2007年01月23日
”夜回り三鷹”の荒瀬さんより お知らせです。(以下転載)
こんにちは、荒瀬です。知り合いのみなさまに、BCCで送ります。
本日、1月23日、大阪高裁で、公園での住民登録を求める裁判で、判決が出ます。
この裁判は、大阪市の扇町公園で野宿生活している山内勇志さんが、扇町公園を住所とする住民登録を求める裁判を起こしたものです。昨年に大阪地裁で山
内さんが勝訴したことは、マスコミでも取り上げられたのでご記憶の方もいらっしゃると思います。
この裁判、野宿者を支援していたKさんが、3年前に逮捕されたことに端を発しています。Kさんの罪状は、「電磁的公正証書原本不実記録同供用幇助」。
つまり、就労や年金受給のために住所が必要な野宿者数人に、自宅のアパートを住民登録地にしてあげていたことが、このようなわけの分からない罪に値する
とされたのです。
これがきっかけで野宿者たちは住民登録できなくなり、困った山内さんが、扇町公園を住所地として住民登録するように大阪市北区役所に申請しました。し
かし、却下され、裁判となりました。大阪地裁は、1年前、山内さんの住民登録を認める判決を出しました。慌てた大阪市は、控訴したものの、裁判では十分
な反論もできず、今日、判決を迎えます。
住民票がない人には、選挙権がありません。選挙権は、直接民主主義ではなく議会制民主主義体制の日本に住む者にとって、絶対的に重要な権利です。選挙
権を奪われている人は、禁固以上の刑に処せられている人/成年被後見人/未成年者/外国人など、ごく一部しかいません。野宿者も選挙できません。選挙で
きなければ自分の意見を反映する術がなく、本当におかしいことです。
てなわけで、山内さんの判決に、ぜひ、ご注目下さい。
なお、今年夏の世界陸上開催を口実に、大阪市は長居公園に住む野宿者を、強制代執行によって追い出そうとしています。今月中か来月早々にも行われそう
とのことで、当事者/支援者は、対応に四苦八苦/てんやわんやのようです。この寒い時期に追い出し。本当に心が痛みます。
以下、法律家による大阪市長あての「抗議・要望書」です。お時間がありましたら、ご一読頂ければ幸いです。
(以下転載オーケー)
抗議・要望書
大阪市長 關 淳一 殿
2007年1月19日
賛同者一同
私どもは全国各地において路上法律相談等を通じて、野宿を余儀なくされ、あるいは
生活困窮のために安定した住居を喪失する危機に瀕する人たちへの支援・相談活動を
行っている弁護士・司法書士をはじめとする法律家・法律実務家です。
今般、貴市内長居公園においてテント・小屋を立てて生活している人たちを対象とし
て、貴市が強制立ち退きへの手続に着手していることにつき、強く抗議するとともに
強制立ち退きへの手続を直ちに中止されますよう要望いたします。
昨年1月私どもをはじめとする法律家有志一同は、貴市内靱公園及び大阪城公園でテ
ント・小屋を建てて生活している人々に対する強制立退きについて憂慮の念を示すと
ともに直ちに強制立退きへの手続きを中止するよう要望し、大阪弁護士会も同旨の会
長声明を発表いたしました。さらに全国各地から様々な抗議・要請があったにもかか
わらず、同月30日行政代執行は強行され、これに対しては多くの市民・支援団体から
貴市に対して抗議が出され当事者は違法な強制立ち退きに対して国家賠償を求める訴
訟を提起しているところです。
さらに、私どもをはじめとする法律家一同は、同年4月貴市天王寺公園事務所が貴市
内日本橋公園をはじめとする公園内で野宿する人々から恫喝的に「テント撤去の誓約
書」なるものを取り付ける等の違法行為をしたことについて、直ちにこれをやめるよ
う申入れ、当事者は人権救済申立てを行いました。その際にも貴市はこうした申入
れ・人権救済申立てを全く顧みることなく同年5月、最低限の公物管理法・手続法す
ら遵守せず日本橋公園で野宿を余儀なくされた人々を強制的に追いたて荷物を強奪・
廃棄するという挙に出てこられました。これに対しても私ども以外にも、多くの市
民・諸団体から抗議の声が寄せられ、当事者も訴訟を提起いたしました。
そのような最中、貴市がまたも多くの抗議の声を無視し全国各地でさまざまなかたち
で「ホームレス自立支援」に取り組む人々をあざ笑うかのごとく、違法な強制立ち退
きに踏み出しておられることは大変残念な限りです。
長居公園で野宿を余儀なくされている人々は、貴市をはじめとする行政の対貧困施策
の貧弱さゆえに野宿に追いやられ、文字通り生き残るためにやむなく公園内にテン
ト・小屋を立てて自己の尊厳を保ちうる最低限度の生活を営んでいるに過ぎません。
そして長居公園の人たちが公園の「適正な利用を妨げ」ている事実は全く存在しない
どころか、むしろ農園を借りて野菜を耕作し地域の人たちに販売したり、「大輪まつ
り」(夏祭り)といった開かれたイベントを開催する等、日頃から地域とも良好な関
係を築き、地域と共に生きるあり方を模索しつづけています。彼らの生活を、そうし
た貴重な試みもろとも踏みにじり、再度路上へ放り出すようなことは到底容認するこ
とはできません。
公園で生活している人は、そこを追い立てられてしまったらどこに住めというので
しょうか?人は最低限安全・安心に寝起きする場所がなければ、生きていくことは不
可能です。
適切な代替措置なく単に暴力的に追い立てる貴市のやり方は野宿を余儀なくされた人
たちへの抹殺行為であるといっても過言ではありません。
昨年来私どもが繰り返し指摘しているとおり、「ホームレスの自立の支援等に関する
特別措置法」(以下たんに「特措法」という)第11条は「都市公園その他の公共の用
に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の場所とすることにより
その適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの自立の支援等に関する施策と
の連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必
要な措置をとるものとする。」と定めており、「必要な措置をとる」ためには(1)
「当該施設」の「適正な利用が妨げられている」こと、(2)「ホームレスの自立の
支援等に関する施策との連携を図」ること、(3)「法令の規定に基づ」くことを少
なくとも要件として定めていると解され、今回の長居公園の人たちへの追い立ても、
そのいずれの要件をも満たしておりません。また「特措法」制定にあたっての衆議院
厚生労働委員会の付帯決議は、「特措法」11条の「必要な措置をとる場合において
は、人権に関する国際約束の趣旨に十分に配慮すること」としているところ、これま
で貴市が一顧だにしてこられなかったのと同様、人権に関する国際約束たる国際人権
規約をはじめ上位法たる憲法、憲法98条2項により誠実遵守義務の課せられている条
約及び国際法規、生活保護法などの諸法令を遵守しようとする姿勢は残念ながら見る
ことができません。
一方で、長居公園に住む人たちは、2007年1月10日付弁明書においてそれぞれ、「私
たちは、現住する場所に固執して強制排除に反対するわけではありません。他に生き
ていける場所=代替地の提示を求めているのです。公園工事にはこれまでも公園事務
所と話し合いの上で、可能な限り協力してきたという経緯もあります」(Nさん)
「過去に遡りオリンピック誘致、ワールドカップ前夜と、長居公園のホームレスが暮
らすテントが撤去される段には、必ず説明会がなされてきました。その都度、話し合
いでもって互いに譲歩し頼まれごとは引き受けてきたものです。」(Kさん)として
いるとおり、話し合いには応じる姿勢を示しています。「私たちは整備工事自体に協
力する意志はあります。だからこそ,今回の工事の話がなされたときにも,テントを
建設できる代替地を求めてきました。」「私たちの生活は今のテント村なしには成り
立たないからです。なぜ公園事務所は,テント村を長居公園内の他の場所に移転させ
ることを認めてくれないのでしょうか。スタジアム周辺で露宿を余儀なくされている
人たちも退去が強要されていることも考えると,大阪市は長居公園から野宿者を一掃
しようと急いでいるとしか思えません。なぜそんなに急いで野宿者を排除しようとす
るのですか。国際的イベントが開催される長居公園に野宿者が生活していることが,
大阪市としてそんなに恥ずかしいですか。」「雑多な人間が集う私たちのテント村
が,そんなに見苦しいですか。」(Sさんの「弁明書」より)
このテント住民の問いかけに対してことばをもってこたえることなく暴力で報いるよ
うなことは絶対に許されてはなりません。
直ちに長居公園に対する強制立ち退きの手続を中止してください。
長居公園に住む人たちとの真摯な話し合いの中から受け入れ可能な解決策を見出すよ
うにしてください。
法を遵守し、目の前に拡がっている貧困の現状に対して責任ある施策を示し、実行し
てください。以上、心より要望いたします。
賛同者名簿
笹沼 弘志(静岡大学教授・憲法学)
庄谷 怜子(研究者)
谷 靖介(弁護士・茨城県弁護士会)
安澤 裕一郎(弁護士・東京弁護士会)
酒井 恵介(弁護士・東京弁護士会)
菅本 麻衣子(弁護士・東京弁護士会)
森川 清(弁護士・東京弁護士会)
山本 志都(弁護士・東京弁護士会)
高貝 亮(弁護士・静岡県弁護士会)
岩井 羊一(弁護士・愛知県弁護士会)
北村 栄(弁護士・愛知県弁護士会)
森 弘典(弁護士・愛知県弁護士会)
佐野 就平(弁護士・京都弁護士会)
住田 浩史(弁護士・京都弁護士会)
舟木 浩(弁護士・京都弁護士会)
石側 亮太(弁護士・大阪弁護士会)
浮田 麻里(弁護士・大阪弁護士会)
江村 智禎(弁護士・大阪弁護士会)
奥田 愼吾(弁護士・大阪弁護士会)
康 由美(弁護士・大阪弁護士会)
木原 万樹子(弁護士・大阪弁護士会)
小久保 哲郎(弁護士・大阪弁護士会)
七堂 眞紀(弁護士・大阪弁護士会)
間 光洋(弁護士・大阪弁護士会)
普門 大輔(弁護士・大阪弁護士会)
安永 一郎(弁護士・大阪弁護士会)
板野 陽一(弁護士・兵庫県弁護士会)
小沢 秀造(弁護士・兵庫県弁護士会)
阪田 健夫(弁護士・兵庫県弁護士会)
西部 智子(弁護士・兵庫県弁護士会)
谷村 慎介(弁護士・兵庫県弁護士会)
高木 佳世子(弁護士・福岡県弁護士会)
吉田 哲也(弁護士・熊本県弁護士会)
楠 高志(司法書士・札幌司法書士会)
早坂 智佳子(司法書士・山形県司法書士会)
車塚 潤(司法書士・宮城県司法書士会)
茂木 昌子(司法書士・茨城司法書士会)
嶋田 貴子(司法書士・栃木県司法書士会)
稲葉 浩運(司法書士・千葉司法書士会)
伊見 真希(司法書士・千葉司法書士会)
福原 正和(司法書士・千葉司法書士会)
長田 悦子(司法書士・埼玉司法書士会)
後閑 一博(司法書士・東京司法書士会)
村上 晴代(司法書士・東京司法書士会)
山本 栄一(司法書士・東京司法書士会)
若鍋 敬治(司法書士・東京司法書士会)
古根村 博和(司法書士・神奈川県司法書士会)
小澤 吉徳(司法書士・静岡県司法書士会)
榊山 雄一朗(司法書士・奈良県司法書士会)
西山 弓子(司法書士・奈良県司法書士会)
前川 一彦(司法書士・奈良県司法書士会)
松村 健(司法書士・奈良県司法書士会)
敦見 佳司(司法書士・兵庫県司法書士会)
阿部 心一(司法書士・兵庫県司法書士会)
有田 優(司法書士・兵庫県司法書士会)
粟野 友康(司法書士・兵庫県司法書士会)
池田 篤信(司法書士・兵庫県司法書士会)
池田 光男(司法書士・兵庫県司法書士会)
井上 佐知子(司法書士・兵庫県司法書士会)
岡田 茂(司法書士・兵庫県司法書士会)
小川 真理子(司法書士・兵庫県司法書士会)
木澤 美生子(司法書士・兵庫県司法書士会)
木谷 公士郎(司法書士・兵庫県司法書士会)
國本 勝(司法書士・兵庫県司法書士会)
小高 真子(司法書士・兵庫県司法書士会)
高田 宏二(司法書士・兵庫県司法書士会)
高原 勉(司法書士・兵庫県司法書士会)
常峰 智子(司法書士・兵庫県司法書士会)
土岐 聡(司法書士・兵庫県司法書士会)
中村 宏二(司法書士・兵庫県司法書士会)
南里 愛(司法書士・兵庫県司法書士会)
西海 まゆみ(司法書士・兵庫県司法書士会)
西口 真次(司法書士・兵庫県司法書士会)
野上 英則(司法書士・兵庫県司法書士会)
古川 美奈子(司法書士・兵庫県司法書士会)
町田 直隆(司法書士・兵庫県司法書士会)
矢嶋 真理(司法書士・兵庫県司法書士会)
吉岡 大地(司法書士・兵庫県司法書士会)
吉田 康志(司法書士・兵庫県司法書士会)
徳永 慎一(司法書士・福岡県司法書士会)
澤田 章仁(司法書士・熊本県司法書士会)
芝田 淳(司法書士・鹿児島県司法書士会)
本日、1月23日、大阪高裁で、公園での住民登録を求める裁判で、判決が出ます。
この裁判は、大阪市の扇町公園で野宿生活している山内勇志さんが、扇町公園を住所とする住民登録を求める裁判を起こしたものです。昨年に大阪地裁で山
内さんが勝訴したことは、マスコミでも取り上げられたのでご記憶の方もいらっしゃると思います。
この裁判、野宿者を支援していたKさんが、3年前に逮捕されたことに端を発しています。Kさんの罪状は、「電磁的公正証書原本不実記録同供用幇助」。
つまり、就労や年金受給のために住所が必要な野宿者数人に、自宅のアパートを住民登録地にしてあげていたことが、このようなわけの分からない罪に値する
とされたのです。
これがきっかけで野宿者たちは住民登録できなくなり、困った山内さんが、扇町公園を住所地として住民登録するように大阪市北区役所に申請しました。し
かし、却下され、裁判となりました。大阪地裁は、1年前、山内さんの住民登録を認める判決を出しました。慌てた大阪市は、控訴したものの、裁判では十分
な反論もできず、今日、判決を迎えます。
住民票がない人には、選挙権がありません。選挙権は、直接民主主義ではなく議会制民主主義体制の日本に住む者にとって、絶対的に重要な権利です。選挙
権を奪われている人は、禁固以上の刑に処せられている人/成年被後見人/未成年者/外国人など、ごく一部しかいません。野宿者も選挙できません。選挙で
きなければ自分の意見を反映する術がなく、本当におかしいことです。
てなわけで、山内さんの判決に、ぜひ、ご注目下さい。
なお、今年夏の世界陸上開催を口実に、大阪市は長居公園に住む野宿者を、強制代執行によって追い出そうとしています。今月中か来月早々にも行われそう
とのことで、当事者/支援者は、対応に四苦八苦/てんやわんやのようです。この寒い時期に追い出し。本当に心が痛みます。
以下、法律家による大阪市長あての「抗議・要望書」です。お時間がありましたら、ご一読頂ければ幸いです。
(以下転載オーケー)
抗議・要望書
大阪市長 關 淳一 殿
2007年1月19日
賛同者一同
私どもは全国各地において路上法律相談等を通じて、野宿を余儀なくされ、あるいは
生活困窮のために安定した住居を喪失する危機に瀕する人たちへの支援・相談活動を
行っている弁護士・司法書士をはじめとする法律家・法律実務家です。
今般、貴市内長居公園においてテント・小屋を立てて生活している人たちを対象とし
て、貴市が強制立ち退きへの手続に着手していることにつき、強く抗議するとともに
強制立ち退きへの手続を直ちに中止されますよう要望いたします。
昨年1月私どもをはじめとする法律家有志一同は、貴市内靱公園及び大阪城公園でテ
ント・小屋を建てて生活している人々に対する強制立退きについて憂慮の念を示すと
ともに直ちに強制立退きへの手続きを中止するよう要望し、大阪弁護士会も同旨の会
長声明を発表いたしました。さらに全国各地から様々な抗議・要請があったにもかか
わらず、同月30日行政代執行は強行され、これに対しては多くの市民・支援団体から
貴市に対して抗議が出され当事者は違法な強制立ち退きに対して国家賠償を求める訴
訟を提起しているところです。
さらに、私どもをはじめとする法律家一同は、同年4月貴市天王寺公園事務所が貴市
内日本橋公園をはじめとする公園内で野宿する人々から恫喝的に「テント撤去の誓約
書」なるものを取り付ける等の違法行為をしたことについて、直ちにこれをやめるよ
う申入れ、当事者は人権救済申立てを行いました。その際にも貴市はこうした申入
れ・人権救済申立てを全く顧みることなく同年5月、最低限の公物管理法・手続法す
ら遵守せず日本橋公園で野宿を余儀なくされた人々を強制的に追いたて荷物を強奪・
廃棄するという挙に出てこられました。これに対しても私ども以外にも、多くの市
民・諸団体から抗議の声が寄せられ、当事者も訴訟を提起いたしました。
そのような最中、貴市がまたも多くの抗議の声を無視し全国各地でさまざまなかたち
で「ホームレス自立支援」に取り組む人々をあざ笑うかのごとく、違法な強制立ち退
きに踏み出しておられることは大変残念な限りです。
長居公園で野宿を余儀なくされている人々は、貴市をはじめとする行政の対貧困施策
の貧弱さゆえに野宿に追いやられ、文字通り生き残るためにやむなく公園内にテン
ト・小屋を立てて自己の尊厳を保ちうる最低限度の生活を営んでいるに過ぎません。
そして長居公園の人たちが公園の「適正な利用を妨げ」ている事実は全く存在しない
どころか、むしろ農園を借りて野菜を耕作し地域の人たちに販売したり、「大輪まつ
り」(夏祭り)といった開かれたイベントを開催する等、日頃から地域とも良好な関
係を築き、地域と共に生きるあり方を模索しつづけています。彼らの生活を、そうし
た貴重な試みもろとも踏みにじり、再度路上へ放り出すようなことは到底容認するこ
とはできません。
公園で生活している人は、そこを追い立てられてしまったらどこに住めというので
しょうか?人は最低限安全・安心に寝起きする場所がなければ、生きていくことは不
可能です。
適切な代替措置なく単に暴力的に追い立てる貴市のやり方は野宿を余儀なくされた人
たちへの抹殺行為であるといっても過言ではありません。
昨年来私どもが繰り返し指摘しているとおり、「ホームレスの自立の支援等に関する
特別措置法」(以下たんに「特措法」という)第11条は「都市公園その他の公共の用
に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の場所とすることにより
その適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの自立の支援等に関する施策と
の連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必
要な措置をとるものとする。」と定めており、「必要な措置をとる」ためには(1)
「当該施設」の「適正な利用が妨げられている」こと、(2)「ホームレスの自立の
支援等に関する施策との連携を図」ること、(3)「法令の規定に基づ」くことを少
なくとも要件として定めていると解され、今回の長居公園の人たちへの追い立ても、
そのいずれの要件をも満たしておりません。また「特措法」制定にあたっての衆議院
厚生労働委員会の付帯決議は、「特措法」11条の「必要な措置をとる場合において
は、人権に関する国際約束の趣旨に十分に配慮すること」としているところ、これま
で貴市が一顧だにしてこられなかったのと同様、人権に関する国際約束たる国際人権
規約をはじめ上位法たる憲法、憲法98条2項により誠実遵守義務の課せられている条
約及び国際法規、生活保護法などの諸法令を遵守しようとする姿勢は残念ながら見る
ことができません。
一方で、長居公園に住む人たちは、2007年1月10日付弁明書においてそれぞれ、「私
たちは、現住する場所に固執して強制排除に反対するわけではありません。他に生き
ていける場所=代替地の提示を求めているのです。公園工事にはこれまでも公園事務
所と話し合いの上で、可能な限り協力してきたという経緯もあります」(Nさん)
「過去に遡りオリンピック誘致、ワールドカップ前夜と、長居公園のホームレスが暮
らすテントが撤去される段には、必ず説明会がなされてきました。その都度、話し合
いでもって互いに譲歩し頼まれごとは引き受けてきたものです。」(Kさん)として
いるとおり、話し合いには応じる姿勢を示しています。「私たちは整備工事自体に協
力する意志はあります。だからこそ,今回の工事の話がなされたときにも,テントを
建設できる代替地を求めてきました。」「私たちの生活は今のテント村なしには成り
立たないからです。なぜ公園事務所は,テント村を長居公園内の他の場所に移転させ
ることを認めてくれないのでしょうか。スタジアム周辺で露宿を余儀なくされている
人たちも退去が強要されていることも考えると,大阪市は長居公園から野宿者を一掃
しようと急いでいるとしか思えません。なぜそんなに急いで野宿者を排除しようとす
るのですか。国際的イベントが開催される長居公園に野宿者が生活していることが,
大阪市としてそんなに恥ずかしいですか。」「雑多な人間が集う私たちのテント村
が,そんなに見苦しいですか。」(Sさんの「弁明書」より)
このテント住民の問いかけに対してことばをもってこたえることなく暴力で報いるよ
うなことは絶対に許されてはなりません。
直ちに長居公園に対する強制立ち退きの手続を中止してください。
長居公園に住む人たちとの真摯な話し合いの中から受け入れ可能な解決策を見出すよ
うにしてください。
法を遵守し、目の前に拡がっている貧困の現状に対して責任ある施策を示し、実行し
てください。以上、心より要望いたします。
賛同者名簿
笹沼 弘志(静岡大学教授・憲法学)
庄谷 怜子(研究者)
谷 靖介(弁護士・茨城県弁護士会)
安澤 裕一郎(弁護士・東京弁護士会)
酒井 恵介(弁護士・東京弁護士会)
菅本 麻衣子(弁護士・東京弁護士会)
森川 清(弁護士・東京弁護士会)
山本 志都(弁護士・東京弁護士会)
高貝 亮(弁護士・静岡県弁護士会)
岩井 羊一(弁護士・愛知県弁護士会)
北村 栄(弁護士・愛知県弁護士会)
森 弘典(弁護士・愛知県弁護士会)
佐野 就平(弁護士・京都弁護士会)
住田 浩史(弁護士・京都弁護士会)
舟木 浩(弁護士・京都弁護士会)
石側 亮太(弁護士・大阪弁護士会)
浮田 麻里(弁護士・大阪弁護士会)
江村 智禎(弁護士・大阪弁護士会)
奥田 愼吾(弁護士・大阪弁護士会)
康 由美(弁護士・大阪弁護士会)
木原 万樹子(弁護士・大阪弁護士会)
小久保 哲郎(弁護士・大阪弁護士会)
七堂 眞紀(弁護士・大阪弁護士会)
間 光洋(弁護士・大阪弁護士会)
普門 大輔(弁護士・大阪弁護士会)
安永 一郎(弁護士・大阪弁護士会)
板野 陽一(弁護士・兵庫県弁護士会)
小沢 秀造(弁護士・兵庫県弁護士会)
阪田 健夫(弁護士・兵庫県弁護士会)
西部 智子(弁護士・兵庫県弁護士会)
谷村 慎介(弁護士・兵庫県弁護士会)
高木 佳世子(弁護士・福岡県弁護士会)
吉田 哲也(弁護士・熊本県弁護士会)
楠 高志(司法書士・札幌司法書士会)
早坂 智佳子(司法書士・山形県司法書士会)
車塚 潤(司法書士・宮城県司法書士会)
茂木 昌子(司法書士・茨城司法書士会)
嶋田 貴子(司法書士・栃木県司法書士会)
稲葉 浩運(司法書士・千葉司法書士会)
伊見 真希(司法書士・千葉司法書士会)
福原 正和(司法書士・千葉司法書士会)
長田 悦子(司法書士・埼玉司法書士会)
後閑 一博(司法書士・東京司法書士会)
村上 晴代(司法書士・東京司法書士会)
山本 栄一(司法書士・東京司法書士会)
若鍋 敬治(司法書士・東京司法書士会)
古根村 博和(司法書士・神奈川県司法書士会)
小澤 吉徳(司法書士・静岡県司法書士会)
榊山 雄一朗(司法書士・奈良県司法書士会)
西山 弓子(司法書士・奈良県司法書士会)
前川 一彦(司法書士・奈良県司法書士会)
松村 健(司法書士・奈良県司法書士会)
敦見 佳司(司法書士・兵庫県司法書士会)
阿部 心一(司法書士・兵庫県司法書士会)
有田 優(司法書士・兵庫県司法書士会)
粟野 友康(司法書士・兵庫県司法書士会)
池田 篤信(司法書士・兵庫県司法書士会)
池田 光男(司法書士・兵庫県司法書士会)
井上 佐知子(司法書士・兵庫県司法書士会)
岡田 茂(司法書士・兵庫県司法書士会)
小川 真理子(司法書士・兵庫県司法書士会)
木澤 美生子(司法書士・兵庫県司法書士会)
木谷 公士郎(司法書士・兵庫県司法書士会)
國本 勝(司法書士・兵庫県司法書士会)
小高 真子(司法書士・兵庫県司法書士会)
高田 宏二(司法書士・兵庫県司法書士会)
高原 勉(司法書士・兵庫県司法書士会)
常峰 智子(司法書士・兵庫県司法書士会)
土岐 聡(司法書士・兵庫県司法書士会)
中村 宏二(司法書士・兵庫県司法書士会)
南里 愛(司法書士・兵庫県司法書士会)
西海 まゆみ(司法書士・兵庫県司法書士会)
西口 真次(司法書士・兵庫県司法書士会)
野上 英則(司法書士・兵庫県司法書士会)
古川 美奈子(司法書士・兵庫県司法書士会)
町田 直隆(司法書士・兵庫県司法書士会)
矢嶋 真理(司法書士・兵庫県司法書士会)
吉岡 大地(司法書士・兵庫県司法書士会)
吉田 康志(司法書士・兵庫県司法書士会)
徳永 慎一(司法書士・福岡県司法書士会)
澤田 章仁(司法書士・熊本県司法書士会)
芝田 淳(司法書士・鹿児島県司法書士会)
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