こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)


  リフォーム中断中につき、不動産経営の話全般でしばらく場をつないでいます。

 最近ずっと保険の話が続いていますが、それは「保険を制するものは築古を制す」という格言があるからです。築古専門で行くと決める際に、保険について相当研究をして、一次代理店まで行って担当者と議論しました。保険を知ると築古がまるで怖くなくなります。


 個人で入る生命保険でも医療保険でもそうなのですが、保険自体には事故が発生する確率を下げる効果はありません。当たり前の話ですね。医療保険や生命保険に入ったからと言って健康になって寿命が伸びるわけではありません。

 となると、保険はなんのためにあるかと言うと、お分かりの通り金銭的損害の補填です。そしてリスクアセスメントをしっかり行って保険の入り方を工夫すると、この損害額をゼロにできます。

 例えば所有物件の火災。入居者様からしたら命に関わる緊急事態ですが、大家にはなんの危険も発生していません。大変だ大変だ、と言ったところで、要するに銀行口座からお金が減るだけです。その金額は簡単に計算できて、「修繕・再建築費+再び満室にするための費用+機会損失-減価償却費」となります。それ以上の損害はゼロです。繰り返しますが、家が燃えようが、人が死のうが、とどのつまりあなたの銀行口座からお金が減るだけです。そして前述のように保険の入り方を工夫すると、この減ったお金をまるごと補充してもらえます。つまり火災が起きても、「あなた」にも「あなたが経営する資産管理法人」にも何も起こらなかったと等しいです。

 ここでやや発想が飛躍しますが、任意の期間(例えば今年一年間において)火災が起きても起きなくても、経営の結果は火災が無かったときと同じだとするならば、それはつまり「火災は絶対に起こらない」と考えても良いことになります。一見すると無茶苦茶な理屈なのですが、事業活動的には正しいです。火災というリスクがなくなってしまいました。もちろんそんな魔法のようなことは簡単には起こせません。火災により発生する損害を徹底的に研究する必要があります。また保険料もかなり高額になります。


 こんな感じで他の危険源(地震・台風・犯罪者など)に関してもリスクアセスメントを実施した結果、不動産投資の真のリスクは以下の2つだけになってしまいました。

 1.大家さんのDIYによる怪我
 2.となりの迷惑おじさんorおばさん


 不動産のリスクとしてよく聞く、孤独死や滞納、夜逃げなどは全部保険があります。ゴルフの打ちっぱなし場が倒壊しても、プリウスミサイルが突っ込んできても汚損破損特約・飛来物特約・賃料保証の組み合わせで元通りです。物件の分散方法と保険会社をきちんと選べばなんでも耐えられます。詳細は伏せますが、原発のメルトダウンもリスクにならないことが明らかになりました。半額しかかけられない地震であっても、むしろ大地震があると相場の局地的上昇が起こるため事業の収益性は変わりません(土地値が安い地域ではこの理論成り立ちません、要注意)。ただし地震に関しては左記のように分散方法が重要となるので、自宅徒歩圏内に木造アパートを集中的に買うようなやり方はおすすめできません。

 築古物件の階段が崩落して入居者が死んでも、施設賠償責任保険の対人保証で賄えますし、工事中にディスクグラインダの刃が飛んでたまたま前を歩いていた通行人に当たって運悪く失明、という事例ですら工事賠償責任保険というものがあって、私はこれにも加入しております。

 全部合わせると相当な保険料になりますが、築古物件特有のリスクはすべて保険で回避できてしまいますので高利回りがすべてを補います。築古物件でむしろ怖いのが、低家賃戦略をとってしまうことによる後述の迷惑おじさん問題ですが、私はバリュー戦略をとることでこのリスクを低減しました。築古ゆえに設備の知識は必須ですが、これに損害保険の知識と組み合わせると、築古物件でかなり儲けられます。皆、築古をリスクだリスクだ、といって避けるので値段が下がりますが、多少の保険料で全て回避できるので価格の安さだけが享受できます。これが冒頭の「保険を制するものは築古を制す」の由来です。

 とはいえ、「自分がそこにいない」or「結局お金の問題」という特殊性により、保険で大抵なんとかなるのですが、「自分がそこにいる」&「お金で解決しない」というダブルで効いてくるのが怪我です。

 最初に書いたように保険で怪我は防げません。どんなに高額の傷害保険に入ったところで、経営者が仕事ができなくなってしまえば事業活動として意味がありません。

 これはもう安全についてひたすら意識を高め続けるという地味な方法しかありません。ここで再び役に立つのが過去に解説したリスクアセスメントの手法で、そもそもこのマネジメント手法自体が怪我を防ぐための方法論が発祥です。これから自分が行う工事の内容にどのような危険源があるのか、そしてリスク低減はできるのか。リスクが許容できない場合には外注するという選択肢は十分に有効です(私の場合は屋根作業は外注すると決めてます)。

 究極的には「不動産でDIYしない、安全確保できない廃墟物件には立ち入らない」という対策で、このリスクを回避するのも一つです。DIYのリスクは築古であることとは全く無関係であることに注意してください。築浅物件でも修繕は発生しますが、この工事をDIYして怪我したのでは、なんのための築浅か、まるでわかりません。築浅ならば各種工事費も安く上がりますので、作業はすべて外注し、自分は客付けに徹底的に特化するのがおそらく正解です。「大家さん業界」にもいますよね、客付けに特化するあまり自分で宅建業の免許(宅建士の合格ではなく宅建業者の免許!)をとって、そのまま不動産仲介業の看板を掲げてしまう人が。これはこれで相当儲かると思います。不動産業者として店構えて労働してるので儲かるのは当たり前ですがね。

 
 さてもう一つ残る真のリスク、迷惑おじさん問題です。前提知識として刑法犯の場合の話を先にしますが、以前保険会社の担当者と話をしたときに犯罪者がリスクにならないことが確認できました。物件に放火されてその犯人が捕まって有罪判決が出ても、犯人ではなく保険会社に直接保険金を請求できることを代理店に確認しましたし、入居者が覚せい剤で実刑判決が出ても、事前に家賃保証会社を調査しておけばきちんと保証されます。逮捕は免責ってフェイクニュースが流布されていますが、最近のまともな保証会社では免責事項にそんなことは書いてません。ここ数年で各社は免責事項から逮捕拘留を削除しているそうです。例えば全保連ですが、入居者に起因する事象で保証免責になるのは反社・過激派、破産、虚偽契約だけです。そして当たり前ですがこれらは原契約でも契約解除事項となっております。要するに追い出せます(例外的に、破産の場合はだいぶ複雑です)。

 一方で、ストーカー被害で怖くなった入居者様が退去、というパターンでは保険が効かないのですが、退去そのものは普通に起こりますし、同じ確率で被害者が自分の物件に申し込んでくるわけですから条件としてはイーブンです(広告料が発生するけど)。ストーカーは物件に対してではなく入居者様に対して付きますからね。

 ここまでヒントを並べればお分かりになるかと思いますが、このストーカー被害の物件版と言えるのが、迷惑おじさん・おばさん問題です。自分の物件に「迷惑おじさん」が出現したとします。そして周りの入居者様を威嚇します。怖くなった入居者様は退去します。そんなことが数人続くと、仲介業者からは「あの物件には迷惑おじさんが住んでるから客付けできない」となってしまいます。

 刑法犯ならば警察に逮捕拘留されてしまうため、安全管理における「リスクの隔離」が実現できるのですが、威嚇・騒音・汚染悪臭など、迷惑おじさんは犯罪とまでは言えないところに位置されるため、この隔離ができません。では損害賠償請求ができるかと言うと、借地借家法の関係と、そしてなにより大家からしたら「お客様」であるので裁判では大変不利な立場になります。自分の所有物ではない隣の物件の入居者が嫌がらせをしている場合には借地借家法が関係ないので不法行為で損害賠償請求ができるかもしれませんが、もともと「聞く耳持たず」なのて長期化します。具体的には確定判決→(どうせ賠償金を払わないので)差し押さえ→競売→強制執行、の流れで2年です。隣が分譲賃貸であれば隣のオーナーに退去させろと内容証明郵便を送った上で、(前述のように借地借家法の都合で退去させられないので)何も対処してもらえないという結果をもって「共同不法行為」でオーナーから金を取るという飛び道具が使えますが、やたら効率が悪い上に、そもそもアパートだと手詰まりします。

 昔からこの手の輩は存在していて、暴力団の資金源の一つだったそうですが、だいぶ昔に法律が変わって反社という時点で借地借家法が適用されなくなりましたので、昔に比べてだいぶリスクは軽減されてはおります。

 しかし営利を目的としていない、無自覚の素人迷惑おじさんは一定数存在しており、危険源としてみた場合のリスク低減策が殆どありません。しかもややこしいのが、この手の迷惑おじさんをこの記事ではまるでゴミクズのように書いていますが、本人はうつ病やアルツハイマー症などの脳機能の疾患を持っている事が多く、社会的には決して排除していい存在ではなく、むしろどうやって社会が受け入れていけばいいのか考えなければいけない人々です。裁判で不利になるのもこれが理由です。自分が将来、脳疾患にかかって迷惑おじさん化する場合もあるかもしれない、と考えてみてください。でも、だからといって自分の賃料収入をみすみす垂れ流して良い理由にはなりません。

 具体的な対策ですが、現在の損害保険会社では「迷惑おじさん保険」は存在しません。そのため、怪我についで、不動産投資をする場合の真のリスクとなります。大家さんでなくても持ち家を買うと同じリスクを負いますが、このリスクは物件数に比例するのでやはりこれは「不動産投資特有のリスク」と言えます。一般の持ち家でも同じという意味では「住宅ローンで買った家の近所に迷惑おじさん・迷惑おばさんがいたらどうしよう」という不安は皆が持つはずなので、もし迷惑おじさん保険があれば一般の不動産購入者にバカ売れするはずなんですが、どうでしょうか?

 さて、保険に頼らないリスク低減策ですが、迷惑おじさん・おばさん全てに共通する特徴があり、それは「暇人である」ということです。日々忙しければ騒音を撒き散らしたり近隣住民を威嚇したりする時間はありませんからね。となるとリスク低減をするには、暇人が住めない集合住宅もしくは地域に仕上げれば良いことになります。具体的には賃料相場で、生活保護や年金生活者が住めない価格帯を目指します。金持ちの会社役員が定年した途端に迷惑おじさん化する事例もあるにはあるので、高級住宅地ならば安心というわけではないですが、円滑な地域コミュニティーが機能している、サラリーマン世帯・子育て世代が少しでも多そうな地域、および物件を目指していくとこの手のリスクは減らせるかもしれません。私は新築建売住宅を一つの指標にしていて、サラリーマン向けの新築建売住宅が常時建設されているような地域を好みます(注文住宅ではなく建売住宅であることが重要)。こういう活気ある街は大東建託が立ち並ぶリスクも、負動産化するリスクもかなり低いのでその点もメリットです。
 全く逆のアプローチとして、隣のおじさんから威嚇されようが、ラジオを全開で鳴らされようが出ていけない、例えば生活保護や地域とびきりの最安値を目指すというのも一つの打ち手ですが、なんだか疲れそうな経営手法です。こういう迷惑おじさん物件を狙って格安で買い、超人的コミュ力で懐柔して市役所を巻き込んでうまいこと入院させて、莫大な転売益を得ている凄腕大家さんもいます。手先は不器用だし計算もできないしデザインセンスもないけど、対人問題ならば何でもこなせる、という私のちょうど逆のスキルセットの持ち主ならばまあアリかもしれませんが、ここまで来ると不動産賃貸業というよりはまさに地上げ業者です。


 とにかくまとめとして、「DIYの怪我」と「迷惑おじさん・おばさん問題」が不動産投資で増大する特有のリスクとなります。これ以外のリスクは保険と物件の分散によりすべて回避できます。なので、不動産賃貸業をやっていく皆様にあたっては、まずは損保に強い保険代理店の担当者に会って徹底的に商品を研究してから、入れる保険に全部入り、築古物件を買うときは周辺地域の「活気」にアンテナをよく立てて検討するようにしてください。そしてその指標は建売住宅(駅近の場合は実需向けの分譲マンション)です。こういう場所の地価はやや高めなので、買えるのはどうしても訳あり物件になりがちですが、前述のようにリスクは保険で対処できるのでゆっくり時間をかけて料理してください。その際の物件再生にあたっては、工具や作業における危険源を列挙して、最悪の事態を想定しながら必要な保護具をきちんと着用し、安全マージンを取って作業してください。以上がセリフォ築古再生で儲けるために私が見つけた定石です。

 せつめい終わり。

それではまた~。
 
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