May 2011

May 30, 2011

つたえ。

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この土日は、尾道でのお仕事でした。
せっかく行くので、春の海の原風景とも言われる鞆の浦まで足をのばしてきました。
鞆の浦歴史民族資料館というのがあり、その庭には宮城道雄先生の像がいらっしゃり、また館内には様々な資料も展示されていました。
道雄先生は神戸のお生まれですが、そのお父様はじめ父方の祖先は鞆であったそうで、先生の随筆「鞆ノ津」の中にも、先生が鞆をご自分の故郷と思っていらっしゃるお気持ちが溢れています。

百聞は一見にしかず。
その場に足を運び、空気を吸って、目に焼き付けて、心と体で感じること。
あいにくのお天気ではありましたが、穏やかに広がる鞆の海と昔ながらの街並みは、きっとこれから私の「春の海」の演奏に何か新たなものをもたらしてくれることでしょう。

そうそう。
先月ですが、奈良に行った際に京都の都おどりを見てきました。
宮城先生の作品に「都踊」という曲があり、まさにそれは祇園の都おどりを表した曲。
実は大学の研修旅行で一度、都おどりを見に行ってはいるのですが、なんだろう〜まだ未熟すぎたんですね。あまり感興がわかず。もちろんそれは都おどりに非があるのではありません。まだ曲を曲として、音楽として捉えることができていなかったんですね、私自身。恥ずかしながら。ただ楽譜上の音を追っているにすぎない。だから、今回の都おどり鑑賞は、さらい直し。早くから予約を入れて楽しみにしていたのですが、震災後行くべきか迷い…でも、行ってよかったと思います。

少しずつですが、分かるようになってくるものもあり、音楽を通して様々な物事に興味がわき、以前よりもどんどん楽しくなってきているこの頃です。

写真2枚目は、ホール入りする前に立ち寄った千光寺からの眺め。
朝の尾道。向島の山々。

海を、、こんなに穏やかな気持ちで見ることができたのは本当に久しぶりでした。

日本は美しい。

この二日間にいただいたエネルギーを、
今も、今までも、これからも、私を支え助けてくださる方々に、お返ししていきたいです。

そして、
今日は大きな発表をさせてください。

今年10月29日。
リサイタルをします。

去年の春から企画していたこのリサイタル。
だけど…3月。
できないかもしれない、やめなければならないかもしれない。と考えたりもしました。
でも、こんな時だからこそ
やります!

私にできること。
私自身、諦めることなく、夢を描いて、目標を立てて一つ一つ挑み、達成していくこと。
その姿を通して、すべての皆様に、元気と勇気を贈りたい。

今回のテーマは

傳-つたえ-

前回のリサイタル
凜-soloist-
を終えて
私が感じたこと。

長い歴史のある伝統文化である箏曲界の末席に身を置く者として、その縦の流れの中で、私自身も伝え繋ぐ役割を担っていかねばならない。
だから、今
私自身が直接うかがうことのできなかった先人たちの声を音を想いを、伝えてほしい。
そして、いずれは古典となっていくであろう、新たな「伝統」を今、作っていきたい。
そんな私の想いにおこたえくださり、
人間国宝・山本邦山先生が私のために新曲「一絃一管」を書いてくださり共演してくださいます。
生田流箏曲の大家・矢崎明子先生が宮城先生の処女作「水の変態」を共演してくださいます。
大好きなヴァイオリニスト・天満敦子さんが「春の海」を共演してくださいます。(あまり知られていないことなのですが、この曲は元々、箏と尺八による二重奏曲だったものを、ルネ・シュメーという女性ヴァイオリニストと宮城先生の箏との共演により世界的に有名になったのです。)
その他に、独奏曲として、宮城道雄先生の「中空砧」沢井忠夫先生の「讃歌」を演奏します。

10月29日(土)
午後6時
紀尾井ホールにて

遠藤千晶箏リサイタル
傳-つたえ-

渾身の力で挑みたいと思います。



crystal73 at 12:54|Permalink

May 24, 2011

私にできること。

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先日、お仕事で伺った檜枝岐村にて、うれしい再会を果たしました(写真1枚目)
原発の避難区域にご自宅がある私の恩師のご家族が、ちょうど檜枝岐村に避難していたのです。
言葉で言い表せないほどのとても大変な状況ではありますが、お二人とも変わらぬ優しい笑顔でいらして、私が救われるような気持ちになりました。
何もしてさしあげることのできない私は、宿泊先の民宿のお部屋でお二人に演奏を聴いていただきました。

翌週には、恩師にも再会できました。たくさん話をしました。別れ際に握手した先生の掌は、あったかくて、大きくて、ほっとしました。
大丈夫。


津波の被害にあった小学4年生のお弟子さんも、今月からお稽古を再開しました。4月の初めに会った時より、少し体が大きくなって、元の笑顔を取り戻していました。避難先の新しい学校での面白いエピソードをたくさん話してくれました。
この状況の中でも、子供たちはすくすく成長しています。
その生命力が、本当にまぶしくて、うれしいです。


そして、今日、うれしい電話がきました。
先の恩師からです。
ずっと志願していた、避難を余儀なくされている子供たちの通う学校での演奏が、ようやく来月実現できることになりました。
元通りではないものの、少しずつ生活の基礎が整ってきたここからが、音楽の力を発揮できる時です。
音楽を通して、これから長い応援をしていきたいと思います。


私にできること。
少しずつし始めることができてきました。
だから、もうメソメソしていないで、元気に明るく前向きな遠藤千晶を再開します。
できる人から、立ち上がって、足を踏ん張って、いっぱいの笑顔で天を仰ごう。それに答えるように、希望の光が、みんなに燦々と降り注ぐはず!


写真2枚目は、我が家で起きたビックリ現象。
お花屋さんで買ってきたスイートピー。福島に行って戻ってきたら…豆が生えてた!!
ビックリ仰天。
知らなかったんですが、スイートピーは豆科の植物なんですね。
でも、切り花からこんなに立派な豆ができるとは!
素晴らしい生命力。
私も、、負けていられないねっ!


crystal73 at 18:32|Permalink

May 18, 2011

美しい朝。

帰京する新幹線の中です。5月の爽やかな風に、山々の新緑が輝いています。
美しい朝。
学校に行く子供たちも、お仕事に行く方々も、新しい一日に心弾ませているように見えます。
でも、この輝きとは裏腹に、皆の心に重くのしかかる原発に関する続報。
ただひたすらに願うのは、心に一点の陰りもない希望に満ちた朝が、一日も早くふるさとに訪れること。
信じて、祈りましょう。

一昨日の夕刊に掲載されたのは、今月31日に紀尾井ホールで行われる演奏会について。
東日本大震災の復興支援チャリティーコンサートです。
今年15回目となる日本伝統文化振興財団賞。歴代の受賞者15名が一同に会し、多岐にわたる伝統文化の演目を一晩のうちに披露するという、非常に内容の濃い、贅沢な演奏会です。
私は、山田流箏曲・中能島欣一先生の傑作〈さらし幻想曲〉を、山登松和さん、善養寺恵介さんという憧れの先輩お二人と共演します。とてつもない難曲ですが、楽しんでみっちり勉強しています。こうして学べる喜びを胸に、そして、私自身がこのような大舞台に挑む姿を通して被災地の皆様に勇気や元気をお届けできたらと考えています。

5月31日午後6時開演。
紀尾井ホールです。

チケット収益は全額、被災地への義援金としてお送りされます。
お一人でも多くの方々にお運びいただきたいです。
みんなで、力をあわせて、日本を盛り上げていきましょう!



crystal73 at 07:32|Permalink

May 16, 2011

本日付の夕刊。

本日5月16日付の読売新聞夕方をご覧ください。
今月31日に行われる紀尾井ホールでの演奏会についての記事です。
詳しくはまた明日ブログにて。


crystal73 at 20:30|Permalink

May 01, 2011

忘れたくない。

cc5eaa34.jpg五月になりました。

忘れてしまいたい、
でも決して忘れることができない、
そして忘れてはいけない
三月、四月。

みんなが
これから、また
忘れたくない
素敵な時間や思い出を
作っていけることを願っています。



久しぶりの写真UP。
近所の商店街のお花屋さんで飼っている犬のレオちゃん。

通りすぎる人みんな
思わず笑顔になります。

私も
みんなに笑顔や安らぎを与えられるように。
いま
音楽と心のエネルギーを蓄えているところです。


当たり前のことなんて何一つなくて、
いつも通りが、こんなにも幸せで、
私のまわりのすべてが
本当にありがたいことなんだ、って。

辛い時間の中で感じた
忘れたくない、この気持ち。
これからも大切にして過ごしていきたいです。


crystal73 at 21:40|Permalink