元日の大地震
令和6年の新しい年を迎えた1月1日。お祝いムードに包まれた日の夕方、北陸地方に震度6強から7という激しい地震が襲いました。日本海側の福岡県に至るまで津波注意報が発令され、一時は騒然とした空気に日本中が包まれました。能登半島地震です。
誰もが13年前の大震災を思い起こしたと思います。輪島市では地震による広範囲な大火災が発生し、その映像もあの大震災の記憶をよみがえらせました。
一夜が明け、その被災状況の悲惨さが明らかに。
半島の先端にある珠州市では人口二万数千人のうち千棟以上の家屋が倒壊し、市そのものが壊滅状態に。また周辺の町も甚大な被害になっていました。
自衛隊が出動し、被災地の救援に出向きましたが、半島を結ぶ国道は土砂崩れや崩壊した道路がいくつもあり、陸の孤島状態にもなった場所がいくつも。それでも別ルートや海から救援隊が到着し、崩壊した建物からの捜索活動が昼夜を問わず続けられました。
発生から数日たった日、メディアはある一人の男性を取材し、その言葉を聞いて、いたたまれない気持ちになりました。
毎年恒例のお正月に親族が集まった新年会をしていた際、地震に襲われ、男性の奥様をはじめ20歳前後の子ども達4人。弟家族も合わせると10人が犠牲になってしまったと。
一度に自分以外の家族全員が亡くなってしまった。言葉では言い表せないほどの悲劇としか言いようがありません。
またさらに驚くべきことが被災地に起こっていました。火事場泥棒です。
倒壊寸前の家屋に入り、物品を盗み出す行為が多発していると。それだけではなく、倒壊を免れた家の人に法外な値段でブルーシートを売りつける詐欺行為。被災者をかたり、SNSで募金を促すなど、信じられない行為が地震発生から一週間も経たないうちに起こり始めているというのです。
ブルーシートを壊れた玄関や窓に設置している方は「空き巣防止のためなんです」と。被害にあって打ちひしがれている方々に追い打ちをかけるような二次被害が起こっていて、そのことが問題になっているというのです。
東日本大震災の時は、一部の外国人が空き巣行為をしていたようですが、ほとんどの日本人は節度ある行動をしていました。しかし今回はこのような犯罪が。心無い一部の人たちの行いですが、この十数年で日本人のモラルはどうなってしまったのだろうかと思ってしまいました。
被害にあわれた方々のご冥福をお祈りするとともに、これ以上の二次被害が起きないよう願ってやみません。
第一学院 西村隆一朗