経団連企業を中心とした大企業の方針変更を受けて、揺れる新卒採用市場。企業に内定辞退の連絡をできない学生(「サイレント辞退」というそうです)が増えているという興味深い記事を読みました。

内定辞退、ハッキリ伝える 学生に「辞活」のススメ


本記事のポイントは「最近の若者のマナーが悪い」といったことではなく、採用スケジュールが流動的であったことによる学生側の戸惑い、内定辞退をしたときに厳しい反応をする人事担当者の存在、多様化するコミュニケーション手段など多岐にわたりました。


この記事を読み、
かつて留学中に出会った一冊の本を思い出しました。
Difficult Conversations: How to Discuss What Matters Most
Difficult Conversations: How to Discuss What Matters Most [Kindle版]
Douglas Stone
Penguin Books





ビジネスの様々な局面で直面する「難しい会話」、すなわち「
相手にいいづらいことをどのように伝えるか」、というテーマについて書かれた本です。

我々は誰しも社会生活のなかで、「難しい会話」
をしなければならない局面を体験します。お詫びをするとき、お願いをするとき、相手に不利益な事実を伝えるとき、あるいはもっと軽く、洋服を表裏逆に着てますよと伝えるとき、などなど。

こういったシーンに直面する頻度は、置かれている立場によって違い
ますが、たとえば私のような経営者であれば、本質的な仕事(のひとつ)が「変革を起こすために摩擦を作り、摩擦を取りのぞくこと」ですので、この「難しい会話」をすることを頻繁に求められます。

しかし、翻って考えると、「言いづらいことを伝える力」
というのは経営者だけでなく、すべての人にとって、よりよく生きていく上で大切なスキルなのではないでしょうか。

私生活でも仕事でも、ものごとが問題なく流れている「平時」
のときはもちろんのこと、それ以上に、トラブルが勃発した「有事」の際の立ちふるまいで、その後の流れが大きく変わるように思えます。

「言いづらいことを上手に伝えるポイント」は詰まるところ、以下の2つに集約されるように思います。

1:率直に伝える
2:誠実に伝える

個人的に過去に失敗した経験をふり返ると、相手を中途半端に慮って率直に伝えなかったか、伝え方が雑で不快な思いをさせてしまったことが理由であると気がつきます。

「1:率直に伝える 」というのは、誰にとっても簡単なことではありません。私は海外育ちだからか、もって生まれた性格からか分かりませんが、もともとストレート・ダイレクトに伝えることを好むので、周りにいる人間をハラハラさせることも少なくないですし、もちろん結果的にうまくいかないこともあるのですが、総じて率直に伝えた方が相手にきちんと受け止めてもらえる可能性が圧倒的に高いと感じています。

もっとも、これは常に「2:誠実に伝える」とセットになります。「丁寧に伝える」と言い換えてもいいかもしれません。メイルか電話か対面か、長い文か短い文か、言葉遣いがどうか、相手の立場に配慮した内容はになっているかなど色々ありますが、ここで大切なのは「相手からみて誠実に受け止められる」ことです。そしてそのときの対応次第では、かえって好感度が高まることもあります(ピンチはチャンス)。

些細な個人的な例でいうと、ある尊敬する経営者の方に誘われて、別の偉い方を囲む5ー6名の食事会に参加したのですが、メインゲストの方とどうしてもウマが合わず、次のお誘いのときにその旨を幹事の先輩経営者に率直に(もちろん丁寧に)お伝えしました。返ってきた返事は、「ははは、こういうのは遠慮なく言ってもらえるのが大変助かります、ありがとう!」でした。先輩も無理をしてまで同席して欲しいとは思っていなかったのでしょう。

冒頭の就職活動の話に戻りますと、仮に内定を辞退しなければいけない、あるいは返事を留保しなければならないのであれば、それを担当者に対して率直に、誠実に、伝えられることをお勧めします。ほとんどの場合は拍子抜けするほど問題なく過ぎるでしょうし、いくばくかは嫌な思いをすることもあるかもしれませんが、それも社会人生活の第一歩だと思って逃げずに向き合ってみてください。

最後になりますが、私たちライフネット生命も新卒採用(定期育成採用)を継続していますので、ぜひチャレンジしてみてください。10月15日を〆切として、皆さんの論理的思考と想像力を試す「重い課題」を提出して頂きます。

面接の席上で皆さんにお会いできることを楽しみにしています。よい週末をお過ごしください!