取締役リーヌのDIY不動産投資

日曜大工しながら夫婦で不動産投資やっているDIY系サラリーマン大家です。 成功も失敗も、小ネタもノウハウもありのままに。

2019年10月


こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)


 前回の続きです。不動産事業にはいろいろな形態がありますが、キャッシュフローがどうとか金利がどうとかいう前にまず、経営戦略としてどのような作戦で挑むかを考えようという話です。物件価格は値切れるだけ値切ったほうがいいですし、金利は安ければ安いほどいいです。しかしその入口で失敗していれば、どんなに値切っても、どんなに低金利でも全く儲けなど出ません。

 私の場合、属性的には地方大型RCフルローンが可能でしたが、不動産市況の変化次第で儲かる確率と損する確率が半々だったので真っ先に選択肢として除外しました。不動産を探して買って運営するという明らかに労働をしているにも関わらず、利益の期待値がゼロなんて信じられません。たとえその管理が「電話一本で管理会社に行ってもらう」であったとしても「知的労働」に追われるのは間違いなく、それなのにタダ働きです。最終的に儲かって現金が得られることが100%確実ならばそれでも構わないのですが、タダ働きして儲かるかどうかわからないのは嫌すぎます。

 明らかに働いているのだから、その対価はもらうべきです。対価とはキャッシュフローでも資産でもなく「使っても良いお金」です。働いているのに生活費として使えるお金がもらえないならば、それは事業として失敗しています。たとえ資産が大きくて、キャッシュフローがプラスでも、です。ここを勘違いしている人が多いです。

「30年ローンでキャッシュフローに余裕があるように見えても、それは将来の前借りだから使ってはいけない」

とはよく言われていることでこれはこれで正しいのですが、

「ローンを返し終わるまではあなたのお金ではないから、お金は決して使ってはいけない」

という清貧思想も実は事業経営として間違っています。いや、清貧思想が悪いと言うよりは、清貧思想でないと不安や危険になるようなレベルの低い経営が悪いです。繰り返しますが、不動産賃貸業は明らかに知的労働であり、時として肉体労働なのですから、その対価は当然もらうべきですし、もらえないようならばそれは事業経営が間違っています。

 「利回り」という言葉が良くないです。多くの人を勘違いさせます。利回りとは本来は契約書に判子を押したらあとは何もしない人、が受け取るお金です。もしあなたが労働することによってその利回りを維持できているならば「投資家のあなた」が「作業者のあなた」に給料もしくは外注費を払った上での利回りを計算しなければいけません。作業費を払ったら利益が残らないならばそれは本来の利回りがマイナス、という意味ですし、そうならないように作業費を支払わない(=あなたがお金を使わない)ならばビジネスとして成り立っていません。一方で、仮に正当な対価がもらえるならば、投資としての利回りは低くても構いません。あなたの不動産投資専属の経営コンサルタントとして、不動産営業マンとして、または設備技術者としての仕事で十分な利益が出ていますので、形態はどうであれ不動産賃貸業で稼いでいることには違いがありません。個人事業としてみた場合にはかなりの利益率だと思います。


「もう働きたくない、投資で生活したい、でも自己資金がない→株では借り入れができないので不動産投資が最適なのです!」

 と主張する人がいますが、金融理論的にはフルローンで買ってあなたが本当に何もしない場合、利回りは0%となります。具体的には物件の利回りから減価償却費と諸経費と人を雇うお金を引き算すると銀行金利と同じになります。正確には逆で、銀行金利と釣り合うまで物件価格と諸経費が上昇します。利回りがゼロならば丁半博打そのものですので、FXでフルレバレッジしたほうが手っ取り早いです。FXは大損すると言いますが不動産も同じ確率で大損しますので、わざわざ不動産屋に行かないと買えないマンションより通貨投資のほうが楽です。
(自己破産できないようにロスカットされるFXと違って、不動産投資は自己破産できるから勝率100%の投資だ、という腹くくった玉砕戦略を取る人もまれにいますが、そこまで徹底的に研究しているならば一つの到達点なので、私からは何も言いません。)

 ちょうどその逆で、悠々自適な不動産投資と自身では言いながら、銀行めぐり物件めぐり管理会社めぐりでサラリーマン以上に働かされているのでは?と思われる例もよく見ますね。主張は別として、たくさん働いてたくさん儲けが出ているならばそれはそれで素晴らしいです。孫正義もビルゲイツもトランプ大統領も投資家であり大富豪ですが、めちゃくちゃ働いています。「金持ち父さん~」を読むとまるで投資家は働かないのが正義、と勘違いしそうですが世界の一流投資家はサラリーマンの2倍も3倍も働いています。労働基準法も法定休日もありません。


「もう[会社では]働きたくない、事業家になりたい、でもサラリーマン以上に安定がほしい→不動産賃貸業が最適なのです!」

 これならば十分に成り立ちます。投資家ではなく事業家です。事業ならば借金して開業するのは当然ですし、借金を返しながらなおかつ自分の生活費も稼がなければいけません。ベンチャー企業なので無限責任を負い、日々働くのは言わずもがなです。不動産を株と比べるのは間違っていて、どちらかと言うとラーメン屋やIT起業と比較するほうが正しいです。そうは言ってもラーメン屋は9割が失敗して無一文になるでしょ?と思うでしょうが、それは9割の人の経営のレベルが低いからです(経営のレベルが低い人ほど何故かラーメン屋を始めたがるんですよね)。ラーメン屋と違って、週末に仕事をするだけで稼げるのと、事業固有のリスクを保険でほぼゼロにできることが不動産賃貸業のメリットと言えるでしょう。

 不動産の利益は、純粋に投資としての利回りと、労働者としての稼ぎの合計で評価する必要があり、そのバランスを決めるのは経営戦略の一部です。自己資金がない場合、純粋な投資としての利回りは上記のとおりゼロになるので、見かけ上「利回り」として現れている不動産の利益でも実態としては労働で得たお金です。言い方を変えると、フルローンで物件を買うということは「物件に店長として雇ってもらう」ことと等しいです。どうせ雇われるならば、利益効率の良い働き方というのはもちろんあって、ここが上手ならばフルローンで物件を買っても当然利益は出ますし、家賃の一部を生活費に使っても構いません。一旦儲かってしまえば、そのお金を生活費に使っても、再投資に回し事業拡大しても、好きにして良いでしょう。もしこれがコップの水に例えられるように「利益全額を、再投資に回さなければいけない」という清貧思想が必要なのだとしたら前回から繰り返しの主張になりますが、その実態は再投資ではなく経費の補充であり、要するに儲かっていないので経営の失敗です。

 再投資することは事業の拡大に直結しますのでもちろん素晴らしいことなのですが、それは経営者の自由意志によらなければなりません。経営資本のうち固定資産は減価しますので、売上の一部または大半は再投資に回さなければいけませんが、必ず残るお金があるはずです。もし「生活費に使ってもいいし、再投資に回してもいい、好きにできるお金」が増えないのだとしたら、キャッシュフローがプラスでも損益計算書がプラスでもそれは儲かっていると言いません。コップの水のたとえ話に騙されてはいけません。

 私が現在の築古セリフォ戦略を決めたときのキーワードはこうです。

「すぐにお金持ち/10年後もお金持ち/老後もお金持ち」

 要するに不動産を買って家賃が入ったら、そのお家賃の一部を生活費で使ってもよく、10年後も同様に家賃の一部を生活費に使ってもなお、老後(将来)にもローンのない資産が残る、という仕組みです。不動産を始めて本業以外に労働することで、生活水準が一生に渡って上昇する仕組みです。貯金も借金も自由自在の現代においては、キャッシュフローがプラスかマイナスかは重要な要素ですが本質ではありません。儲かっているかどうかを財務会計的に理解する必要があります。場合によってはキャッシュフローがマイナスでも本当に儲かっているならば借金しながら生活すればいいだけです。儲かっているけれどキャッシュフローがマイナス、というのは債務が激減しているという状態ですので、貸借対照表と損益計算書的にはかなり健全です。

 上にも書いたように解は人によって異なります。もし私が真っ先に除外した地方RCフルローン方式で上記のように、景気変動に関わらずずっと生活費に使えるお金が得られる戦略が実行できるならば、なにか大きな工夫か背景があるはずで、それはそれでその人にとっての正解です。だいぶ前に紹介した書籍「小さな会社★儲けのルール」でも戦略の重要性が口を酸っぱくして説かれています。
「兵士(作業者)が毎回行う決まった動作」は戦術(タクティコース)であり、
「将軍(経営者)の頭の中にしかないもの」が戦略(ストラテジス)です。
戦略を練ることは物件を買う前からいくらでもできますので、うっかり物件を買って不利な戦術に追い込まれるより先に優れた戦略を考えましょう。

それではまた~。
 
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こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)


 先週は「法人化と節税」ということで、法人を作って物件を買いたいけれど、それを銀行が許してくれない、という話でした。

 ではどうするか。アパートを買う前に、先に法人を作っておくしかありません。それにわずかであっても売上が必要です。そこで自己資金を入れるでも、自動車ローン/教育ローンでお金を工面するでもいいので、可能な限り小規模の不動産を買います。小規模にこだわるのは、与信も経験もない一軒目はどうしても悪条件になりがちなので、大きい物件を買っても不利にしかならないためです。一軒買って運営し、法人としての与信を伸ばすとともに、大家としての経験も積みます。理想は3年ですが、最低でも1年修行します。そうして初めて法人で融資を受けて中規模~大規模の物件を買うための準備が整います。

 やたら回りくどいですが、こうやって準備すると、以後の不動産経営がイージーモードになって簡単に儲けられるようになってきます。しかも先週のように年収1000万円オーバーの手取り収入になるまで税金がほとんどかかりません。

税金が減る→お金が残る→与信が増える→利回りが増え金利が減る→.お金が残る→..

というループが回ります。今の私はちょうどこのステージです。詳細は別途記事にしますが、築52年区分をオーバーローン、金利0.76%で借りることができるようになりました。耐用年数オーバー(しかも借地権)の区分所有で融資が通るなど思っていなかったのでダメ元でアタックしたら、とんでもない低金利でびっくりです。4年DIY修行して見せ金も貯めておいたかいがありました。再現性の程度はこれから数年かけて検証していくことになりますが、これが可能なら自己資金を使わず、無限にボロ物件を買い増し続けることができてしまいます。ボロ物件のメリットはその圧倒的高利回りですが、とにかく融資が出ないというデメリットもあります(というか融資が出ないから安い=利回りが高い)。ところが実績さえあれば関係ないんですね。

 ところで、リーマンショックの少し後くらいの話になりますが、大学生や20代サラリーマンが法人で2億前後の物件を月刊誌のようにどんどん買い進めて行く手法がもてはやされました。わざわざ3年も修行しなくても資産20億円など容易に実現できそうです。ところが新設法人にフルローンが通るような銀行は金利が4.5%でした。また、この銀行が使えるのは地方の広告費マシマシ地域のエレベータ付き大型RCのみです。要するに儲からない物件を金利4.5%で買わなければいけないんです。まるで人生全体をベットした壮大な罰ゲームのようですね。では彼らは今、どうなったか?なんと予想に反して、莫大な富を築きました。なぜって2010年から2018年にかけて不動産価格が値上がりしたので、たとえ賃貸経営で儲けが無くても、不動産相場上昇に乗って売却益で儲かったんですね。付け加えるならば、彼らの買い方ゆえのキャッシュフローが破綻する時期と物件の高騰時期がちょうど重なったため、「このままだと今年中に破産するけど、売ったら莫大な儲けが手元に残る」という不思議な状態となりました。売らざるを得ない時期と売るべき時期が重なったのも幸運です。でも、「不動産相場が値上がりしたから儲かった」というのであれば、わざわざ銀行通い/不動産屋通いなど面倒くさいことしなくても、証券会社で株を買えば済むことです。売却時の物件価格の値上がりに期待するならば、それはマクロ経済に投資していることと同一であり、マクロ経済に投資するならば株が最も儲けが良いです。

 つまり彼らがやっていたのは、カードローンで最大限お金を借りて、そこからさらに証券会社の信用取引で不動産関連株を限界まで買っていたことと同じです。不動産相場が上昇するという未来が見えているならば、これほど簡単でボロ儲けする投資などありません。当時、地方大型RCオーバーローンをやっていた彼らがこの未来を見越していたのだとしたら、それは本物の天才ですし、マクロ投資の天才ならばやっぱり不動産ではなく株をやるべきでしょう。そうでないならば単に丁半博打に勝っただけです。全く同じことを30年前にダイエーがやって、上記投資家とは逆に未来予測を外し、大損害で倒産寸前まで行きました。瀕死のダイエーを買収したイオングループが徹底して不動産に投資をしない会社(ほぼ全ての店舗が賃借)であったことがまた対照的です。

 横道に逸れたので話を戻しますが、とにかく投資を志したその瞬間、そして物件を買う前から計画的に法人化と自身の与信管理と自分の経験値を管理しないと不動産賃貸業はまともに利益など出ません。不動産経営とは要するにリアル「リソース管理ゲーム」なんですね。現金が尽きたら終わりのゲームなのは当然ですが、与信や経験値、さらには自分の時間も管理の対象です。お金パラメータだけを見てこのゲームを攻略することは大変困難です。

 お金のことはみんな考えますが、与信と経験値と時間軸を計画に入れている人がほとんどいません。だからいきなり地方大型RCだったり新築木造3階建てを買ってしまうんですね。考え無しで始めても、不動産相場の幸運に支えられれば確率論で儲かることもあるでしょうが、それは同様に確率論で大損します。「いつ」「どのような物件を」「どう買うか」「どう貸すか」「どう売るか」という全てのパターンをシミュレーションしてください。やってみるとわかりますが、これはある種の多項式の極大値を求める問題に帰結します。その解は個人の資産とスキルセットの背景によって多少は変わってきますが、

不動産市場が高騰しても暴落しても同様に儲かる

という答えが見つかったらその時点であなたの成功はもう決まったようなものです。怪我や死亡事故に気をつけて粛々と実行するだけで富裕層の仲間入りです。

 戦略論の話に入って長くなりそうなので、続きは次回に回します。

それではまた~。
 
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こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)

 ※お約束なので書いておきますが、私は税理士資格を持っているわけではないので以下の文章はあくまで私個人の体験記としてお読みください。個別の相談は最寄りの税務署へ電話して予約相談してください。税務署は何度でも無料ですよ。


 「何事も計画的に」とはカードローンの広告にも書いてあります。しかし築古不動産に関して言えば計画してそのとおりに実行することなど不可能ですし、計画通りに事業を進めようとすることは時として害悪になりえます。買えるときに買い、直せるように直し、完成の雰囲気で家賃決めて期限を決めずゆっくり客付けします。無茶苦茶に見えますが、何故か退去も少なく、儲かっています。

 しかし賃貸経営の中でこれだけは計画的に進めてほしいのが税金対策、要するに節税です。先週の内容では会計を学べ、税理士を雇うなと書きましたが、それには当然、節税についても自分で調べて判断する必要があります。30年前であれば、節税の知識を買うために税理士を雇うのはまだ合理性があったのですが、21世紀の現在では「法人化 節税」「個人事業主 節税」「不動産 節税」「不動産 相続税」などで検索すれば税理士が書いたわかりやすい解説ページが多数ヒットする上に、国税局のWebサイトでも関連付けされて全部解説されているので、累計何百万円も払って専門家の知識を買う必要がありません。

 もちろん最初はいろいろとミスをするでしょうが、駆け出しのうちは利益も税額も小さいため、失敗しながら学んでいけば被害額はたかだか十数万円です。打ち手として最悪なのが消費税還付のために税理士を雇うことで、800万円を還付してもらうために金売買やら自販機やらで300万円の余計なコストを支払い、更に税理士に成功報酬200万円を払っても、受け取るのはたった300万円。にもかかわらず今後10年間で顧問税理士報酬300万円を払うことになって元の木阿弥です。税務署からは脱税傾向ありとマークされて税務調査が定期的に入って追加の税理士報酬が発生するようになるわ、経営初期の財務諸表が汚れて銀行から嫌われるわで、いいことは何もありません。

 結論を先に書くと、節税のためには法人化は必須です。よく「利益が1000万円を超えたら法人化」と言いますが、これは脱サラ開業したラーメン屋の場合の話です。法人化するには、まず初期費用としてDIYでも22万円程かかります。そして中小企業の法人実効税率は28%となります。加えて法人が存在するというただそれだけで法人住民税も7万円課税されます。そのため一般論では個人の年収900万円以上=33%の課税ゾーンに比べて法人税率が有利になることから「1000万年超えたら法人化」と言われているのです。100万円の差がありますが、これは累進課税により900万円を超えたからと言って30%課税されるわけではないことを考慮に入れています。

 ところがこの話、不動産賃貸業では当てはまりません。具体的には「利益で50万円」が境目です。やたら金額が低いです。買い方にもよりますが、現金購入だとワンルームマンション2部屋、借入ありだと小さなアパート一棟から節税効果が出ます。

 というのも、この規模の場合は当然兼業大家であるはずで、給与収入があるでしょう。年収200万円の人が現金でワンルームを買ったり、借金してアパートを買ったりするはずがない(それだけの能力があれば物件買うより先に転職しなさい)ので、ミニマムラインとして仮に年収400万円だとして、賃料収入は税率20%ゾーンに入ります。累進課税なので給与に直接20%の税率がかかるわけではないですが、そこに上乗せされる賃料収入にはいきなり20%が適用され、50万円の利益に青色申告控除10万円(不動産のみでは65万円の控除は使えません)が引かれて、8万円課税されます。いろいろ経費を積み上げたいところですが、賃貸経営では家賃やマイカーの家事按分などの「生活費を事業に肩代わりさせる」形態での「キャッシュアウトを伴わない経費計上(坊主丸儲け経費)」が全く認められません。そのため、後述する法人化で利用できる様々なワザが使えず、賃料収入がそのまま所得になってしまいます。第2の副業として不動産以外の収益事業を実際に行い、その一事業として不動産所得を申告して65万円控除と経費を計上するという裏技がありますが、マニアック過ぎておすすめできません。

 さて、単純に法人化しただけでは、利益の50万円に28%が課税されて14万円の納税となります。住民税均等割もあるので21万円です。大損しますね。ところが、法人の場合は個人では認められなかった新たな経費がたくさんあります。ここは無名かつ匿名のブログなので過激な書き方をあえてしますが、自動車や携帯電話やPCなどを買う、一般的には「生活費」と呼ばれるようなものが性質によっては経費として認められます。不動産を持っていなくても一般家庭で発生するであろうこれらの生活費が経費として認められたならば、それは実質的にはキャッシュアウトを伴わない坊主丸儲けの経費となりますので、莫大な節税効果を生みます。

 その仕組みはこうです。法人税には「家事按分(かじあんぶん)」という考え方がありません。例えば携帯電話。個人事業主の場合、iPhone本体を買ったお金や通信費は「あなたが生活のために買ったものを時々で仕事に流用しているだけでしょう。」と言われて、ごく一部しか経費として認められません。ところが、法人の場合「会社が従業員に貸与した携帯電話を私用で流用しているだけ。」という建て付けになるため、全額が経費として認められます。その判断基準は「客観的・合理的に見て、事業で使用している実態があるか?」です。そのため、その携帯電話の番号を法人名入り大家名刺に印刷して、不動産屋とのやり取りに使用していれば、それは経費になります。個人で流用しているかどうかは全く関係ありません。この考え方でいけば、PC本体や新聞代なども、法人名義で購入していれば確実に経費になります。50万円程度であればこの仕組み一つで簡単に利益をゼロにすることができるようになります。そうすると住民税均等割の7万円だけです。個人事業主の場合は8万円の税額だったことと比較すると、1万円節税できました。

 他にも会議費や旅費などです。個人事業主の場合、ましてや不動産賃貸業では会議費や旅費は経費としては認められません。とにかく日本の税制では不動産賃貸業は特別扱いされていて「経費は認めないぞ!」という姿勢が徹底しています。確定申告でも不動産賃貸業だけは別の用紙になっているほどです。サラリーマンや地主が不動産事業という名目で税から逃れることを阻止しているんですね。

 ところが法人化すると「不動産賃貸業だから」というような特別扱いが全くなくなります。要するにラーメン屋や町工場や広告会社などの一般業種と同じ扱いになります。法人化するくらい本気で事業するならお前のことを認めてやろう、という意味なんでしょうか。そのため、電話代、食事代、宿泊費、ネット環境、自動車、ガソリン代などが「事業との関連性を合理的かつ客観的に証明できれば」全額経費となります。ただし法人(多くの場合は株式会社)は所有と経営の分離という原則から、社長の勝手な判断でお金を使ってはいけないことになっています。たとえ社長でも、節税のために勝手にベンツを買ったり仕出し弁当をオーダーしてはいけないんです。それをやると経費として認められないばかりか、「会社のお金を勝手に使った。」として給与として個人に課税されます。

 何でも経費として認められる/社長が勝手にお金を使ってはいけない。一見すると矛盾しますが、要するに個人事業主と法人で異なるのがお金の帰属先で、個人事業主は乱暴に言えば社長本人の「おこずかい」で経営されているのに対して、会社では「株主から預かったお金」で経営されている、という思想の違いがあります。「おこずかい」で勝手に買ったものが経費として認められにくいのも納得でしょう。一方で「株主から預かったお金」は株主の言うとおりに使うならば、税務署であっても文句を言えません。そして株主の代理となる会社の機関は、会社法にも規定されているように取締役会です。すなわち、法人においては、取締役会で承認されたものであればなんでも経費になる、という仕組みです。とはいえ一回一回のレシートを承認するわけには行きませんので、会議費規程/旅費規程/出張規程/社宅規程/車両規程/役員給与規程/福利厚生規程などを作り、取締役会の承認を経て議事録を保管することで会社の正当な経費として認めよう、という仕組みです。自分ひとりの法人であっても、取締役会は存在することになっているため、議事録が必要です。一見すると難易度が高いですがネットでひな形が簡単に拾えます。随分面倒くさいですか?これを面倒がる人は不動産で儲けを出すことなどできませんので、Jリートか三菱地所の株でも買っておいたほうがまだ利回りが良いと思います。

 このように経費の幅が大変広く、家族構成にもよりますが概ね家賃収入が200~400万円程度までであれば、住民税の固定費7万円を除いてほぼ無税(固定資産税で何十万円も払ってるので厳密には違いますけど……)で稼ぐことができます。最初に書いたように年収400万円の人ならば、収入合計で800万円ありながら400万円分の課税しかされない、ということになります。これは給料で言えば年収1000万円の人の手取りと同じになります。すごい!

 ところが、そうは問屋が卸さない。不動産投資の法人化ですが、賃貸経営の最初から計画的に行動しなければいけません。というのも、個人で買って、後から「税金高くね?」って思ってからでは全く遅いのです。まず法人を作ったあとからしか経費が計上できないのは当然ですし、そもそもあとから物件を法人に移すのもほぼ不可能です。法人としての所有物件がなければ法人の収入がありませんし、経費も何もあったもんじゃありません。そのため物件を買うときから、法人名義で買うのが原則となりますが、新しい法人には銀行がお金を貸してくれません。一棟アパートを買おうと銀行に行くと、「個人なら貸せますが、法人では無理です。個人名義で買ってください。」と言われてしまいます。ここで折れて、絶対に個人で買ってはいけません。税引き後利回りが2%も変わってきてしまいます。不動産において利回り2%の差は圧倒的です。楽待で伝説的コラムとなった、まりお氏はこれが原因で不動産経営に失敗しました。

 さあこの難問をどうやって解きましょうか。ちょっと長くなったので続きは来週にします。


それではまた~。
 
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こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)


 不動産関係には色々と許認可が必要な行為が多く、それと同数の免許が存在します。今日は不動産投資をするにあたっての免許の必要性・有効性についてまとめてみます。

No1:日商簿記3級
 個人的な思いは次の電気工事士を一位にしたかったのですが、客観的に見てこっちのほうが普遍的ですので一位に。実際に合格する必要はないのですが、これをほぼ満点で合格できる程度の知識がないと帳簿付けができないので毎年税理士に30万円払うことになります。例えば所有不動産総額3000万円といえば、そこそこの規模まで成長できた大家さんですが、税理士報酬だけで表面利回りが1%も低下してしまいます。表面利回りで1%というと、下手な物件の買い方してしまった人にとっては利益が全部税理士のところに行ってしまう場合すらあります。不動産賃貸業の帳簿付けは難易度がかなり低いのでDIYするのにはもってこいです。税理士を雇うのはもったいないです。一般的に「簿記3級は個人事業、簿記2級は株式会社」と言いますが、不動産賃貸業を法人化しただけならば、簿記3級の知識で全部まかなえます。日商簿記といえば昔はあまり勉強ができるとは言えない高校の生徒が「必ず取るように」と言われてしまうほど簡単な試験ですので、コスパ最強です。とはいえ、要点なのでもう一度書きますが、「合格」ではダメです。100点とってください。でないと実務ができません。
 もちろん簿記の知識と確定申告・法人税申告の実務知識は異なる点も多いのですが、最低限簿記に受かっていれば税務署に行って話を聞いたときに税務署員の言うことが全て一回で理解できるようになります。これも何度か書いていますが、税務署での相談は無料です(要予約)。こちらが素人な質問をしたら素人にもわかりやすい説明を、こちらがマニアックな質問(DIYで資本的支出の工事している最中に期末を迎えた場合に建物の減価償却ってどうするの?とか)をしたら法令に基づいて正しい回答をしてくれます。ちなみに私は税務署に過去6回相談に行っています(青色申告で2回、法人税申告で2回、源泉徴収で2回)。
 簿記会計の知識があると、損益とキャッシュフローの違いを完全に理解でき、そして計算できますので、物件を買ったときに最終的にはいくら儲かるのかが計算できるようになります。業者の怪しい計算書に騙されてハズレ物件を買ってしまうことがなくなります。税理士を雇わずに済む効果よりももしかしたらこちらのほうが恩恵が大きいかもしれません。まあ、財務諸表の計算すらできないような人が不動産買うこと自体がそもそも愚かなんですがね……。


No2:電気工事士
 大家さんは絶対取りましょう。「決してDIYは行わないという経営戦略」を標榜していない限りにおいては、圧倒的コスパを誇る免許です。電気工事士を呼ぶと時給1万円を請求されるので、あなたが行列のできる弁護士か医師でもない限り、自分で作業したほうが自分の時給を考えても安上がりです。
 日本における免許証は多くの場合、「他人からお金をもらう」場合にのみ必要となる場合が多いのですが、電気工事はその例外で、免許がないとたとえ自宅であっても工事には免許が必要です。ちょっとしたスイッチ交換などで無免許工事している大家さんがなんとなく多そうな印象ですが、電気工事士を取るには実技試験があるため、この免許を取るための勉強をすると、エアコンの配線延長や、電灯線からウォシュレット配線を分岐させる工事などができるようになります。コソコソ無免許工事するくらいなら、ちゃんと勉強して免許とったほうが良いです。最低でも物件を買って収入が得られる程度の能力がある人ならば、電気工事士の試験など簡単に合格できるでしょう。私の勉強時間は筆記が3時間、実技が8時間でした。私は弱電系と通信系の高度専門教育を受けていたというゲタを履いているのでやたら短いですが、そうでない人でも後述の宅建に比較すると1/10の勉強時間で受かると思います。
 
No3:普通運転免許
 運転免許を持っていない人というのもレアケースですがあえて言及します。不動産投資を始めるとわかるのですが、自動車の移動というのはかなり頻繁に行います。ホームセンターで資材を買ったときにトラックを借りたりすることもあるのですが、それ以上に物件探しや所有物件の管理などで市内をぐるぐる回ります。車無しで不動産投資というのは現実問題なかなか厳しいと思います。物件を自宅徒歩圏内に集中させるという荒業もありますが、分散投資の点でおすすめできません(全国分散はこれまた別の理由でおすすめしませんが)。
 わざわざ不動産のためだけに車を買うくらいなら毎週タクシーを使ったほうが維持費の面で安上がりなのですが、家賃5万円の物件を見に行くのに毎週5000円、毎月2万円を払うのは精神的にダメージが大きいと思います(私が貧乏性なだけ?)。マイカーを転用して経費按分するとか、法人化しているならば社有車にしてしまうなどの方法で共用するのがローコストな方法でしょう。


No4:宅地建物取引士
 いわゆる「宅建(たっけん)」ですが、ここから下は実際問題なくてもどうにかなる資格ばかりです。レインズを直接見たい、買主側手数料を無料にしたい、それどころか別の買主を探してブローカー収入を得たい、ということで宅建業者になりたい場合は必須の資格ですが、それはもはや完全に「不動産屋」であって賃貸事業者でも不動産投資家でもないです。
 では一般の投資家が宅建を取るメリットは何かというと「仲介業者に舐められない」という点ただ一つです。でもこれ、思いのほか重要です(後述します)。もう一つのメリットとして、知識がついてマイソク広告のウソに騙されなくなる、という点がありますが、マイソクを読み込む程度の知識などちょっと勉強すれば誰でも習得できます。宅建は電気工事士のような「誰でも簡単に取れる資格」ではないので、マイソク読むためだけに宅建取るのは非効率です。マイソクから一歩進んで「業者に騙されないため」という視点もありますが、最近は仲介責任も重く評価される判例も多いのであんまり心配しなくて大丈夫です。積水63億円事件のように相手の不動産屋から売り主から物件から司法書士に至るまで全部全部架空という完全な詐欺事件は事前に察知できるかもしれませんが、たかだか2億円以下の物件しか買えない一般の投資家にはこれも関係のない話です(2億の物件では多くても4000万円までしか騙し取れないので、犯行グループを養うには全然足りません)。そもそも最も重要な「儲からない物件を買ってしまう危険性」は宅建の知識ではまるでわかりません。
 宅建の最も有効な使い方は、物件を探しに不動産屋に行って名刺を出したその一瞬です。これはどのネオ大家さんも最初に通る道なのですが、最初の物件を買うときに
「任売、競売、狭小、築古、再建築不可、借地権、事故物件、過疎地、何でもいいので安くて儲かるワケアリ物件を紹介してください!」
と不動産屋に言っても全く相手にしてもらえません。なぜなら
「また週刊ダイヤモンドの不動産特集に影響されたバカが来たw(あーめんどくさい)」
と思われるだけだからです。不動産屋さんの対応が変わったのは私が宅建を取ってからです。それまで物件を一切紹介してもらえなかったのに、
「儲かる不動産を探しています。宅建も先月受かりました。」
というと、物件を紹介してもらえるようになったのです。思いつきではなく「確実に買う気のある客」だと思ってもらえるようになりました。その後、完全に風向きが変わったのが競売で物件を買ってからです。
「宅建持ってます、競売物件持ってます、横浜でビル買って住んでます。物件紹介してください。」
というと、ネット未掲載のワケアリ物件が出てくること出てくること!不動産屋が一番困るのが、「買います」と言ってから結局「やっぱり買わない」という客です。これ本当に多いらしいです。宅建を持っているといえば少なくともそれだけの人生コストは払っているということなので、途中で逃げ出す心配はされなくなります。不動産屋は最初の挨拶のやりとりで「この客はどの程度本気で不動産を買うか?」を判断します。宅建が役に立つのはこの一瞬だけです。
 ところで宅建は合格率から言って簡単な資格ではないものの「きちんと勉強すれば必ず取れる」資格ですので、一回落ちたくらいでめげないように。物件探しと並行して進めていくと、教科書の内容と実務がリンクするので大変効率的に勉強が進みます。一般的に合格には300時間の勉強が必要だ、と言われていますが、私はそれ以前にたくさん不動産の本を読んで基礎知識があったので、実際の勉強時間は100時間なかったと思います(民法、宅建業法の理解と、あとはひたすら過去問攻略する)。それでも読書時間と競売3点セットを読み解く時間をトータルするとやっぱり300時間くらいになるでしょう。よくできた試験です。


No5:ガス可とう管接続工事監督者/ガス機器設置スペシャリスト
 前者は給湯器の交換、後者は配管まで含めたガス設備の設置ができるための免許です。電気工事士と同様に、免許がないと自分の物件であっても違法となります。有名な不動産ブロガーである必殺大家人さんはガス可とう管の免許を持っていて、ご自分で給湯器を交換しているそうです。彼のような物件数ですと日常的にガス給湯器が壊れるのですが、連絡を受けるとすぐに在庫の給湯器(!)を抱えて現場へ行き、その日のうちに交換してしまうんだとか。すごいですね。
 でもこれ、経費削減効果としては微妙なところなんです。というのも、プロパンガス物件ではガス関係の費用を基本料金という形で全部入居者持ちにするのが一般的ですし、そもそもプロパンガスは液化石油ガスになるので上記の免許では工事ができません。
 一方で都市ガス物件では東京ガスを経由して修理をお願いすると「どこで利益を出してるんだろう?」って思うくらい良心的な値段で修理してもらえるんです。「どこで利益を出してるんだろう」と書きましたが、つまり普段のガス料金にこういう対応費が含まれているようなものですね。ガスを使ってくれないとガス料金がもらえないので、ガス会社を呼ぶと(下請け会社が)すぐに修理に来てくれますし、その費用は実費のみです。よく「プロパンガス会社同士を競わせましょう」と言いますが、都市ガス会社もこの競争に真っ只中にいます。言ってしまえば東京ガスが強烈な相見積もりを代行してくれているようなものです。
 もちろん有資格作業ですので、自分でできると節約できる出張費&日当は少なくないですが、電気工事費のようなインパクトがありません。ガスは電気と違って入居中の故障緊急対応が多いことから、兼業大家の私ではこの免許をとっても活躍の場が少なそうです。私はこの免許の取得を検討していましたが、東京ガスを呼んだときの工事費の安さに驚いて、取得を棚上げしました。専業大家で大規模になったときに再度検討することにしましょう。


■No6:電気通信の工事担任者
 聞いたことがない人が多いと思いますが、これは電話線工事やデータ通信工事の免許です。私は大学時代に暇潰しで最高ランクである「アナログ・デジタル総合種(現行のAIDD総合)」を取ったのですが、今の所、1000人収容のコールセンターやAmazonのデータセンターを建設するつもりはないので宝の持ち腐れです。とはいえ、築古物件でよくわからない古い電話線に出会ったときに困ることはなくなります。左記の目的ならば「AI第三種」で十分ですので、気になる人は教科書買って読んでみてください。


いろいろ書きましたが、免許を取ってから物件を探そう、などと言っている人はいつまでたっても物件が買えませんので、先に物件買ってから免許を取る、くらいのつもりで同時進行で取り組むのが良いと思います。特に宅建はこの方法がはかどります。

それではまた~。
 
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こんにちは、リーヌです。(このブログは毎週水曜定期更新です。)

 前回の記事においてコメントで「戦争リスクはどうするの?」というご質問がありました。おそらく不動産投資に反対する人の言う「戦争が起きると火災保険は出ないんだぞ!」という主張のことだと思います。この点ももちろん過去に保険を研究した際に検証済みですので、せっかくなので今回解説します。

 前回の結論が「不動産で増大する特有のリスク=怪我と迷惑おじさんおばさん問題のみ」というものでした。ここではその反対である「不動産を含めた全産業に共通するリスク」について一切言及していませんでした。

 不動産投資の火災保険では戦争が免責、これは事実です。約款にも書いてありますので、不動産投資において戦争は避けがたいリスクです。ところが、あなたがサラリーマンだったとして「あなたの勤務先」が戦争で破壊された場合も同様に、誰も保証してくれません。工作機械などの保険も自動車保険も戦争は免責です。要するに何が言いたいかと言うと、戦争で収入を失うリスクは不動産をやっていてもやっていなくても全く変わらないということです。そのため「不動産には戦争のリスクがあります=だから他の投資をするべきです」とは言えません。どの投資先でも同じです。また「投資をしない」という選択はますます戦争リスクに脆弱になります。戦争リスクがあるじゃないかという人は、そもそも経済活動自体をするなと言いたいのでしょうか。きっと違うはずで、この部分の分析の不足だと思います。むしろ何らかの投資をしておくことで、勤務先にミサイルが落ちてきても、収入を失うことが避けられます。極論いえば、戦争に備えるならば不動産投資です!

 戦争のリスクヘッジの代表格は金、つまりゴールドです。戦後最大の金価格は40年前のソビエト連邦のアフガン侵攻時だそうです。「有事の金買い」という言葉がありますが、これって戦争が起こったときには金を買えって意味ではなく、戦争に備えて今から金を買っておけという意味だそうですよ。戦争はリスクではない、とここで主張する私ですが、「有事の金買い」を完全実行して(不動産であろうがなかろうが)事業の収入すべてを金塊にして常に身につけている人がもしいたら、負けを認めざるを得ません。

 無敵のゴールドであっても、人類が壊滅的被害を受けて価値交換活動が停止してしまえば完全に無力です。不動産投資でも金投資でも、人類が滅亡すると破産せざるを得ません。というか破産という概念がなくなりますね。恐竜が滅んだ6500万年前の隕石の衝突だけでなく、割と最近でいうと9万年前に日本を壊滅させた阿蘇山カルデラ噴火や、もっと大規模なものだとペルム紀末に地球上の生物の96%を死滅させたと推定されるシベリア火山活動、他には宇宙規模の災害として太陽系から数百光年以内で発生する超新星爆発のガンマ線ビームによる全生物の致死的な被曝なども、不動産投資をする上でのリスクと言えます。不動産投資にはまだ○○のリスクがありますよね、と言ったところでそれは認めるものの、不動産投資をやらないことで人生全体・資産全体でそのリスクから逃れられるかどうかを考えなければ意味がありません。リスクが変わらないならば、不動産投資においてそれはリスクとは言えなくなります。人類滅亡は不動産投資の最大のリスク(入居者が世界中からいなくなる)ですが、だから不動産投資はしない、という人はいないはずです。

 人類滅亡は冗談にしても、全産業の共通するリスクはまだあります。政治リスクです。法律が変わってしまうことによって利益が激減してしまうことが過去にあらゆる産業で起こっています。最近の例でいうと貸金業、パチンコ屋、弁護士事務所などです。法規制がないことで好き放題やって儲けられた、もしくは法律で守られているために儲けられた産業ですが、規制強化もしくは規制緩和により、ある日突然儲からない業種になってしまいます。

 もう一つ。よく不動産で指摘される大島てる問題ですが、これも実は「風評被害」という全産業リスクの一つの形態なんですね。

 まず、事故物件が発生したとします。孤独死保険の最も強力なものは、原状回復だけでなく、「告知事項あり」になることで減ってしまう賃料まで保証してもらえる商品があります。なので、事故物件になることで賃料収入が下がることはリスクゼロにできます。事故死を隠して募集したいの、大島てるのおかげでバレるじゃないか!プンプン!なんてことを主張するのはやめてくださいね。

 問題は社会通念上で告知事項とされる時期を過ぎているのに、または入居者が決まって住んでいるのに、掲載され続けるということになります。おそらくコメントされた方はここを指摘したかったと思うのですが、事故物件隠しを許すまじ!と言って何年も前のつまらない事故死を掲載し続けているというのは、科学的根拠のない批判的な情報の流布であり、要するに「風評被害」です。

 どの産業にも風評被害ありますよね。「日本の農作物は放射能で汚染されている!」とか「プリウスは老人の事故が多い」とかです。損害賠償請求しても「表現の自由」だとか「報道の権利」だとか言います。大島てる(の運営者)さんも「これは報道であり、我々には報道の自由がある」とTV出演で言っていました。その割には妙に小規模の賃貸集合住宅に偏っていますが。風評被害のうちでも、歪んだ感情から特定の個人が特定の会社や製品を執拗に攻撃する事例もあり、属性としてはかなり「迷惑おじさん」に近いものがあります。

 しかし他の産業と比較して、むしろ事故物件の場合は特定の大家さんへの集中攻撃ではなく被害が分散するため、典型的な他産業に比べたらまだマシです。いろいろな本やブログを見ていますが、「事故物件になって破産した」とか「大島てるに載って破産した」という大家さんを見たことがありません。むしろ「事故物件の対応で精神的なストレスを受けて嫌になって安値で売ってしまった(損した)」という事例が多く見られるようでして、強い心さえ持っていれば、事故物件を持ち続けることによる損害は限定的です。特定の風評被害で倒産することが少なくない外食産業などと比べたら、大島てる程度の風評被害で済んでいる不動産投資はむしろ低リスクです。大島てるが怖くて不動産が買えない人がもしいるならば、自分の勤務先の製品や従業員のトラブルがネットで大炎上してワイドショーで流れるリスクを想像してみてください。大島てるの100万倍怖いです。勤務先の風評被害倒産が怖いので私は不動産投資をはじめました。

 あと忘れてはいけないのが取引先の倒産リスクです。不動産投資を目指す方で、これをリスクとして列挙する人がほとんどいないことに私は驚いています。リフォーム費用を払った途端に工務店に夜逃げされた、家賃保証会社が飲食経営に手を出して破産して多数の入居者が無保証になった(一番保証してほしいのは滞納がちな入居者なのに、こういう入居者は新たな保証会社で全て断られます、大迷惑!)、などです。取引先倒産は世の中で日常的に発生していますが、当然、不動産投資業界でも日常的に発生しています。孤独死や事故死などよりよほど恐ろしいです。迷惑おじさん同様の人災系の損害なので、もちろん保険も効きません。共済等はありますが、あくまで「いさというときお金を借りられる」というだけで返済が必要で、お金の補充はしてもらえません。

 この手の全産業リスクにおいては、むしろ単純に「不動産一つに集中する危険性」をきちんと恐れるべきです。例えば太陽光投資。固定買取制度と火災保険と賠償責任保険によって本当に完全ゼロリスクが実現されているのですが、私はやりませんでした。理由は、前述の政治リスクで、要するに法律が変わって電力を買い取ってもらえなくなるかもしれないからです。特に太陽光は国策で始められた産業ですので、政策によって壊滅する確率も極めて高かったのです。そういう意味では現在太陽光で儲かっている人は「太陽光に目をつけたから儲かった」というよりは「政治リスクに対するリスクプレミアムを受け取っている」と表現するほうが正しいです。全資産を太陽光投資にベットした方は今頃大儲けでしょうが、もし自民党政権に戻った当時に「民主党が作った太陽光制度はすぐさま中止にします」となっていたら自己破産一直線だったわけです。

 同様の理屈で、「2億の大型物件を2棟」みたいな買い方にも私は反対です。ここで列挙していないものも含めて全産業リスクは無数にあり、自己資本比率に対して物件数が少ないとちょっとした変動で資金ショートを起こします。意外かもしれませんが、計算上は物件数が少ないほどリスクが下がります。しかし、いざ事故が起こったときの損害の度合いは反比例しますので、統計的に不偏分散は増大し、損害の最大値は物件数が2や3だとかなり大きくなります。なので私は小さな物件をいろいろバラけさせる戦略をとっています。安全のために小さな物件を複数に分けたほうがいい、というのは肌感覚で理解されている方が少なくないと思いますが、統計的にも損害額の不偏分散(未来の損害の予想値)およびポアソン分布で証明することが可能です。

 立地や種別を分散させると言ったところで、不動産一本槍での投資というのも、投資先として分散できていないという点でこれら産業リスクを受けがちです。理想を言えば不動産と逆の動きをする産業に投資できるのであればそれが理想です。でも、それができないから(実利10%の投資なんて、私には現物築古不動産以外で思いつきません)「仕方がなく」不動産一本に絞っているというのが現実です。

 そうは言っても、例えば「飲食業」や「開業医」などに投資することと比較すると、利回りの割に産業の固有リスクが極めて少ない不動産投資こそが、特別な投資センスのない私のような人間にはあっているのかな、と思います。

それではまた~。
 
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