こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)

 前回の記事においてコメントで「戦争リスクはどうするの?」というご質問がありました。おそらく不動産投資に反対する人の言う「戦争が起きると火災保険は出ないんだぞ!」という主張のことだと思います。この点ももちろん過去に保険を研究した際に検証済みですので、せっかくなので今回解説します。

 前回の結論が「不動産で増大する特有のリスク=怪我と迷惑おじさんおばさん問題のみ」というものでした。ここではその反対である「不動産を含めた全産業に共通するリスク」について一切言及していませんでした。

 不動産投資の火災保険では戦争が免責、これは事実です。約款にも書いてありますので、不動産投資において戦争は避けがたいリスクです。ところが、あなたがサラリーマンだったとして「あなたの勤務先」が戦争で破壊された場合も同様に、誰も保証してくれません。工作機械などの保険も自動車保険も戦争は免責です。要するに何が言いたいかと言うと、戦争で収入を失うリスクは不動産をやっていてもやっていなくても全く変わらないということです。そのため「不動産には戦争のリスクがあります=だから他の投資をするべきです」とは言えません。どの投資先でも同じです。また「投資をしない」という選択はますます戦争リスクに脆弱になります。戦争リスクがあるじゃないかという人は、そもそも経済活動自体をするなと言いたいのでしょうか。きっと違うはずで、この部分の分析の不足だと思います。むしろ何らかの投資をしておくことで、勤務先にミサイルが落ちてきても、収入を失うことが避けられます。極論いえば、戦争に備えるならば不動産投資です!

 戦争のリスクヘッジの代表格は金、つまりゴールドです。戦後最大の金価格は40年前のソビエト連邦のアフガン侵攻時だそうです。「有事の金買い」という言葉がありますが、これって戦争が起こったときには金を買えって意味ではなく、戦争に備えて今から金を買っておけという意味だそうですよ。戦争はリスクではない、とここで主張する私ですが、「有事の金買い」を完全実行して(不動産であろうがなかろうが)事業の収入すべてを金塊にして常に身につけている人がもしいたら、負けを認めざるを得ません。

 無敵のゴールドであっても、人類が壊滅的被害を受けて価値交換活動が停止してしまえば完全に無力です。不動産投資でも金投資でも、人類が滅亡すると破産せざるを得ません。というか破産という概念がなくなりますね。恐竜が滅んだ6500万年前の隕石の衝突だけでなく、割と最近でいうと9万年前に日本を壊滅させた阿蘇山カルデラ噴火や、もっと大規模なものだとペルム紀末に地球上の生物の96%を死滅させたと推定されるシベリア火山活動、他には宇宙規模の災害として太陽系から数百光年以内で発生する超新星爆発のガンマ線ビームによる全生物の致死的な被曝なども、不動産投資をする上でのリスクと言えます。不動産投資にはまだ○○のリスクがありますよね、と言ったところでそれは認めるものの、不動産投資をやらないことで人生全体・資産全体でそのリスクから逃れられるかどうかを考えなければ意味がありません。リスクが変わらないならば、不動産投資においてそれはリスクとは言えなくなります。人類滅亡は不動産投資の最大のリスク(入居者が世界中からいなくなる)ですが、だから不動産投資はしない、という人はいないはずです。

 人類滅亡は冗談にしても、全産業の共通するリスクはまだあります。政治リスクです。法律が変わってしまうことによって利益が激減してしまうことが過去にあらゆる産業で起こっています。最近の例でいうと貸金業、パチンコ屋、弁護士事務所などです。法規制がないことで好き放題やって儲けられた、もしくは法律で守られているために儲けられた産業ですが、規制強化もしくは規制緩和により、ある日突然儲からない業種になってしまいます。

 もう一つ。よく不動産で指摘される大島てる問題ですが、これも実は「風評被害」という全産業リスクの一つの形態なんですね。

 まず、事故物件が発生したとします。孤独死保険の最も強力なものは、原状回復だけでなく、「告知事項あり」になることで減ってしまう賃料まで保証してもらえる商品があります。なので、事故物件になることで賃料収入が下がることはリスクゼロにできます。事故死を隠して募集したいの、大島てるのおかげでバレるじゃないか!プンプン!なんてことを主張するのはやめてくださいね。

 問題は社会通念上で告知事項とされる時期を過ぎているのに、または入居者が決まって住んでいるのに、掲載され続けるということになります。おそらくコメントされた方はここを指摘したかったと思うのですが、事故物件隠しを許すまじ!と言って何年も前のつまらない事故死を掲載し続けているというのは、科学的根拠のない批判的な情報の流布であり、要するに「風評被害」です。

 どの産業にも風評被害ありますよね。「日本の農作物は放射能で汚染されている!」とか「プリウスは老人の事故が多い」とかです。損害賠償請求しても「表現の自由」だとか「報道の権利」だとか言います。大島てる(の運営者)さんも「これは報道であり、我々には報道の自由がある」とTV出演で言っていました。その割には妙に小規模の賃貸集合住宅に偏っていますが。風評被害のうちでも、歪んだ感情から特定の個人が特定の会社や製品を執拗に攻撃する事例もあり、属性としてはかなり「迷惑おじさん」に近いものがあります。

 しかし他の産業と比較して、むしろ事故物件の場合は特定の大家さんへの集中攻撃ではなく被害が分散するため、典型的な他産業に比べたらまだマシです。いろいろな本やブログを見ていますが、「事故物件になって破産した」とか「大島てるに載って破産した」という大家さんを見たことがありません。むしろ「事故物件の対応で精神的なストレスを受けて嫌になって安値で売ってしまった(損した)」という事例が多く見られるようでして、強い心さえ持っていれば、事故物件を持ち続けることによる損害は限定的です。特定の風評被害で倒産することが少なくない外食産業などと比べたら、大島てる程度の風評被害で済んでいる不動産投資はむしろ低リスクです。大島てるが怖くて不動産が買えない人がもしいるならば、自分の勤務先の製品や従業員のトラブルがネットで大炎上してワイドショーで流れるリスクを想像してみてください。大島てるの100万倍怖いです。勤務先の風評被害倒産が怖いので私は不動産投資をはじめました。

 あと忘れてはいけないのが取引先の倒産リスクです。不動産投資を目指す方で、これをリスクとして列挙する人がほとんどいないことに私は驚いています。リフォーム費用を払った途端に工務店に夜逃げされた、家賃保証会社が飲食経営に手を出して破産して多数の入居者が無保証になった(一番保証してほしいのは滞納がちな入居者なのに、こういう入居者は新たな保証会社で全て断られます、大迷惑!)、などです。取引先倒産は世の中で日常的に発生していますが、当然、不動産投資業界でも日常的に発生しています。孤独死や事故死などよりよほど恐ろしいです。迷惑おじさん同様の人災系の損害なので、もちろん保険も効きません。共済等はありますが、あくまで「いさというときお金を借りられる」というだけで返済が必要で、お金の補充はしてもらえません。

 この手の全産業リスクにおいては、むしろ単純に「不動産一つに集中する危険性」をきちんと恐れるべきです。例えば太陽光投資。固定買取制度と火災保険と賠償責任保険によって本当に完全ゼロリスクが実現されているのですが、私はやりませんでした。理由は、前述の政治リスクで、要するに法律が変わって電力を買い取ってもらえなくなるかもしれないからです。特に太陽光は国策で始められた産業ですので、政策によって壊滅する確率も極めて高かったのです。そういう意味では現在太陽光で儲かっている人は「太陽光に目をつけたから儲かった」というよりは「政治リスクに対するリスクプレミアムを受け取っている」と表現するほうが正しいです。全資産を太陽光投資にベットした方は今頃大儲けでしょうが、もし自民党政権に戻った当時に「民主党が作った太陽光制度はすぐさま中止にします」となっていたら自己破産一直線だったわけです。

 同様の理屈で、「2億の大型物件を2棟」みたいな買い方にも私は反対です。ここで列挙していないものも含めて全産業リスクは無数にあり、自己資本比率に対して物件数が少ないとちょっとした変動で資金ショートを起こします。意外かもしれませんが、計算上は物件数が少ないほどリスクが下がります。しかし、いざ事故が起こったときの損害の度合いは反比例しますので、統計的に不偏分散は増大し、損害の最大値は物件数が2や3だとかなり大きくなります。なので私は小さな物件をいろいろバラけさせる戦略をとっています。安全のために小さな物件を複数に分けたほうがいい、というのは肌感覚で理解されている方が少なくないと思いますが、統計的にも損害額の不偏分散(未来の損害の予想値)およびポアソン分布で証明することが可能です。

 立地や種別を分散させると言ったところで、不動産一本槍での投資というのも、投資先として分散できていないという点でこれら産業リスクを受けがちです。理想を言えば不動産と逆の動きをする産業に投資できるのであればそれが理想です。でも、それができないから(実利10%の投資なんて、私には現物築古不動産以外で思いつきません)「仕方がなく」不動産一本に絞っているというのが現実です。

 そうは言っても、例えば「飲食業」や「開業医」などに投資することと比較すると、利回りの割に産業の固有リスクが極めて少ない不動産投資こそが、特別な投資センスのない私のような人間にはあっているのかな、と思います。

それではまた~。
 
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