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行ってきました。アンブロージョ・ロレンツェッティ展!


シエナで開催されている「アンブロージョ・ロレンツェッティ展」に行ってきました。

昨年の秋から行われていたロレンツェッティ展、どうしても行きたいと思っていたのですが、まさにぎりぎりセーフで鑑賞できました。
私の家にある書籍のカバーには、ロレンツェッティが描いた「善政の寓意」がよく使われています。
前回シエナを訪れたときには、私は発熱をしていてせっかく見学したドゥオモの美術館もまばらにしか覚えていません。

今回はしっかり目に焼きつけよう、と勇んで行ってまいりました。

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アートグッズは大好きだけど、今回の売店の商品はちょっと微妙。

ロレンツェッティという名前を知ったのは、中世の生活についての書籍を読み始めてからです。
彼が残したシエナのプッブリコ宮殿のフレスコ画には、当時の人々の生活の様子が優しいタッチで描かれています。
プーリア州のカステル・デル・モンテを見る、という夢を叶えたあとには、シエナのロレンツェッティのフレスコ画が見たいと常々思っていたので、新年早々いい夢が見られました。

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記憶にまちがいがなければ、これは兄のピエトロ・ロレンツェッティが描く聖母子像。おでこせまいです。



ちなみに、アンブロージョ・ロレンツェッティの作品の70パーセントはシエナにあるそうです。
アンブロージョ・ロレンツェッティは1290年頃の生まれ、14世紀半ばまで兄のピエロとともにシエナで活躍した画家です。
私が彼の作品に惹かれるのは、中世の生活を知る上でロレンツェッティの作品がよく登場することのほかに、西洋人らしからぬ切れ長の目にあります。ボッティチェッリの描く「ザ・西洋」という感じのくりくり二重の目も素敵ですが、すっとつり気味のロレンツェッティの描く目も独特でいいじゃないですか。
そして今回気がついたのですが、ロレンツェッティ兄弟の女性たちのおでこは非常に狭いんですね。個人的に親近感を感じたりして。

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「授乳の聖母」。聖母は美しいのに、幼児イエスは独特の描き方ではっきりいって「かわいい!」って感じではないです。




1月21日までの展示会ということで、団体さんまで入場して大盛況でした。
前回見学できなかったプッブリコ宮殿もゆっくり鑑賞。ここはさすが栄華を極めたシエナの中枢、想像以上にスゴい作品がズラリでした。

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アンブロージョは非常にたくさんの聖ピエトロと聖パオロの作品を残しています。

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これは聖フランチェスコの手。

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これは聖ニコラの物語だった記憶が。私が惹かれたのは下段、後ろ姿の聖ニコラ。なんだかいじらしい。

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団体客をやり過ごすあいだに外を見れば、夕日を浴びるドゥオモ。


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サン・ガルガーノの礼拝堂に残る聖母子。手が3本あります。この手は、最初は玉を抱えていたのですが、あまりに人間性に欠けるという批判を受けてイエスを抱く姿になったのだそうです。修復のさいに過去に描いた「手」が現れて、3本の手のマリアという不思議な絵になってしまいました。

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プッブリコ宮殿にある「善政の寓意」の「平和」の女性像にそっくりですが、こちらは「徳」の象徴なんだとか。手に持っているのはイチジク。優雅に寝そべっています。左側の女性が持つ籠は、再現されて売店で販売されていました。

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こっちが翌日見たプッブリコ宮殿の「平和」の擬人像。この二人、似てません?

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勇壮な聖ミケーレ。歌舞伎の型みたいなポーズ。



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言葉も出ないほど美しかった「玉座の聖母子」。

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イエスの像を抱えているのは聖ヴェロニカでしょうか。

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とにかくこの楽器を奏でる天使たちがかわいい。

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肌の色に青がよく使われるのがアンブロージョの特徴。

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イエスの死を嘆き悲しむ女性たち。髪の毛が長いのがマグダラのマリアでしょうか。

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可憐で近代的な聖カタリナ(だったと思う)。



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ラベンダー色の衣装がモダンなのは聖マルタ。

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笑うシーンじゃないけど笑ってしまう。神霊の鳩がなぜか聖パオロの耳の穴に。この構図、このほかにも何点かありました。


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アンブロージョの晩年の一作品。豪奢で繊細でモダン。

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シエナ共和国のお金の出入りを記した文書の表紙「ビッケルナ」。これはぜひ見たかった。こちらもテーマは「善政」。足下にいる狼と双子、シエナの街ではあちこちで目にします。シエナは、ローマ建国の父ロムルスの弟レムスの息子、セニウスとアスキウスが建国したといわれている故事にちなんでいます。セニウス→シエナ、となったわけですね。

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展示会の最後を飾っていた「受胎告知」。ベアート・アンジェリコの受胎告知のように、大天使ガブリエルと聖母マリアの口から、会話がこぼれています。写真では見にくいですが。

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夜のドゥオモ。

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ロレンツェッティは、シエナの聖フランチェスコ大聖堂に多くの作品を描きましたが、そのほとんどは外されて各地の美術館に保管されています。それでも2点、この大聖堂でロレンツェッティを見ることができました。夜、薄暗い大聖堂に浮かび上がる十字架像。


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翌朝、プッブリコ宮殿のバルコニーから見るシエナ。シエナは夕方のほうが写真はきれいに撮れる感じ。

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宮殿内、「枢機卿の部屋」にあるフレスコ画。推測ではアンブロージョ・ロレンツェッティ作。



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宮殿内の礼拝堂。この木の細工の細かさに呆然。


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15世紀初頭にタッデーオ・ディ・バルトロがフレスコ画をえがいたとされる礼拝堂。

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天井に描かれた天使たちは二人一組。一人が演奏し、もう一人が踊っています。

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大広間の壁一面に描かれたシモーネ・マルティーニの「荘厳の聖母」。横幅が10メートル近くあります。20代後半という若さでシモーネ・マルティーニが描いた傑作!


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それと向き合う壁に描かれた「モンテマッシの攻防戦のグイドルッチョ・ダ・フォリアーノ」。この絵もよく書籍のカバーに登場します。馬と傭兵グイドルッチョの衣装がおそろいで飄逸。


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野営地にはなぜかブドウ畑が。

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「平和の間」に描かれたアンブロージョの「善政の寓意」。踊っている女性たちあり、靴の工房あり、学校あり。盛んな商業活動、教育、娯楽などなど、理想的な社会が壁いっぱいに描かれています。


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左側が「悪政」、右側が「善政」。

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ここにも狼の乳を飲む双子が。

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アンブロージョ・ロレンツェッティは、とくに男性の横顔が秀逸だなあと感じます。

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「善政」に描かれた田園風景。農業に精を出す人々、優しい目の動物たち。農作業にいそしむ人々はシンプルな衣服で顔も見せずに仕事していますが、人間の営みが力強く伝わってくるから不思議。





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こちらが「悪政の寓意」。

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おまけ。サンタ・マリア・デッラ・スカーラの美術館内にある旧病院で。「慈悲の聖母」です。聖母のマントの下に人々が描かれていますが、この聖母のマントの上にはなんと天使たちが。斬新な構図です。

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その横で真摯に祈る人々。


追記: 1月21日に閉幕する予定だったロレンツェッティ展、現在まで3万5千人を動員し大好評で、4月8日まで延期されることが決定しました。

週末の2日間で、かなり濃厚な美術鑑賞をして過ごしました。
ちょうどイタリアのジャーナリスト、アルベルト・アンジェラ(個人的にはぜんぜん好きじゃないのですが)のドキュメンタリーで「シエナの歴史」が登場し、それを見てから訪れたシエナ。ドローンの映像はドキュメンタリーの質を変えたなあ、と実感。映像は本当にすばらしいです。


シエナの歴史は、レオナルドの「最後の晩餐」のあとに登場します。










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