〜 風のうた 〜
聞いたのね 大地にそよぐ 風の声
遠い記憶 呼びさます
覚えてる? 青いすみれの 最初の香り
あなたの命 あたためた
雲の流れる先に 何があるというの
森の向こうの未来を 知ってしまったのね
行きなさい さぁ 約束の家 ふりむかないで
信じなさい さぁ あふれる想い 強さに変えて
駆けまわる あなたの足音
わたしはひとり 風にさがすわ
◆
月あかり 波の彼方に 光る影
強い絆 呼んでいる
夕凪の 海に映った あなたの瞳
遥かな空を 見つめてる
荒れる海を知らない 川の流れのように
変えることのできない 運命があるのね
行きなさい さぁ こころで聞いた声のほうへ
信じなさい さぁ あなたが選ぶすべてのものを
あの風が 抱きしめてくれる
星の祈りが 眠れるように
赤血球がほとんどなくなると脳に酸素がいかなくなり、意識を失う。
病院に急ぐ途中、いくら携帯に叫んでも、無菌室の父の携帯からはもう返事はなかった。父は意識を失ってから数時間で他界した。
病名を知らせてから、2年半経っていた。
几帳面な父は、すべての治療内容と自分の状態をノートに詳細に記録した。自分自身の「考察」と「作戦」も書き加えられている。最後まで希望を捨てず、自分の身体を論理的に理解しようとしていた。その姿勢が、何も出来ない家族に逆に勇気を与えてくれた。
自分に出来ることはほとんどないが、出来ることがあるのなら、それをやろうと思う。おかげで迷いが消えたような気がする。
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