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2014年07月16日

癒着の裏には罪悪感あり。



「自分は良い社員ではない」とか「妻として自分は失格だ」などの罪悪感が癒着を作ります。相手を満たすために、許してもらうためにする補償行為や感情の区別が付かなくなるなどの問題がそこから生まれます。



この週末は福岡で2日間のヒーリングワークをしてきました。
ここでは個人的なシェアを取ってカウンセリングとセラピーをするのですが、その内容は当たった方が今抱えていることを話してくれるので何が出て来るかはその時まで分かりません。
しかし、そんな方々の話を伺っていくと“その日のテーマ”みたいなものが出てきます。
今回は罪悪感と癒着が一つのテーマだったように思います。
シェアをしてくれる人が続々、罪悪感、そして、癒着の問題について語ってくれたのです。



癒着は罪悪感によって起こるもの、というのは先日急逝した師匠の教えなのですが、癒着の影には罪悪感が必ずあるものです。

母子癒着の場合、母側には「自分はいい母親ではない」などの罪悪感があり、子側には「もっと自分が素晴らしかったら母親を助けられたのに」という無力感からくる罪悪感などがあります。

夫婦で癒着が生まれる場合はお互いに、自分の不十分さや無力感を強く感じているものです。
「自分が夫でごめんなさい」
「私が妻じゃなかったらもっと幸せになれただろうに」
という罪悪感がお互いを繋げて癒着させるのです。
(そんな状態を共依存という風に言います。)

人同士ではなく、会社に対しても癒着が起こります。
自分がいい社員ではなく、会社に迷惑をかけていると思えば、必要以上に会社に気を使い、働きすぎてしまうかもしれません。

そんな風に罪悪感から、その罪を償う、補うように行動することを補償行為と言います。

「自分は能力がなくて会社に迷惑をかけているんだから、嫌な仕事だって引き受けなければならない」という思いも補償行為です。



さて、罪悪感が癒着を生みだす流れを整理してみましょう。
例えば、自分はいい夫ではない、という罪悪感を妻に対して持っている男性がいます。

「いい夫ではない自分は足りない分を補うためにもっと頑張らなければならない」とか「稼ぎが少ない自分は家のことを手伝って妻を助けなければいけない」などの思いを持ちます。(心からの行為ではなく、罪を補う行為ですので、補償行為ですね。)

そうして、
「残業をたくさんして仕事を頑張ったら許してもらえる?」
「嫌なことも我慢しなきゃいけないよね。」
「道化になったら笑ってくれる?」
等々の思いを持つようになります。

#もちろん、潜在意識〜無意識レベルで起こる感覚ですので、当人がこれを自覚していないケースもあります。

もちろん、こんなことを続けていたら、いつかは爆発してしまうでしょう。
それがケンカや浮気、離婚問題になったり、病気、怪我、事故といった自己攻撃になったりするのです。



さて、自分はいい夫ではないと妻に対して罪悪感を持っていると、常に奥さんの感情が気になるようになります。
笑っているときはいいけれど、もし、苦しそうな、辛そうな顔をしていたとすると、つい、自分のせいではないか?と思ってしまうのです。

そうすると自分の気分が奥さんの気分に委ねられるようになります。
奥さんが落ち込んでいると自分も落ち込んでしまうような。
やがては、自分の感情が奥さんの感情と見分けがつかなくなり、癒着状態が完成します。

つまり、癒着というのは、お互いの感情に区別が付かなくなってしまった状態なのです。



そこで、奥さんが辛そうな顔をしていると、それが自分のせいのように感じて罪悪感が強くなり、「俺のせいだ」と自分を責め始めます。
しかし、その自分に対する怒りを奥さんに投影すると辛そうな顔をしていることが自分を責めている感じがして(被害者意識)、奥さんに対する攻撃的な感情が生まれます。
そうして、「俺が悪いって言うのか!」と辛そうな顔をしている奥さんを攻撃するのです。
もちろん、そこで攻撃すれば新たな罪悪感が生まれますし、奥さんだってもっと辛い気持ちになります。
そうして、この奥さんへの攻撃が日常化してしまうのです。



母子癒着の例も一つ。
自分がいい母親ではない、という思いがあると、子どもがテストで悪い点数を取ってきたり、学校でいじめられたりすると、それは「自分のせい」と感じますし、同時に自分が悪い点数を取り、いじめられているように感じてしまいます。

それで「子どもの宿題を取り上げて自分がやってしまう」とか、そこまで行かなくとも「子どもの宿題に付っきりになって自分が答えを教えてしまう」などの現象が生まれます。

子どもに対する自信の無さ、不安から、子どもを支配、コントロールしてしまうのです。



経営者もよく従業員と癒着しやすい環境にあります。
業績が悪くなると当然、それは自分の力がないせいだと罪悪感が強くなります。
そうすると、従業員以上に猛烈に働いたり、自分の給与をカットして従業員に与えたりするようになります。
また、従業員のミスも自分のせいのような気がして攻撃的となり、それが従業員に対して必要以上に説教、指導してしまう理由となります。



私たちの日常のそこかしこに「罪悪感」があり、「癒着」があります。
大好きな人、守りたい人、大切な人に対して私たちはすぐに罪悪感を持ちます。
愛しているからこそ、不十分である自分を攻撃するための罪悪感は生まれます。

だから「許し」は私の大切な仕事の一つ。

そのままのあなたは本当に素晴らしい、と伝え続けるのも、この罪悪感から解放するお手伝いをしたいからなのです。


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