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撮影:@y_nacciさん ありがとうございます。


この記事はヴィッセル神戸あれこれ2020アドベントカレンダーに寄稿したものです。




コロナ禍が世界を覆った2020年。
その影響はスポーツ界、そしてそこで活躍するマスコットの活動にも大きな制約をもたらすことになりました。

年の前半は全く試合ができず、
ようやく行われた試合の日でも、直接来場者と触れ合うグリーティングやイベントはほとんどが自粛。
その中でクラブマスコットの「価値」をどう示していくか、というかつてない試練の年になったと言えるでしょう。


さて今回取り上げるのはヴィッセル神戸のマスコット、モーヴィ
彼がどんな風に激動の2020年を生き抜いたかを見ていこうと思います。







ゼロックスで漫才

2020年のヴィッセル神戸は、天皇杯優勝からのゼロックス・スーパーカップ出場という華々しいスタートを切りました。

そこでモーヴィに前代未聞の仕事が舞い込みます。
ゼロックスの対戦相手である横浜F・マリノスのマリノスケと、テレビの宣伝用に漫才をするというミッションが…。



この「マスコット漫才」は多くのマスコットファンに衝撃を与えました。




言ってしまえば、人気芸人のネタの声に合わせてモーヴィとマリノスケがその動きをトレースするという試みなのですが、まあ二人とも上手い
めちゃくちゃ練習してきたのが伝わるのです。



特にそこまで器用なイメージが全国に浸透してなかったモーヴィは、これまでとだいぶ違う印象を人々に与えることができたのではないでしょうか。
公式映像がその後全部削除されてしまったのが悔やまれます。(えええー)

モーヴィの、やることはしっかり真面目にやる性格が活きた成果と言えますね。



この仕事がきっかけでマリノスケとの仲が深まったというのも収穫の一つかもしれません。
その後に発売されたエル・ゴラッソのマスコット特集号、各マスコットがそれぞれの推しマスコットを紹介するコーナーでは、モーヴィは「仕事仲間」のマリノスケを称賛しています。
marinosuke

一方で、マリノスケも神戸のACL準決勝進出に際してモーヴィにフレンドリーなコメント。


マスコット同士の新たな関係性が生まれるのは素晴らしいことですね。





再会

しかしゼロックスが終わった後、コロナ禍の影響は一気に拡大。
Jリーグは開幕直後に長期中断を余儀なくされてしまいます。

試合が全くなく、リアルな地域イベントにも出られないという未曽有の事態のなか、各クラブのマスコットの対応は分かれました。
SNS等のオンライン活動で精力的に存在をアピールするマスコットもいれば、
めっきり姿を現さなくなるマスコットもいました。

モーヴィといえば、スタジアムと地域のリアルなフィールドで勝負するタイプのマスコットのため、この状況下では後者。
ちゃんと生きてるのか心配になるくらい出番を失ってしまったのです。

そんなモーヴィ・ロスが広がりきったなか、いよいよリーグ再開、ホームでの有観客試合再開といったタイミングで、あまりモーヴィに優しさを見せてこなかったヴィッセル神戸公式が一本の動画を公開したのです。




そこに映っていたのは

ロッカー


座席


座席2


ひとり黙々と、スタジアムの掃除をするモーヴィの姿。

今まで何をしていたのかと思ったら、ひたすらに再会の時を待ち、スタジアムで働いていたのです。
健気すぎる。

この真面目なモーヴィの姿に、多くのサポーターの心が揺さぶられたようです。









こうした動画が心に響いたのは、モーヴィはそういう一生懸命な子だということをみんな分かっていたからという面もあるのかもしれませんね。
それまでに積み上げたものは確かにあったのでしょう。

座席3
↑拭き掃除の合間に腰を叩くモーヴィ。このおっさんくささも魅力の一つでしょう(本当か)




ピッチレベルから

ついに神戸のノエビアスタジアムにも観客が戻ってきました。
いよいよマスコットとしての本領が発揮される機会。
しかし前述の通り今年は、感染対策のためマスコットとサポーターが直接触れ合うグリーティングはNGとなっています。

ということで、










唯一できることは、観客席に近いピッチ上から、可能な限りのファンサービスを行うこと
多くのマスコットが苦労した点ですが、モーヴィも表現力の向上でなんとか対応しようとします。



2020年を象徴する「マスコットのマスク姿」。モーヴィも基本このスタイルを堅持しました。


そして今年のヴィッセル神戸は毎試合、兵庫県のブランド牛贈呈というイベントが組み込まれていたため、


モーヴィが牛肉アピールを自ら行う自虐ネタも定番となりました。



ぴえんじゃない







兵庫県にブランド牛いくつあんねんという驚き。毎試合違う。


自虐ネタの精度もどんどん上がっていきます。
見た目がおいしそうなマスコットナンバーワンの面目躍如といったところでしょう。





未来へ…


試合以外のイベントにもなかなか出られなかったモーヴィですが…



11月に行われたクラブ主催のバスツアーに、サプライズ出演を果たすという心憎い一幕も。


無人島に突然マスコットいたらびっくりするよね…。





そんなこんなであっという間に2020年も終わろうとしています。

おそらくこれからしばらくも、Jリーグ、そして触れ合ってナンボのマスコットにとっても活動がままならない状況は続くでしょう。

そんな中でも工夫を凝らして活動を続けてくれる心意気に感謝しつつ、マスコットの存在が、あなたの存在が必要だと訴え続けていきたいものですね。


movi

お疲れ様、そしてこれからもよろしく!モーヴィ!