私たちの心の中にはあらゆる感情がありますが、怒りは、社会でも受け入れられにくく、扱い方が難しい感情です。また怒りの感情はあまりにも刺激的過ぎるため、攻撃や暴力、虐待、イジメ、ケンカなど感情だけの問題にとどまらず、出来事、事件などをともなってしまうので、軽視できません。扱い方も難しく、それでいて軽視できないので、ご相談で伺うと、ただひたすら、ガマンするしか対処法がわからず、ガマンにも限度があるのでもうどうしてよいかわからないということが多いです。


では、怒りを感じたときどんな対処ができるのでしょうか。

怒りの感情に限らないのですが、ガマンすると、感情は力をもつといわれています。怒りはまさに、火山のマグマのようなものです。マグマが噴出しないように、しっかり感情をコントロールして、抑圧、つまりガマンをしていると、ガマンできている間は怒りが静まったように思えても、ガマンの限界を越えたときやちょっと気を抜いたときにドカーン!!と噴出しかねないのです。また、ガマンしていたときほど、それまでの怒りが、蓄積されていますから、

「いいかげんにしてよ〜!!!」
と、堪忍袋の緒が切れたときの、怒りの度合いも大きくなってしまいます。ですから、怒りはガマンしないでいられるなら、ガマンしないに越したことはないのです。そして、怒りはなるべく、小出しに常に吐き出しておく方が、大きな怒りにならずに済むのです。というと、いつも怒っていなければならないような気がするかもしれませんが、怒りっぽいとか、短気とされている方の多くは、実は、怒りをずっと、ガマンしてきた方なのです。

そして、怒ってはいけないと思いつつ怒っているので常にガマンの限界の状態で生きているようなものです。ですから、一度噴火して、またガマンしてもすぐまた限界点に達してしまうんです。ですので、まずは怒っていること、怒りの感情をもっていることを認めてあげることです。

何らかの事情があって、怒りに至っているはずなのです。だから、それは自分も人間なんだから、怒って当たり前とと、認めて受け入れてあげた方が、ガマンしているよりも怒りが大爆発することを防げますし、ストレスも少しでも軽減できます。

だたし、ここで注意するのは、怒りの感情をもつことを認めるということは、ただ怒りの感情だけ、感じるという意味であって、攻撃をしてよいとか、暴力をふるってよいという意味ではありません。言葉や行動にしてしまうと、たいていは、相手や周囲からの反応があって、さらに怒りが増えてしまったり、問題が広がってしまいます。だから、難しいですが、感情としてだけ感じるのです。



では、さらに怒りの原因を考えていきましょう。

怒りの感情の奥には、痛みの感情が隠れているのですが、その感情が原因です。例えば、ひどい悲しみ、ひどい劣等感、罪悪感、自分には価値がないという感情、敗北感、恐怖心などです。

怒りの感情があがっていて、困っているときに、すぐ痛みの感情に目を向けることは難しいですが、怒りの感情そのものを認めて、受け入れて、少し余裕が出てきたときに、その痛みの感情を感じて、上手に感じきると、癒しが起こり、怒りは収まっていきます。実際に、私が面談カウンセリングでセラピーをするときにも、この考え方を使っています。

そして、おちついたら、怒りの背後にあった、自分の気持ちをコミュニケーションしてみましょう。多くは、たすけてほしいとか、わかってほしいとか、愛してほしいなどという欲求が隠れているので、自分の言葉で伝えてみるとよいでしょう。



では、今日のまとめです。

怒りを感じるとき
1怒りの感情をガマンせず、感情を認めて受け入れる
 (怒りを言葉や行動にはしないよう気をつける)
2怒りの下にある痛みの感情をみつける
3痛みがあって伝えられなかった欲求を伝える
 (たすけてほしい、わかってほしい、愛してほしいなど)

怒りの感情はなかなかやっかいですが、根気よくとりくんでみてくださいね。