フリーライター石川清のblog

ライターの石川清のブログです。アジアや沖縄をまったり歩くのが好きなほか、最近は長期ひきこもり問題や、八つ墓村のモデルにもなった大量殺人事件などの書籍なども上梓しています。よろしくお願いします。

格差社会

1964年埼玉県生まれ。NHK記者を経てフリーに。主な共著作に「ドキュメント 長期ひきこもりの現場から」(洋泉社)、「津山三十人殺し 七十六年目の真実」(学研)、「元報道記者が見た昭和事件史」(洋泉社)、「ヤシの実のアジア学」(コモンズ)、「津山三十人殺し 最後の真相」(ミリオン出版)、「危ないカギ屋の事件ファイル」(三才)など

最低賃金の賃上げと新しい貧困

東京都の最低賃金が27円上がって、時給985円になるという。10月をめどにそうなる。

東京都の最低賃金の金額は全国では最高額のものとなる(なんかややっこしい表現)。全国の平均額はだいたい時給870円台になるようだ。ちなみに最低は沖縄や鹿児島などで、時給760円程度だ。僕の住んでいる埼玉県では871円から898円程度まで引き上げられることになる。

ところで、障害者手帳を利用して就労する障害者枠での就労というものがある。障害者枠を活用しての就労は、比較的一般就労に比べて平易なのだが、その中でも精神障害者の人が障害者枠で働くと、どうしても多くの場合、最低賃金程度(若干プラスアルファが多いが)となってしまう。5年、10年継続して働いても、時給がアップすることがほとんどない。もしくは賃金のアップ率が極端に超鈍い。

あまりにも低賃金が続くので、途中で一生懸命に働く気をなくしてしまう人もいる。

ちなみに時給985円で計算すると、フルタイム(週40時間)働いたとして、その月収は総額で16万円強となる。税金や健康保険、年金などを引かれると、だいたい月の手取りは14万円ちょっとであろうか。決して高くはない 。我が埼玉だと、フルタイムで月の手取りが13万円弱。沖縄だと、せいぜい11万円程度となるだろうか。

決して十分な金額とは言えない。これでは結婚したり、子供を産んだりするのに、どうしても尻込みしてしまっても仕方ない。

最低賃金の金額を時給1500円程度まで引き上げてほしいという話もあるという。そうなると、月の手取りはだいたい22万円程度になる。確かにそれならなんとかなるかもしれない。

しかし、国の財政事情は決して明るくはない。すぐに時給を1500円に上げるのは厳しそうだ。

だとすると、補助的な財源として、例えば少額のベイシックインカム(例えば月に5万円程度)でも実施することはできないだろうか。そうすると、多少最低賃金レベルでも収入はそれなりの金額にアップするし、その人の状態(例えば障害の状態など)に応じて、多様な選択肢を得ることも可能だから。多様な生き方を選べるとなると、ちょっと人間らしくなるのではないか。 

失業率は改善したというけれど

1月の失業率が2.4%に改善したという報道がありました。1993年4月に記録した2.3%以来、24年ぶりに低い水準になったということです。

ほんの4、5年前までは、働きたくても働けない、ということが広く叫ばれていたわけで、そういう意味では、改善したと言っていいのかもしれません。

数字の上では。

実際、障害者やひきこもりの当事者の就労、就活状況をみていると、2点ほどまだまだ解決のつかない深刻な問題があります。

1点目は、賃金の格差が広がっているということ。キャリアの乏しい人の場合、どうしても最低賃金水準の仕事にしかつけません。このため、1日8時間、週40時間のフルタイム働いても、手取りは12〜15万円しかもらえないという問題が起きています。精神障害者の枠で就労した場合、多くは5年働いても10年働いても、時給がほとんど上がらないという問題にも直面します。こうなると、やがて働く気が低くなったり、やる気がなくなり、抑うつ的になることもあります。

2点目は、失業率や求職率が改善しても、キャリアや技術、経験値の乏しい人の場合、かなり高い確率で仕事に就けないということです。マクロの数字は改善しても、ごく少数のハンデを負った人が見捨てられたり、取り残されたりする現状はあまり変わりません。 むしろ、全体の雰囲気が良くなっていると、相対的にそういった見捨てられた人たちは、かえって落ち込みを強めたりします。

もちろん、就労支援など様々な公的、私的な支援はあります。ですが、状態がひどい人ほど、実はそういった支援を受けにくい、受けられない、という問題もあります。

マクロでは見えない部分に目を向けて、改善を考えていくことが大切なのかもしれません。 
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