ある村にお調子者のホグライダーと同じくお調子者のウィザードがいた。

 二人はよく喧嘩をした。些細なことでもすぐに罵り合いを起こした。種族は違えど、二人の好みはどことなく似通っていた。だから二人はよく喧嘩をした。

 あるとき、二人はこれまでで最大の喧嘩をした。二人とも、同じ女性に恋をしていることがわかったからだ。
「今日という今日は譲らない。」ホグライダーが言った。
「何言ってんだ。俺に何かを譲ったことなんて一度もねえくせに。」ウィザードが言った。
「それはお前もだろ。」
「うるせえ。俺だってな、今回ばっかしは絶対に譲れねえんだ。今までとはわけが違うからな。」
「惚れた女性を誰かのせいで諦めるなんて、あっちゃならねえことだものな。」

 ホグライダーとウィザードは口汚く罵り合いながらも話し合い、心に決めた女性へ、同時に告白することに決めた。一番あと腐れのないやり方だ。二人は似た者同士だから、意見が纏まるのは早かった。

 二人はその日の夜、意中の相手であるヒーラーを水辺に呼び出した。彼女は村いちばんに優しいと評判の女性だった。
 二人はヒーラーに、夜中に呼び出した非礼を詫び、それから思い切って思いの丈を口にした。
 そして優しい困り顔でハートを打ち砕かれた二人は、夜が明けるまで水切りをして過ごした。

 粉々になった彼らも、三日経つとすぐにまた調子付いた。けれど彼らは以前の彼らとは少しだけ違っていた。
 ホグライダーは相棒のホグの世話を以前よりも丁寧にやるようになったし、ウィザードはファイアボールの訓練を以前よりも真面目に取り組むようになった。二人は新しいハートを手に入れたのだ。砕かれたぶん、よりタフなハートだ。

 そんな折、二人は村のユニットたちと共に戦場へ向かうことになった。その中にはあの優しいヒーラーもいた。

 ヒーラーがジャイアントたちに癒しの光を与える。のろまだが頑丈なジャイアントたちは防衛施設をなぎ倒していく。そのあいだにウィザードとアーチャーたちが共同して彼らの後ろをついていく。ホグライダーはまだ息を潜めている。ジャイアントたちが壁を殴り始める。

 壁の向こう側には対空砲があった。ヒーラーがゆっくりとその射程圏内に入ろうとしていた。
 あののろま集団め!
 ウィザードは急いで対空砲の近くに走っていった。
 後方からホグライダーが全速力で駆けてきて、壁を飛び越えて対空砲を殴り始めた。対空砲が壊れ、ジャイアントがようやく壁に穴を開けた。
 すると、敵のクランの城から用心棒が現れた。ヒーラーの回復も虚しく、ジャイアントたちは用心棒たちにやられてしまった。彼らの次の標的はヒーラーだ。彼女を守らなければ!
 そのとき、天から小瓶が降ってきて、ポイズンの呪文が地面に広がった。用心棒たちの動きが鈍くなったので、ウィザードはその隙に渾身のファイアボールを叩き込んだ。ホグライダーが陽気に叫び声を上げながら、次の防衛施設を壊しに向かった。

 その日の夜、アーミーキャンプで酒盛りが行われた。二人は肩を組み合いながらエリクサービールをごくごくと飲んだ。
「大体なあ、ジャイアントものろまだが」ホグライダーが言った。「うちの村のチーフはもっとのろまなんだな。」
「ちげえねえな。」ウィザードが言った。ポイズンを打つのがもっと早ければ、ジャイアントたちは助かっていたかもしれない。
「ヒーラーちゃん、俺に惚れてくれたかな。」ホグライダーが言った。
「馬鹿言え。この俺に惚れるのが道理だろが。」ウィザードが言った。

 二人は性別と髭以外は何もかもが違っていたけれど、それでもやっぱり似た者同士だった。二人はこれからも末永く喧嘩をした。