行ってしまったのだそうだ。
あてもなく、いきなり、である。(笑) 

普通やらないよね、アフリカは。だってヤバいもんマジで。

gen






リズムって、音をコミュニケートさせるんだな。
またひとり、素晴らしいミュージシャンに出逢えて幸せである。

そういえば、この人は生前のどんとと絡んでいたんだな。
数日前、なぜかボ・ガンボスとどんとを聴きまくって止まらなくなっていたが
僕はどんとに呼ばれていたのかも知れないな。
そう思うとなんだかとてもうれしい。なので、そう思うことにする。