2009年05月15日

またまた厚生労働省の愚策、電話通販が認められないと伝統薬の文化が失われかねない

 厚生労働省の愚策「新臨床研修制度」によって地方医療の崩壊をもたらしたことは夙に有名であるが、このたびの改正薬事法に連動して、医薬品の電話通販までも規制する省令案が出されている。

 このまま行けば、2年間の経過措置が過ぎれば、漢方薬および伝統薬までも電話通販が全面禁止となる。

 そもそも買い物カゴ等による医薬品のお誘い販売であるネット通販などと、漢方薬や伝統薬の相談販売を同列に論じる厚生労働省の考え方が理解出来ない。
 公僕であるはずの官僚たちが、ここまで暴走して国民を不幸に陥れる愚策ばかりを強行するのはなぜなのか?

 日本のあらゆる伝統を率先して破壊するのは常に国民の税金を浪費する官僚たちの仕業である。
 陀羅尼助のような伝統薬ですら、厚生労働省の恣意的な省令によって息の根を止められかねない。

 過去の血液製剤問題といい昨今の年金問題といい、国民の血税によって働く厚生労働省という巨大組織の雲の上の官僚達は、日本国民を不幸に導くために存在する悪魔の存在のように思えてならない昨今ではないだろうか?

頑張ってもガンバッテモ飛べない幼いスズメ
頑張ってもガンバッテモ飛べない幼いスズメ posted by (C)ヒゲジジイ  
Posted by cyosyu1 at 00:02漢方と漢方薬

2009年05月12日

肥満には防風通聖散を投与するのは本当に正しいのかっ?!

 肥満体には保険漢方でも防風通聖散が盛んに投与されているが、それで本当に正しいのか?
 誰も疑問に思わないのだろうか?

 開腹手術後にはきまって大建中湯が投与されることも定着したようだか、これも絶対に正しい投与といえるのだろうか?

 体質を無視した投与がまかり通って、本当に大丈夫なのだろうか?

 インフルエンザには麻黄湯がタミフルと同等の効力があるなどとされる発表がなされていると伝え聞くが、そのまま発表通りに信用してもよいといえるのか?

 漢方医学は、西洋医学的な病名治療が通用するほど安易な医学なのだろうか?
 適応証を誤ったときの強烈な発汗作用のある麻黄湯の恐さを知って、責任を持って発表されているのだろうか?

 白朮を使用すべき方剤が安価な蒼朮に置き換えられている事実は再三再四述べてきたが、そのような間違った製剤を許可する厚生労働省もおめでたい限りであるが、白朮と蒼朮の効能が同様と考えているとしたら、この国の漢方医学は堕落し切っている証拠である。  
Posted by cyosyu1 at 21:06漢方と漢方薬

2008年09月03日

同一の漢方処方でもメーカー間の優劣は激しい

 9月2日の毎日新聞にジェネリックの光と影と題して
「効き目が劣る」「副作用が多い」と指摘される薬もあり、医師や薬剤師の間で不信感を招いている。
 という記事が掲載されているという。
 
 同様なことは漢方処方エキス製剤についても言えることで、とりわけ問題になるべきことは医療用漢方エキス製剤にこそ、白朮(ビャクジュツ)であるべきところを蒼朮(ソウジュツ)に総入れ替えされているなど、極めて杜撰な製剤が出回っていることである。

 ところが、このような重大問題で効果・効能にも歴然とした差が出て来ることも多いのに大きく問題視されたり報道されることがない。
 わが国の伝統医学である「漢方医学」の考え方そのものが原料生薬に対する考え方が杜撰であり、中国における伝統的な考え方を無視し続ける自惚れた伝統の灯は消えることがない。

 世界的な視野から見れば「漢方医学」の考え方そのものが、あまりにもローカルなものであることの自覚が足りず、井の中の蛙であることの反省が足りないのではないだろうか?  
Posted by cyosyu1 at 11:49漢方と漢方薬

2008年05月27日

四川大地震により漢方薬に大打撃、価格高騰必至!

 大地震により、一大生産地の四川省の漢方薬原料の影響から、中国企業による生薬の買い占めが始まっているという噂が流れているといわれる。

 日本の漢方薬原料の8割は中国に依存しており、影響は甚大である。今後、価格急騰は必至と見られるが、それ以上に問題は原料の確保がおぼつかなくなる可能性である。

 ネット上では医薬品である漢方薬の安売り競争も一部に見られるが、そんなことやってられない異常事態が発生して、漢方薬は当分の間、貴重品扱いされる可能性も無きにしも非ず。

 それはともかく、大地震による多数の犠牲者の死を悼み、黙祷。
  
Posted by cyosyu1 at 01:58

2008年04月29日

ちょっと信じられない事実、白朮をすべて蒼朮に置き換える杜撰な漢方製剤の存在

日本漢方の杜撰さを取り上げれば際限がないが、なかでも白朮であるべきところを、すべて蒼朮に入れ替えて製造している信じられない製剤が多数存在している。

 とても憂うべき内容の記事だから以下に引用する。
 日本の漢方製剤には原料生薬の吟味において、極めて杜撰なメーカーさんが目立つ。その最たるものがこの蒼朮(ソウジュツ)と白朮(ビャクジュツ)の区別である。

 ひどいメーカーになると白朮であるべきところがすべて蒼朮に改悪されて製造されているところもある。しかも日本の代表的な医療用漢方メーカーで顕著であるから由々しき問題である。

 白朮と蒼朮は類似点は多いが中薬学上の薬効は明かに違いがある。

 脾虚脾湿に適応する白朮と、湿邪の実証に適応する蒼朮である。燥湿健脾を特長とする白朮と、袪風除湿を特長とする蒼朮である。

 白朮と蒼朮の最大の違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときの代用品になるくらいだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用があるので決して黄耆の代用とはなり得ない。

 たとえば玉屏風散(ギョクヘイフウサン)は黄耆・白朮・防風の三味で構成されるが、この白朮を蒼朮で代用するなんてことは絶対にあり得ない。

 蒼朮を用いることは玉屏風散の立方の主旨、表衛不固に対する治療方剤(益気固表止汗)にはなり得ないからである。

 日本漢方の杜撰さがここにあり、補虚の白朮を袪邪の蒼朮に置き換えたら四君子湯も六君子湯も補中益気湯も、苓桂朮甘湯など、本来の方意を微妙に損なうことになる事実を知る医療関係者がどれだけいるのだろうかっ?

 このような白朮と蒼朮の問題は、すべて学問的にも臨床的にも中医学的には常識中の常識の問題である。

 なお、以下に 1982年・陝西科学技術出版社刊「中薬方剤基本知識問答」に記載される蒼朮と白朮についての記載の一部をピックアップし、意訳して参考に供する。
 蒼朮と白朮は《神農本草経》での記載において区別はなく、《名医別録》で初めて赤朮、白朮と分けられた。

 すなわち赤朮とは現在の蒼朮のことである。宋代に到って《政和本草》で蒼朮の名が出で来る。

 蒼朮、白朮の二つの朮はいずれも燥湿健脾の効があり、どちらも湿阻脾胃、脾胃気虚により運化機能が失調して起こる脘腹満悶、食欲不振、悪心嘔吐、泄瀉、無力等の症に用いられる。
 それゆえ臨床上、二薬は常に合用する。

 蒼朮と白朮の両種薬物の異なる点は、古人の李士材曽が総結して「寛中発汗の効は蒼朮が勝れ、補中除湿の効は白朮が勝る。脾虚には白朮を用いてこれを培し、胃強には蒼朮を用いてこれを平げる。補脾には白朮を用い、運脾には蒼朮を用いて補運を相兼ね、両者を合用する。湿盛の実証には蒼朮を多用し、脾弱の虚証には白朮を多用する
 と述べている。これは前人が二つの朮に対する臨床の応用面の経験を総結したものであり、参考価値が高い。

 具体的に説明すれば、蒼朮の味は辛でよく発散し、性は温で燥、芳香の気が強く、燥湿作用は白朮よりも優れ、健脾の効は白朮に及ばない。
 痺証の治療では、虚湿が重い場合は白朮を用い、実寒が甚だしい場合は蒼朮を用いる。
 この他、蒼朮は湿温、夜盲症、佝僂病等にも用いる。

 白朮は補気固表の効があり、表虚自汗に用い、また安胎の作用があることから、妊婦の脾胃虚弱で水湿内停して起こる悪心嘔吐、眩暈、胎動不安および両足の浮腫等、胎気不和の諸証に用いられる。

間違いだらけの漢方と漢方薬:白朮を蒼朮で代用する杜撰

  
Posted by cyosyu1 at 12:28漢方と漢方薬

2008年02月28日

傷寒論医学では到底太刀打ちできそうもない新型インフルエンザ

新型インフルエンザで漢方薬はどの程度有効だろうか?より
 鳥インフルエンザが人から人へと感染する新型インフルエンザに変異し、世界的に流行するのは時間の問題だとされている。
 その時に最も期待される治療薬がタミフルであることは既に述べた。

 それでは漢方薬は役に立つのだろうか?という疑問であるが、少なくとも六経弁証の傷寒論医学では、あまり期待がもてそうにない。なぜなら、鳥インフルエンザに感染した人の症状から類推できる部分があるからである。

 咽喉腫痛を伴って急に高熱を発し、その後に下痢や嘔吐、そして各臓器から出血が生じて・・・

 これらの症状を弁証分析するには温病学における三焦弁証がもっともフィットする。
 病毒(新型インフルエンザウイルス)を上から受けると少陽三焦を通路として上から下へと縦方向の伝変形式とっている。

 温病学を取り入れようとしない日本漢方(日本古方派)にはあまり期待できないが、中医学派の先生方には三焦弁証を主体に、多少とも貢献してもらえるかもしれない。



情報提供:漢方薬のMKDYネット
     山口県下関市の村田漢方堂薬局
     漢方と漢方薬の質疑応答集
  
Posted by cyosyu1 at 01:14漢方と漢方薬

2007年11月24日

お血(おけつ)よりも重要な痰濁(たんだく)の存在

 漢方と言えば直ぐに「瘀血(おけつ)」、なんとしても瘀血ばかりが取り上げられ、むしろ瘀血以上に重要かもしれない痰濁という人体の代謝失調によって生じる重要な病理産物である「痰濁(たんだく)」のことが無視されがちである。
 それもそのはず、日本漢方では安易に水毒としたかなりあやふやな概念で統括されてしまうので、瘀血の方にばかり目が行くのである。

 痰濁という病理産物の存在を重視しなければなら理由を以下に簡単に述べてる。

 大雑把に言って痰濁が体内に生じる原因は、
ヽ依茲良属(ウイルスや細菌感染および各種公害物質を含む)による侵襲。
¬膩・厚味の食品類の過食。過食による食積。
3銅錣竜損で虚によって鬱を生じる。
ぅ好肇譽垢砲茲覽ぽ機
など、各種の外因や内因によって生じた病理産物である。

 生体内に生じた痰濁という病理産物の存在は、さらに新たな臓腑の機能失調を誘発し、複雑・難治な疾病を発生させる原因となる。

 痰濁は、人体の代謝失調によって生じた有害物質であり、各種の公害物質やコレステロール・脂肪類などが含まれる。
 つまりは上述の内因や外因によって五臓六腑の機能失調をを引き起こし、この五臓六腑の失調によって生じた排液あるいは廃物が痰濁に該当するのである。

 この痰濁に瘀血が交結すると病位によって様々な証候が出現し、肝炎・腎炎・狭心症や心筋梗塞・脳血管障害のみならず、関節リウマチなども含む痺証など各種疼痛性疾患や良性腫瘍や悪性腫瘍など、複雑多変な各種疾患の発生原因物質となるのである。

 つまり痰瘀交阻の病理の認識がとても重要になるのである。

参考文献:「瘀血阻滞」とその形成原因



情報提供:漢方薬のMKDYネット
     山口県下関市の村田漢方堂薬局
     漢方と漢方薬の質疑応答集
  
Posted by cyosyu1 at 20:51漢方と漢方薬

2007年06月02日

中国国内における大論争:中医学存亡の危機を報じる記事

Posted by cyosyu1 at 01:31

2007年04月18日

中医学と日本漢方の違い

 中医学と日本漢方の違いは、弁証論治と方証相対というそれぞれの特徴があるが、これを言い換えれば、分析の医学と分類の医学と言い換えることが出来る。

 第57回日本東洋医学会学術総会の「教育講演」を行われた安井廣迪氏の演題『日本漢方諸学派の流れ』の御講演の冒頭において、上記のような内容が述べられている。
 全文が日本東洋医学界の機関誌「日本東洋医学雑誌 第58号 第2号 2007年」に掲載されている。
 的確な指摘がなされており、参考価値が高い。


 このブログの筆者の感想↓
 病因・病機(病理機序)を分析して治法を決定し方剤を組み立てる中医学と、虚証か実証か虚実中間証か、気血水のいずれか、既成方剤のいずれのパターンに該当するかの分類ばかりが主体で、病理機序の分析は皆無に近い日本漢方。

 いずれが優れているかは一目瞭然であるが、両者を取り入れた「ダブルスタンダード」の漢方医学こそが中医漢方薬学なのである。


日本漢方の将来「中医漢方薬学」の提唱(平成元年の提言!)
  
Posted by cyosyu1 at 00:34漢方と漢方薬

2007年03月20日

1980年代後半の漢方界の状況証言

 1980年代後半の状況と現在における漢方界の状況はそれほど変化しているとも思えない。相変わらず没理論の漢方医学がまかり通っていると言っても過言ではないように思われる。

 1980年代後半の業界紙の巻頭論文として掲載された、といっても平成元年1月のことである。


中医学と漢方医学(1989年月刊『和漢薬』誌1月号(通刊428号)巻頭論文)  
Posted by cyosyu1 at 02:09漢方と漢方薬