April 01, 2012

vol.128 「映画ってなに?」って訊かれたら、これからはこの話をしよ

「映画ってなに?」って訊かれたら、これからはこの話をしよ。


フランク・キャプラという名前を忘れてはいけない、と心に決めたについてはこんな思い出があります。『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(76)に宇野重吉さんが出演してくださった時、宇野さんがぼく(山田洋次監督)にこんな話をしてくれました。TVの影響で、映画産業が斜陽化してきた、映画人に自信がなくなり始めた頃のことです。

1941(昭和16)年。
日米関係が風雲急を告げて、間もなく戦争が始まるのではないかという不安な時代。表現の自由はまるでなくて、マルクスの本を持っているだけで検挙されるというファシズムの暗い時代に新劇運動をしていた宇野重吉さんは活動の場がまったくなくなってしまう。このままでは、食えないし、いずれ赤紙が来て戦地に連れていかれるだろう、そんなこの国の未来に絶望してもう死のうと思ったのだそうです。
映画が好きだった宇野さんは、死ぬ前に一本映画を見ようと考えました。当時の観客は新聞で広告を見て映画を見に行くということはあまりなくて、街の映画館通りの看板を見て決める。だから彼も街へ出た。
そうしたら、『スミス都へ行く』(39)というアメリカ映画の看板がかかっていた。これを見ようと思ってチケットを買い、ガラガラの(反米運動の中でアメリカ映画は人気が無かった)客席で見るうちになんだか身体の中に活力が湧いて来て、死ぬ気持ちが遠ざかった。
もうちょっと生きていこう、死ぬことはないと思うようになり、自殺を止めたそうです。

「山田君、映画は、一人の遠い外国にいる絶望した若者の命を救う力を持っているんだ。映画を作るっていうのはすごい仕事なんだ。君、勇気を持って映画をつづけなさい」と言ってくれたんですよ。

〜井上篤夫著『素晴らしき哉、フランク・キャプラ』より〜

daika_daika at 00:51|PermalinkComments(1)TrackBack(0) 活字の夢想【読書】 

March 14, 2012

vol.127 楕円形のお盆

「楕円形のお盆」

久しぶりに実家に帰ると。
木製で、洋梨の形した楕円形のお盆があったりして。
ゴロゴロとテレビ見てたら、カーペットの上にそれが置いてあって。
視界の隅に入る。
しばらくして、
「あ、お盆か・・・」って気がつく。
なんか、ネコが丸くなって寝ているみたいなんですよね。

何度か視界に入っては、その度にネコに見えて。
ウトウトしてたら、思わず「あ、クーちゃん」って呟いちゃったりして。
家のネコ、数年前に亡くなってるんですけどね。

実家出てから、ずいぶん経つけど、あんまり帰ってないから。
ネコが死んでから、僕があの家にいた時間は、ほんのわずかで。
そこで「ネコと過ごした時間」の方が、何十倍もあるんですよね。

錯覚や勘違いって言ったら、それまでなんですけど。
何らかの感触が、まだそこには、その空間にはあったんですよね・・・

人が亡くなった実感がわかないってのも、そういうことなんじゃないですかね。
何て不自由な生き物なんですかね、人間って。
時間からも空間からも、なかなか自由になれない。

ネコが飼いたいよ。
(古い写真を引っ張りだしちった)

クー


daika_daika at 17:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

March 12, 2012

vol.126 アルバイト

「アルバイト」

で、実家のある三浦に。
母が展覧会で、水平線の映像を使いたいんだとさ。
三浦は先週、ロケで来たばっかりですけど。
明日は人生初の母親とのロケハン・・・

うーん。
改めて考えると。
妙な人生を歩んできてしまったんだなあ。
どこで踏み外したのかね、あなたも。

母の作品はこんなのです。



ちなみに、踊っている女性は母ではありません。
柵とか映像とか舞台になってる空間が、作品なんですと。
理解に苦しむでしょ。
未だかつて、僕も理解はしてことないけど。
感性が大切なんじゃないですかね・・・


daika_daika at 01:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0) おもしろきこともなき世をおもしろく【仕事】 

December 06, 2011

vol.125 【チャンベビMV】上映会&感謝祭&打上げ&ライブ‏


チャンベビ春img

皆さま

今年の頭に撮影した、チャンベビ「春という季節」のミュージックビデオ上映会を開催したいと思います!

関係者には、大変お世話になりました。
感謝を込めた打上げも兼ねて。
みんなで「そのコスプレはないだろう」とか突っ込みながら、飲みましょう!

なんと!!チャンベビが演奏もしてくるようです。
そんで、以前にMV撮った、水戸部望広くんも歌ってくれるらしい。
じゃあ、MV「スマイル」も流しちゃいますか。

作品に関わった人だけでなく、いろいろ来るので、友人誘って来てください。
ヒマな人は気兼ねせずに連絡ください!

会場は、赤坂の知人のBAR!
プロジェクターとか音響とか、上映環境、最高なんですよ
場所わかり難いかも知れませんので、参加してくれる方は、事前に参加表明してもらえると案内しやすいですね。

them-akasaka
港区赤坂3-12-1
0 赤坂サンビル4F
http://www.them-akasaka.com/

12月11日(日) 20:00〜
一応、最初1500円(1ドリンク付き)でもいいですか。
スイマセンね。



daika_daika at 02:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 春という季節【PV】 

October 29, 2011

最新作 「春という季節」チャンベビ

「春という季節」チャンベビ

今年の始めに、こんなの撮りました。

中学生から十数年も一緒にやってるガールズバンド。
彼女たちの愛憎劇を実話?を元にして、ミュージックビデオに。
真面目な顔して映っている、この作品は問題作らしい。
いつもオチャラケてるから・・・。



アルバム『サチワールド』収録曲(DQC-607 2010.12.15発売)
http://nobiru.co.jp/chanbaby.html

出演:
アミ(チャンベビ)、ユウコ(チャンベビ)、あっきー(チャンベビ)
伊藤健太、田中佑哉、平原万匡

製作:株式会社ノビル
協力:gee-ge、BOND&Co.
プロデューサー:大井孝信
撮影:俵謙太
録音:宗晋瑞
アニメーション:小谷野萌
制作スタッフ:永田卓也、べん
演出部応援:中村洋介
監督・脚本・編集:松倉大夏


daika_daika at 18:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

April 01, 2011

vol.124 「スマイル」水戸部望広【Faret Tube 2010】

「スマイル」水戸部望広【FARET TUBE 2010】

現代美術・音楽・映像を融合した作品を立川の映画館で上映する企画
グランプリ(コモリタミノル賞)獲得!

父さんの像



daika_daika at 22:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0) ファーレチューブ【MV】 

February 19, 2011

vol.123 ツマラナイ映画

公開当時、映画「ある探偵の憂鬱」を観た後、打ち上げにも参加させてもらった。

私を連れてきてくれた部活の先輩の他にも、矢城監督の同級生が沢山駆けつけていた。
同級生の先輩たちは、監督を揶揄してこう言った。
「松倉〜!こういうツマラナイ映画はつくっちゃダメだぞ」

ところが、この映画はもの凄く印象深かった。
確かに、もともと不条理な話や陰鬱な世界観が好きだったこともある。
デビット・リンチやカフカが好きだったこともある。
だが、それよりも、最大の衝撃は、初めて出会った「映画監督」が自作について、撮影現場について語る姿や内容だったのかもしれない。

劇中の美しい公園のシーン。
ベンチに座る主人公が頭上を見上げる。
神秘的に風に揺れる木の葉。
監督に尋ねると、
「映画には、映画の神ってのいるんだよ」
ただの映画好きの学生には、
「おおー!何だよ、映画の神様って!撮影現場ってスゲーじゃないか」ってことになる。

こうして、私はこの映画体験から人生を狂わせていく・・・

初めて、映画の現場に製作部見習いとして参加したのも矢城監督の紹介だし。
(映画「ワイルド・フラワーズ」)
演出部、助監督として、最初に仕事をしたのも矢城監督の映画だし。
(映画「ねこのひげ」)
書いた拙い脚本(書き散らしただけだが)を初めて読んでもらい、丁寧にアドバイスをくれたのも矢城監督だった。
足を向けて寝れないとは、まさにこのことである。


そういう顛末で、わたしの手元にこのDVDが届く。
ずいぶん前なので、ハッキリと全体を思い出すのは難しい。
印象深い作品をもう一度観てみたい。
同級生が茶化していた「ツマラナイ映画」とはどんなものだったか、確かめたい。


(前編もあり)

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特別に奇妙な物語 ある探偵の憂鬱 [DVD]映画「ある探偵の憂鬱」 [DVD]

監督:矢城潤一
出演:大城英司・馬淵晴子

1998年バンクーバー国際映画祭

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daika_daika at 17:08|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 忘れていく生き物【鑑賞】 

February 17, 2011

vol.121 DVD発売!映画「ある探偵の憂鬱」

あれは確か、(今はなき)中野の武蔵野館だった気がする。
人生で初めて「映画監督」に会った。

学生時代、高校の部活の先輩に「映画監督」がいると聞きつけ、いつか紹介してほしいと言い続けているうちに、年の離れたOBに連れられてこの映画を観にいった。
上映が始まる前に、隣接する喫茶店で紹介してもらった。
「映画監督」なんて肩書きがついている人物は、勝手に重々しくて強面だと思い込んで、緊張していたように思う。
だが実際は、拍子抜けするほど、フランクで軽快な人だった。

ただ、何度も質問されたことを今でもはっきりと覚えている。
「映画を創りたいのはわかったけど、映画の何がやりたいの?」

漠然と「映画を創りたい!」としか考えていなかったのだろう。
知識としては、監督、カメラマン、プロデューサーなどの区別があっても、具体的に自分がどうやって映画に関わっていくかなんて、何にも想像できなかった。
で、矢城監督に出会って、初めて映画鑑賞だけでなく、映画製作に直面できた。


(後編へ続く)

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特別に奇妙な物語 ある探偵の憂鬱 [DVD]映画「ある探偵の憂鬱」 [DVD]

監督:矢城潤一
出演:大城英司・馬淵晴子

1998年バンクーバー国際映画祭

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daika_daika at 14:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 忘れていく生き物【鑑賞】 

February 14, 2011

vol.120 DVD発売!映画「TORSO」

自宅近くのレンタルビデオ屋にいく。
映画「TORSO」のDVDが棚に並んでいました。

レンタルビデオ屋っていってみても。
昨年末には、ビデオテープは棚から一掃されちゃったけど。
これからは何て呼べばよいのでしょうか?
レンタルDVD店?
最近じゃブルーレイの埋める割合も多いしな。
どうでもいい悩みです。

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トルソ [DVD]映画「TORSO」

監督・撮影:山崎裕
出演:渡辺真起子、安藤サクラ
ARATA、蒼井そら、石橋蓮司、山口美也子

第27回トリノ国際映画祭
第33回香港国際映画祭


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助監督参加作品。
撮影は2009年の夏の終わりだっただろうか。
主演は、再び渡辺真起子さんだったし。
ロケハンで、出身地三浦の超絶に美しい海岸見つけてきたし。
【現場の面白い写真】を渡辺さんのブログに見つけたので、勝手にリンク。
思い出深いな・・・

先日、山崎監督にお会いしたら、メイキングの編集中に、何度もこう叫んだらしい。
「あ〜、松倉!邪魔するな。オレ(監督)が良いこと言うと後ろでウロウロして邪魔するんだから」

冗談めかして言っていたが、本当か?
まだ、買ってないから確認できていない。




daika_daika at 03:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 産みの苦しみ【仕事】 

February 08, 2011

vol.119 いのりのへや

この日は、午後の早い時間に撮影終了。
帰り際に、ロケハンで図書館に。

なんとなく不気味でカワイイから、撮っちった・・・
IMG_2166
(守屋図書館2F)


撮影には、不測の事態はつきもの。
それが、「映画の神」が降り立つような奇跡的な瞬間だったらいいけど。
最近聞いたのは、トラブルばかり。
雪道でスピンして車がクラッシュとか。
カメラが落ちて再撮とか。
聞くだけで恐ろしい・・・。

ぼくらの組に災難が訪れませんように。
祈るばかり。
誰に?何に?
映画の神にかな・・・


daika_daika at 04:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) すべては酬われる【ドラマ】