2014年09月

ヨモギ草餅 ~語り継がれる日本人の知恵~ そして、ヨモギの効能を高める最新のαシクロデキストリンを用いたパワーアップ技術とは

 食の安全と健康・・・・

 近年、天然、自然を意識した食品への関心が高まってきています。安全性志向から、ソルビン酸、安息香酸やデヒドロ酢酸などの合成保存料を一切使わず、できるだけ、低塩、低糖でしかも新鮮なもの・・・・と。

 しかし、それは一方で、それらの食品は当然腐りやすく、保存性低下による栄養素の減少を招き、人の体に病原性微生物を受け入れる可能性もでてくるのです・・・

 では、合成保存料に代わる安全な天然由来の保存料や日持向上剤はあるのでしょうか?

 残念ながら、これまでに知られている天然由来の保存料や日持向上剤は、合成保存料に比べ、その効力は弱く、抗菌スペクトルも狭いものがほとんどです。さらには、独特の臭い、味、色などの風味を持っているため、食品本来の風味に影響を与えない範囲で使用すると、十分な保存性は得られないといった問題があるのです。

 そこで、天然物由来の保存料開発で浮上したアイディアがヨモギの利用でした・・・
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 草餅をご存知でない方はいませんよね?一度は食べたことあると思います。ヨモギを入れた草餅は、風味豊か、合成保存料や合成防腐剤などは一切使っていないのに、カビは生えず、傷まず、長持ちする。しかも、お茶代わりに飲めば、風邪もひかず、食あたりや下痢にも効果があり、熱冷ましや虫下しにもなり、血行もよくなるなどの効能が・・・・

 ヨモギの健康への利用は、長い間、語り継がれた日本人の知恵・・・・

 実は、最近になって科学的に解明されたことがあります。ヨモギの中には良質の葉緑素(クロロフィル)が有効成分として含まれています。あの草餅の緑色はクロロフィルでした。ヨモギの葉緑素は浄血、造血、殺菌、血管拡張、抗アレルギー、脱臭、免疫力増強、発ガン抑制など様々な作用に対して有望視されています。そして、もう一つのヨモギ特有の有効成分はカピリンという抗黴・抗菌成分です。カピリンは様々な菌に対して強い抗菌作用を持っていることが明らかとなっているのです。
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 ヨモギは四方に繁殖するので「四方草」とか、よく萌え出るので「善萌草」とか言われるように繁殖力の強い野草で、山野、町中の道端、川辺など至る所で自生し、優れた生命力で増えていきます。昔の人は、この生命力に注目して、それにあやかろうとして食べ始めたのでしょう。食べたり、飲んだりを繰り返していく中で、科学的な知識のない時代に、様々な効能に気付き、語り継がれるようになったと思われます。

 ・・・・・と、ここまでは、ネットで調べればある程度は得られる情報。ここからがこの『健康まめ知識』なのです。

 新食物繊維のαシクロデキストリンと有効成分のクロロフィルやカピリンを含有するヨモギ抽出物を組み合わせれば、すばらしい効能効果を持ち、しかも、食品への利用において取り扱いの簡単なヨモギ粉末が完成するのです。

 先ず、クロロフィルのαシクロデキストリンによる色素安定化です。図1に示すように、植物から抽出したクロロフィルは室温保存下で速やかに退色し、前述の効果効能を日毎に失っていく物質ですが、αシクロデキストリンで安定化できることが判明しています。
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 次に、抗黴成分のカピリンのαシクロデキストリンによる安定化です。カピリンは揮発性の不安定物質なので、防カビを必要とする食品に配合した際にはカピリンが既に減少し、目的の防カビ効果が得られなく、微生物の混入の恐れがあったのですが、αシクロデキストリンで安定化できることが判明しているのです。図2に阪本薬品工業によって見出された結果を紹介しておきます。αシクロデキストリンを用いればカピリンの抗菌活性を長期に維持できています。

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 さらに、新食物繊維としてのαシクロデキストリンにはヨモギと似通った効能が知られております。例えば、血糖値上昇抑制、コレステロール低減、体重減少、中性脂肪減少、抗アレルギー、抗菌(溶菌)、腸内環境改善などです。この点でも、ヨモギとαシクロデキストリンの組み合わせは素晴らしいと考えられています。
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脳機能改善のための栄養素について(その8.CoQ10)

 脳機能改善に有効な栄養素として、この『健康まめ知識』では、これまでにDHAやEPAなどのn3-不飽和脂肪酸が、リン酸と結合したリン脂質を含有するクリルオイル、クルクミン、δ-トコトリエノール、R-αリポ酸、L-カルニチンを紹介してきました。これらの栄養素とともに脳機能改善のためには忘れてならない重要な栄養素があります。コエンザイムQ10(CoQ10)です。CoQ10は、アミロイドβが関与するアルツハイマー病にも神経変性疾患のパーキンソン病にもその予防効果が最近の研究から知られています。


 先ずは、アルツハイマー病の予防効果に関する報告です。2011年にアルツハイマー病研究の専門学術誌に米国のグループの研究が報告されています。(Dumontら、J. Alzheimers Dis. 2011; 27(1): 211-223)


 アルツハイマー病の発症機序については、現在のところ、アミロイド仮説が最も有力ですが、そのアミロイド仮説については以下のブログのコラムを参照してください。

http://blog.livedoor.jp/cyclochem02/archives/35978520.html

 神経細胞で、アミロイド前駆体タンパク質(APP)からセレクターゼ(切断酵素)によってアミロイドβ(Aβ)が作られます。長い年月を経て、Aβは蓄積していきます。Aβ蓄積に先立って、酸化ストレスによるミトコンドリア異常が起こってきます。CoQ10は、ミトコンドリアに存在し、ATP産生のための補酵素として作用していますが、同時に、抗酸化による活性酸素の消去といった機能性も有しています。そこで、この研究では、アルツハイマー病に対する作用が調べられています。


 アルツハイマー病のモデルマウス(Tg19959マウス)にCoQ10を投与したところ、脳内の酸化ストレスマーカー(タンパク質のカルボニル修飾)の抑制作用(図1)、脳内におけるAβ42(コラム参照)の低減作用が認められました。(図2)また、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の減少も確認されています。・・・・・・尚、図1と図2はかなり専門的になっていますので、専門でない方は、酸化ストレスが減って、Aβの蓄積も減って、アルツハイマー病の予防効果が示されたとご理解ください。(もうこれは、『まめ知識』ではない???すみません。)

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 さらには、CoQ10を投与したマウスを用いたMorris水迷路試験による評価において、認知機能の改善も認められています。この結果からも、CoQ10の抗酸化作用を介したアルツハイマー病の予防効果が示唆されました。

 次の報告は神経科学専門誌に投稿された『パーキンソン病患者のCoQ10欠乏』に関するものです。(Mischleyら、J Neurol Sci. 2012 Jul 15;318(1-2):72-5)


 神経変性疾患であるパーキンソン病の場合もアルツハイマー病と同様に、活性酸素による酸化ストレス障害の関与が示唆されており、抗酸化物質による疾患予防効果が注目され、抗酸化物質による臨床試験も試みられています。


 この研究報告では、22名のパーキンソン病患者群と88名の対照群の2群で2004年から2008年にかけて内在性CoQ10値を他の抗酸化物質(グルタチオン、セレン、ビタミンE、αリポ酸)とともに調べています。


 その解析の結果、図3に示すようにパーキンソン病患者群では対照群に比べてCoQ10が有意に低値(P=0.003-0.009)であり、CoQ10の欠乏の割合がパーキンソン病患者群で対照群に比べ、有意に高値(P=0.0012-0.006)であることが判明しました。その一方で、他の抗酸化物質については両群間に有意差は認められませんでした。(P>0.05)

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 以上の結果から、パーキンソン病ではCoQ10欠乏が顕著であり、臨床研究においてもCoQ10のパーキンソン病患者への投与による予防改善効果が示されています。


 尚、CoQ10の抗酸化作用を期待する場合には、酸化型CoQ10(ユビキノン)よりも還元型CoQ10(ユビキノール)の方が好ましいと思われます。ただ、還元型CoQ10は空気に触れると簡単に酸化される不安定な物質であり、製剤化に難があります。その問題を解決したのが酸化型CoQ10のγCD包接体とビタミンCを併用したサプリメントです。このサプリメントは、従来、脂溶性のために生体吸収性の低かったCoQ10の吸収性を飛躍的に高めると同時に、小腸内において還元剤であるビタミンCによって酸化型CoQ10(ユビキノン)から還元型CoQ10(ユビキノール)に効率的に変換されて、生体内に吸収される優れた特徴を有しています。是非お試しください。




【コラム】:アミロイドβ42(Aβ42)とは

通常多く見られるAβはアミノ酸が40個つながったAβ40。ところが、東大の岩坪教授らは、患者の脳にアミノ酸が42個つながったAβ42が蓄積しているのを発見。Aβ42は脳内で固まりやすく、タウタンパク質の蓄積を促しアルツハイマー病発症に重要な役割を果たしていた。


気分の落ち込みをサポートする元気サプリSAMeとは

 今回は、精神疾患に有効なS-アデノシルメチオニン(以下、SAMe)のお話です。

 まず、警視庁発表データです。皆さんは日本の2008年の自殺者数は32,845人、年間人口10万人あたり26人も自殺していることをご存知でしたか?この自殺者数は2008年の交通事故死者数が4914人でしたので、それよりも約7倍高い数字であり、国内の死因別順位で第7位、そして、不名誉にも日本の自殺者数は主要7カ国の中で第1位となっています。

 自殺の背景には、うつ病をはじめとする様々な精神疾患が関連しています。残念ながら治療を受けていない場合が多いようで、精神科医療の改革や診療の質の向上が求められています。そのような中、うつ病予防に大変有効なSAMeが2008年に機能性食品素材として日本で扱えるようになりましたが、残念ながら日本でのSAMeの認知度はまだまだ低いのです。自殺を考える日本人が、このSAMeのサプリメントにさえ出会えれば、自殺者数は主要7カ国の1位から脱出できるのですが・・・・

 では、そのSAMeとはどういったものでしょうか?


 先ず、その歴史的な背景を簡単に紹介しておきます。


 SAMeは、生体内に存在する天然物質として、1952年にイタリアで発見されました。1974年には、ヨーロッパで関節炎、抗うつ、肝疾患の医薬品として使用されるようになりました。そして、米国では、1999年に「気分の落ち込みをサポートするサプリメント」として販売され、いまでは、うつ病対策の切り札、注目のサプリメントとして広く知られています。

 SAMeの生体内での機能には、『抗うつ作用』、『肝機能改善作用』、そして、『関節痛改善作用』の3つの働きがあります。それぞれ、『抗うつ作用』は「メチル基供与体としての神経伝達物質の合成促進」、『肝機能改善作用』は「グルタチオンやタウリンの合成促進と胆汁の生成・分泌促進」、 そして、『関節痛改善作用』は「硫黄基供与体としてのコンドロイチン硫酸、硫酸グルコサミンなどの軟骨成分の合成促進、及び、ポリアミンの合成促進」によってもたらされていることが既に分かっています。中でもSAMeの『抗うつ作用』は1973年から1995年までに合計患者数1359人が参加し、39の医学論文が報告され、医薬品の抗うつ病治療薬(イミプラミンという三環系抗うつ薬)と同等の効果があり、副作用の点でこの医薬品よりも安全性の高いことが確認されたのでした。


 では、そのSAMeの作用機構とは・・・・・・・


 うつ病の人の脳の中では、神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンが非常に少なくなっています。それが理由で、意欲や気分をつかさどる脳の機能が低下し、抑うつ症状が起こっているのです。セロトニンは睡眠・体温調節などの生理機能と、気分障害やドーパミンやノルアドレナリンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きを持っており、ノルアドレナリンは覚醒、集中、記憶、積極性、痛みをなくするなどの働きを持っているのです。そういった精神を安定させる神経伝達物質を体の中で作ってくれるのがSAMeなのです。


 セロトニンに関しては下記の『健康まめ知識』もご参照ください。

http://blog.livedoor.jp/cyclochem02/archives/cat_1151188.html


 もう少し詳しく説明すると・・・・SAMeは生体内において、トリプトファンからのセロトニン合成における反応促進剤として働きます。また、ノルアドレナリンはチロシンからドーパミンを経由して合成されるのですが、SAMeはチロシンからのドーパミン合成における反応促進剤としても働くのです。つまり、SAMeを摂取すると神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリンが生体内で増加し、うつ状態が改善されるのです。
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 ただ、SAMeにはサプリメントとして大きな欠点がありました。SAMeは、生体内では安定に存在するのですが、空気中の湿気で容易に分解してしまいます。その問題を完全に解決したのが、γ-シクロデキストリン(γCD)でした。γCDでSAMeを包接化することによって18ヶ月もの間、室温で保存していてもほとんど分解されませんでした。
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 さらに、ラットを用いてSAMeを投与した際の生体吸収性を検討した結果があります。ラット(SD系、雄8週齢、n=5)にSAMe量として、300mg/kgを投与し、各時間で採血し、LC-MS-MSで血漿中のSAMeを分析したところ十分な吸収性を確認できたのでした。

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 気分の落ち込みを時に感じる方は、明日から元気に、ポジティブライフに切り替えるためにも、是非とも、この新しいSAMeのサプリメントをお試しください。まもなく販売されます。お楽しみに・・・・・


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