先日、ワンディエゴ丸出版社から漫画「キング・オブ・エンブレム」が発売され、そのことがJリーグからも発表されました。


「キング・オブ・エンブレム」とは、Jリーグのオフィシャルライセンスを冠した、Jリーグマスコットが活躍する漫画です。

Jリーグを扱ったり、マスコットが出てくる漫画ならこれまで無いわけではないですが、Jリーグオフィシャル作品として、試合会場のスタジアムで実際に販売されるアイテムとなると話は別。
かなり画期的な漫画であると言えるでしょう。


既にいくつかの試合会場で販売されました。
もちろんamazonでも販売されています。

キング・オブ・エンブレム Vol.1
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ワンディエゴ丸出版社
2019-02-27



では、実際どんな漫画なのでしょうか。早速感想を書いてみたいと思います。

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こんな表紙(なんか勢い余って3冊買った)




あらすじ(裏表紙より)

サッカーが大好きな普通の小学5年生マルちゃんは
「かかげるだけでサッカーがうまくなるよ…」と
ささやかれ、大切な優勝銀皿(シャーレ)を割ってしまう。
このままではダーク化してしまうJリーグを救うべく、
Jリーグキングはマルちゃんに優勝銀皿の復活を託すが―!?



まずこの漫画の大前提として、Jリーグマスコットが選手やサポーターと一緒に普通に街で生きている世界観であるということをお伝えしておかなければなりません。

主人公のマルちゃんは、悪役ダークキングたちの企みを阻止するために街から街へと渡り歩き、各クラブのマスコットたちと協力して戦うのです。
第1巻には、プロローグに続いて横浜F・マリノス編FC町田ゼルビア編川崎フロンターレ編が収録されており、その各話に各クラブのマスコットがたちが登場するというわけです。(次巻以降、また別のクラブが次々に登場予定)



さて、この漫画で重要なポイントは何か。
管理人的には以下の3点です。


子ども向け漫画である

これは明確に、子どもたちにサッカー、Jリーグの楽しさを伝えるための漫画です。

正直、読んでいてある種の懐かしさを感じました。
突然理不尽な戦いに巻き込まれながらも、かわいくてかっこいいマスコットたちと協力しながら、恐ろしいけどどこか間の抜けた悪の組織とマジメに熱く戦っていく展開。
小学校の頃読んでたコロコロコミック的な漫画そのものです(ボンボンでもOK)

この漫画のターゲットは、まさにこれからJリーグを支えていってもらいたい少年少女たち。
読んだ人ならそのことはすぐに理解できるはずです。

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ダークキングとの対決は基本的にサッカーの技術が必要になるので、マルちゃんのサッカー練習描写も必ず入ってくるこの漫画。
これなんて学校の図書館で読んだサッカー講座漫画そのもの…



ここまでハッキリと少年少女向けの姿勢を見せてくれているので、マスコットを前面に押し出す意味もよくわかります。
やはりマスコットは、子どもたちのためのものとして価値がある存在。
そんなことを気付かせてくれる漫画でした。

もちろん、それを前提として大人も楽しめる漫画ですけどね!
1冊500円というお手頃価格なので、老若男女手に取ってほしいです。




マスコット漫画、というわけではない

2点目。
いきなりこれまで書いてきたことを否定するようですが、この漫画の主題はマスコットではありません。
メインに据えられるのは、Jリーグのあるスタジアム、そしてそのスタジアムがある街の風景そのものです。

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町田編より。町田の街を舞台に物語が繰り広げられ、「Jリーグのある街」の雰囲気を伝えてくれます。


発足してから四半世紀が経ち、その時間の中で作り上げられたJリーグの魅力とは何か?と考えたとき、日本各地の色んな町に色んなクラブができたということが挙げられるのではないでしょうか。

人々のサッカークラブへの愛着の持ち方も、よりローカルで身近なものへと変わり、その価値観がまた次の世代につなげられていこうとしています。

そんな「Jリーグのある街」の素晴らしさを、子どもたちを含めた多くの人に広く伝えようとしているのがこの漫画かと。
いうなれば単純なマスコット物語ではなく、街物語
むしろこの漫画でのマスコットは「街とJリーグ」をつなぐ、分かりやすい象徴としての役割を担っていると感じました。

川崎編はローカルネタがかなり細かいと評判。


◆◆◆


で、ここでこの漫画の「漫画としての」画期的な点に触れておかなければならないのですが…

この漫画、話ごとに作画担当者が違います。

話ごとに取り扱うクラブが違うため、作画担当者もその街、クラブに馴染みのある人間を一話ごとに起用しているのです。

これは漫画を読みなれている人にとっては結構な衝撃ではないでしょうか。

漫画読みがこういう企画を立ち上げる場合、せいぜい「各話にそれぞれクラブに詳しい監修者をつける」レベル止まりだと思います。
同じ漫画なのに毎回絵を変えるという決断はなかなかできません。

ですが、この企画を立ち上げたワンディエゴ丸出版社の皆さんは、多くがそもそも漫画畑の人ではない(例えば代表の丸山龍也さんはずっとサッカーの現場で生きてきた方)ため、こういう自由な発想を実現できたのでしょう。


もちろん、絵柄が一定していないというのは漫画的にかなりリスクであり、固定ファンを掴みづらい面がある事実は、制作者サイドも理解しているはず。
でもやる。
街の雰囲気をしっかり伝えるために…。

こういうチャレンジングな姿勢、応援したくなります。
次巻以降どんな感じになるのかが今からワクワク。


100年続くJリーグのために


さて、作画という「漫画としての」画期的な点を挙げましたが、もうひとつ。
「Jリーグの企画としての」画期的な点を挙げるならば、それはやはりオフィシャルなクラブマスコットが漫画で活躍するという点になるでしょう。それが3点目です。


管理人は完全な趣味でこのブログを書いており、特段Jリーグやクラブの関係者と関りがあるわけではありませんが、それでもJリーグマスコットの権利関係は面倒くさいから、なかなか手を出せないという話は何度も小耳に挟んできました。
だからマスコットが公式のお墨付きを得て漫画で動き回るなんてこと、時々夢を見たりはしましたが、きっと難しいのだろうなと思い、そこで思考を止めていました。


でもこの漫画はやった。

やればできたのです。

もちろん、ワンディエゴ丸出版社の方々が簡単に事を成したのではありません。
Jリーグ関係者との折衝を重ねに重ねた末の仕事でありますし、今も現在進行形で関係するJリーグクラブとの交渉を全国を格安夜行バスとかで飛び回り続けているとも聞いています。(若いってすばらしい)


このブレイクスルーこそが、100年続くJリーグのために必要なのではないかと。
四半世紀が経ち、いつの間にかできていた(あるいは、あると思わされている)既成の枠組みを打ち破るこの漫画の姿勢こそが、100年続くJリーグのためにいま必要なのではないかと思うのです。

そして、そんな「やればできる」姿勢を見て、次の世代のフォロワーたちがまた次のブレイクスルーを担ってくれればいい…。
そんなことをしみじみ思うのです。


まあ、とりあえず

と、色々説教臭いことをばかりを言ってしまったわけですが、何度も言うようにこれは楽しい楽しい漫画作品です。
あのマスコットたちが動き回るんですよ!?


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これらのシーンに何か感じるものがあった人は、迷わず単行本を手に取ってください。

以上!



※もう一本、この漫画に関する感想を書きましたのでよろしくお願いします。
ダークキング様が理想の上司に選ばれる4つの理由


キング・オブ・エンブレム Vol.1
enem
ワンディエゴ丸出版社
2019-02-27