寿命延命物質と知られるレスベラトロールの美容効果とは(その3)

前回に引き続き、『寿命延命物質と知られるレスベラトロールの美容効果とは』というタイトルでレスベラトロールとその二量体であるグネチンC(レスベラトロール分子二つが結合した物質)の“寿命延命”や“抗肥満・抗糖尿病”などの健康増進効果だけではない“美しくなるための”美容効果についての紹介の第3回目です。

 

ここで紹介する報告はレスベラトロールの抗酸化作用による肌の老化防止効果です。こちらの検討はレスベラトロール単独ではなくレスベラトロールとプロシアニジンを配合した栄養補助食品を用いてプラセボ対照二重盲検試験で評価されています。

 

Resveratrol-procyanidin blend: nutraceutical and antiaging efficacy evaluated in a placebo-controlled, double-blind study D. Buonocore et al., Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 5 159165 (2012)

 

皮膚老化(しわ、くすみ、しみ)の兆候のある35歳から65歳の被験者50人(健康な男女)を対象に、レスベラトロール群(25人)とプラセボ群(25人)にランダムに分け、試験製品またはプラセボを11カプセルとして60日間摂取(通常食、日々監視)してもらいました。尚、試験製品はブドウ(V.vinifera)乾燥果実133mgトランスレベラトロール8mg)とプロシアニジン14.63mgを含有したカプセルです。

 

まず、抗酸化活性の評価です。その前に活性酸素に対する抗酸化物質の有用性およびFRAP法について復習しておきます。

 

過剰な活性酸素種(ROS) の蓄積は、DNAやタンパク質、脂質膜の損傷などの細胞損傷を引き起こします。ROS による損傷は、がん、糖尿病、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、および神経変性疾患など多くの病理状態の発症への関連が示唆されています。細胞内のROS生成は、通常、細胞の抗酸化酵素やCoQ10R-αリポ酸などの抗酸化物質(ヒトケミカル)により相殺されます。抗酸化物質は、一個以上の自由電子を含む分子で、電子を供与することでROSを安定化し、代謝します。抗酸化物質は、異なる組織や細胞内部に一過性的の局在を示します。ROSの有害な影響のため、過剰な ROSはあらゆる抗酸化防御機構によって細胞から速やかに除去されなければなりません。その抗酸化力の定量的な測定法として塩化鉄の還元反応を利用したFRAP法があります。

 

 このFRAP法によって皮膚の抗酸化能はレスベラトロール群で改善され、プラセボ群より有意に高いことが示されました。2017042501

















 レスベラトロール群で乾燥肌に対する保湿改善作用が示されました。プラセボ群で乾燥肌の保湿は改善されていませんでした。

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 レスベラトロール群で皮膚弾力性が向上されました。一方で、プラセボ群で肌弾力性はわずかに低下しましたので、レスベラトロールの肌弾力性向上作用が観られたのは季節要因ではないことが示唆されました。

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 レスベラトロール群でしわの深度が減少するというシワ改善効果が観られました。一方、プラセボ群には変化がありませんでした。

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以上、レスベラトロール含有カプセルを60日間摂取したレスベラトロール群は全身酸化代謝物が減少し、血漿抗酸化バリアが改善され、酸化ストレスのパラメータが改善されていました。酸化ストレスを改善することで、皮膚角質層の酸化防止能を高め、皮膚老化に関するパラメータも大幅に改善されていました。

 

次回(最終回)は、レスベラトロールの機能性食品や美容液の開発に向けたシクロデキストリンによる可溶化と安定化に関する報告の紹介です。


寿命延命物質と知られるレスベラトロールの美容効果とは(その2)

前回に引き続き、『寿命延命物質と知られるレスベラトロールの美容効果とは』というタイトルでレスベラトロールとその二量体であるグネチンC(レスベラトロール分子二つが結合した物質)の“寿命延命”や“抗肥満・抗糖尿病”などの健康増進効果だけではない“美しくなるための”美容効果についての紹介の第2回目です。

 

ここでは、レスベラトロールによるシミやシワの原因を抑える効果を取上げます。シミやシワの原因となる炎症に関する遺伝子を発現させるNF-κB(エヌエフカッパービー)というタンパクは「老化遺伝子の鍵」とも呼ばれ、NF-κBが活性化するとシワやシミが増えてくることが判っています。レスベラトロールはこのNF-κBの活性を抑えて肌荒れを防止できることが下記論文で明らかとなっています。

 

Suppression of Ultraviolet B Exposure-Mediated Activation of NF-KB in Normal Human Keratinocytes by Resveratrol, Neoplasia. Vol. 5, No. 1, January 2003, pp. 74 82

 

 この論文はSKH-1無毛マウスを用いた検討です。紫外線(UVB)を照射するとNF-κBは活性化するのですが、レスベラトロールの塗付量が増加するにしたがって、また、塗付してからの時間が経過するにしたがって、レスベラトロールのNF-κB抑制効果(肌荒れ防止効果)が示されています。

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次の報告はレスベラトロールの美白作用です。ここで取上げる論文はマウスメラノーマB16細胞を用いた細胞による試験です。

 

Inhibitory Effect of Gnetin C, a Resveratrol Dimer from Melinjo (Gnetum gnemon), on Tyrosinase Activity and Melanin Biosynthesis Biol. Pharm. Bull. 35(6) 993996 (2012)

 

 レスベラトロールもレスベラトロール二量体(レスベラトロール2分子が結合した物質)のグネチンCの何れもチロシナーゼ阻害活性とメラニン合成阻害効果を示しています。つまり、レスベラトロールにシミの原因となるメラニンの生成を抑える効果があることが明らかとなっています。
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次の報告はレスベラトロールのにきび改善効果です。

 

Resveratrol-Containing Gel for the Treatment of Acne Vulgaris

Am J Clin Dermatol 2011; 12 (2): 133-141

 

 尋常性ざそう、いわゆる、炎症性の皮膚疾患であるニキビの患者20名(男性12名、女性8名)を対象にレスベラトロール0.01%を含有するヒドロゲルを顔の右側に、そして、レスベラトロールを含有しないヒドロゲルを顔の左側に60日塗ってもらいました。その結果、ニキビの重症度を示すGAGSスコアはレスベラトロールを処方していない顔左側がわずか6%の減少に対して、レスベラトロールを処方した顔右側は53.7%有意に低下していました。


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以上、肌のシミやシワ、および、ニキビ肌に対するレスベラトロールの効果に関する報告でした。次回は、レスベラトロールの抗酸化作用に関する報告の紹介です。


寿命延命物質と知られるレスベラトロールの美容効果とは

この『健康まめ知識』では2012416日から530日までの期間、3回にわたり『美しくかっこいい長寿について考える』というシリーズがあり、その第1回は【適度な運動】、第2回は【カロリー制限】、第3回は【寿命延命物質】でした。その第3回の“寿命延命物質”として取上げたのはレスベラトロール、トコトリエノール、アスタキサンチンでした。

 

http://blog.livedoor.jp/cyclochem02/archives/2012-05.html

 

ワインに含まれるレスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化することでDNAの損傷を防止し、寿命延命につながるという実験結果が2006年にネイチャーに発表され、その後、NHKでも取り上げられたことからレスベラトロールは一気に有名になりました。そのネイチャーの論文では「高カロリー食で育てられた中年マウスにレスベラトロールを与えたところ、インスリン感受性が高まり、AMPKPGC-1αの活性が上がった」と報告されています。 しかし、動物実験で用いた量は人に対しては毎日20g(ワイン200リッター)摂取しなければならないことになりますので、実際にはワインよりもレスベラトロールを高濃度に含有する飲料やサプリメントの開発が必要と考えられます。

 

また、この『健康まめ知識』では201312月にも「若返りには毎日インドのカレーを食べてフランスのワインを飲むのがベスト!?」というタイトルでクルクミンとレスベラトロールの相乗的な抗酸化作用についても報告しています。尚、この抗酸化作用評価は抗老化や長寿、美肌作用に対する指標になる評価です。ご参照ください。

 

http://blog.livedoor.jp/cyclochem02/archives/34959161.html

 

前置きが大変長くなってしまい、申し訳ありません。このシリーズでは『寿命延命物質と知られるレスベラトロールの美容効果とは』というタイトルで4回に渡って、レスベラトロールとその二量体であるグネチンC(レスベラトロール分子二つが結合した物質)の“寿命延命”や“抗肥満・抗糖尿病”などの健康増進効果だけではない“美しくなるための”美容効果について紹介します。レスベラトロールについて一緒にまめ知識をつけていきましょう。では、次回をお楽しみに。

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