2008年03月14日
第54話 夫婦として 〜厚美との回想〜(5)
感情のない相手がこういうことをしていたとわかったが、
3人の子供たちのことを考えたりすると...
“ 今後どうしたら良いのだろうか... ”
そればかり思い詰めるようになった。
旅行から戻り、家で待っていた厚美と話す時間を設けた。
「これからのことだけど…」
「お前はどうする… どうしたい…」
「私は今までの状態がいい」
「冗談言うなよ!」
「何よ!」
「あなただってそれ以上の悪いことをしてるのよ!」
(逆ギレだw)
「俺たち夫婦のことを言い合っても今はただ醜い擦り合いにしかならないよ」
「俺もダメだし、お前もダメで、両方が大バカなことしたんだから...」
「子供のこと考えようよ!」
「子供のためにしようよ!」
「俺はお前のことなんか正直もうどうでもいいと思うけど、今の俺には子供たちをひとりでは育てることは不可能だし」
「それに、子供にとってお前はたった一人の母親だ。離れて暮らすには幼すぎるよ」
「もしも... 」
「これから子供たちの為だけに尽くしてくれるのであれば、俺はどうでもいい」
「子供たちが成人して、社会に出るようになった時、」
「その時こそ、お前とのおとしまえを本当につけようと思っている」
「だから、それまでは頑張る。踏ん張る。我慢する。」
「それが出来ないのであれば... 早いとこ別れよう」
「それでいいのなら... 子供たちにとってもっと良い母親になってくれないか…」
「ごめんなさい!」
「仕事もすぐにではないけど、辞めます」
「心入れ替えます」
この時、用意していた離婚届の用紙にお互い署名捺印した。
それを封筒に入れ、中身を教えず 「大切な書類だから...」 とだけ言って自分の両親に預けた。
悲しく、辛い想いをさせた子供たちに償おう。
そんな想いで新たに生きることを確認したつもりだったが...
しかし、それから厚美は1ヶ月ほどは大人しくしていたものの、仕事を減らす気配は一向になく、子供たちへの食事等も改善する行動も見られなかった。
2年後、
厚美は自分のマンションを売却し、事業で使用している機材や備品を自宅へ持ち込んできた。
(やっと仕事辞めてくれるんだ...)
そう思ったが、
「今度、この家ですることにしたから...」
「部屋ひとつだけ使うからね!」
自分と二男が使っていた部屋を仕事部屋に改造し、
我々は仕方なくリビングにベッドを置きそこで就寝するようになった。
厚美はすっかり元の厚美に戻ってしまっていた。
その年の秋、
突然電話が掛かってきた。
真夜中に...
ちゃん子との出会いだった。
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