図書館に本を返しに行ったついでに、ちょっと本を読んでいこうと思った。
ちょうどいい具合にめずらしく一人掛けのテーブル席が空いていたので座る。
だいたい、俺様は勉強をしているのだからな、とばかりにテーブルにノート類を
広げたままどっかに行って帰ってこない輩が姿なきままで占領し続けてるのが
常であるので今回みたいに座れる、机に物を置かない状態であるのは
非常にまれである。
ちいさい感動を得て本を読み始めると、後ろの席から咳が聞こえる。
ゴハッ!と遠慮も何もない、おじさんの声であった。
それくらいならめずらしくないが十秒ほどのインターバルをはさみ
何度も尽きることなく咳がとんでくる。まったく本に集中できない。
六回めの咳が飛んできたくらいで、胸の内側からつき上げるような黒い何かが
せりあがってくるのをを感じた。わきたつような怒りの感情であった。
もう終わってくれと思いつつも、静かになると自分からカウントダウンを
してしまうのはなぜだろう。
10 9 8 7 6・・・やめよう、気にしてどうする・・・ 「ゴハッ!!」
おまえこのやろう。
さいわいそれ以上咳は続かず、怒りで気が変になりそうな状態からは脱せた。
暑いから脱いで椅子の背にかけていたジャケットには
微量の唾やなんかがかかっているのであろう。やだなあもう。

微妙に半端な時刻なので横断歩道を渡ってスーパーに行く。
スーパーというのだろうか?中に服屋がありメガネ屋があり、輸入コーヒー店に宝石屋がある・・・
でもデパートと言うほどには高級じゃない。それにスーパーといえば一階建て地下なしの
イメージだ。ここは地下あり屋上は駐車場だ。どっちに属するのだろう?
100円ショップに行ったら人でごったがえしていた。
ここは陳列棚との間隔が狭く、
人が一人でギリギリで数センチの猶予もない。つめすぎである。
品出しの店員や他の客が道をふさいでいたら陳列棚の切れ目まで行き、
そこから横のラインに逃れるしかない。その先にも人がいたら後ろへ戻り、
新たな切れ目からさらに隣のラインに移って目的地へ向かうのだ。
とんだ脱出ゲームである。

化粧品の棚の前に高校生がたむろしており、行くも戻るもならない状態になる。
うしろの細い通路を横切る形でレジ待ちの列があるためだ。
しょうがないのでそばにある棚の商品の説明でも読んで詰まりの解消を待っていると、
僕の横から「すいません。すいません」と声をかける人がいる。
最初は店員の人に注意されたのかと思った。
横を見ると健康的な濃い日焼け肌の男性が二人。タイとかベトナムの人と直感した。
もしかしたらフィリピンかも。インドネシアかも・・・と思ってたらキリがない。
「ここはゼンブ百円ですか」
あせってしまった。うーむ。なんでよりによって無表情で一人うつむく、
しかも声が小さく聞き取りにくい僕へ話しかけてしまったのだろう。
他にも大勢の人がいて、はーいと笑顔で親切にしてくれる女性とかいるのになあ。
嫌なわけではなく、うまいこと説明できないと相手にすごく悪い気がしてしまうのだ。
で、もちろん最近は200円やそれ以上の価格のものも100円ショップには並んでいる。
ちょうど体に触れるほど近い棚に150円の品物があったので値札に指で触れつつ、
「中にはそうでないのもあります」と言ってみたら、聴こえたのかなんとなく違うニュアンスを
感じ取ったのか通じたようであった。
「ネフダがついてないのは・・・」
とさらに聞かれたのでそれはゼンブ100円といいつつうなずいてみた。
スイマセンありがとうゴザイマスと立派な黒々した髪を7:3にした、青年風の2人は去って行った。
何いってるかわかんなかったね、とでも思われてなければいいのだが。
なんで100円ショップに行ったんだっけ?何かを探しに行ったけど買わずに帰ったので
目的のものはなかったのは確かである。市民のリサイクル文庫で読み終わったら返しても
返さなくてもどっちでもよいという制度の書棚からかいけつゾロリの本を借りて来た。
チョコレートの島がどうこうというお話を昔に一冊だけ読んだことがあるがそれ以外はないので
わりと楽しみにしている。