アルコールをめぐる現状や課題について、行政や医療関係者らが報告するシンポジウムが3月12日、東京都内で開かれた。この中で、未成年女子の飲酒者割合が未成年男子を上回ったとの調査結果を報告した医療関係者は、「妊娠などへのネガティブな影響が懸念され、由々しき事態」と訴えた。

 シンポジウムでは、遠藤光一氏(厚生労働省健康局生活習慣病対策室・アルコール対策専門官)が、厚労省が1996年から2008年にかけて4年ごとに調査した中高生の飲酒実態について報告した。それによると、法改正で対面販売や自販機での購入が規制されたことなどから、男女とも飲酒者の割合は大幅に減少しているという。しかし遠藤氏は、飲酒者のうち、週に数回以上、相当量を飲酒した人の割合は、中学生で2.9%、高校生では11.3%で、飲酒による「ブラックアウト(意識不明の状態)がある」と答えた人の割合は中高生合わせて37%に上る実態を報告し、「(飲酒者の割合)全体としての減少傾向も、安易には喜べない」と述べた。

 続いて講演した樋口進氏(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター副院長)は、自身や内閣府が行った調査で、10代後半の未成年女子に占める飲酒経験者の割合が未成年男子を上回ったという結果を紹介した。同様の傾向は20-24歳でも見られ、樋口氏は「若年女性の飲酒量の増加は、将来的に妊娠や出産をする際にネガティブな影響が懸念され、由々しき事態」と述べた。
 また、成人年齢の18歳への引き下げ論議に関連して、飲酒可能年齢を引き下げることについては、「脳や身体が十分に発達していない未成年の飲酒で、成人よりも重篤な臓器障害やアルコール依存症のリスクが高くなることは、動物実験で実証されている」として、「引き下げには慎重であるべき」と訴えた。


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