千葉小4虐待死「介入すべき機会13回あった」 検証報告書で児相や市を批判
毎日新聞 2020/1/23(木) 22:06配信


 2019年1月に千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(当時10歳)が虐待を受けて死亡した事件で23日、専門家による検証報告書が同市の再発防止合同委員会に提出された。報告書は県柏児童相談所や市が介入すべき機会が少なくとも13回あったと指摘。女児からの虐待の訴えに対応できず、SOSがなくなったため「命を奪ったのは公的機関に所属する大人への(女児の)不信感だった」として関係機関を厳しく批判している。事件は24日で1年を迎える。【橋口正、町野幸】

 報告書は、市から委嘱された日本大の鈴木秀洋准教授(行政法)ら専門家3人が市職員や学校関係者らに聞き取りしてまとめた。

 報告書は、女児が父親に口を塞がれ床に押しつけられたことを児相に伝え「(父親が)『なかなか息が止まらないな』と言った。自分の身体がどうにかなると思った」と証言していたことを明らかにした。女児の一時保護中に、市や児相などで構成する「要保護児童対策地域協議会」の実務者会議でこの証言が共有されたが、児相は危険性を甘くみて虐待の程度を「中度」と判断し、一時保護を約1カ月半で解除した。報告書はこの対応を「リスク評価をチェックリストだけで判断した。生命の危険と判断すべきだった」と指摘する。

 一時保護解除後の児相の対応にも問題があったとした。児相は担当者の変更に伴って父親に手紙を送り、児相が一家との関わりを終了する条件として「女児が自由に発言や表現できる仕組みが、うそをつく、困らせる方法ではない方法でできること」などと書いた。女児にも問題があるような内容で、報告書は「手紙を父が女児に見せれば女児の強い無力感につながり、福祉関係者を信用しなくなるという想像力が持てていない」と猛省を求めた。

 女児が父親の暴力を訴えた学校のいじめ調査アンケートの写しを市教委が父親に手渡したことは「市教委が市の児童家庭課や柏児相と相談すべきだった」と指摘。「全体像を把握することなく、その場しのぎで対応することは非常に大きな問題だ」と断じて、子どもの権利を守る姿勢に欠けていたとした。

 女児のSOSに対してどの関係機関も適切に対応せず、一時保護が解除された後、亡くなるまで女児は学校などに虐待を訴えることはなかった。報告書は「頼れる大人が一人でもいたら救えたはず」「女児の命を奪ったのは公的機関に所属する大人への不信感だったといっても過言でない」と結んでいる。

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 23日に野田市役所で開かれた再発防止合同委では冒頭、委員や職員ら全員で女児に黙とうをささげた。非公開の会議では検証報告書の説明があり、児童虐待防止対応マニュアルの作成に向けて協議した。今回提出された検証報告書とともに5月に各委員が再発防止などの提案を鈴木有市長に行う。