wシャンティご家族

チェンナイです。
写真は、私が泊まらせていただきお料理を習ったチェッティヤールの出身のシャンティーさんご一家。
シャンティーさんは、有名な料理研究家 Mrs.Viji Varadarakan のご自宅でずっと長く働いているサーバントさんです。タミル語しか話せないのですがお嬢さんが私とトントンの英語を話してくれるので大丈夫!と判断してお邪魔しました。
Viji先生がとても大切にしているサーバントさんで信頼関係もあり、ご主人も人格者。狭いながらも清潔なご自宅。私はまーったく問題ありませんでした。
なにしろ若い頃の修行時代は屋根が藁で隙間から星が見えるような家や寝てる枕元でネズミ大行進〜なんて家にも泊まり込んで料理を習いました。トイレがない水道がないなんて当たり前、牛乳は乳搾りから、お風呂はバケツ一杯の水。その家のお母さんが料理上手である限りどこにでも行きました。むしろ懐しいです。49歳で初心に戻った気持ちでした。
 ご一家は私のために唯一のベッド(マットレスはなくて板のタイプ、よくあります)を空けてくださり、家族全員居間にゴザを敷いて寝てくれました。ありがとう。本当にありがたい。

Viji先生のお宅でもお料理作りをご一緒させていただき、そちらではタミルブラーミンのなるほどと唸るような料理法を教えていただきました。
料理人の女ふたりで楽しく意見交換したり「美味しい〜」とよろこんだりしてきたわけですよ。
まずは先生が出演されたテレビ番組をYoutubeからご覧ください。



この番組での床に座るスタイル、とてもいいですね。私も東京ドームのテーブルウエアフェスティバルでやったことありますが、鍋の中がよく見えるんですよね。こんど私もテレビでもやりたいな。膝に油が飛ぶのが難点なんだけどね。

シャンティー家食器棚

さあではそんなViji先生のお料理をいつもサポートしさらにチェッティヤールでもあるシャンティーさんのお宅での料理修業です。
これが彼女の台所の棚。もっとシンプルかなと思っていたら鍋も食器もストッカーも必要なものはちゃんと必要なだけあります。

ご主人はオートリクシャーのドライバーさんで彼女もサーバントをして働いている。
必要なものはテレビとか洗濯機とか順に買っては揃えてきたのでしょう。
妻が忙しいときはご主人も家事を手伝っていたのを見て感激しました。
これは北インドでは見たことがありません。
お嬢さんもかわいいかた。タミル独特の風習だと思うのですが初潮があったときに記念に親戚や知人を呼んで大掛かりなお祝いセレモニーをするんです。そのときの記念写真はとても派手で、まるで新郎なき花嫁のごとく衣装を替えつつ何枚も写真館で撮影しアルバムにします。
それをとても嬉しそうに見せてくれました。思うに、昔はこのセレモニーが「お嫁さん候補」としてあちこちの大人たちにお見合いを気にかけてもらう合図を兼ねていたのでしょうね。
ほんとうにあたたかいまじめなご家族でした。


シャンティのスパイスボックス
これがシャンティーさんのスパイスボックス。
ふーーーん、こう来るか!
中央のごつごつはヒーングかな。いつもはこれは入ってなくて他のところからこのときは出してきたのかもしれません。ヒーングの使い方はたぶんViji先生の影響かと思います。

wシャンティ床調理
さあ行きますよ。
こんな様子で調理が始まります。台所からガステーブルやボンベも運び出してくれてあって感激。
食材の準備の仕方も完璧。さすが料理研究家のサーバントさんです。
掃除用のモップを使ったあとは必ず手を洗うなどしっかりViji先生から教えられそして彼女は普段からそんな動作が染みついています。インドではすばらしいこと。
たくさんの、50軒以上の家庭で料理修業をしてきました。
けれどインドを対象に考えた場合、こういうことは女にしかできません。
外国人のしかも男性が台所に奥さんと2人になるなどあり得ません。
数人で訪れたとしてもたぶんだめでしょう。
というか、なにかそのご家庭に誤解を招く種を運んではいけません。
親族でさえ同じ部屋に男女は二人きりになるのはタブーです。女性一人が部屋にいたとき誰か男性が何かを取りに部屋に入ってきたら女性は席を立って部屋を出るべきだ、と女は習って育ちます。
そんな理由もあって、まず、家庭に入り込んでのインドの家庭料理の修業は女にしかできません。
もっとがんばれ、日本の若い女達よ!

ガーリックラサム
うふふ、これから見せちゃおう。
ガーリックラサムです。ここからはシャンティーさんがチェッティナード料理として教えてくれたものの一部です。
この作り方がですね、びっくり。テンパーリングした丸ごとの唐辛子を熱いまま手で崩します。
熱いって?そりゃもう熱いよ!でもびっくりしたのはそこじゃない。
オリッサと同じなんだよこのやり方が。だから私はなぜか慣れていた。日本に戻って再現したときもすぐできた。そして心の中でムフフと喜んだ。しかしこう思ってる・・これやるなら唐辛子の種類がミソだよ。
そしてお味。このラサムがねえ、過去最高の味でした!ものすごく美味しい。
いやっほー。

さめ
鮫です、ジョーズの赤ちゃん。いやこの種類はこのサイズなのかな?
ソラプットゥというフリカケのようなデンブのようなものを作ります。
写真を撮ろうと思ったらもう切っちゃったの。
「あ〜〜〜切っちゃった!」って頭を抱えたら
元のようにつなげてくれました。

なんか、せつない。こうなってると。



鮫の骨取る
茹でた鮫を丁寧にほぐして皮と骨をとります。ベンガル料理の魚のボッダと同じ作り方です。
こういう作業はわたしも早いよ。箸でやると「見せ物」として成立するくらい、インド人から喝采をあびるよ!でも手でやったけどね、箸持って行けば良かった。
気付いたかたもいらっしゃるかな、シャンティーさんも髪が短いでしょ。
マダムと同じプージャをしたんです。
チェッティヤールの女性なんだなあ。やはり。

鮫プットゥ
はい、これが鮫の料理のできあがり。
マダムはChiliちゃんに「これはトラディショナルなチェッティナード料理ではない」とおっしゃったそうなのですが、私はこれはチョーラ朝がベンガルとつながって入ってきたテクニックじゃないかと思う。そしてこれは鮫でしか作らないんですって。でも臭くないですよ。
私は日本でこっそり鱈でやってみた。すごくおいしかった。
だけど一番味が近くなるのは太刀魚じゃないかと感じてる。

チキンビリヤーニ&エビのトック
チェッティナードスタイルのチキンビリヤーニとエビのトック。
これを見てて思った。シャンティーさんはちゃんと鶏料理は皮を剥くかそのままか料理によって分けている。
これに添えたラーエター様のものはパチリー(パチディー?)と呼んでいたっけ。
特徴があるなと思ったのはやはり唐辛子の処理だった。
このビリヤーニはミーンワルワルが合うのだそう。

チキン65
でました!チキン65!

かなり、味も香りも濃いですよ。
こうでなくちゃ。

あと、写真はないけどエビ65もつくったよ。


魚下準備
またこれも私の興味の対象。
魚の下処理のしかた。
これはスリランカと同じだ。ワタとヒレをとって目を残す。
この魚はハタハタにそっくりでした。
ミーンコランブになったわけ。
すごくスパイスの量が多い。
そしてこれに最後にもしココナッツ入れたらスリランカ料理だなとも思った、そんな味。

AYVミールス
きりがないのでこれくらいにして、
ちょっとおもしろかったレストランの味を紹介。
アーユルヴェーダミールスなの。
料理はスープから始まって生のもの、半調理、火を通し切ったものの順で出てきます。
このコースはとても勉強になりました。
思ったけど、この料理は普通のインド人には絶対に味が薄いしおいしくないと思うの。
でも繁盛してたわ。ダイエットかしら??
健康指向が強くなってきてるんですねインドも。病人食みたいなのにね。でももちろん私がケララのアーユルヴェーダ治療施設で勉強してきた料理もここと同じくらいのスパイス使いでした。


AYVパーン
最後にパーンが出てくるあたりはびっくりよ!
しかも良く見て、

ビーツなのよ、中味!!

いやいやいやーーー、やられました。ここまでしてパーン食いたいか。
というか、もしかしたらビンロウの葉は消化にいいの????

さて。以上で今回のタミルナードゥでの修業報告を終了!

この3回シリーズの最後に、お世話になったChiliちゃんにお礼を。
写真も、私が写ってるのがあるのは彼女のおかげ。
心を込めた準備やガッツのある行動力、ありがとう!!
これはスタートだね。今後も一緒にリサーチしてゆきましょう。

こうしてスリランカとタミルにご縁ができました。
私とChiliちゃんの2人はなんとか、この近くてしかし少し遠い部分もある二つの民族の間を「食文化」を通して結んでゆきたいと思っています。
スリランカでの不幸な内戦も終りました。スリランカがタミルに与えた影響、タミル内での民族の移動そして海に出た後の文化の行き先、古代の料理・・・・!
これらをリサーチしてゆくという壮大な夢を持ち始めています。

また、チェッティナードの料理取材やタミルの古代料理にご興味のあるメディアのかた、ぜひご連絡ください。とても面白いプランがあります。

次回は:::::ジャックフルーツ解体@東京 でーす。