こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)


 前回の続きです。不動産事業にはいろいろな形態がありますが、キャッシュフローがどうとか金利がどうとかいう前にまず、経営戦略としてどのような作戦で挑むかを考えようという話です。物件価格は値切れるだけ値切ったほうがいいですし、金利は安ければ安いほどいいです。しかしその入口で失敗していれば、どんなに値切っても、どんなに低金利でも全く儲けなど出ません。

 私の場合、属性的には地方大型RCフルローンが可能でしたが、不動産市況の変化次第で儲かる確率と損する確率が半々だったので真っ先に選択肢として除外しました。不動産を探して買って運営するという明らかに労働をしているにも関わらず、利益の期待値がゼロなんて信じられません。たとえその管理が「電話一本で管理会社に行ってもらう」であったとしても「知的労働」に追われるのは間違いなく、それなのにタダ働きです。最終的に儲かって現金が得られることが100%確実ならばそれでも構わないのですが、タダ働きして儲かるかどうかわからないのは嫌すぎます。

 明らかに働いているのだから、その対価はもらうべきです。対価とはキャッシュフローでも資産でもなく「使っても良いお金」です。働いているのに生活費として使えるお金がもらえないならば、それは事業として失敗しています。たとえ資産が大きくて、キャッシュフローがプラスでも、です。ここを勘違いしている人が多いです。

「30年ローンでキャッシュフローに余裕があるように見えても、それは将来の前借りだから使ってはいけない」

とはよく言われていることでこれはこれで正しいのですが、

「ローンを返し終わるまではあなたのお金ではないから、お金は決して使ってはいけない」

という清貧思想も実は事業経営として間違っています。いや、清貧思想が悪いと言うよりは、清貧思想でないと不安や危険になるようなレベルの低い経営が悪いです。繰り返しますが、不動産賃貸業は明らかに知的労働であり、時として肉体労働なのですから、その対価は当然もらうべきですし、もらえないようならばそれは事業経営が間違っています。

 「利回り」という言葉が良くないです。多くの人を勘違いさせます。利回りとは本来は契約書に判子を押したらあとは何もしない人、が受け取るお金です。もしあなたが労働することによってその利回りを維持できているならば「投資家のあなた」が「作業者のあなた」に給料もしくは外注費を払った上での利回りを計算しなければいけません。作業費を払ったら利益が残らないならばそれは本来の利回りがマイナス、という意味ですし、そうならないように作業費を支払わない(=あなたがお金を使わない)ならばビジネスとして成り立っていません。一方で、仮に正当な対価がもらえるならば、投資としての利回りは低くても構いません。あなたの不動産投資専属の経営コンサルタントとして、不動産営業マンとして、または設備技術者としての仕事で十分な利益が出ていますので、形態はどうであれ不動産賃貸業で稼いでいることには違いがありません。個人事業としてみた場合にはかなりの利益率だと思います。


「もう働きたくない、投資で生活したい、でも自己資金がない→株では借り入れができないので不動産投資が最適なのです!」

 と主張する人がいますが、金融理論的にはフルローンで買ってあなたが本当に何もしない場合、利回りは0%となります。具体的には物件の利回りから減価償却費と諸経費と人を雇うお金を引き算すると銀行金利と同じになります。正確には逆で、銀行金利と釣り合うまで物件価格と諸経費が上昇します。利回りがゼロならば丁半博打そのものですので、FXでフルレバレッジしたほうが手っ取り早いです。FXは大損すると言いますが不動産も同じ確率で大損しますので、わざわざ不動産屋に行かないと買えないマンションより通貨投資のほうが楽です。
(自己破産できないようにロスカットされるFXと違って、不動産投資は自己破産できるから勝率100%の投資だ、という腹くくった玉砕戦略を取る人もまれにいますが、そこまで徹底的に研究しているならば一つの到達点なので、私からは何も言いません。)

 ちょうどその逆で、悠々自適な不動産投資と自身では言いながら、銀行めぐり物件めぐり管理会社めぐりでサラリーマン以上に働かされているのでは?と思われる例もよく見ますね。主張は別として、たくさん働いてたくさん儲けが出ているならばそれはそれで素晴らしいです。孫正義もビルゲイツもトランプ大統領も投資家であり大富豪ですが、めちゃくちゃ働いています。「金持ち父さん~」を読むとまるで投資家は働かないのが正義、と勘違いしそうですが世界の一流投資家はサラリーマンの2倍も3倍も働いています。労働基準法も法定休日もありません。


「もう[会社では]働きたくない、事業家になりたい、でもサラリーマン以上に安定がほしい→不動産賃貸業が最適なのです!」

 これならば十分に成り立ちます。投資家ではなく事業家です。事業ならば借金して開業するのは当然ですし、借金を返しながらなおかつ自分の生活費も稼がなければいけません。ベンチャー企業なので無限責任を負い、日々働くのは言わずもがなです。不動産を株と比べるのは間違っていて、どちらかと言うとラーメン屋やIT起業と比較するほうが正しいです。そうは言ってもラーメン屋は9割が失敗して無一文になるでしょ?と思うでしょうが、それは9割の人の経営のレベルが低いからです(経営のレベルが低い人ほど何故かラーメン屋を始めたがるんですよね)。ラーメン屋と違って、週末に仕事をするだけで稼げるのと、事業固有のリスクを保険でほぼゼロにできることが不動産賃貸業のメリットと言えるでしょう。

 不動産の利益は、純粋に投資としての利回りと、労働者としての稼ぎの合計で評価する必要があり、そのバランスを決めるのは経営戦略の一部です。自己資金がない場合、純粋な投資としての利回りは上記のとおりゼロになるので、見かけ上「利回り」として現れている不動産の利益でも実態としては労働で得たお金です。言い方を変えると、フルローンで物件を買うということは「物件に店長として雇ってもらう」ことと等しいです。どうせ雇われるならば、利益効率の良い働き方というのはもちろんあって、ここが上手ならばフルローンで物件を買っても当然利益は出ますし、家賃の一部を生活費に使っても構いません。一旦儲かってしまえば、そのお金を生活費に使っても、再投資に回し事業拡大しても、好きにして良いでしょう。もしこれがコップの水に例えられるように「利益全額を、再投資に回さなければいけない」という清貧思想が必要なのだとしたら前回から繰り返しの主張になりますが、その実態は再投資ではなく経費の補充であり、要するに儲かっていないので経営の失敗です。

 再投資することは事業の拡大に直結しますのでもちろん素晴らしいことなのですが、それは経営者の自由意志によらなければなりません。経営資本のうち固定資産は減価しますので、売上の一部または大半は再投資に回さなければいけませんが、必ず残るお金があるはずです。もし「生活費に使ってもいいし、再投資に回してもいい、好きにできるお金」が増えないのだとしたら、キャッシュフローがプラスでも損益計算書がプラスでもそれは儲かっていると言いません。コップの水のたとえ話に騙されてはいけません。

 私が現在の築古セリフォ戦略を決めたときのキーワードはこうです。

「すぐにお金持ち/10年後もお金持ち/老後もお金持ち」

 要するに不動産を買って家賃が入ったら、そのお家賃の一部を生活費で使ってもよく、10年後も同様に家賃の一部を生活費に使ってもなお、老後(将来)にもローンのない資産が残る、という仕組みです。不動産を始めて本業以外に労働することで、生活水準が一生に渡って上昇する仕組みです。貯金も借金も自由自在の現代においては、キャッシュフローがプラスかマイナスかは重要な要素ですが本質ではありません。儲かっているかどうかを財務会計的に理解する必要があります。場合によってはキャッシュフローがマイナスでも本当に儲かっているならば借金しながら生活すればいいだけです。儲かっているけれどキャッシュフローがマイナス、というのは債務が激減しているという状態ですので、貸借対照表と損益計算書的にはかなり健全です。

 上にも書いたように解は人によって異なります。もし私が真っ先に除外した地方RCフルローン方式で上記のように、景気変動に関わらずずっと生活費に使えるお金が得られる戦略が実行できるならば、なにか大きな工夫か背景があるはずで、それはそれでその人にとっての正解です。だいぶ前に紹介した書籍「小さな会社★儲けのルール」でも戦略の重要性が口を酸っぱくして説かれています。
「兵士(作業者)が毎回行う決まった動作」は戦術(タクティコース)であり、
「将軍(経営者)の頭の中にしかないもの」が戦略(ストラテジス)です。
戦略を練ることは物件を買う前からいくらでもできますので、うっかり物件を買って不利な戦術に追い込まれるより先に優れた戦略を考えましょう。

それではまた~。
 
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