これは何だかわかりますか？
カシューナッツの実がなっているところです。
これは私がいつか書きたいと思っていたテーマで、今回スリランカ在住の友人「ぶっち」さんの協力で実現。今年の初夏のシーズンに実の処理を細かく写真に撮ってもらいました。
ちなみに先月ちょうどスリランカ旅行から帰ったペイズリー生徒のＨさんが木になった写真を偶然撮っており、それをもらったのがこの一枚目。ナイスタイミング！私がインドで撮った写真はボケボケだったので（汗）
ピーマンを逆さにしたようなずんぐりした赤い果実（カシューアップル）は熟すとバラのようなリンゴのような芳香です（食べられますけど、沢山食べられるものでもないような。お酒にもなるらしい）。
そしてこれはやがて柔らかくなりズルッと下に落ちてしまいます。するとその下に顔を出していた緑っぽい勾玉型の殻だけがツルの下に残ります。
勾玉をアップにしてみましょう。
とっても固いんですよ、この1つの殻にナッツが1個。
そもそもカシューは中南米原産で、インドのマラバール海岸沿いやスリランカで根付いて今では換金性の高い作物です。ちょっと調べると、思った通りこの木を運んだのはポルトガル人。
私はポルトガル人がこの一帯でかつておこした「食の撹乱と革命」をいつかちゃんと調査して書きたいの。インド料理の「テンパーリング」も元はポルトガル語（英語じゃないヨ）。それとスリランカ料理の「テールダーナワ」のテクニックが・・・・で、面白いのはポルトガル人の気質で・・・って、それるね話が。今回はこれは置いといて、と。
ナイフ入刀〜〜〜！
丸々と1個取り出したいとしたら殻を上手く割るのはとてもたいへん。実が欠けたら値も下がります。
でも家庭ではスパッと真っ二つに切ってしまいます。とはいうもののこの木は漆科ですから切った断面からはアクの強い濃い粘るベタつく固まる、ものすごく困った汁が出てきて、滑ってあぶないわ、手は真っ黒になるわ、人によってはかぶれるわで、
この作業はそりゃーもうたいへん。
きれいに割れました。
ですからね、スリランカ主婦の本音としては、この実はできることなら「切って中味を出した状態」でいただけると嬉しいわけです。私たちだって、銀杏の実の臭いのを丸ごと山のようにいただいても、栗を割れてないイガのままの姿でいただいても、嬉しい反面「これを処理するんだ・・・(*_*; 」と顔の一部がこわばるのと一緒です。
しかしやはりこういうものは、「おいしいっ」
家族の期待度はMAXです！ひーん。
ほじくり出します。
形的にはクルミよりは出しやすいかもしれませんけど、でも割れやすいからね。
ひとつひとつ、がんばります。
出た出た〜〜〜。
ばんざーい。
でも、まだ先があります。
やれやれ。
お次は水に浸ける。できればお湯がいいかな。
なんでかというと・・・・・・
いらん薄皮がまだついとるんよ。
外側の殻から考えて、この実ってどんだけ過保護なの。
皮むけました〜〜〜。
ぱちぱちぱち〜〜。
ようやくゴールです。見慣れた姿になりましたね。
現地ではこの実がなるシーズンにはカシューの木が家にあったら果てしなーくこの作業をするわけです。もしくは固い殻の状態でとても高価な商品にもギフトにもなります。
ここではスリランカ料理を例に出しますね。
私たちは生産地から遠く離れて日本でローストされたカシューナッツを塩味で食べるのが普通。もしくは中華料理では鳥肉と一緒に炒めたりしたものも人気。
だけど生産地ではその年の新ものの季節に、収穫したばかりのナッツを香りよくカレーにするとこれがもう、最高なわけです。
スリランカ式のカレーの作り方はとても簡単で、このようにスパイスやハーブやモルディブフィッシュなどを計量して鍋（土鍋が最上）にセットします。あとはココナッツミルク（とそれを希釈する水）をそそいで煮る。
こんな風に汁気の無い状態に味を染み込ませたものの美味しさをもっと日本にも広めたいものです。カレー料理の巾の広さはこういう料理からも垣間見られると思います。
ナッツ特有のねっとり感と香ばしさとスパイスの刺激や残り香。
私たちはこちらで手に入る、せめて生カシューで作るしかありませんけれど、現地でもこれは本当に美味しいのは旬の新もの。贅沢です。
こちらは私が連載を書いている神奈川新聞の「おうちでアジア」に掲載したカシューナッツのカレーです。汁気のあるバージョン（ホッダというスタイル）だとこんな感じです。
スリランカではカシューナッツのカレーはやはり値段も高く高級。
結婚式などのパーティー料理ではこの料理が出るか出ないかでそのパーティーのグレードがある程度計られてしまう・・・という在住のかたのお話を耳にしたことも。
というわけで、今回は日本では見ることができないカシューナッツのなりかたと下準備のお話でした。
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そしてそのカシューナッツを贅沢にバーンと使う料理なんて、超贅沢ですね！