本当は健康寿命が短い日本人の体質(その28.善玉菌を増やして悪玉菌を減らす)

腸の中には1000種類以上、約1000兆個もの腸内細菌が棲みついていて、その重量は1~1.5㎏にもなります。これらの腸内細菌の多くは回腸から大腸に存在しています。

 

腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、腸内の環境によって善玉菌にも悪玉菌の働きをする日和見菌に大きく分けられています。バランスがよい腸内環境では「善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%」の割合になっているといいます。

 

善玉菌はビフィズス菌やフェカリス菌、乳酸桿菌などの乳酸菌類が代表的なもので、悪玉菌はウェルシュ菌や大腸菌、腸球菌、赤痢菌など数多くの種類があります。簡単にいうと、人間にとってよい働きをする物質を作り出すのが善玉菌、逆によくない働きをする物質を作り出すのは悪玉菌という分類となっています。

 

腸内細菌の種類と数については100種類以上、約100兆個と言われていた時代があり、続いて300種類以上、約300兆個と言われ、今では1000種類以上、約1000兆個とされていますが、これは日本人の腸内細菌の数が増えたわけではなく、研究が進むにつれて種類と数が確認されるようになったからなのです。

 

腸内細菌の総数はほぼ決まっていて、善玉菌が増えると悪玉菌が減り、逆に悪玉菌が増えると善玉菌が減っていきます。善玉菌は発酵を進めて腸内の酸性傾向を強めていきますが、悪玉菌は酸性の環境に弱く、アルカリ性の環境には強いので善玉菌が多くなるほど悪玉菌は減っていきます。逆に悪玉菌が増えてアルカリ性の環境に傾くと善玉菌が減っていくようになります。

 

腸内の状態はトイレで、自分で確かめることができます。善玉菌が多い人は腸内での発酵が進むために、便の色は黄色くなり、臭いも弱くなります。また、便の量も増えて、便も軟らかくなります。それに対して悪玉菌は腸内での腐敗を進め、アンモニアや硫化水素、スカトール、インドールといった有害物質を多く作り出します。便の色が黒く、臭いが強く、便の量も少なく、便が硬くなります。また、悪玉菌が多いと便秘や下痢を起こしやすくなります。

 

善玉菌が増えて酸性度が高い環境になると、日和見菌も善玉菌に変化していき、悪玉菌が減るため、さらに善玉菌が優位になっていきます。

 

逆に、悪玉菌が増えてアルカリ性傾向の環境になると、日和見菌も悪玉菌の役割をするようになり、善玉菌が減るので悪玉菌が優位になっていきます。日和見菌が70%を占めるということは、善玉菌が優勢になると日和見菌が善玉菌の役割をすることになり、多くが善玉菌というような状態になっていきます。その逆に、悪玉菌が優勢になると日和見菌が悪玉菌の役割をするようになって多くが悪玉菌というような状態になるので、善玉菌を増やすことが重要になります。

 

赤ちゃんは善玉菌が非常に多くなっているものの、離乳期を過ぎると悪玉菌が増えていきます。特に増えるのは悪玉菌の代表であるウェルシュ菌で、これは中高年から老年にかけて大きく増えていきます。その一方で、善玉菌の代表であるビフィズス菌は減っていって、悪玉菌が優勢になっていきます。その理由としては、加齢による腸内の酸性度の低下が大きいからだと考えられています。

 

若いときには胃液と十二指腸での腸液の分泌が盛んになっていますが、年齢につれて徐々に分泌量が減っていきます。胃液と腸液は強酸性で、分泌量が多いと胃と腸の中は酸性に保たれています。善玉菌は酸性の環境に強く、悪玉菌は酸性では活動が弱まっていきます。腸液は小腸下部では薄まっていくため、そこから大腸にかけては悪玉菌が増殖するようになっています。

本当は健康寿命が短い日本人の体質(その27.日本人の腸の長さが弱点になる)

「日本人は腸が長い」ということは今では常識として語られています。腸が収まっている胴体の長さを欧米人と比べると、体のサイズが小さな日本人のほうが短くなっています。臓器の大きさは体の大きさに比例するところがありますので、日本人の腸の長さは短くてもよいはずです。ところが、日本人は小さな胴体の中に、欧米人よりも15 2mも長い腸が詰まっているのです。

 

日本人の腸の長さは全体で7.5~8.5mあり、そのうち小腸が6~7m、大腸が1.5mとなっています。日本人は歴史的に食物繊維が多い食品を食べてきたことと、低エネルギーの食事をしてきたことが、その理由としてあげられています。

 

低エネルギーの食事だった時代には腸の長さは利点だったのですが、今のようにエネルギー量が高い肉食が増え、多くの量を食べられるようになった時代には逆に欠点となっています。腸が長いと腸壁の面積も広くなるため、吸収力もよくなっています。食事で摂った栄養素の90%以上は小腸から吸収されています。

 

胃で消化された食塊が通過する腸管内腔側には輪状の襞(ひだ)があり、絨毛の構造になっています。絨毛の管腔側の細胞は粘膜上皮細胞といい、ここには細胞膜が細い毛のように伸びた突起の微絨毛があります。こういった構造によって同じ太さ、長さの管と比較すると、その表面積は輪状ひだで約3倍、絨毛で約30倍、微絨毛で約600倍にもなっています。このように複合的にひだ状になっていることで食塊と接触する面積を広くして、効率的に吸収できる仕組みになっています。

 

小腸が管だったとすると内部の表面積は約0.4㎡でしかないが、小腸の表面積は約200㎡と、テニスコート1面(約195㎡)と同じくらいの面積になっています。このような仕組みのため、低エネルギーの時代には、少しでも多くのエネルギー源を取り込むことができた仕組みだったものの、腸壁の面積が広いことでエネルギー源の糖質や脂質を取り込むことになるため、食べた量に比べて血液中に入ってくる糖質や脂質の量は多くなります。

 

さらに、日本人は低エネルギーの食事から多くのエネルギー源を取り込めるように、分解や吸収に関わる酵素の働きを強めて、吸収率も高めてきました。面積が広くて、さらに吸収がよければ、同じだけの肉食をしても血液中の脂肪も、脂肪細胞に取り込まれる脂肪も増えるようになります。

本当は健康寿命が短い日本人の体質(その26.かつての日本人は食と歯のバランスが取れていた)

人の歯は切歯8本、犬歯4本、臼歯20本で構成されています。これに対して肉食の犬の歯は切歯12本、犬歯4本、前臼は16本、後臼歯10本で構成されています。犬は上下の歯の位置がずれていることから臼歯も刃物で切るように働き、肉類を食い千切り、噛み砕くのに適した形状となっています。

 

草食動物の牛は上側の切歯と犬歯がなく、上側に12本、下側に20本ある歯は穀類や野菜を食べるのに適した形状になっています。

 

人の場合は雑食であることから、草食動物と肉食動物の両方の特徴がある形状となっているわけです。

 

このように歯は歴史的に食べてきたものに適した形状になっているのですが、人間の歯は切歯が野菜、果物を切ると同時に、肉などを粗く噛む役目があり、犬歯は肉や魚を噛む役割、そして臼歯は穀類、穀類や豆類を磨り潰す役割となっています。

 

食べてきたものが歯の形状を決めたということであれば、この歯のバランスに合った食事が最もよい栄養バランスということになります。これに合致しているのは昭和30 年から40年前半の日本人の食事だったといいます。この時代には平均寿命が大きく延びた一方で、生活習慣病が少ない理想的な状態といえます。

 

肉食が多い欧米人は歴史的に犬歯の使い方がうまいのですが、穀物が主食で肉食の経験が浅い日本人は犬歯で肉を上手に噛み切り、噛み砕くことはできません。そこで、日本人は軟らかく、食べやすい肉類としてハンバーグや脂肪が多い牛肉などを好むようになったようです。

 

健康のためには「一口につき噛むのは30回」といっても、軟らかな食品や料理ばかりでは30回も噛んだら流動食のような状態にもなりかねません。30回を噛むのではなく、食品選びを考えて「30回は噛める料理を食べる」というのが正解なのです。

 

噛むことが大切であることを示す報告として、高齢者で残っている歯が少なくなるほど認知症リスクが高いという調査結果があります。歯とあごの骨を結びつけている歯根膜(しこんまく)はコラーゲン線維によって噛んだ感覚が脳に刺激を与え、脳を活性化させているため、噛まなくなり、あるいは、噛めなくなると脳への刺激が減り、脳の働きも鈍くなると考えられています。

 

80歳で20本の自分の歯を残すことをすすめる〝8020運動〟は、認知症予防のためでもあります。噛む回数を増やすと血糖値の上昇を抑制することも判明しています。よく噛むと脳の視床下部からヒスタミンが分泌され、満腹中枢に働きかけ、食欲を抑制すると同時に、内臓脂肪の分解やエネルギー代謝を促進することも判明しています。

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