<通信制高不正編入>無認可サポート校、成績捏造し難関大へ
毎日新聞 2016年7月7日 7時5分配信
広域通信制高校「クラーク記念国際高校」(本校・北海道深川市)に生徒を違法に編入学させていたサポート校「四谷インターナショナルスクール」(東京都新宿区)は、成績を捏造(ねつぞう)するなどして生徒を同校に送り込んでいた。関係者によると、不正編入を経て高卒資格を得て有名大学に合格した生徒もいる。「四谷」は大学名を「合格実績」としてホームページ(HP)に掲載しており、編入学は生徒集めの手段だった可能性もある。【伊澤拓也】
四谷を運営する会社「総合文化企画」は2002年に設立。登記簿によると、学習教室などを運営している。四谷は英国に本部がある教育認定機関「キリスト教学校国際協会」(ACSI)に加盟しているが、国内では都知事の設置許可を得ていない無認可校。小、中、高等部に分かれて英語を中心とした授業で、生徒は約140人。関係者によると、04年ごろからクラークのサポート校として、四谷、クラーク両校に所属する生徒に対しリポートを添削したり試験を実施したりしていた。クラークへの編入も04年ごろに始まったという。
両校に所属していた卒業生によると、四谷の生徒は不登校だった子どもや帰国子女が多く、授業に出てくる生徒は全体の半分以下。熱心に授業に聴き入り勉強する生徒もいたが、授業中も音楽を聞いたりダンスをしたりする生徒もいたという。
この卒業生の友人は、四谷に1年生として入り、2年生でクラークに編入。クラークに2年在籍して卒業したといい「高校に3年間通っていないのにどうして卒業できるのか不思議に思っていた」と明かした。
関係者は「編入させる生徒の成績は、5段階で最高の『5』が多かった。内申点を高くするために適当につけていたようだ」と話す。内申点が高いと大学の推薦入試で有利になる。四谷のHPには、合格実績として早稲田や慶応など難関私大が並ぶが、その中には編入生の進学先も含まれているという。
ただ、文部科学省は、不正に編入して進学した大学生の合格を取り消すよう指導することはないとしている。四谷のような無認可校は法規制が及ばず、文科省や自治体の指導対象にもならない。実質的には野放しの状態だ。
北海道学事課は「成績捏造があったことは把握している。そもそも無認可校の単位を認定すること自体が違法なので、編入生を受け入れる場合は高校側がしっかり確認してほしい」としている。
広域通信制高校のサポート校を巡っては、国の就学支援金を不正受給したとして昨年12月、東京地検特捜部の家宅捜索を受けたウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)のサポート校が不適切な授業を繰り返していたことが判明している。文科省教育制度改革室は「サポート校に多い無認可校は行政指導できず、実態把握が困難になっている。早急に自治体や学校向けのガイドラインを策定したい」としている。
毎日新聞 2016年7月7日 7時5分配信
広域通信制高校「クラーク記念国際高校」(本校・北海道深川市)に生徒を違法に編入学させていたサポート校「四谷インターナショナルスクール」(東京都新宿区)は、成績を捏造(ねつぞう)するなどして生徒を同校に送り込んでいた。関係者によると、不正編入を経て高卒資格を得て有名大学に合格した生徒もいる。「四谷」は大学名を「合格実績」としてホームページ(HP)に掲載しており、編入学は生徒集めの手段だった可能性もある。【伊澤拓也】
四谷を運営する会社「総合文化企画」は2002年に設立。登記簿によると、学習教室などを運営している。四谷は英国に本部がある教育認定機関「キリスト教学校国際協会」(ACSI)に加盟しているが、国内では都知事の設置許可を得ていない無認可校。小、中、高等部に分かれて英語を中心とした授業で、生徒は約140人。関係者によると、04年ごろからクラークのサポート校として、四谷、クラーク両校に所属する生徒に対しリポートを添削したり試験を実施したりしていた。クラークへの編入も04年ごろに始まったという。
両校に所属していた卒業生によると、四谷の生徒は不登校だった子どもや帰国子女が多く、授業に出てくる生徒は全体の半分以下。熱心に授業に聴き入り勉強する生徒もいたが、授業中も音楽を聞いたりダンスをしたりする生徒もいたという。
この卒業生の友人は、四谷に1年生として入り、2年生でクラークに編入。クラークに2年在籍して卒業したといい「高校に3年間通っていないのにどうして卒業できるのか不思議に思っていた」と明かした。
関係者は「編入させる生徒の成績は、5段階で最高の『5』が多かった。内申点を高くするために適当につけていたようだ」と話す。内申点が高いと大学の推薦入試で有利になる。四谷のHPには、合格実績として早稲田や慶応など難関私大が並ぶが、その中には編入生の進学先も含まれているという。
ただ、文部科学省は、不正に編入して進学した大学生の合格を取り消すよう指導することはないとしている。四谷のような無認可校は法規制が及ばず、文科省や自治体の指導対象にもならない。実質的には野放しの状態だ。
北海道学事課は「成績捏造があったことは把握している。そもそも無認可校の単位を認定すること自体が違法なので、編入生を受け入れる場合は高校側がしっかり確認してほしい」としている。
広域通信制高校のサポート校を巡っては、国の就学支援金を不正受給したとして昨年12月、東京地検特捜部の家宅捜索を受けたウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)のサポート校が不適切な授業を繰り返していたことが判明している。文科省教育制度改革室は「サポート校に多い無認可校は行政指導できず、実態把握が困難になっている。早急に自治体や学校向けのガイドラインを策定したい」としている。