2013年09月05日

成功への怖れ

こんにちは、カウンセリングサービスの河合一孝です。

前回AKB48メンバーの卒業に触れましたが、卒業といえば昨年末から今年頭にかけてはもう一つ気になったことがありました。
AKB48の姉妹グループSKE48での大量卒業です。

SKE48といえば、昨年末のNHK紅白歌合戦では、AKB48グループの一員としてだけではなく、SKE48名義での単独出場も果たし、名古屋のローカルアイドルから全国区のアイドルへと大きな一歩を踏み出したところでした。

そんな矢先にトップクラスの主力メンバーを含む10名ほどが相次いで卒業を決めたのです。

芸能界での華々しい活躍を夢見てSKE48に加入し、夢に向かってかなりの努力を積み重ねてきたことでしょう。
そんな努力が一つの実を結ばんとする、まさにそんなタイミングでのことでした。
「よりによって今辞める?」という感じです。

せっかくそれまであんなに頑張ってきたのに、どうしてこのタイミングで彼女たちは卒業という道を選んだのでしょうか。


彼女たちの意識としては、それぞれの理由があったでしょう。
ここでできることはもう十分やった、という想いがあったかもしれません。
別の道に進みたい、他のことがしたい、という気持ちが止められなくなったのかもしれません。
これ以上のことは私にはできない、ここには私の居場所はない、と感じてしまったのかもしれません。
運営の方針が希望と合わなかった、という話も聞きます。

彼女たちそれぞれが感じている理由に、もちろん間違いはありません。
前回も書きましたが、彼女たちが卒業を決めるのは簡単なことではないでしょう。
きっと相当に悩み考えた末の結論だったのだと思います。

ただ、彼女たちがあえてこのタイミングでの卒業を決めたのには、彼女たちが意識していたそれぞれの理由だけではなく、さらにその下には、無意識のレベルだと思いますが、「成功への怖れ」があったのではないかな、と考えています。


意外に思われるかもしれませんが、人間は成功することや夢が叶うことを結構怖がっています。


その元には「成功したら次に必ず失敗する」という間違った信念、または「成功しても維持できない」という自信のなさがあります。

例えば、「恋人が欲しい」と望んでいても、心のどこかで「でも私なんかどうせすぐ振られるんだろうな」と信じてしまっていることがあります。
どうせ振られるのなら、最初から恋も成就なんてしない方が、振られたときのショックを受けなくて済むのです。
絶対に振られないと保証できる唯一の方法は、恋人を作らないことです。
だから、自信がないと、失恋のショックから身を守るために「恋人が欲しい」という夢が叶わないことを心の奥で望んでしまうのです。


また、夢が叶うということは目標がなくなるということでもあります。
本当は夢が叶った瞬間がスタート、そこから「夢にまで見た人生」が始まるのですが、どうも私たちは夢が叶った瞬間をゴールと感じてしまいがちです。

夢を追って走っているときというのは、結構充実感があるんですね。
その充実感が失われてしまうことで、なにか空虚な感覚を感じてしまうことがよくあります。

例えば、釣った魚に餌をやらないタイプの人がいます。
お気に入りの彼女を手に入れるまでは必死でアプローチし、彼女の気持ちを汲み、彼女の願いを叶え、彼女に優しくしていたのが、彼女が「Yes」と答えた瞬間に、それまでの熱意が嘘のようにぞんざいな扱いをするようになってしまう。
夢が叶った瞬間に安心してしまい、熱意が死んでしまうんですね。

例えば、大好きな趣味があり、いつかはこれを仕事にできたらいいなと願っている人がいます。
あまりにも楽しくて没頭していたら、認められ、それでお金を稼げるようになった。
趣味を仕事にすることができた。
ところが、仕事にした途端、大好きだったはずのことがつまらなくなってしまった。
そんなこともよくあります。

「夢が叶ったはずなのにどうも楽しくない」と感じること、ありませんか?
夢を追っていたときの方がずっと充実していた。
この空虚感を感じたくなければ、夢は叶わない方がいいのです。


さらに、成功に近付くにつれて、最初に夢見ていたこととは違う現実が見えてきます。

例えば、大好きな人と結婚できたとしても、関わりが密になった分これまで見えなかった相手の欠点も気になるようになるかもしれません。
違う環境で育ってきた他人同士が一緒に暮らすわけですから、いろいろなところでやり方の違いが露わになって、喧嘩になることもあるでしょう。

例えば、憧れの職業に就くことができたとしても、仕事ですから、輝かしく楽しい面だけではありません。
苦しいこともたくさんあるでしょうし、意に沿わないことをしなければいけないときもあるでしょう。

夢見ていた頃には想像もしなかったような苦労を背負わなければいけない。
それを引き受けて乗り越えていくことでさらなる成功に進んでいけるのですが、そこにチャレンジし続ける自信がないと、「こんなはずではなかった」という幻滅とともに、あんなに一緒になりたかった相手と別れてしまったり、あんなに就きたかった仕事をやめてしまったり、と夢を諦めてしまうのです。


このように、無意識のうちに、成功の裏にある様々な問題を私たちは怖れ、成功の喜びを遠ざけてしまいます。

逆に言えば、これらの問題をしっかりと引き受けることができたとき、私たちは更なる成功を手に入れることができるのです。


よりによってという感もあるあのタイミングでのSKE48からの大量卒業の裏には、こういった要素もあったのではないかな、と推測しています。

成功からの怖れが一因と言うと、彼女たちは成功から逃げたとかプレッシャーに負けたとか、ネガティブなイメージを持たれるかもしれません。
ですが、前回も書いたように、彼女たちが卒業を決めるのは、それはそれで大変な覚悟のいることなのです。
彼女たちは、ここではない別の場所での成功を目指し、より自分に合った道を探し歩き始めることを選びました。
その選択と、新たな場所での大成功を、応援したく思います。


最後に。

私、AKB48グループと直接の関係は一切なく、ただの一ファンにすぎませんので、実情がどうなのかなどまったく知りません。
ただファンの立場から知りうることだけを元にこの記事を書いていますので、そういうものだと思って読んでいただけたら幸いです。


では、失礼いたします。


cs_kawai at 14:31心理学  この記事をクリップ!
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