2015年01月

脂肪酸の種類と健康への影響(その1. 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸、まずは、飽和脂肪酸)

 この『健康まめ知識』、プラス意見とマイナス意見、そして、作成の大変さから、継続するかどうかを悩んでおりました。しかし、ラジオ日経の番組『健康ネットワーク』の「寺尾啓二の研究者コラム」のネタや社内勉強会のネタが不足することにもなりかねないので、毎週ではなく、不定期ではありますが継続していこうと思います。また、『研究者ブログ』もこころない批判はあるのですが、社内より続けてほしいとのありがたい多くの意見を頂きましたので、不定期ではありますが継続していきたいと考えています。


 そこで、『健康まめ知識』の次の話題は・・・脂肪酸の種類と健康への影響・・・です。


 最近、何かと話題になっている健康増進効果を期待した○○オイル、たとえば、フィッシュオイル(魚油)、クリルオイル、ココナッツオイル、オリーブオイル、ベニバナオイル、アマニオイル・・・・。これらの健康に良いといわれるオイルのある一方で、摂りすぎると健康を害し、問題だとされるオイル、何を摂って良いのか、悪いのか、判断し辛いですよね。


 これらのオイルは、すべて生物の生体内に含まれる脂肪酸抽出物(Fatty Acid Extract)なのですが、植物、魚、動物などさまざまな生物、そして、その種類によっても脂肪酸の組成は異なってきます。

 
 そこで、まずは、生物学的な分類に基づいて、少し分かりやすく(希望的ですが・・)まとめてみました。図1に示していますように、実にたくさんの脂肪酸に分類できます。その中で、今回と次回では、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の包括的な健康への影響を説明します。そして、包括的な説明の後、話題となっているココナッツオイル、オリーブオイルなど、個々オイルに関して、皆さんの“健康まめ知識”を増やしていこうと考えています。

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 で・・・まずは脂肪酸の種類から・・・(化学を学んだことのない人はここで終了ではなく、“二重結合”など化学用語は飛ばしてお読みください。全体としては理解できるはずです。)


 脂肪酸は二重結合や三重結合のあるなし(“なし”の場合は水素で飽和されているともいう)で飽和脂肪酸(Saturated Fatty Acid, SFA)と不飽和脂肪酸(Unsaturated Fatty Acid, UFA)に分けられます。


 一般的に飽和脂肪酸は悪い油、あるいは、悪い脂肪酸(悪玉脂肪酸)といわれていますが、必ずしもそうではありません。飽和脂肪酸は炭素数(鎖の長さ)で炭素数7以下のものを短鎖脂肪酸(Small Chain Fatty Acid, SCFA)、8-12のものを中鎖脂肪酸(Medium Chain Fatty Acid, MCFA)、そして、13以上のものを長鎖脂肪酸(Large Chain Fatty Acid, LCFA)と分類されており、その中で、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は腸内環境を改善したり、ダイエットに有効であったり、脳機能の改善効果があったりと健康維持や増進に積極的に摂取するべき脂肪酸なのです。


 問題はこの長鎖の飽和脂肪酸です。長鎖脂肪酸は溶ける温度が高く、常温では固体で存在しています。そのため体の中でも固まりやすく、食事で過剰摂取すると中性脂肪(トリグリセリド)として蓄積され・・・・さらにLDL受容体の活性低下によるLDL濃度の上昇を引き起こすのです。少し難しい表現でしたが、つまりは、長鎖脂肪酸の過剰摂取が、中性脂肪と血中のLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞の原因となる高脂血症を誘発するのです。


 長鎖脂肪酸も多く摂取する傾向にある人はコレステロールを多く摂取する傾向にあり、加えて果物、野菜、及び、食物繊維などの植物性食品の摂取量が低い傾向にあるのです。したがって、LDL/HDL比や冠動脈心疾患の発病率が増加するわけです。

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 そこで、高脂血症患者やその予備軍に朗報です。新食物繊維であるαシクロデキストリンは、摂取してしまった食事中の脂質の中から、飽和脂肪酸の中でも、この長鎖脂肪酸のみを選択的に包接させて排泄することが知られています。加えて、最近では、コレステロールの吸収も阻害することが分かってきたのです。


長鎖脂肪酸の選択的排泄について
http://www.cyclochem.com/cyclochembio/research/040.html


コレステロールの低減効果について
http://www.cyclochem.com/cyclochembio/research/special.html

 以上、飽和脂肪酸の健康への影響について包括的に説明しました。


 一方、不飽和脂肪酸は体に良い油、あるいは、良い脂肪酸(善玉脂肪酸)と一般的に言われていますが、こちらも必ずしもそうではないのです。まず、不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸(Mono-unsaturated Fatty Acid, MUFA)と多価不飽和脂肪酸に分けられます。この不飽和脂肪酸について、次回、包括的に説明させていただきます。


ビールや発泡酒で白髪予防

 白髪は、ハゲと同様に見かけ年齢を実年齢よりも高めてしまうもの。そこで、白髪化に悩む方々に朗報です。資生堂とキリンビールは、共同研究でビールの原料である、あの苦いホップに白髪を予防できる作用があることを発見しました。

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 白髪のヒトを対象にした実験で、ホップの苦い成分が髪の毛を黒くするメラニン色素を増やすことが分かったそうです。メラニンを作る細胞をメラノサイト(色素細胞)というのですが、その細胞を活性化し、運動能力や増殖能力を高めてくれるようです。

 
 さらには白髪化に関与する遺伝子・・・・あなたのお父さんやおじいさんが白髪だと自分も白髪になってしまう遺伝子・・・・・を抑制してくれるそうなんです。


 そして、このメラノサイト活性化と遺伝子抑制の双方に効く成分を見出したのは世界的にも初めてだそうです。


 そのホップの中に含まれる成分は『イソフムロン』。


 イソフムロンは、ホップの毬花に含まれていて、ビール、発泡酒等の苦味の主体成分として知られています。ですから、ここで一言。我が家は家計の問題でビールから発泡酒に変えられたために白髪が増えたといったことはありません。白髪予防のためにもビールや発泡酒はお勧めです。飲みすぎはモチロンだめですが・・・・・


 ホップは、ビールや発泡酒の醸造において、苦味だけでなく、独特の芳香や泡持ち性の向上など様々な役割を担っています。そして、その苦味成分のイソフムロンは、白髪予防効果だけでなく、幾つかの健康増進や維持に有用な生理活性を持っていることが確認されています。抗肥満作用、抗う蝕作用、抗骨粗鬆症作用、ピロリ菌増殖抑制作用、血糖値改善作用などです。


 こういった知見、ビールや発泡酒の好きなあなたにとって、朗報だと思いませんか?(ねぇ、おむすびころりんさん。・・・・身内にしかわかりませんでした。すみません。)

【コラム】

 毛髪は皮膚が変化してできたもの。頭皮の外側を「毛幹」(皆さんが見える髪の部分)と頭皮の内側の「毛根」に分けられる。そして、毛根の最下部には「毛球」という毛髪の伸長に重要球状の部分がある。さらに、毛球の中心の「毛乳頭」のまわりに毛髪を作る「毛母細胞」が存在する。


 毛髪の色はメラニン色素の色(皮膚の色と同様)。メラニン色素の減少で白髪となる。メラニン色素は毛母細胞間に存在する色素細胞「メラノサイト」によって生成する。メラノサイトで作られたメラニン色素が毛母細胞へ送り込まれ、毛母細胞が毛髪へ変化する際に黒色となる。


 老化などによりメラノサイトの活性が低下すると毛乳頭のまわりへ再配置するための運動能力や増殖が減少し、その結果、メラニン色素が少なくなり白髪となる。

ほんとに注目すべきは『吸収型CoQ10』!について(その8)~エネルギー産生作用~

 このシリーズでは、ヒト臨床試験や動物試験などの検討を通じ、『吸収型CoQ10(包接体)』と『ビタミンC』の併用したサプリメントを摂取することによって得られた科学的根拠を紹介してきました。


 今回は、このシリーズの最終回となりますが、この吸収型CoQ10を含有するサプリメントのエネルギー産生作用とそれに伴うスポーツパフォーマンス向上についてです・・・
 

 米国においてCoQ10は、スポーツ選手や高齢者の間で人気の高い機能性栄養素であり、既に20年以上の実績があります。CoQ10がスポーツニュートリッションとして注目されたのは2001年7月に福岡で開催された世界水泳大会です。1,500m自由形で世界記録を7秒10も短縮したグラント・ハケット選手がCoQ10を摂取していたことが話題になりました。その他、プロ野球選手、プロテニス選手、プロゴルファーと様々なプロスポーツの選手がCoQ10含有サプリメントを愛用していることも知られています。CoQ10が体内における主要の細胞のすべてのエネルギー産生にかかわる重要な物質ということが明らかとなって以来、世界で活躍するアスリート達にスポーツパフォーマンス向上のためにCoQ10は広く注目されているのです。

 CoQ10が細胞内の有酸素性エネルギー産生機構(電子伝達系)でのATP産生に重要な役割を果たしていることは既によく知られていて、医薬用途で臨床的にも虚血性心疾患などに広く用いられているのです。


 一方、CoQ10はスポーツ選手にも有効です。CoQ10を心肺機能の正常なスポーツ選手に投与し、最大運動負荷を与えた場合、心筋が一過性の低酸素状態で疲労困憊となっても顕著な心肺機能の改善効果が期待できるのです。また、CoQ10の摂取は心肺機能を改善するだけでなく、末梢神経組織での酸素利用能を高めるという報告もあります。


 つまり、CoQ10はエネルギー産生による持久力の向上のみならず、運動後に出現する疲労の回復にも有効性が期待できるすばらしいスポーツパフォーマンス維持、向上のための機能性成分なのです。

 しかし、上市されているCoQ10含有サプリメントの大半は吸収性が低いため、満足のいくような効果は得られていません。そこで、私たちは『吸収性CoQ10(包接体)』とビタミンCを配合したサプリメントによる最大酸素摂取量(VO2MAX)を指標にしたエネルギー産生作用の向上について検討いたしました。

 日頃から運動をしている健常な20代から30代の男女32人の被験者を対象に、無作為に1群16名のグループに分け、それぞれ未包接のCoQ10(100mg)を含有するサプリメントと『吸収型CoQ10(包接体)(100mg(CoQ10として20mg))』とビタミンC(100mg)を含有するサプリメントを1ヵ月間に渡って摂取してもらいました。

摂取前と摂取1ヵ月後に、各被験者は男性15W/min・女性10W/minのランプ負荷による漸増負荷法によって、ペダリング運動を行いました。運動後、10分以上の安静を取らせ、1分間の無負荷ペダリングの後に漸増負荷を掛けました。負荷中のペダル回転数は50rpmとし、ピッチ音ならびにモニター中の表示で安定したペダリングを取ってもらいました。各被験者の推定最大心拍数の75%を超えた時点を終了とし、摂取前と摂取1ヵ月後のVO2@75%HRmaxを測定しました。

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 尚、測定には、電磁ブレーキ式自転車エルゴメーター(コンビウェルネス社製エルゴメーター75XⅡ)付属の解析機を用いました。そして、その測定値をもとにそれぞれの群の平均上昇率を求めました。

 その結果、未投与の際のVO2MAXに対して、未包接CoQ10を摂取した場合の最大酸素摂取量上昇率平均値は、僅か0.3%であって、CoQ10摂取の効果は殆ど確認できませんでした。

 しかし、『吸収型CoQ10(包接体)+ビタミンC』を摂取した場合の最大酸素摂取量上昇率の平均値は3.75%となり、飛躍的な上昇が確認されました。VO2MAXに関して13倍の開きがありました。この結果は、CoQ10換算では『吸収型CoQ10(包接体)』のCoQ10摂取量は5分の1なので、13x5=65倍もの開きがあることになります。

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 スポーツパフォーマンスを維持したい方、向上させたいアスリートの方、いつまでもスポーツを楽しみたい高齢者の方、『吸収型CoQ10(包接体)』とビタミンCを同時摂取できるサプリメントを試してみませんか?

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