ルネサンスのセレブたち

歴史・美術・本。ネクラな趣味に生きるローマ在住ジャッポネーゼ

枕元において眠りたいもの

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先日、本屋さんに寄ったら、ある本が目に飛び込んできました。

作者はヴィットリーノ・アンドレオーリ。タイトルは『Le Forme della Bellezza』。
ふだんなら、「美の形成」なんてベタなタイトルは手にも取らない(というより、そんな観念的なテーマは読み込めない)私、しかし作者の名前には聞き覚えがある。
どこかで聞いたことあるけど誰だっけ?と、ラインで夫に連絡。
「精神医学の大家」と、即返事が来ました。
そういえば、夫がよく買ってくる雑誌『MENTE』に寄稿してるあの人か、とはっと思いだした次第。
以前に、ロレンツォ・ロットについて書いたアンドレオーリ氏の記事をいくつか読んだことがありました。
「Bendessere」という言葉を、作り出した人でもあります。「最良の生き方をするための教義」みたいな意味だと思いますが、私のイタリア語力では訳は文字通り役不足。

本屋さんの一角にある読書コーナーに座りその本を手にとって、パラパラとページをめくっていたら、もう手放せなくなってしまいました。
図版たくさん(これ大事)、読みやすい文章、美しい装丁、ダメだ、この本は欲しい。読めなくて欲しい、と思ってしまいました。
以前、なにかのエッセイで「本当の読書家は蔵書家ではない」と読んだことがありました。
本の装丁に惚れて欲しがるなんて、本当にただの浪費家でしかないのでしょう。
しかし、いいわけとしては「夫へのプレゼントにすればいいんだ」と言うことになり、当の本人からも「アンドレオーリの本ならば買っておけば?」とラインでメッセージがやってきて、これ幸い、大枚25ユーロを払ったのでした。
以前、夫に勧められて読もうと(一応努力は)したウンベルト・ガリンベルティのイタリア語の著書は、まるっきり歯が立ちませんでした。しかし、アンドレオーリ氏の文体は、この本が初心者向きということもあるのでしょうが、非常に簡潔なのです。だからこそ、ロットの記事も読めたのですが。

子供の頃、なにかを買ってもらってうれしくてたまらないと、
「お母さん、これ、枕元において寝てもいい?」
とよくたずねたものです。
あのころ、私は枕元になにをおいていたのでしょう。ぬいぐるみ、おもちゃ、本、漠然としか思い出せないけれど、人の親になって一人前に年齢を重ねても、このウキウキ気分はそのままなのでした。
本当に久しぶりに、手に入れて嬉しくてたまらないものを、文字通り枕元において寝ました。
電子書籍でどんなにステキな本を買っても、やはり味気なさはいなめないものです。

撫でたりさすったり、中を開いたり、じっと眺めたり、まったく娘が新しいおもちゃを買ってもらったときと変わらない自分に苦笑してしまいますが。

もう一つ、最近嬉しかったのはルーサー・ブリセット作『Q』の翻訳本を手に入れたことです。
まだブログを書始めた頃、夫にしきりに「読め」と薦められ、彼本人は「読み終わるのが惜しいくらい楽しい内容」と絶賛していたこの本、長らく私も忘れていたのですが、アマゾンで検索していて日本語の翻訳本を発見。
上巻下巻のうち、どちらかはもうストックがなく、新品同様ですが古本で購入しました。
「さとうななこさん」という方の訳です。この大作を翻訳してくださったことに、心からの敬意と感謝を捧げます。
感謝を捧げたいのはもう一人、いつもスターをくださるかたに。チェーホフを薦めてくださったブログのお仲間です。かれの「朗らかな読了感」という美しい言葉に誘われて、生まれて初めてチェーホフを読みました。ロシア人とは思えないほど軽快な文章が美しく、敷居の高かったロシア文学の壁を越えさせてくださったかれに、心から感謝!

同じ本を何度も読んでばかりいる私に「あれ読め」「これ読め」とうるさい夫が最近読んでいるのは、ユヴァル・ノア・ハラリという若き歴史学者の『サピエンス全史』。
いきなり「ジョーモン」時代のことを尋ねてきたので、なにごとかと思ったら、この本が原因でした。ヘブライ大学に出張で赴き、ぜんぜん分野は違うのに ( 歴史学部と物理学部 ) 、刺激を受けて読み始めたそうです。
アマゾンで見ると、電子書籍でも読めることが判明。

しかし私はまず、『Q』から制覇します。




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ミケランジェロ作「河神」、3年の修復を終えて公開へ

dio fluviale
ミケランジェロが50歳前後に制作したといわれる「河神」。そのもろさのために、50年も放置されたままでした。




夕方になって登場したミケランジェロの記事です。

ミケランジェロが制作した作品の中でも、材質の特異性から脆弱なことで知られていた作品「河神( Dio Fruviale ) 」が、3年の修復を終えてこの秋にストロッツィ宮殿にお目見えするそうです。

さまざまな新聞のニュースをまとめるとこうなります。

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年月とともに強度が高まる古代ローマのコンクリートの秘密

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グロセートの海に残る古代ローマの遺跡。海水にさらされることで、年月とともに強度が高まるという古代ローマ時代の建築物の一例。



夏休み真っ最中です。

日本からイタリアに戻り、その一週間後には娘は義弟夫婦がいるスウェーデンに姑と旅立ちました。
それまでの一週間、私と夫の検診、娘の眼科検診、歯科検診、さらに両親のいずれもともに旅行しない未成年者の為の警察への書類申請、などなど毎日とびまわってヘロヘロでした。

毎年7月は海でバカンスを過ごす姑と娘ですが、子供が生まれてスウェーデンで過ごすことが多くなった義弟夫婦のもとで7月を過ごす、と姑が言い出したのはいつごろでしょうか。
いくらなんでも海外に娘を姑と送り出すのは私も心配で、最初は反対しました。
「なにかあっても、すぐに駆けつけられないし」としぶる私に、「なにかって、なにが起こるの?大丈夫よー」と姑。
娘は、陽気な伯父(つまり私の義弟)と自転車や船遊びをするのが楽しみで、「ママ、私は行きたい」と言い出す始末。
日本から戻り、警察への申請と書類の受け取りが間に合うのか、間に合わなかったらそれまでだ、旅立てなかったらこれ幸い、くらいに思っていた私ですが、フラスカーティの警察署は、「まったく、この時期はパスポートや未成年者の旅行許可証の駆け込み申請ばっかり」と愚痴りながらも、出発の前日にはきっちり書類を揃えていました。

最高気温は24度、朝晩は15度という義弟夫婦が住む海沿いの家で過ごしている娘は、毎日スカイプで「海の水が冷たい」「今日はピクニックに行った」「補助輪なしでもうすぐ自転車に乗れる」と楽しそうで安心しました。

娘がいない合間に、普段はなかなか手がつけられない部屋の片付けや仕事をしなくてはと気は焦りますが、家の中をすうすうと抜けていく風を感じていると、ついつい手を伸ばすのは買ったまま読んでいない書籍。
このまま、2週間などあっというまに過ぎてしまうのでしょう。

話は変わって。
ここのところ、ポンペイの新たな公開場所のニュース、またメトロC線のサン・ジョヴァンニ駅が電車は開通していないのに古代ローマの遺跡が並べられて公開されたニュースなど、古代ローマ関連のニュースをよく目にしました。
今日書くニュースは、夫が「まったく、人間が作り出す文明は進歩してるのか退化してるのか」とぼやきながら教えてくれた記事からです。

数世紀を経ても崩れ落ちない古代ローマの遺跡の数々、そのコンクリートの秘密が明らかになったのだそうです。
キーワードは、「海水」。続きを読む

ルーカ・パチョーリ500年忌

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1500年頃に、ルーカ・パチョーリがイザベッラ・デステに捧げたといわれる「チェスについて ( De ludo scachorum ) 」の写本。今回の展示会でも拝めるそうです。



ただいま、日本に滞在中です。

行事があれこれ詰まっている日本滞在ですが、ここ数日少しのんびりしています。
日本に来ると、厳しいパパの目を逃れてやりたい放題の娘も、今回は小学校に体験入学して学校生活を満喫しているので、私も母も午前中はのんびりできて助かってます。

久々にイタリアのニュースを見ていたら、ルーカ・パチョーリ ( Luca Pacioli ) に関する展示会や学会がサンセポルクロで開催中という記事をいくつか見つけました。

1517年6月19日に亡くなったルーカ・パチョーリ、今年が500年忌なんだそうです。
ルネサンスの時代の名だたる芸術家たちと深い親交があったルーカ・パチョーリは、著名な数学者でありフランチェスコ派の僧でもありました。
彼が数学者としてどのくらい偉大であったのか、数学に疎い私にはわかりません。
が、あのピエロ・デッラ・フランチェスカと近しい人だった、というだけで俄然身近に感じます。

サンセポルクロの展示会について、記事に載っていたのはこんなことです。
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レオナルド・ダ・ヴィンチの母の本名について、のニュース

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オックスフォード・ユニバーシティ・プレスから近々出版される本の宣伝記事が、本日の美術ニュースに載りました。レオナルドのママのお話です。





本日の美術ニュースには、レオナルドのニュースが登場しました。

レオナルド・ダ・ヴィンチの研究者に、マーティン・ケンプ ( Martin Kemp ) なる人がいます。レオナルド関係のニュースにはよく登場する名前ですが、オックスフォード大学名誉教授であるこのケンプ氏と、なぜか経済学者で美術研究家という肩書きのジュゼッペ・パッランティ ( Giuseppe Pallanti ) の共著で、『Mona Lisa The People and the Painting 』 というタイトルの本が出版されるのだそうです。

レオナルドの生母の名前は「カテリーナ」とのみ伝えられていますが、研究者二人はあらゆる古文書をあさって、その本名を探り出した、と伝えています。

その名は、カテリーナ・ディ・メオ・リッピ ( Caterina di Meo Lippi ) 。
それでは、ニュースのあらましを見ていきましょう。
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ミケランジェロが下絵を描いたかもしれないもう一つの「ピエタ」

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フィレンツェ近郊バルベリーノ・ヴァル・デルサの教会に残る「ピエタ」。1525年頃の制作と伝えられるこの作品に、ミケランジェロが関わっている、という伝説があるのだそうです。伝説に終わらせたくないアメリカ人の学者が、自説を展開しています。学者の主張によれば、向かって右側に描かれた罪人は、ミケランジェロの「自画像」なのだとか。



最近、ミケランジェロのニュースが多くなりました。

今年の11月に、ニューヨークのメトロポリタン・ミュージーアムで大々的な「ミケランジェロ展」が開催されるそうで、イタリアからも何点かアメリカに作品が渡るようです。

そして、フィレンツェ近郊「バルベリーノ・ヴァル・デルサ」という人口5000人にも満たない小さな町の教会に、ミケランジェロが残した足跡があるのでは、というニュースがありました。

かいつまんで話すとこうなります。続きを読む

増え続けるイタリアの「ユネスコ世界遺産」

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ヴェネツィア共和国によって築かれた星形の要塞「パルマノーヴァ」。今年7月に開かれる「世界遺産委員会」で、「世界遺産」に登録される予定地のひとつ。



ようやく5月になって気持ちも持ち直したかと思ったのもつかのま、じりじりと体内にあるマグマに焼け焦がされそうな、焦燥感のような不安感のようなものと日々闘っています。年齢のせいなのでしょうか。
家族とともにいる時間だけが穏やかで、できることなら世間との境界にパタンと扉を閉めて、こちら側だけにいたい、と思うこともしばしば。
5月病の一種かもしれないし、あまり深く考えずやり過ごす努力をしなくては。

ソッリマのチェロを聞きながら、読んだ記事です。
イタリアはユネスコの世界遺産を山ほど抱えている国ですが、新たにベルガモ周辺が世界遺産に登録される見通しになったそうです。続きを読む

ヤン・ファン・エイク作 『アルノルフィーニ夫妻の肖像』の幽霊

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1434年に、フランドル派の画家ヤン・ファン・アイク ( Jan van Eyck ) が描いた『アルノルフィーニ夫妻の肖像』。男性の薄い眉、クールな目元、鷲鼻などが印象的で、作品全体からも不思議な空気が漂う作品。この作品には、数々の謎があるといわれています。



5月に入って、ようやく冬物のコートはしまっても大丈夫か、という気温になってきました。
日ざしは温かいものの、朝晩の空気はまだまだ冷たいここ数日です。

今日ご紹介するニュースは、今年の3月にイタリアのいくつかの新聞に載りました。
最近は、医師たちが美術を語るのがちょっとした流行になっているのか、今回の記事の内容を提唱したのはフランス人の医師です。

ニュースとなった作品は、ヤン・ファン・エイクが描いた『アルノルフィーニ夫妻の肖像』。
すてき、とか、きれい、とかいう前に、「ちょっと不気味」と感じてしまうこの作品には、実が幽霊がいるのだそうです。
美術好きなフランス人医師の話ですから、お気楽にお読みください。


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ミケランジェロの「秘密の部屋」

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フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂にミケランジェロの秘密の部屋があるのだそうです。聖具室の下のその小部屋の壁には、ミケランジェロが描いたといわれるスケッチが。1975年に発見されたこの絵の数々、今回ナショナル・ジオグラフィックが撮影したことでふたたび論争に火がつきました。




最近、ミケランジェロとレオナルドのニュースしか記事にしていない私、怠慢です。

仕事の関係で、毎日あらゆるイタリアの新聞に目を通すのが日課になっています。
が、見落としも多い私に、ラインで「今日はミケランジェロの『秘密の部屋』の記事があったよ」と夫からメッセージ。
朝から寒くて雨も降る鬱々の天気を恨めしく眺めながら、読んでみました。


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ミケランジェロ作『イサクの犠牲』のスケッチ、初公開

isacco
左側が『イサクの犠牲』として知られてきたスケッチ。右側が、紙の裏側からミケランジェロがなぞったとされるスケッチです。右側の絵が、今回初公開されます。


2017年4月21日は、ローマの2770才の誕生日でした。

それを記念して、最近発見されたミケランジェロのスケッチが、ローマのカピトリーニ美術館で公開されます。
スケッチのテーマは『イサクの犠牲』。
推定制作年は1530年。
ミケランジェロが50代半ばに描いた美しいスケッチの裏側から発見されたのが、今回初公開される作品です。

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