本文抜粋 


 過剰な「保護」は、かえって、その人を怠けさせ、狡猾な人へと変貌させる。

 国が国民に対して、過剰な保護を行うことは、国民を怠けさせ、狡猾な国民を多く輩出する原因ともなり得る。

 真に徳のあるリーダーは、決して、人々を甘やかさず、常に、自分の足で立つことを要求し、そのための助力を惜しまない者である。

 真に徳のあるリーダーは、徐々に、神の御心にと近づいてゆく。

 天は、「失敗を恐れて、何もしない人より、失敗をするかも知れないが、力の限りやってみる」という人をこそ、応援する。



                                  本文 


  普遍的な理想的なリーダー像  

 真のリーダーとは、いかにあるべきなのであろうか。会社の社長にせよ、市長にせよ、県知事にせよ、国家の首相にせよ、どのようなリーダーであるにせよ、普遍的な理想的なリーダー像というものがあるはずである。そのようなリーダーとは、どのようなものであるのか。

≪・・・・ニューヨークの歴史に残る市長、フィオレッロ・ラガーディア。イタリア系の彼は、体格がとても小さな人物でしたが、バイタリティあふれる優秀な市長で、市民からはファーストネームを英語に訳した「little flower(小さな花)」と呼ばれて、とても親しまれました。ニューヨークにあるラガーディア空港も、彼の名にちなんだものなのです。

 ラガーディアは、市の様々な部署を知り、連絡を保つため、職員の代わりに現場で働くことがあったそうです。ある時、彼は、夜間の刑事法廷を取り仕切ることにしました。そこに連れてこられたのが、パンを盗んで捕まったという男。その日はとても寒く、男の家族は飢えに苦しんでいる状態で、やむなくパンを盗んでしまったということでした。

 話を聞いたラガーディアは、こう言います。「法律に例外はありません。罰金10ドルとします」

 しかし、話はそれで終わりませんでした。彼はポケットから、10ドルを取り出すと、自分のトレードマークであったソンブレロ(南米でよく見られるつばの広い帽子)に投げ入れたのです。

「これが、あなたが払う罰金の10ドルです」

 さらに、彼は、法廷にいた傍聴人たちに対して、このような命令を下します。「食べるために盗みをしなければならないような街に住んでいる罰として、この法廷にいるすべての人に、罰金10セントを命じます。廷吏は罰金を集めて、被告に渡しなさい」

 法廷に帽子が回され、ラガーディアが最初に入れた10ドルと合わせて、全部で57ドル50セントのお金が集まりました。被告の男は、その中から、罰金として10ドルを支払うと、幸せそうな笑みを浮かべて、法廷を去っていきました。・・・・≫



  過剰な保護に注意  

 人が窮地にある時、一時的に、資金を提供することは、良いことだと思う。けれども、「そのように窮地を装えば、資金を提供してくれる」という思いを起こさせてはならない。「自活」できるための、一時的な「方便」として、無償で提供する、というものでなければならない。過剰な「保護」は、かえって、その人を怠けさせ、狡猾な人へと変貌させる。

 国が国民に対して、過剰な保護を行うことは、国民を怠けさせ、狡猾な国民を多く輩出する原因ともなり得る。何から何まで、生活の面倒をみるようになると、国民自身が何かを考え、創意工夫をする、ということがなくなる。「選択」の幅を狭めてしまい、未来に起こり得る、多くの善きことが、頓挫してしまう。



  真に徳のあるリーダーの条件  

 真に徳のあるリーダーは、決して、人々を甘やかさず、常に、自分の足で立つことを要求し、そのための助力を惜しまない者である。倒れ掛かった時には、支えるけれども、自分の足でりっぱに歩いている時には、その動向を見守っている。

 真に徳のあるリーダーは、徐々に、神の御心にと近づいてゆく。「育み」の心が、だんだん、大きくなってきて、人々の心の成長を、この上なく楽しみにするようになってくる。決して、強制することなく、個々の自由を、最大限、尊重し、救いを求められた時にのみ、その人の力となる。



  天は地を決して見捨てない  

 天は、「失敗を恐れて、何もしない人より、失敗をするかも知れないが、力の限りやってみる」という人をこそ、応援する。天が、何ゆえに、真に徳のあるリーダーを、この世に送り込むのかと言えば、失敗してしまった人々の助力となり、勇気付けるためである。何もしない人を保護するためではない。力の限り、自ら自活しようと、努力する人のためにこそ、真に徳のあるリーダーは、この世にと送り込まれるのである。

 再び、そのような、真に徳のあるリーダーが、
 国を引っ張ってゆく時代が訪れる。
 日本にも、再び、訪れる。





-参考文献-

『ちょっといい話』 佐藤光浩著
〔アルファポリス文庫〕 P198~P199






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