ブルムベア(中期型)(夕凪原型製作記99)八九式中戦車 原型製作記(その1)

2014年03月21日

3Dプリントモデル、積層痕のお話

今日は3Dプリンタによる原型製作のTipsを少々紹介したいと思います。
DAMEYA-NETにて販売している3Dプリントモデルには全て「樹脂を積層して立体化する方式の3Dプリンタにより出力されたもののため、表面には若干積層痕が残っています。」という注釈がつけられていますが、この積層痕とはどのように発生するものなのかについて簡単に説明をさせていただきます。
まず、DAMEYAで取り扱っている3Dプリントモデルは3Dsystems社のHD3500もしくはHD3000というインクジェット方式の3Dプリンタで製造されています。
このインクジェット方式の3Dプリンタとはプリンタヘッドからアクリル系樹脂を噴射して紫外線ランプで樹脂を固め積層していという方式の3Dプリンタです。印刷用のインクジェットプリンタと似たようなプリンタヘッドから樹脂を少量噴射する機構を採用しているため、概ね30μm前後微細な積層ができます。 また樹脂を噴射するノズルは樹脂用とサポート材用があり、オーバーハングしている形状の物でも造形が可能である点が特徴となっています。
まずは積層痕がどのようなものかについて下の写真をご覧ください↓
これはKampfgruppe144製のsd.Kfz 8 DB10装甲兵員輸送車のパーツ状態の写真です。
樹脂の素材は半透明のアクリルなのですが、写真で白くなっている部分が積層痕が強く出ており、表面が毛羽立っている箇所となります。
RIMG2098

ではどのようにしてこのような表面の粗れが出るのかについて、これまでこのタイプの3Dプリンタでモデルを出力することを前提に原型を設計してきた経験から考察をしてみたいと思います。
これまで数十種類に及ぶ3Dプリントモデルを取り扱ってきた経験から積層痕はこのような形で出るものと考えています。
まずは下図①のような状態、この状態では樹脂用のノズルとは別のノズルから噴射されるワックス状のサポート材は必要ない状態で、ほぼ3Dプリンタのカタログスペック通りの精度を出すことが可能な状態と言えます。
①

そして積層痕が最も粗く出てしまう状態が下図②のような状態です。樹脂を積層する面に対してオーバーハングするような形で出ている突起はその部分を支えるために部品となるアクリル樹脂とは別にワックス状のサポート材が積層されます。そしてそのサポート材とアクリル樹脂の境界面はワックス状のサポート材とアクリル樹脂が互いに「練り込まれた」ような状態になってしまい、表面が粗くなってしまうと考えられます。(下図②の赤線の部分)
②

3Dプリントモデルを設計する上ではモデルが②の図のような状態で出力されることはなるべく避けなくてはなりません。このため、DAMEYA製の3Dプリントモデルはなるべく①の図のような状態でモデルの各部を出力することができるよう、部品を分割しています。通常の樹脂を型へ注型するタイプのガレージキットとは異なる部品分割となっているのはこのためです。
なお、全てのモールドを水平面に向けるとなると、一つのモデルで非常に多くの部品を分割しなければならなくなってしまいます。このため、次善の策として下図③のような形で出力をしている部品もあります。
③

傾斜している面に突起物があるようなモデルの場合、突起の高さや面の傾斜角度にもよりますが、表面が荒れる範囲は③図に示したように突起物の影となる部分に限定されます。
面の傾斜が浅ければ浅いほどその範囲は局限されます。なお、傾斜面では3Dプリンタの積層ピッチ分の段差が発生しますが、これは前述のとおり概ね30μm程度の物であり、部品を洗浄後にサーフェイサーを吹き付けてしまえば処理ができるレベルのものです。
このため、DAMEYA製の3Dプリントモデルはなるべく各部品が①図および③図のような状態になるように意図して部品を分割しています。一見無意味に見えるような部品分割も表面が粗くなる範囲をなるべく完成したモデルの各部が滑らかに仕上がるように考えた結果のものです。

以上のことを踏まえると底面に対して大きくオーバーハングしているようなモデル、垂直面に多くの突起が出ているようなモデルはインクジェット式の3Dプリンタで出力するには不向きな形状であるといえます。
例えばDAMEYA-NETFUTURE RELEASESのコーナーに長期間記載されながらなかなか製品化していない八九式中戦車のように車体の全面にわたってリベットが出ているモデルなどはインクジェット式の3Dプリンタが最も苦手としている形状のモデルといえます。(同様にドイツ軍の38(t)なども出力するのには困難が伴うと思われます)

20071014_tutiura_01

一時はこの手のモデルについては車体のみレジンキャストで製造することも考えていました。
しかしながら、八九式中戦車については最近になって上手い部品の分割方法を思いついたので、次回作はこの戦車にするべく現在準備を進めています。
4月中にはお目にかけることができるかと思いますのでお楽しみに


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dameya at 23:07│Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 原型製作記録 

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