ルネサンスのセレブたち

歴史・美術・本。ネクラな趣味に生きるローマ在住ジャッポネーゼ

古代ローマのワイン

MADE IN S.P.Q.R 古代ローマのワイン その10 AGER TAURASINUS ED ELLENICUM

aglianicodelvulture1
ヴェノーザ生まれの詩人ホラティウスが愛したアリアニコのブドウ。ギリシア人が持ち込んだブドウの木は、南イタリア中を網羅しておいしいワインの原料となっていたようです。



久々に、この古代ローマのワインの本を広げたのですが、しゃくにさわることに書き残したワインのほとんどはフランスワインの先祖ばかり。フランスは本当にワインの売込みが上手で、いやワインにかぎらないかもしれませんが、イタリアもワイン生産大国としてもっとがんばればいいのに、と飲めもしない私が毒づいております。

というわけで、今回のワインは一応南イタリア産のワインの先祖の話なのですが、今まで目にしても素通りしていたくらいで私は聞いたこともありませんでした。現代名はタウラージ ( Taurasi ) とアリアニコ ( Aglianico ) のワイン、というらしいのですが。続きを読む

MADE IN S.P.Q.R  古代ローマのワイン その9 VALIS POLIS CELLAE

amaronedellavalpolicella-corvina
ヴァルポリチェッラのブドウの実。その名は、ワイン産業が盛んになってから与えられたもので、本来の名前は「ラエティアのワイン」。



姑が最近気に入っているワインのひとつがアマローネ ( Amarone ) という赤ワイン。

毎回、この「古代ローマのワイン」シリーズを記事にするたびに、アルコールアレルギーの私がこうした記事を書くのは僭越だと感じます。ワインを説明するのに文章に登場する形容詞、「力強い」とか「ビロードのような感触の」とか言われてもなんのことだかさっぱりわからぬ。

ワインを愛好する皆様には申し訳なく思いつつも、辛口ワインアマローネを生んだヴァルポリチェッラ ( Valpolicella ) について古代までさかのぼろうと思います。

ヴァルポリチェッラのラテン名は「 Valis Polis Cellae 」。


続きを読む

MADE IN S.P.Q.R  古代ローマのワイン その8 VITIS LABRUSCA

4484
古代ローマの博物学者プリニウスは、VITIS LABRUSCA について「葉は落ちる前に真紅の色となる」と書いていますが、当時のランブルスコと現代のそれとは隔たりがある模様。


久々の古代ローマの記事です。
とはいっても最近は、古代ローマの発掘のニュースもあまり新聞に登場しないので以前から書いているワインの記事です。

結婚してまもなく、モデナに出張する夫についてかの地を訪れたことがあるのですが、エミーリア・ロマーニャ州の食事のおいしさにはまったく驚かされたものでした。
イタリア国内でも、その料理のうまさでは定評のあるエミーリア・ロマーニャにおいてその特産であるランブルスコと呼ばれるワインは、料理に比べると若干人々の評価が低いんだそうです。

下戸の私にはその辺の機微はわからず、まあ口当たりが良くておいしいんじゃないかしら、と思ったものでしたが。

今回はそのランブルスコ ( Lambrusco ) の祖、VITIS LABRUSCA なるワインのお話です。


続きを読む

MADE IN S.P.Q.R 古代ローマのワイン その7 TREBULANUM

filename-porta-megalitica
カンパーニア州はカゼルタ ( Caserta ) 近郊に残るトレブラの街 ( Trebula Balliensis ) の遺跡。この街がトレッビアーノのワインのふるさとです。




この週末、ロッカ・ディ・パーパは恒例の栗祭り ( Sagra di Castagna ) でにぎわいます。
昨年のこのお祭りは寒くて薄いコートを着て見に行った記憶がありますが、今年はまた暑さが戻っていて山の街にも穏やかな太陽が照っています。
祭りの準備をまさに高みの見物しながら読んだ久々のワインの話題です。

今回のテーマは、イタリア半島ではもっとも普及しているブドウ種のひとつトレッビアーノ。

赤ワインも白ワインもこのブドウ種を原料にしているものは大変多いようですが、実はフランスが誇るブランデー「コニャック」までこのブドウの木にゆかりがあるというから驚くじゃありませんか。

古代ローマでは「TREBULANUM」と呼ばれたそのブドウの木の歴史です。

続きを読む

MADE IN S.P.Q.R 古代ローマのワイン その6 BARBARICA SILVA

vigneti-Barbaresco
紀元前2世紀まではリグーリア州からピエモンテ州にかけての土地はケルト人の支配下にありました。当時、こうした丘は彼らが崇拝した樫の木で覆われていたそうです。ローマ人がこの地を支配し、ブドウの木を植えたのが銘酒バルバレスコの起源となりました。



ブログの更新の間が少し空いてしまいました。

書きたいネタはたくさんあれど、体力気力がイタリア語を読み訳し書くという作業についていけず毎日を過ごしております。
それでも何か書きたくて、温かいミルクティーなどを飲みながらぱらぱら本を見ていましたが久々にワインの話題にしました。

イタリアが誇るバルバレスコのご先祖さまのお話です。
何度か書こう書こうと思っていたのですが、なにしろとおりピエモンテ州のことで地理的な感覚がさっぱりつかめませず、先延ばしにしておりました。

イタリアが、バローロと並んで世界に誇る銘酒「バルバレスコ」の古代ローマ時代の名前は「Balbarica Silva 」といいます。

続きを読む

MADE IN S.P.Q.R  古代ローマのワイン その5 CARDONNACUM

800px-Chardonnay_grapes_close_up
この白い粒が特徴のシャルドネ種。古代ローマはパンノニア生まれのこのブドウは、ブルゴーニュ地方を足がかりにして世界中に広がります。




いきなり夏がやってきました。

つい先日まで長袖の衣服が手放せなかったのに、ここ数日で一気に衣替えです。
とはいえ、山の町はまだまだ風が気持ちよく洗濯をするのが楽しい毎日。

夏といえばキンキンに冷えた白ワイン ( まるっきり下戸の私が言うのは僭越ですが ) 、というわけで今日は久びさにワインの話題です。
ずっとイタリアのワインを話題にしてきたのですが、今回のワインはシャルドネ。
ラテン語では「Cardonnacum 」というのだそうです。

このワイン種、どの土とも相性がよかったのか現代では世界中にこのシャルドネ種を原料にするワインが製造されているそうで、その祖先をたどるのはかなり難しいようです。続きを読む

MADE IN S.P.Q.R 古代ローマのワイン その4 TUSCULUM

16585342_frascati-tra-vigneti-ville-due-passi-da-roma-0
現在のフラスカーティ・ワインの葡萄畑。古代ローマの興隆とともに発展し没落した銘酒。現代のフラスカーティワインは白が有名。





今日のワインはわれらが地元カステッリ・ロマーニ  ( Castelli Romani ) のワインです。
現在ではフラスカーティ ( Frascati ) と呼ばれるワインで、特に白が有名。

古代ローマ時代における銘柄は TUSCULUM。
このあたりの古代の地名がそのままワインの名前となっていました。続きを読む

MADE IN S.P.Q.R 古代ローマのワイン その3 FALERNUM

無題
古代ローマの超高級ワイン Falernum のファンの一人、キケロ。彼をはじめとする雄弁家の皆さんはみなこのワインの大ファンであったようです。




今週末、ローマは予報どおり雪が降りました。

ロッカ・ディ・パーパは木曜日の夜半から降り始め、金曜日は一日降りっぱなし。
今回の雪は粉雪で、風に舞って壁にまで張り付いています。

そんな中水曜日からジェノヴァに出張していた夫は、かの地からインフルエンザを拾って帰ってきました。
39度の熱があるのに車で600キロを走破して帰ってきたのにはあきれました。
ゆえに金曜日は朝からダウン。
雪かきは私の仕事になり、朝から3回ほど雪をかいてみましたが、かいているうちから積もっていきます。
私には重すぎるシャベルで手首がどうかなりそうでした。
最初は珍しくて撮っていた写真も、すっかり飽きております。

土曜日は仕事が入っていてローマの街に行くはずだったのですが、ローマ行きのバス、まずローマからの便が来ない。車両自体がこの街にないのです。
というわけで今日も一日雪かきに追われています。
粉雪が凍ってしまわないうちに、玄関から道への通路だけは確保しなくては。

痛む節々をさすりつつ読んだ古代ローマのワイン、第三弾です。

続きを読む

MADE IN S.P.Q.R 古代ローマのワイン その2 SANGUIS IOVIS E MONS ILCINUS

IMG_4353
大雪のロッカ・ディ・パーパです。


日本は冷え込んでいるそうですが、イタリアも27年ぶりという大寒波がやってくるそうです。
またも籠城状態になりそうなので、食料品だけは大量に買い込みました。
狭い家というのはいいこともあって、暖房の効きが非常にいいことです。
って、ただの負け惜しみです


先日、キャンティ・ワインについて書いたのですが、ワインに詳しくない私にはちょっと混乱したのが今日のサン・ジョヴェーゼ ( Sangiovese ) のご先祖の木。
キャンティ・ワインの木は、現代では多くがサンジョヴェーゼという種です。
当時のキャンティと現代のそれはきっと微妙に違うのでしょう。

本日の記事は、イタリア半島の11パーセントの葡萄畑を占めるというサンジョヴェーゼ、そして数あるイタリア産ワインの中でも高名なブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ( Brunello di Montalcino ) の産地に植えられた品種についてです。
続きを読む

MADE IN S.P.Q.R   古代ローマのワイン その1 CLANTE

IMG_4350
昨年の終わりに出版されたばかりなのにすでに15パーセントオフになっていた『ローマ・ワインの都』。最新科学による研究結果も盛りだくさんの内容です。



何度も書いておりますが、私はまったくの下戸でアルコール類について云々書くのはまったく僭越だと自覚しております。
薀蓄をたれるほど詳しくなくてもいいから、せめてたしなむくらいの体質があればこの国の食文化をもっと楽しめるのに、と常々残念に思うのです。

それでも星の数ほどあるワインを日々目にしていると興味はわいてきます。
先日見つけたのがこの本。
タイトルは『ローマ・ワインの都 ( ROMA CAPVT VINI ) 』。
ここ数年の科学の進歩は目覚しく、かつてのローマ帝国、つまり現代のヨーロッパ中に存在する葡萄の木はさかのぼればすべて古代ローマ時代に植えられた78種を祖先に持つことが明らかになったそうです。

ローマ帝国の拡大とともに、ローマの軍団たちが欧州各地に植民しました。
葡萄を聖なる木として敬っていた彼らは、新しい土地にも欠かさず葡萄の木を植え続けたのだそうです。
それがドミティアヌス帝の時代、つまり西暦1世紀の終わりごろに飢饉が続き、彼の政策により葡萄の木は減らされ代わりに小麦が植えられます。
この政策を覆したのは3世紀の軍人皇帝プロブスで、彼が現在まで続く欧州の葡萄栽培の父と位置づけられているようです。

1世紀にはローマ貴族たちの贅沢な飲み物であったワインは2世紀半ばから急速に身分の垣根を越えはじめます。
当時からワインの薀蓄をたれる人は多かったようで、その第一人者が『博物誌』を著したプリニウスです。

彼によって当時の葡萄の木の種類は23種に分類されていて、その名前の由来やDNAの調査などから現代の葡萄の木の祖先にたどりつくことが可能なんだそう。

というわけで、プリニウスが著したメイド・イン・S.P.Q.R のワインについてひとつずつ読んでいこうと思います。
本日はイタリアのワインでは最も世界に名前が知られたキャンティ・ワインのご先祖からです。
その古代名は『CLANTE』。
続きを読む
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 累計:

最新コメント