ミトコンドリアとヒトケミカル(その7. ヒトケミカルはミトコンドリア病治療薬)

いよいよこのシリーズの最終章です。このシリーズで私が最もお伝えしたかったミトコンドリアとヒトケミカルに関する情報をこの章で紹介させていただきます。

 

ミトコンドリアはヒトの生命活動に不可欠であることはこの『健康まめ知識』のこれまでの内容で良く分かっていただけたものと思います。ひとたびミトコンドリアの機能が低下すると、様々な病気となって私たちの生命活動を妨げます。このミトコンドリア機能低下に伴い、細胞におけるエネルギー生産が困難になってあらわれる病気は「ミトコンドリア病」と呼ばれています。

 

ミトコンドリア病は生体内におけるどの細胞でミトコンドリア機能が低下するかによって様々な症状としてあらわれます。たとえば、中枢神経細胞(わかりやすくいうと脳)の場合には記憶力や認知機能の低下といった症状があらわれ、骨格筋細胞であれば筋力低下や疲労しやすくなる症状があらわれます。そして、カラダの複数の部位で症状があらわれる場合と単一部位であらわれる場合がありますが、単一部位であらわれた場合はミトコンドリア病との診断は困難になります。ミトコンドリア病は、完治する治療法がいまだに見出されておらず、厚生労働省は難病に指定しています。

 

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「活性酸素を多く排出するミトコンドリアをもつマウスは糖尿病やがんを誘発しやすい」との研究結果が20126月に筑波大学の林らのグループによって報告されました。そして、抗酸化物質を投与すると糖尿病やがんの発症が抑えられたそうです。このように、ヒトを対象とした臨床試験は行われていませんが、活性酸素による糖尿病やがんの発症は事前に抗酸化物質を摂取することで予防できる可能性が示唆されました。

 

糖尿病やがんなどの疾患だけでなく、最近では、アルツハイマー病やパーキンソン病といった認知症へのミトコンドリアの関与が明らかとなっています。厚生労働省の平成20年度の調べによりますと、日本には約24万人もの認知症患者がいます。

 

アルツハイマー病はアミロイドβというタンパク質の蓄積で脳内神経細胞が機能低下して発症するとされていますが、最近では、このアミロイドβがミトコンドリア機能を阻害し、ミトコンドリアから排出される活性酸素を増やし、アポトーシス(細胞死)を引き起こすという説が出てきています。すなわち、ミトコンドリアの活性酸素がアルツハイマー病を引き起こしていることになります。

 

また、パーキンソン病は脳の神経細胞の細胞死(アポトーシス)によって、手が震えたり、歩行が困難になる病気ですが、この病気も2008年にミトコンドリアとの関与が明らかとなっています。パーキンソン病はパーキンというタンパク質を作るための遺伝子に異常があると発生します。このパーキンに異常がある場合に機能低下したミトコンドリアをオートファジーによって除去できなくなるそうです。(オートファジーに関しては前章をご確認ください。)そうすると、エネルギー産生できない、活性酸素を大量に発生するといった機能低下したミトコンドリアが増加し、やがて細胞は機能を失っていくわけです。したがって、パーキンソン病は『ミトコンドリア除去不全症』ともいえます。

 

ミトコンドリアはエネルギー産生を担う細胞内の小器官です。当然、酸素を使ったエネルギー産生反応の過程では活性酸素は発生します。そして、発生源のミトコンドリアは活性酸素の攻撃を受けやすく、傷つきやすいわけです。実際にミトコンドリアDNAは核DNAよりも損傷している比率は高いとされています。しかし、その一方で、ミトコンドリアは一つの細胞に数百~数千個存在していますので、同じ細胞内でミトコンドリアは融合と分裂を繰り返し、ミトコンドリア内部のタンパク質やRNAを交換し、たとえ、DNAが傷ついてタンパク質が作られなくなっても、他のミトコンドリアで作られたタンパク質を利用できるのです。細胞内で数千個のミトコンドリアはお互い助け合って機能しています。

 

また、エネルギー産生で発生する活性酸素の攻撃をできる限り、防御するシステムも作られています。それがヒトケミカルの一つの大きな役割です。第一章でも説明しましたが、ミトコンドリア内においてヒトケミカルであるR-αリポ酸とコエンザイムQ10はエネルギー産生反応において補酵素として働いています。この反応は酸化反応ですので、いずれの補酵素も酸化型から還元型に変換されます。この還元型のR-αリポ酸とコエンザイムQ10は抗酸化物質として酸化反応の際に発生した活性酸素をミトコンドリア内で除去してくれる、つまり、酸素と水に変換してくれるのです。つまり、これらのヒトケミカルがヒトの生体内で十分に作られていれば、ミトコンドリアからの活性酸素の排出量は抑えられるわけです。

 

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ミトコンドリア同士の連携やエネルギー産生と活性酸素除去を担うヒトケミカルといった活性酸素の攻撃から身を守るための防御システムは、46億年前にミトコンドリアを細胞内に取り入れた真核細胞が生まれ、ヒトを含む複雑な生命体へ進化する際に構築されたものと考えられます。(第2章参照)

 

また、第5章でも述べましたが、ヒトケミカルのR-αリポ酸とコエンザイムQ10は抗酸化物質として利用されて抗酸化機能を失ったビタミンCやビタミンEの再生にも関与して体内にある活性酸素の消去に働いています。

 

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現在のところ、ミトコンドリア病を根治させるための治療薬はありません。症状を抑制し、進行を遅らせるためにヒトケミカルのコエンザイムQ10やビタミンCやビタミンEが処方されており、これらの服用で症状が軽くなったといった報告はあります。

 

ミトコンドリア内で活性酸素を除去する物質としてはコエンザイムQ10のみの処方です。そこで、ヒトケミカルのR-αリポ酸とコエンザイムQ10の併用処方に対する期待が高まっています。

 

ただ、まだまだ多くの有識者がαリポ酸の使用に対して危険なラセミ体の問題に気付いていないのも現状です。


ミトコンドリアとヒトケミカル(その6. 生命誕生と長寿における男女差)

DNAは父親と母親から1セットずつ譲り受けますが、ミトコンドリアDNAは母親からしか譲り受けません。ミトコンドリアの1000セット以上もあるDNAはすべて母親由来です。父親の精子にあるミトコンドリアは卵子にすべて食べられてしまうからなのです。

 

精子はオタマジャクシのような形で頭の部分に核を持ちその後ろに渦巻き状のミトコンドリアを持っています。精子と卵子が出会って、いわゆる「受精」が行われた瞬間に、精子の核とミトコンドリアは卵子の中に入り込み、そして、精子の核と卵子の核が融合して新しい生命が誕生します。

 

卵子は、侵入してきた精子のミトコンドリアを認識し、卵子のミトコンドリアはそのままに精子のミトコンドリアのみを選択して分解していきます。その理由は詳細まで判っていませんが、マウスの実験では、雄のミトコンドリアDNAは雌にくらべ4倍も酸化されていて、卵子に入り込んだ時にはすでにDNAは酸化を受けて変質した状態であるため、そのままでは卵子の質や機能低下を招く可能性があり、オートファジー分解システムによって除去されると考えられています。

 

その機構(オートファジー)は、まず精子のミトコンドリアは隔離膜に取り囲まれ、完全に包まれると球形(オートファゴゾーム)になります。そこに、細胞の掃除屋と呼ばれるリソソームが近付き、融合します。つぎに、リソソームの中にあったタンパク分解酵素が精子のミトコンドリアを分解していきます。そして、バラバラにされた部品は細胞内の成分の材料として再利用されます。尚、このオートファジーは精子のミトコンドリアの分解だけではなく、様々な細胞の中の古くなったミトコンドリア分解にも使われています。このオートファジーはマイトファジーと呼ばれています。

 

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女性のみからミトコンドリアDNAを子孫に残す点でも、女性が男性よりも強いことがうかがえます。これは、人間に限ったことではなく、動物も同じです。

 

では次に、なぜ世界中のどの国でも女性の平均寿命は男性より長いのかという疑問にお答えします。

 

これもマウスの実験ですが、活性酸素を消去するミトコンドリアの中にあるMn-SODSODを消去する酵素)とグルタチオンぺルオキシダーゼ(過酸化水素を消去する酵素)はそれぞれ雌の方が2倍活性は高く、還元型グルタチオンも雌が2倍多いのです。この酵素活性や体内抗酸化物質の差が平均寿命に影響しているようです。

 

では、なぜ、女性の酵素活性が高いのでしょうか?

 

鍵は女性ホルモンのエストロゲンにあります。エストロゲンは核に入ってNFκBという酵素をつくっています。NFκBは遺伝子に働きかけこれらの消去酵素を多めにつくる命令を出すのです。このエストロゲンによって男性よりも女性の方が活性酸素の除去作用がしっかりとしており、長生きできるわけです。ただ、三大ヒトケミカル(R-αリポ酸、L-カルニチン、CoQ10)の体内生産量が減少し始める20歳からヒトケミカルが減少することによってエストロゲンの分泌量も減少していきます。そこで、エストロゲン分泌量を維持するためには三大ヒトケミカルの日頃からの摂取が必要です。

 

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そして、三大ヒトケミカルはエストロゲン分泌量を維持するだけではなく、ストレスから私たちの身を守る働きを持つ抗ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールという物質の分泌量を維持するためにも必要なのです。コルチゾールはエストロゲンやテストステロン(男性ホルモン)と同様にコレステロールから作られるホルモンであり、炎症反応を抑制することからステロイド系抗炎症薬の一つとして臨床で使用されています。

 

長期間ストレスに晒されたり、疲労が蓄積したりすると、ストレス疲労に対する防御のためのするためのコルチゾールを分泌している副腎はオーバーワークの状態になり、必要量を確保できなくなります。そうすると、極度の疲労感や強いめまいなどの症状が現れ、仕事中に突然倒れることもあります。腎臓の上に乗っかっている副腎は様々なストレスが原因となって疲労していくのです。

 

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ストレスに対抗するために副腎でコルチゾールを大量に生産するとテストステロンやエストロゲン生産量が減少し、男女ともに性欲が減退していきます。特に女性の場合には、30代、40代でも更年期のような不定愁訴(イライラ、うつうつ、ほてり、冷えなど)が現れます。

 

副腎のオーバーワークによりコルチゾールを産生する能力が低下すると、やる気や集中力が低下し、さらにストレスを感じやすくなる悪循環が始まります。

 

そうすると副腎疲労の状態となります。突発的に倒れる、起き上がることができなくなる、強いめまいが起こる、うつ病のような状態になるなど、社会生活が困難な状態にもなります。本来、コルチゾールは起床時に最も多く作られますが、分泌が低下するために朝起きられず、やる気のスイッチも入らなくなってしまいます。

 

そのような副腎が溜め込んでしまった疲労を回復させるためには、私たちの体を動かすためのエネルギー(ATP)を作るクエン酸回路と電子伝達系から成るATP生産工場を動かす必要があります。このATP生産は60兆個の細胞の中に存在するミトコンドリアで行われています。日常の食事から摂っている糖質、脂質、たんぱく質が原料となりミトコンドリア内のクエン酸回路に取り込まれ、最終的にエネルギーに変換されていますが、ストレス疲労、そして、副腎疲労を回復させるためには、効率よくこのエネルギー生産を強力に推し進めることが不可欠であり、20歳から体内生産量の減少するヒトケミカルのコエンザイムQ10R-αリポ酸を積極的に補う必要があるのです。


健康増進のためのαリポ酸の無効果および毒性評価とR-αリポ酸の有用性評価

αリポ酸は注射薬として用いられてきた医薬品成分ですが、2004年、「医薬品の範囲に関する基準」改正によって「健康食品」成分としての利用が認められました。

しかし、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)にはαリポ酸を含有する「健康食品」についての相談が相次ぎ、約5年間(20034月~2008731日までの登録分)で35件寄せられております。

その中には「不整脈が出た」とか「吐き気や腹痛がする」といった危害事例も寄せられています。さらに、2010年にはαリポ酸による「自発性低血糖症」を発症したケースが報告されています。厚生労働省研究班がまとめた全国調査では、自発性低血糖症の起きた患者187人のうち、19人が「健康食品」によるもので、そのうち、16人がαリポ酸を含有する「健康食品」でした。

厚生労働省の立場としては、αリポ酸の健康食品としての利用を認めているのですが、その一方で、空腹感、悪心、冷や汗、手足の震え、動悸などの低血糖の症状が現れた場合は、すみやかに利用をやめ、医師に相談するように注意を呼びかけています。

私のαリポ酸を取り上げたセミナーや講演会では、必ず、「αリポ酸はヒトの体内で生産されている生体内物質なので、このような症状がでることはおかしいと思いませんか?」と聴講者に、まず、問いかけています。次に、「現在販売されているαリポ酸は生体内にある天然のR体と生体内にない非天然のS体が半々のラセミ体です。生体内に異物(S体)を入れているのが問題なのでは、と思いませんか?」との自説を投げかけています。そして、これまでのインビトロ(試験管内)やインビボ(生体内)のαリポ酸ラセミ体やS体の毒性や無効果に関する研究やR体の効能効果に関する研究の報告を紹介し、さらには、シクロケムグループがこれまでに得てきたS体の問題(生体内でインスリンやアルブミンと反応して異物を作るなど)を説明しています。

今現在でも、αリポ酸サプリメントで日常的に人の健康に危害を与える問題が起こっております。日本において、この問題の解決に取り組んでいるのは、唯一、シクロケムグループであり、解決する使命を与えられていると考えています。悪に屈せず、正義感を持って、解決できる日を信じて私たちができる限りのアクションを起こしていきます。

そこで、ここでは、もはや『健康まめ知識』の“まめ知識”ではないのですが、αリポ酸の安全性と効能に関する論文とその要約を紹介します。

 

S-αリポ酸の毒性

 

1.      Use of R-(+)-alpha-Lipoic Acid, R-(-)-dihydroLipoic Acid and metabolites in the form of the free acid or as salts or esters or amides for the preparation of drugs for the treatment of diabetes mellitus as well as its sequelae.
(糖尿病並びにその続発症の治療の為の薬の製剤用に遊離酸の形態であるいは塩あるいはエステルあるいはアミドとしてR-(+)-α-リポ酸、R-(-)-ジヒドロリポ酸及び代謝物の使用)
Klaus Wessel, Harald Borde, et al., United States Patent 6,117, 889. September 2000.

 

l  R体は糖尿病タイプI及びIIそしてその続発症及び遅発性の合併症の治療並びに非臨床的に及び臨床的にインスリン耐性及びその続発症の治療に適している。

l  S体はビルビン酸脱水素酵素の働きを大きく阻害するので適していない。

 

2.      Influence of selegiline and Lipoic Acid on the life expectancy of immunosuppressed mice.

(セレギリンとリポ酸の免疫抑制マウスの平均寿命に及ぼす影響)

Freisleben HJ, Neeb A, et al., Arzneimittelforschung. Jun; 47 (6):776-80. 1997.

 

l  ラセミ体(高投与量、350mg/kg体重)は寿命を有意に減少させた。

l  S体(投与量、75mg/kg体重)の生存率は50%

l  R体(投与量、9mg/kg体重)は寿命を延ばした。

 

3.      Dose/response curves of Lipoic Acid R- and S- forms in the working rat heart during reoxygenation: superiority of the R-enantiomer in enhancement of aortic flow.

(再酸素化の間での鼓動ラット心臓中のリポ酸R-及びS-体の投与量/応答カーブ:大動脈流の増大におけるR-エナンチオマーの優位性)

Zimmer G, Beikler TK, Schneider M, Ibel J, Tritschler H, Ulrich H., J Mol Cell Cardiol. 1995 Sep;27(9):1895-903.

 

l  ラット心臓に前もってR体処理すると0.05-0.1 μmolの濃度で、再酸素化の間に大動脈流は急激に上昇し、コントロールの50%に比較して正常酸素値の70%以上に達する。一方、S体では1 μmol で始めて約60%の値となる。

l  ミトコンドリアのATP合成はR体処理で増加したが、S体ではコントロールと有意差はなかった。

l  Diphenylhexatriene測定によるミトコンドリアの膜流動性はR体で増加し、S体で減少の傾向を示した。

 

 

R体の有用性

 

ATP合成

 

4.      ATP Synthesis and ATPase activities in Heart Mitoplasts Under Influence of R- and S-Enantiomers of Lipoic Acid.

(リポ酸のR-及びS-エナンチオマーの影響下での心臓ミトプラスト中のATP合成とATP合成酵素活性{ごうせい こうそ かっせい}

Zimmer, G et al., Methods in Enzymology vol.251 p.332-340. 1995

 

ラセミ体の約50%の不純物である非天然体のS体にはATP合成とATP合成酵素活性はなく除去すべきであると考察されている。

 

循環器系疾患の改善

 

5.      The Durk Pearson & Sandy Shaw® Life Extension News.

(延命ニュース)

Volume II, Issue #3, April 1999.

 

l  R体は市販されているラセミ混合物に比べて高い効力のあるサプリメントである。

l  R体はグルコース取り込み及び筋肉組織中のグルコース輸送担体の数をS体より遥かに効果的に増加させる。

l  R体は銅を効果的にキレート化し、銅で誘発される脂質過酸化を防ぐ。

l  R体はATP合成及びを鼓動心臓モデルでの低酸素症後の再酸素化の間の大動脈血流を増加させる。しかし、S体にはATP合成に関して効果は無く、R体の効果濃度の10倍で血流改善効果を示す。

 

6.      Vascular endothelial dysfunction in aging: loss of Akt-dependent endothelial nitric oxide synthase phosphorylation and partial restoration by (R)-alpha-lipoic acid.

(老化における血管の内皮機能不全:AKT依存内皮一酸化窒素生成酵素リン酸化の損失とR(+)アルファリポ酸による部分的回復)

Smith AR, Hagen TM. Biochem Soc Trans. 2003 Dec;31(Pt 6):1447-9.

 

抗炎症活性

 

7.      Pharmaceutical composition containing R-alpha-Lipoic Acid or S-alpha-Lipoic Acid as active ingredient.

(活性成分としてR-α-リポ酸あるいはS-α-リポ酸を含有する医薬組成物)
Ulrich H, Weischer CH, et al.,US Patent 5,728,735,1998.

 

R体は主として抗炎症活性を有しており、ラセミ体の10倍強い。それ故エナンチオマーはラセミ体より遥かにより特異的にそしてより強い活性物質である。

 

抗酸化とミトコンドリア機能改善

 

8.      (R)--Lipoic Acid-supplemented old rats have improved mitochondrial function, decreased oxidative damage and increased metabolic rate.

((R-リポ酸を摂取した老齢ラットはミトコンドリア機能が改善し、酸化損傷が減少し、代謝速度は増加する。)

Tory Hagen, Russell Ingersoll, et al., FASEB 13:411-418, 1999.

 

l  R体はミトコンドリアのケト酸デヒドロゲナーゼに利用され、強力な抗酸化剤であるデヒドロリポ酸に還元されるが、ラセミ体やS体は還元されにくい。

l  R体は{ていさんそ}ATP合成及び大動脈血流を増加させるがS体はATP合成に関与しなく、血流改善にはR体の10倍量の摂取が必要である。

l  R体の摂取は代謝活性を改善し、抗酸化力を高める安全で有効な方法で、老化に伴う酸化や異物による障害に対する保護作用を有する。

 

9.      Delaying Aging with Mitochondrial Micronutrients and Antioxidants.

(ミトコンドリアの微量栄養素と抗酸化剤による老化の遅延)

Bruce Ames, et al., Miami Nature Biotechnology Short Reports. The Scientific World, 2001.

 

l  R体とS体とともに老齢動物の細胞を培養した。ミトコンドリア中の補酵素であるR体はS体とは対照的にTert-butyl hydroperoxide (t-BuOOH)毒性に対して、肝細胞を有意に防御した。

l  肝細胞の還元グルタチオン(GHS)レベルは老化によって減少するが、R体を食事(0.5%Wt/Wt)で2週間補給するとGHSレベルは上昇した。

l  R体を摂取すると、t-BuOOH毒性で増大した脆弱性を減少させた(老齢動物からの細胞は酸化剤の損傷をより受け易いが、R体はミトコンドリア中で抗酸化剤に還元された後、効果的に酸化剤によって増大した脆弱性を減少させる。)

 

10.   L-dopa- and dopamine-(R)-alpha-lipoic acid conjugates as multifunctional codrugs with antioxidant properties.

(抗酸化特性を有する多機能CodrugとしてのL-ドーパおよびドーパミンー(R)―アルファーリポ酸複合体)

Di Stefano A, Sozio P, Cocco A, et al. J Med Chem. 2006 Feb 23;49(4):1486-93.

 

11.   Alpha-Lipoic Acid in liver metabolism and disease.

(肝臓代謝及び疾病におけるα-リポ酸)
Bustamante J, Lodge JK, et al., Free Radic Biol Med. Apr 24 (6): 1023-39, 1998.

 

l  R体はミトコンドリアのα-ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体中に天然に存在することが見出されていて、代謝作用に関与している。

l  R体は細胞の酸化還元に関与し、チオール及び他の抗酸化剤と相互作用する。

l  R体は酸化ストレスが関与する疾患に対して重要な治癒能力を有している。

 

12.   Cytosolic and mitochondrial systems for NADH- and NADPH-dependent reduction of alpha-Lipoic Acid.

α-リポ酸のNADHNADHP依存還元に対する細胞質及びミトコンドリアシステム)

 Haramaki N, Han D, et al., Free Radic Biol Med. 7;22(3):535-42, 1997.

 

ラットの心臓のミトコンドリアにおいてR体はジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼの高い酵素活性を示す。また、還元速度はR体の方がS体より6~8倍速い。

 

13.   (R)-{alpha}-Lipoic Acid Protects Retinal Pigment Epithelial Cells from Oxidative Damage.

((R{アルファ}リポ酸は網膜色素上皮細胞を酸化ダメージから保護する)

Voloboueva LA, Liu J, Suh JH, Ames BN, Miller SS. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2005 Nov;46(11):4302-10.

 

14.   Dietary supplementation with (R)-alpha-lipoic acid reverses the age-related accumulation of iron and depletion of antioxidants in the rat cerebral cortex.

((R-アルファリポ酸の食事補給はラットの大脳皮質中の年齢に関連した鉄の蓄積と抗酸化剤の喪失を逆転させる)

Suh JH, Moreau R, Heath SH, Hagen TM. Redox Rep. 2005;10(1):52-60.

 

15.   Delaying the mitochondrial decay of aging with acetylcarnitine.

(アセチルカルニチンと共に老化によるミトコンドリアの衰退を遅延)

Ames BN, Liu J. Ann N Y Acad Sci. 2004 Nov;1033:108-16.

 

16.   (R)-alpha-lipoic acid reverses the age-related loss in GSH redox status in post-mitotic tissues: evidence for increased cysteine requirement for GSH synthesis.

(有糸分裂後の組織におけるGSHレドックス状態において年齢に関連した損失を逆転させる:GHS合成のための増加したシステイン要求に対するエビデンス)

Suh JH, Wang H, Liu RM, Liu J, Hagen TM. Arch Biochem Biophys. 2004 Mar 1;423(1):126-35.

 

17.   Decline in transcriptional activity of Nrf2 causes age-related loss of glutathione synthesis, which is reversible with lipoic acid.

Nrf2の転写活性の減退はグルタチオン合成の年齢に関係した損失を引き起こすがそれはリポ酸で元へ戻せる。)

Suh JH, Shenvi SV, Hagen TM et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Feb 25.

 

18.   Exercise training and antioxidants: relief from oxidative stress and insulin resistance.

運動トレーニングと抗酸化剤:酸化ストレスとインスリン抵抗性の軽減

Henriksen EJ, Saengsirisuwan V. Exerc Sport Sci Rev. 2003 Apr;31(2):79-84. 

 

19.   Age-associated mitochondrial oxidative decay: Improvement of carnitine acetyltransferase substrate binding affinity and activity in brain by feeding old rats acetyl-L-carnitine and/or R-alpha-lipoic acid.

(加齢に関連するミトコンドリアの酸化崩壊:老齢ラットにアセチル-L-カルニチン及び/あるいはR-アルファ-リポ酸を与える事による脳内のカルニチンアセチルトランスフェラーゼ基質結合親和性及び活性の改善)

Liu, J. Killilea, D.W. et al. Proc Nat Acad Sci 99, 1876-1881 (2002)

 

20.   Delaying Brain Mitochondrial Decay and Aging with Mitochondrial Antioxidants and metabolites.

(ミトコンドリア抗酸化剤及び代謝物質での脳ミトコンドリア減衰及び老化の遅延)

Liu, J., Atamna, H. et al. Ann NY Acad Sci 959:133-166 (2002)

 

21.   Memory Loss in old rats is associated with brain mitochondrial decay and RNA/DNA oxidation: Partial reversal by feeding acetyl-l-carnitine and/or R-alpha lipoic acid.

(老齢ラットでの記憶損失は脳ミトコンドリア衰退及びRNADNA酸化と関連している:アセチル-カルニチン及び/あるいはR-アルファリポ酸を与える事による部分反転)

Liu, J, Head, E. et al. Proc Natl Acad Sci USA 99, 2356-2361 (2002)

 

22.   Feeding acetyl-L-carnitine and lipoic acid to old rats significantly improves metabolic function while decreasing oxidative stress.

L-カルニチン及びリポ酸を老齢ラットに与えることにより代謝機能を著しく改善する一方酸化ストレスを減少させる)

Hagen, T.M. Liu, J. et al. Proc Nat Acad Sci USA vol 99, issue 4, 1870-1875 (2002)

 

23.   Oxidative Stress in the Aging Rat Heart is Reversed by Dietary Supplementation with (R)-Lipoic Acid.

(老齢ラット心臓における酸化ストレスがR-リポ酸の食事補給により反転される。)

Hagen, T.M, Shigeno, E.T. et al. FASEB J. 15, 700-706(year 2001)

 

24.   Increased mitochondrial decay and oxidative stress in the aging rat heart: improvement by dietary supplementation with (R)-lipoic acid.

(老齢ラットの心臓での増大するミトコンドリア減衰と酸化ストレス:(R-リポ酸の食事補給により改善)

Hagen, T.M. In Free Radicals in Chemistry, Biology and Medicine 27, 262-271. (2000)

 

25.   (R)-alpha-lipoic acid reverses the age-associated increase in susceptibility of hepatocytes to tert-butylhydroperoxide both in vitro and in vivo.

((R-アルファ-リポ酸はインビボ及びインビトロの両者に於いてtert-ブチルヒドロペルオキシドに対する肝細胞の感受性の加齢に関連した増加を逆転させる。)

Hagen, T.M, Vinarsky, V. et al. Antiox. Redox Signaling 2, 473-483(year 2000)

 

26.   (R)-alpha-lipoic acid-supplemented old rats have improved mitochondrial function, decreased oxidative damage, and increased metabolic rate.

((R-アルファ-リポ酸を補給された老齢ラットはミトコンドリア機能を改善し、酸化損傷を減少させそして代謝速度を増加させた。)

Hagen, T.M, Ingersoll, R.T. et al. FASEB J. 13, 411-418(year 1999)

 

27.   Age-associated decline in ascorbic acid concentration, recycling and biosynthesis in rat hepatocytes-reversal with (R)-alpha-lipoic acid supplementation.

(ラットにおけるアスコルビン酸濃度、再生利用及び生合成の加齢に関連した減少)

Lykkesfeldt, J. Hagen, T.M., FASEB J. 12, 1183-1189(year 1998)

 

グルコース代謝

 

28.   Differential effects of Lipoic Acid stereoisomers on glucose metabolism in insulin-resistant skeletal muscle.

(インスリン耐性骨格筋中のグルコース代謝に及ぼすリポ酸立体異性体の効果の差異)Streeper RS, Henriksen EJ, et al.,  Am J Physiol 1997 Jul: 273(1)1,1997.

 

l  R体はインスリンが仲介する2-DG-取り込みを64%増加させた。(P<0.05)一方、S体に何ら顕著な効果は無かった。

l  Rの長期投与は賦型剤投与した肥満動物と比較して、血漿インスリン(17%)及び遊離脂肪酸(FFA35%)を有意に減少させた。一方、S体投与はインスリン(15%)を更に増加させ、FFAには何ら効果が無かった。

 

 

29.   Altered C-Deoxyglucose Incorporation in Rat Brain Follwing Treatment with Alpha-Lipoic Acid

α-リポ酸処理後のラットの脳へのC-Deoxyglucoseの取り込み改変)

Fuchs J, Packer L, Zimmer G Marcel Dekker, Inc New York, Basel, Hong Kong (1997) pp259-268. Peter Jenne, T.A. Seaton, and C.D. Marsden. Chapter 16 in Lipoic Acid in Health and Disease

 

l  αリポ酸はグルコース取り込みを改変する能力を有しているが、生体内と生体外試験において、全体的にR体はS体より高い効果を示しており、この結果は以前の研究結果と一致している。

l  R体のインビボ投与は続いて起こる骨格筋へのグルコースのインビトロ輸送をS体より大きく促進する。

l  R体はインスリンにより促進されるグルコース輸送に相加効果を有するがS体はインスリンの作用を阻害する。

l  R体はGLUT-1GLU-4の細胞膜への転移を促進する。一方、S体に効果はない。

 

30.   Effect of R(+)alpha-lipoic acid on pyruvate metabolism and fatty acid oxidation in rat hepatocytes.

(ラットの肝細胞におけるピルビン酸塩代謝および脂肪酸酸化へのR(+)アルファリポ酸の効果)

Walgren JL, Amani Z, et al. Metabolism. 2004 Feb;53(2):165-73.

 

31.   R-Alpha Lipoic Acid Action on Cell Redox Status, the Insulin Receptor, and Glucose Uptake in 3T3-L1 Adipocytes;

3T3-L1含脂肪細胞中の細胞レドックス状態、インスリンレセプター及びグルコース摂取に及ぼすR-アルファリポ酸の作用){がん しぼう さいぼう}

Moini, H. Tirosh, O. Archives of Biochem &amp; BioPhys 397, No2 384-391 (2002)

 

脳機能改善

 

32.   Alpha-lipoic acid as a new treatment option for Alzheimer's disease--a 48 months follow-up analysis.

(アルツハイマー病に対する新しい治療選択としてのαリポ酸の48時間追跡分析{ちりょう せんたく}

J Neural Transm Suppl. 2007;(72):189-93.

 

33.   Chronic systemic D-galactose exposure induces memory loss, neurodegeneration, and oxidative damage in mice: Protective effects of R-alpha-lipoic acid.

(慢性の全身的なDーガラクトースへの暴露はマウスで記憶喪失、神経変性及び酸化的損傷を引き起こす:R-リポ酸の防禦効果)

Cui X, Zuo P, Zhang Q, et al. J Neurosci Res. 2006 Mar 22;

 

34.   (r)-, but not (s)-alpha lipoic acid stimulates deficient brain pyruvate dehydrogenase complex in vascular dementia, but not in Alzheimer dementia
S)でなく(R)のアルファリポ酸は血管性認知症に於ける脳の欠損ピルビン酸脱水素酵素複合体を活性化されるが、アルツハイマー認知症ではそうでない。
Frolich L, Gotz ME, et al. J Neural Transm. 2004 Mar;111(3):295-310.

 

35.   Pre-treatment with R-lipoic acid alleviates the effects of GSH depletion in PC12 cells: implications for Parkinson's disease therapy.

R-リポ酸での前もっての治療によりPC12細胞中のGSH喪失の効果を軽減する:パーキンソン病治療に対する関係

Bharat S, Cochran BC, Ames BN, et al. Neurotoxicology. 2002 Oct;23(4-5):479-86.

 

36.   Alpha lipoic acid as a new treatment option for Alzheimer type dementia.

(アルツハイマータイプの認知症に対する新しい治療選択としてのアルファリポ酸)

Hager, K, Marahrens, A. et al. Arch Geron Geriatr 32 (3): 275-282 (2001)

 

抗糖尿病作用

 

37.   Effect of R-(+)-alpha-lipoic acid on experimental diabetic retinopathy.

(実験的糖尿病性網膜症へのR-(+)-αリポ酸の効果){とうにょうびょう せい もうまくしょう}

 Lin J, Bierhaus A, Bugert P, et al. Diabetologia. 2006 Mar 7;

 

38.   ALS/Lt: A New Type 2 Diabetes Mouse Model Associated With Low Free Radical Scavenging Potential.

ALS/Lt:フリーラジカル消去能力の低い新しい型の型糖尿病のマウスモデル)

Mathews CE, Bagley R, Leiter EH. Diabetes. 2004;53 Suppl 1:S125-9.

 

39.   Advanced Glycation Endproducts Induce Changes in Glucose Consumption, Lactate Production, and ATP Levels in SH-SY5Y Neuroblastoma Cells by a Redox-Sensitive Mechanism.

(糖化最終産物はSH-SY5Y神経芽腫細胞に於いてレドックス感受性のメカニズムによりグルコース消費、乳酸生産およびATPレベルの変化を引き起こす。)

De Arriba SG, Loske C, Meiners I, et al. Munch GJ Cereb Blood Flow Metab. 2003 Nov;23(11):1307-13.

 

体内動態と代謝

 

40.   Plasma kinetics, metabolism, and urinary excretion of alpha-lipoic acid following oral administration in healthy volunteers.

健康なボランティアへの経口投与後のアルファリポ酸の血漿中動態、代謝および尿への排出

Teichert J, Hermann R, Ruus P, Preiss R. J Clin Pharmacol. 2003 Nov;43(11):1257-67.

 

41.   Enantioselective pharmacokinetics and bioavailability of different racemic alpha lipoic acid formulations in healthy volunteers.

(健康なボランティアでの異なったアルファリポ酸製剤の立体選択的薬物動態学とバイオアベイラビリティー)

Hermann, R, Niebch, G, Eur J Pharm Sci 4: 167-174 (1996) Â&nbsp;

 

胆汁流量の促進

 

42.   Inhibition of glucose production and stimulation of bile flow by R (+)-alpha-lipoic acid enantiomer in rat liver.

R(+)-αリポ酸エナンチオマーによるラット肝臓中のグルコース産生阻害と胆汁流量の促進)

Anderwald C, Koca G, et al. M.Liver. 2002 Aug;22(4):355-62.Â&nbsp;

 

神経細胞の保護作用

 

43.   Neuroprotection by the Metabolic Antioxidant Alpha Lipoic Acid;

(代謝抗酸化剤アルファリポ酸による神経防護作用)

Packer, L; Tritschler, H.J, Free Rad Biol Med 22, Nos 1 / 2, 359-378 (1997)

 

44.   Neuroprotective effects of alpha-lipoic acid and its enantiomers demonstrated in rodent models of focal cerebral ischemia.

(局所的脳虚血{きょくしょ てき のうきょけつ}のローデントモデルで証明されたアルファ-リポ酸とそのエナンチオマーの神経防禦効果)

Wolz P, Krieglstein J. Neuropharmacology. 1996 Mar;35(3):369-75.


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