2012年12月

ヘリコバクター・ピロリ菌感染者と胃がんリスク

このところ私の身の回りの友人や知人で「えっ、この人に胃がんが見つかったの?」と驚くことが続いています。私のテニスクラブの知り合いに胃がんが見つかり、摘出手術は既に手遅れなので抗がん剤による延命治療をしているとの話を聞きました。そして、つい先日、テニス仲間に『○○さんを励ます会』をしてもらったそうです。


胃がんは日本人に多く発生する悪性腫瘍で2対1の割合で男性が多く、年齢は5060歳代が約6割を占めており、高齢化社会を反映して、高齢者の割合も年々増えています。ちなみに、私のクラブのテニス仲間も壮年の男性です。


胃がんのリスクを高める要因にはいろいろありますが、単一で決定的な原因となるものはなく、複数のリスクが重なって胃がんは発生すると考えられているようです。その複数のリスク要因とは、食生活(塩分や飲酒)、喫煙、本人の持つ要因(家族に胃がんになった人がいる)、ストレス、そして、ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)の感染です。このピロリ菌は胃の老化にも大きく関与しているのが特徴です。


ピロリ菌は1983年にヒトの胃粘膜中に存在し、胃炎の原因であることが発見され、今では、消化性胃潰瘍のみならず、胃がんの重要な原因と考えられるようになってきました。40才以上の日本人の約7割がピロリ菌に感染していて、ピロリ菌陽性者の胃がんリスクは陰性者の5倍であるとの報告があります。ピロリ菌がアンモニアなどの毒素をだすことで、胃は炎症を起こし、慢性胃炎から萎縮性胃炎へと徐々に凶暴度は増し、やがて胃潰瘍や胃がんを患う可能性が高まっていきます。


よって、胃がんになるさまざまなリスク要因の中で、確実に、やればできるリスク低減の方法がピロリ菌除菌と言えます。一度は内視鏡検診をしてピロリ菌に感染しているかどうかチェックしましょう。そして、ピロリ菌陽性であれば、必ず除菌しておくことが大事だと思われます。今では、抗生物質投与によって95%以上の成功率で除菌が可能となっています。実をいえば、この私自身も健康診断で胃潰瘍の跡らしきものが発見され、内視鏡検診を受けました。その結果、ピロリ菌陽性でしたので抗生物質による除染をしました。


ピロリ菌感染の予防にはメチルグリオキサールという天然抗菌物質を含むマヌカハニーが有効です。さらに、αシクロデキストリンと混ぜて複合粉末にすれば、その抗菌作用の相乗効果によってピロリ菌の増殖は完全に阻止されることが最近判明しました。(下の図参照)

無題



現在、私は除染後に再感染の予防のためにα-シクロデキストリンとマヌカハニーを混ぜたヨーグルトを毎朝食べています。ここで、抗菌物質と混ぜてビフィズス菌や乳酸菌は大丈夫なの?との疑問を抱く方もいらっしゃると思います。でも、それが大丈夫なのです。その理由は次回の『まめ知識』で説明したいと思います。

冬場の乾燥とドライマウス

「ドライマウス」「ドライアイ」「ドライスキン」など、加齢が原因で出てくる水分が足りなくなってくる病気。これらの症状に冬場の乾燥が重なると、さらにトラブルが大きくなっていきます。「ドライマウス」は日本語では口腔乾燥症といいますが、日本において、その潜在患者数は3,000万人、つまり、4人に1人ともいわれ、進行すると口の不快感や痛みのみならず、会話や食事に支障をきたす疾患です。この病気を患っている人は、乾燥しがちな冬に特に気を付けなければなりません。


通常の人の唾液は1日に1.5リットルも分泌されています。この液体は単なる水ではなく、噛み砕く、味わう、飲み込む、といった飲食にかかわり、話す、笑うことを助け、虫歯菌や歯周病原菌などの口腔細菌を除去して口内細菌による糖尿病や動脈硬化の悪化を防ぎ、また、高齢者の誤嚥性肺炎もドライマウスによる唾液量の不足で危険性が高まるなど、人の健康にとって大変重要な働きをしていることが分かっています。


冬の乾燥とドライマウスの両方で、『のど』の粘膜がひどく乾燥すると、風邪やインフルエンザなどのウイルスや細菌に感染する可能性が極端に高くなります。


『のど』の粘膜には線毛(せんもう)という、小さな毛のような組織がありますが、毎秒約15 回の速さで活発に運動しています。通常は、鼻や口から侵入したウイルスや細菌などが『のど』の粘膜に付着しても、線毛運動によって、せきや痰と一緒に体外に排出し、体内への侵入を防いでいます。ところが、この粘膜が乾燥すると、線毛の働きは悪くなり、ウイルスや細菌を排除する機能が低下します。その結果、ウイルスや細菌感染による『のど』の炎症から、単に風邪を引くだけでなく、ドライマウスから引き起こされた糖尿病などの他の疾患と合併症を患って、生命を脅かすほどの取り返しのつかない状態になることもあるのです。


では、どのように冬場の乾燥とドライマウスのダブルパンチを防げばいいのでしょう?


先ず、冬場の乾燥には、マスクの着用、のど飴、そして、チューインガムがお勧めです。『のど』に違和感があり、少し痛い、と感じた時、それはあきらかに風邪などの初期段階ですので、マスクの着用、のど飴を舐めること、チューインガムを噛むことなどで少しでも唾液を増やして『のど』を保湿すると、それ以上の進行を抑えることができます。


次に、ドライマウスに対する予防や対策ですが、これは少しやっかいです。ドライマウスの原因は複合的で、加齢だけでなく、ストレス、生活習慣病、喫煙などのさまざまな環境要因がありますが、最近になって、唾液腺の劣化、つまり「錆び」の関与が明らかとなってきました。そして、この唾液腺の「錆び」を取り除く方法としてコエンザイムQ10の摂取が有効であることが分かってきたのです。


コエンザイムQ10は、唾液をだす細胞におけるミトコンドリアでエネルギー産生による細胞活性化によって唾液生産を促し、抗酸化作用の働きで唾液腺の「錆び」も取り除くことができます。ドライマウス患者だけでなく、冬場の乾燥を乗り切るためにもコエンザイムQ10の摂取はお勧めです。ところが、コエンザイムQ10は摂取しても吸収性の悪い物質です。サプリメントでコエンザイムQ10を補うのであれば、『シクロデキストリン』とか『包接体』とか袋に書かれているものを選びましょう。



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『包接体』のコエンザイムQ10サプリメントの2例です。


 


 


 


 


 


 


 










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