October 23, 2006
カーナビの指示に従って交通事故
livedoorニュース−ドイツ人男性、カーナビ信じてトイレに激突
ここ最近、バックモニターや歩行者認識、自動縦列駐車といった便利な機能が搭載された自動車が、各社から続々と発売されています。確かに、こうした新技術は、運転する側の負担を軽くしてくれるでしょうし、交通事故の防止や軽減にもある程度の効果が期待出来るかも知れません。ただ、今回のニュースからも窺える様に、運転者が余りにもテクノロジーに頼り過ぎた為に、とっさの場合の判断や状況認識で、致命的なミスを招いてしまう可能性も考えられるのです。私達をとりまく技術革新の波は、結局コンピュータが無ければ何も出来ない白痴を育てているだけなのかも知れません。
現在は、目的地までの距離や道筋を教えてくれるだけのカー・ナビゲーション・システムも、今後は道路だけではなく、ドライバーの人生そのものをナビゲートするまでにバージョン・アップする事でしょう。人々は、最早カーナビが無いと生きていけない様になってしまうのです。
例えば、ここに1人の俳優志望の青年がいたとします。彼の演技力はアマチュア劇団の中ではそれなりの評価を得ていたのですが、これまでは中々チャンスに恵まれず、日夜バイトを掛け持ちして生活費を工面する、苦しい生活を続いていました。そんな彼を、心身ともにサポートしてきたのが、高校3年の頃から付き合っている彼女。愛しい恋人の夢が叶う事を一途に信じて、いつも陰になり日向になり力に支えてきたのでした。
そんなある日、彼に一世一代のチャンスが訪れます。事ある毎に目を掛けてくれていた先輩俳優から、アメリカのブロードウェイで修行をしてみないかと持ち掛けられたのです。初めこそ、辛い下積み生活が続くでしょうが、本場の演技を間近で学ぶ事が出来ますし、そこで実力を認められれば、憧れのブロードウェイの舞台に立てるかも知れない…夢に胸を膨らませ、期待に瞳を輝かせる彼の顔に、ふと暗い影が差します。仮に、アメリカへ旅立つのならば、何か結果を残すまで日本に戻る事は出来ません。そして、それは最悪の場合、恋人との永遠の別れをも意味するのです。
「良かったじゃない!」
まるで我が事の様に喜ぶ彼女に対し、彼の顔は依然曇ったままです。怪訝な表情で理由を訊ねる彼女に、彼は重い口を開きました。
「でも、俺はお前を置いてアメリカになんか行けねえよ」
「何言ってんのよ!せっかくのチャンスじゃない!私の事なんか気にしないで!」
彼女は懸命に彼の気持ちを奮い立たせようとしますが、彼は弱々しく首を振るばかりです。
「無理だよ…俺には、そんな真似は出来ない」
「意気地無し!本当は、怖いんでしょ!」
「何だと!」
彼の顔が、思わず気色ばみます。しかし、一旦堰を切った彼女の言葉はもう止まりません。
「自分なんかがアメリカに行っても、成功する訳がない。そんな気持ちを、私の事に託けて誤魔化してるだけじゃない!弱虫!」
「馬鹿野郎!そんなんじゃねえ!」
「嘘!成功して私を迎えに来る自信が無いのよ!卑怯者!」
「もういい!お前の事なんか知るか!」
「ええ、貴方みたいな人、こっちから願い下げだわ!」
互いを真剣に想うが故に、諍いを起こしてしまった2人。1ヵ月後のある日、暗い表情のまま空港へと車を走らせる彼の姿がありました。あれ以来、彼女とは1度も顔を合わせる事無く、アメリカ出発の日を迎えたのです。このままで、本当にいいんだろうか…何度も胸に浮かんでくるを振り払いながら、彼は空港までセットしたカーナビの指示通り、ハンドルを操ります。
「ツギノコウサテンヲ、ミギデス」
「はいはい」
「ツギノカドヲ、ヒダリデス」
「はいはい」
「ツキアタリ、ミギデス」
「…ん?何か遠回りしてないか?」
「モクテキチニ、トウチャクシマシタ」
「うわ、どうなってんだよ!」
カーナビの指示する通りに運転してきたというのに、何故か彼の車は、空港と全く違う場所に辿り着いていました。目的地の入力を間違えたのでしょうか、このままでは予定のフライト時刻に間に合いそうもありません。
「あれ?…ここ…」
カーナビが導いてきた場所に、彼は見覚えがありました。そう、喧嘩別れをしたままそれっきりになっていた、彼女の住むアパートの前に、車は止まっていたのです。カーナビが、スピーカーを通して話し掛けてます。
「イインデスカ、コノママ、アメリカヘ、イッテシマッテ」
「な、何だって?」
「アナタハマダ、カノジョノコトヲアイシテイタンジャナインデスカ?コノママ、クイヲノコシテ、タビダッテモ、イイエンギナンテ、デキマセンヨ。オモイキッテ、スナオナキモチヲ、ツタエテクダサイ!」
「全く…お節介なカーナビだな。車だけじゃなく、俺の人生までナビゲートしやがる…でも、ありがとよ!」
車のドアを開け、彼女のアパートへと走る彼。カーナビは「ヤレヤレ、セワガ、ヤケルナ」と、溜息代わりのクラクションを鳴らしました。
ドイツ東部ルードルシュタットの警察は22日、カーナビを過信したドライバーが道路脇のトイレに激突する事故が起きた事を明らかにした。
事故を起こしたSUV(スポーツ多目的車)を運転していたのはフライブルク出身の男性(53)。カーナビが発する「すぐ先、右折です」という指示に素直に従い、本来右折すべきだった地点から約30メートル先でハンドルを切ってしまったという。この事故により、運転手の男性には35ユーロ(約5000円)の罰金が科せられたほか、車の修理代に100ユーロ(約1万5000円)、事故現場の修繕に2000ユーロ(約30万円)がかかる見通し。
ドイツでは今月に入り、別の男性(80)もカーナビの指示に従って事故を起こしていた。こちらの男性は「工事中のため進入禁止」という標識が出ていたにも拘らず、カーナビの指示を優先し、結果的に砂の山に車を突っ込んでいた。
ここ最近、バックモニターや歩行者認識、自動縦列駐車といった便利な機能が搭載された自動車が、各社から続々と発売されています。確かに、こうした新技術は、運転する側の負担を軽くしてくれるでしょうし、交通事故の防止や軽減にもある程度の効果が期待出来るかも知れません。ただ、今回のニュースからも窺える様に、運転者が余りにもテクノロジーに頼り過ぎた為に、とっさの場合の判断や状況認識で、致命的なミスを招いてしまう可能性も考えられるのです。私達をとりまく技術革新の波は、結局コンピュータが無ければ何も出来ない白痴を育てているだけなのかも知れません。
現在は、目的地までの距離や道筋を教えてくれるだけのカー・ナビゲーション・システムも、今後は道路だけではなく、ドライバーの人生そのものをナビゲートするまでにバージョン・アップする事でしょう。人々は、最早カーナビが無いと生きていけない様になってしまうのです。
例えば、ここに1人の俳優志望の青年がいたとします。彼の演技力はアマチュア劇団の中ではそれなりの評価を得ていたのですが、これまでは中々チャンスに恵まれず、日夜バイトを掛け持ちして生活費を工面する、苦しい生活を続いていました。そんな彼を、心身ともにサポートしてきたのが、高校3年の頃から付き合っている彼女。愛しい恋人の夢が叶う事を一途に信じて、いつも陰になり日向になり力に支えてきたのでした。
そんなある日、彼に一世一代のチャンスが訪れます。事ある毎に目を掛けてくれていた先輩俳優から、アメリカのブロードウェイで修行をしてみないかと持ち掛けられたのです。初めこそ、辛い下積み生活が続くでしょうが、本場の演技を間近で学ぶ事が出来ますし、そこで実力を認められれば、憧れのブロードウェイの舞台に立てるかも知れない…夢に胸を膨らませ、期待に瞳を輝かせる彼の顔に、ふと暗い影が差します。仮に、アメリカへ旅立つのならば、何か結果を残すまで日本に戻る事は出来ません。そして、それは最悪の場合、恋人との永遠の別れをも意味するのです。
「良かったじゃない!」
まるで我が事の様に喜ぶ彼女に対し、彼の顔は依然曇ったままです。怪訝な表情で理由を訊ねる彼女に、彼は重い口を開きました。
「でも、俺はお前を置いてアメリカになんか行けねえよ」
「何言ってんのよ!せっかくのチャンスじゃない!私の事なんか気にしないで!」
彼女は懸命に彼の気持ちを奮い立たせようとしますが、彼は弱々しく首を振るばかりです。
「無理だよ…俺には、そんな真似は出来ない」
「意気地無し!本当は、怖いんでしょ!」
「何だと!」
彼の顔が、思わず気色ばみます。しかし、一旦堰を切った彼女の言葉はもう止まりません。
「自分なんかがアメリカに行っても、成功する訳がない。そんな気持ちを、私の事に託けて誤魔化してるだけじゃない!弱虫!」
「馬鹿野郎!そんなんじゃねえ!」
「嘘!成功して私を迎えに来る自信が無いのよ!卑怯者!」
「もういい!お前の事なんか知るか!」
「ええ、貴方みたいな人、こっちから願い下げだわ!」
互いを真剣に想うが故に、諍いを起こしてしまった2人。1ヵ月後のある日、暗い表情のまま空港へと車を走らせる彼の姿がありました。あれ以来、彼女とは1度も顔を合わせる事無く、アメリカ出発の日を迎えたのです。このままで、本当にいいんだろうか…何度も胸に浮かんでくるを振り払いながら、彼は空港までセットしたカーナビの指示通り、ハンドルを操ります。
「ツギノコウサテンヲ、ミギデス」
「はいはい」
「ツギノカドヲ、ヒダリデス」
「はいはい」
「ツキアタリ、ミギデス」
「…ん?何か遠回りしてないか?」
「モクテキチニ、トウチャクシマシタ」
「うわ、どうなってんだよ!」
カーナビの指示する通りに運転してきたというのに、何故か彼の車は、空港と全く違う場所に辿り着いていました。目的地の入力を間違えたのでしょうか、このままでは予定のフライト時刻に間に合いそうもありません。
「あれ?…ここ…」
カーナビが導いてきた場所に、彼は見覚えがありました。そう、喧嘩別れをしたままそれっきりになっていた、彼女の住むアパートの前に、車は止まっていたのです。カーナビが、スピーカーを通して話し掛けてます。
「イインデスカ、コノママ、アメリカヘ、イッテシマッテ」
「な、何だって?」
「アナタハマダ、カノジョノコトヲアイシテイタンジャナインデスカ?コノママ、クイヲノコシテ、タビダッテモ、イイエンギナンテ、デキマセンヨ。オモイキッテ、スナオナキモチヲ、ツタエテクダサイ!」
「全く…お節介なカーナビだな。車だけじゃなく、俺の人生までナビゲートしやがる…でも、ありがとよ!」
車のドアを開け、彼女のアパートへと走る彼。カーナビは「ヤレヤレ、セワガ、ヤケルナ」と、溜息代わりのクラクションを鳴らしました。
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この記事へのコメント
1. Posted by シデン October 24, 2006 01:37
あれ? なんかデジャヴュなんですが……。
気のせいですかね。
気のせいですかね。
2. Posted by ニュース23号 October 24, 2006 17:19
ききき、気のせいじゃないですか。


