2016年06月11日

学会旅行の思い出(ポートアイランド編;2日め)

昨日があんな通勤ラッシュだったので7時台に出発。

どうやらお天気は持ちそうで何よりだ。

荷物が重い〜。

術後感染予防抗菌薬適正使用-新しいガイドラインのポイント-

基調講演:竹末 芳生(兵庫医科大学感染制御学)
1.「術後感染予防抗菌薬適正使用−新しいガイドラインのポイント−整形外科領域について」
山田 浩司(関東労災病院整形外科・脊椎外科)
2.「泌尿器科領域の術後感染予防抗菌薬適正使用」
高橋 聡(札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座)
3.「消化器外科領域における術後感染症予防抗菌薬ガイドライン」
久保 正二(大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵外科学)
4.「血管、ヘルニア、乳腺のガイドラインのポイント」
尾原 秀明(慶應義塾大学外科)
5.「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン:耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域」
保富 宗城(和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科)


パネルディスカッション5は、この度発行された「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」について。

まずはガイドライン作成委員長の竹末先生による基調講演。

・推奨度・エビデンスレベルの解説
・目的はSSIの予防(遠隔部位感染は原則対象外)。補助的役割(組織の無菌化が目的ではない)
・創クラス分類毎に予防抗菌薬を設定(隣接臓器常在菌も対象に含めた)
・β-ラクタム薬アレルギー時の代替薬を設定
・過体重(80kg以上)/肥満患者に対する増量を推奨
・投与および再投与のタイミングと投与期間を設定
あと、下部消化管手術に対する術後感染予防に関する解説が続いた。

1は整形外科領域について

・脊椎固定(脊椎インストゥルメンテーション手術)が最もハイリスク
・術後感染予防に経口薬は不要(!)
・人工関節抜去後の死腔に対するスペーサーには抗菌薬含有骨セメントを推奨
・Gustilo分類b以上は予防はでなく治療対象

2は泌尿器科領域について

・汚染度によってSSI発症率はまちまち
・膀胱全摘(尿路変更または再建)が最もハイリスク
・嫌気性菌が術後検出されることあり(10%程度)

3は消化器外科(肝胆膵)領域について

・肝切では24時間以内の投与を推奨(72時間以内との非劣性RCT)
・胆道ドレナージ例では胆汁培養結果に基づいて抗菌薬を決定

4は一般外科(血管、ヘルニア、乳腺)領域について

・鼠径部ヘルニアは術前単回投与で十分
・乳癌手術は乳房再建ありでは24時間以内、再建なしでは単回投与
・血管外科手術ではステントグラフト内挿術など人工物埋入を伴う手術等

5は耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域について

・唾液腺・甲状腺は清潔創(クラス機法△修谿奮阿禄狎況藾蓮淵ラス供
・頭頸部癌手術にはSBT/ABPC or CEZ+MNZを推奨(それ以外はCEZ)

追加発言として感染性心内膜炎(抜歯時の予防)について

英国では抜歯時予防抗菌薬を廃止したところ感染性心内膜炎の発症率が増加していることから、本邦では予防を推奨するスタンスに(ただしリスク評価して選択)。

113番新元素の発見−現代の錬金術−

特別教育講演は、今や「時の人」となった理化学研究所・森田浩介先生のお話を聴くことができた。

何せ113番元素の元素名(案)が「ニホニウム(Nh)」と公表されたのがつい3日前のこと。

本学会のテーマからは外れる内容にもかかわらず、692名収容の第1会場(メインホール)は超満員となった。

見事なタイミングでこの講演を企画された荒川会長の慧眼には驚かされる。


この数日間、何度もTVでお顔を拝見した森田先生は、(「普段は笑わない」と言いつつも)とてもユーモアのある方だった。

ノーベル賞受賞者で量子論の創始者・ニールス・ボーア博士の残した「経験の範囲拡大と秩序立てこそが科学の課題」という言葉がモットーという森田先生。

112番元素の命名権を惜しくも逃した話(2番目じゃダメなんです!)、114番元素(Fl)・116番元素(Lv)に命名を追い越された話、幻となった日本発の元素名(ニッポニウム;Np)の話など、命名権獲得を巡る秘話を興味深く聴くことができた。


後半は新元素の作り方について。

陽子数が増えれば増えるほど、原子核内で反発して分裂しやすい(よって自然界には存在しない)。

よって、複数の原子を(今回はZnをBiに)衝突(核融合反応)させて作る。

しかし、衝突のスピードが大切(早過ぎるとバラバラ、遅過ぎると融合しない)だし、都合よく衝突するのは10兆回に1回という「超」低確率ゆえ、必然的に「数打ちゃ当たる」の戦略に。

検出も大変で、α崩壊の記録を遡ることで元々の元素が何だったかが証明される仕組み。

いったん設定すれば途中でみだりに変更する訳にもいかず、ただただ体力と根気を要する研究とのこと。


森田先生の辞書に「諦める」という言葉はなかったのだろうか?

その答えは(たずねるまでもなく)講演の中に見つけることができた。

「世界一」と自負する設備、そしてスタッフとの信頼関係こそが、森田先生が「いつの日か偉業を達成できる」と確信させたに違いない。


講演を終え、上着を脱ぎ、コップの水を飲み干す森田先生の姿が何だか(!?)格好良く見えた。

歴史的な講義を聴くことができて幸運だった。

注射用抗菌薬の用法用量を再考する− PK/PD理論に基づく新戦略−

教育セミナー10

教育(ランチョン)セミナー10は、PK/PD理論の第一人者である森田邦彦先生の登場。

※「PK-PD」という表記は死語になっちゃったのかなぁ。

「定番」のお話以外で興味を引いたのが、TAZ/PIPCの溶解に関する話。

知らなかったが、看護師が最も溶けにくいと感じている抗菌薬がTAZ/PIPCとの事。

溶解液量5mL・振とう時間10秒では65%しか溶解しない(知らずに投与したら1/3ロスすることに)。
・10mL・10秒 ⇒ 88%
・20mL・10秒 ⇒ 100%
・15mL・20秒 ⇒ 100%

意外なところにピットフォールがあるものだと思った。

Top 10 Paper Based Learning

1.「深在性真菌症」
宮崎 泰可(長崎大学病院呼吸器内科(第二内科))
2.「MRSA感染症に関する研究の最前線」
長尾 美紀(京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学)
3.「CRE」
宮良 高維(関西医科大附属枚方病院呼吸器・感染症内科)
4.「ワクチン」
中野 貴司(川崎医科大学小児科)
5.「Clostridium difficile 感染症」
山岸 由佳(愛知医科大学病院感染症科)

セッションに先立ち三鴨先生(私の2m左!)から発言があった。

「反対意見もあったが海外では当たり前に行われている企画」

「論文の読み方を学ぶこと、コンパクトに紹介することがねらい」


※会場入り口で文献リストが配布されていた。下記は聞き間違いもあるかと思うので原文をご参照ください。3までで退出。


1は深在性真菌症について。

・侵襲性アスペルギルス症の初期治療(VRCZはAMPH-Bより優れていた)
・VRCZとミカファンギンとの併用効果(有意差はなかったが併用効果に期待)
・VRCZ vs CPFG vs 併用(VRCZ単剤が最も優れていた)
・肺ムーコル症と肺アスペルギルス症のCT所見比較(Halo効果の推移に差異)
・BAL vs 肺生検(感染(特に細菌感染)はBAL、非感染は肺生検に軍配)
・ムーコル症治療に高用量L-AMB(10mg/kg/日)(一定の効果認めるも副作用リスク↑)
・肺アスペルギルス症のCT所見による効果判定(真菌球・空洞の縮小は治療効果と関連なし)
・カンジダに対する予防投与(投与期間7日を境に菌種変動)
・カンジダ血症治療に対するバンドルの意義(バンドル遵守の効果に有意差)
・クリプトコッカス髄膜炎に対するステロイドの効果(かえって悪化したが非HIVでは改善)

2はMRSAについて。

・黄ブ菌バンドルマネジメント中の心エコーの必要性(院内発症なら不要かも)
・β-ラクタムアレルギー患者のMSSA菌血症治療(VCMより病歴聴取⇒CEZが優れていた)
・MRSAに対し、VCM単剤 vs β-ラクタム剤併用(併用群に軍配;シーソー効果など)
・VCMトラフ値と臨床効果(トラフ≧15μg/mLでは失敗少ない)
・市中発症の皮膚軟部組織感染症に対し、ClDM vs ST(引き分け)
・黄ブ菌による眼感染症(IE等の播種性疾患では眼底検査は重要)
・ムピロシン鼻腔除菌は周術期以外も有用?(有用)
・新しい治療法の数々(抗生剤-抗体複合体療法;演者イチ推し)

3はCREについて。

・カルバペネマーゼ検出検査(3種類)
・米国におけるCRE年間罹患率(2.93/10万人)
・IMP-6保有プラスミドの全塩基配列
・耐性遺伝子の伝播が早い事例(トランスポーソン核に組み込み)
・院内アウトブレイクへの対策(対策後も再燃⇒既に市中拡散か)
・ERCP内視鏡を介した水平感染(自動洗浄器の限界⇒エチレンオキサイド滅菌で解決)
・直腸内CRE菌量多いとsuper-spreaderに
・コリスチンの至適投与量は?(4.4mg/kg/日・7日以上で治癒率↑)

総括:歴史的瞬間

歴史的瞬間

本学会を一言で表現するとすれば、この言葉しか見当たらない。

「抗菌薬TDMガイドライン」「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」、そして113番新元素ニホニウム(Nh)誕生に携わった先生方のお話を直接聞くことができたからだ。


抗菌薬TDMガイドラインが4年ぶりに改訂された。

4年前にも、その「歴史的瞬間」に私は立ち会った。

ところが、ガイドラインにより標準化が図られたと思いきや、更なる疑問点が生じ、それを解決するために新たなエビデンス作りが必要となることを痛感した瞬間でもあった。

そして4年の歳月を経てエビデンスが積みあがり、Unresolved issueが見事に解決された。

それを土台にして医療は更に進歩するのだろうし、また新たなUnresolved issueが生まれ、それを解決するためのエビデンス作りが開始される。

そんなダイナミックなサイクルを実感できた学会だった。

コスメコーナーを彷徨う

実は、昨晩の会員懇親会の際、妻からこんなメールが届いていた。

神戸大丸1階・化粧品「資生堂」カウンターの並びに「クレ・ド・ポーボーテ」というのがあります (だいたい中央の位置)。

そこのカウンターでお願いしたいです

.◆璽エリーニュ (カラー:YE-BR)
▲好謄ロスルシル(201)
↑のホルダー


ポートアイランドから神戸大丸(旧居留地)へは回り道になるけど、妻の願いとあらば是非もない。

※地下鉄(海岸線)でなくJR元町駅経由で行くべきだったなぁ。

ところが店内に入ると、その「クレ・ド・ポー・ボーテ」のコーナーがなかなか見つからない。

一店一店目を凝らしながらコスメのコーナーを巡り歩く、そんな「怪しい」だまさんの姿があった。

・・・見つけたぁ!

クレ・ド・ポー・ボーテ   アークエリーニュ他
(紀行文終わり)

2016年06月10日

学会旅行の思い出(ポートアイランド編;1日め)

第64回日本化学療法学会総会
会期:6月9日(木)〜11日(土)
会場:神戸国際会議場神戸ポートピアホテル
テーマ「化学療法の今後は?−多方面からの再考−」

K大くんが離脱し、ヒロPくんが新加入したICT。

新たな局面を迎え、更に責任ある立場となっただけに、真摯に望む2日間としたい。

え?2日間?

そう、会期は3日間だが、薬剤師不足のため、第38回抗菌薬適正使用生涯教育セミナー「だけ」の1日目は(前泊はするものの)やむなくパスすることに・・・(涙)。

そして予算の関係から、出張させてもらえるのは私だけ(K文さんは自費出張で参加)(号泣)。

ならば、なおのこそ疎かにはできない訳で、(久々の)学会リポートにも気合を入れたい。

※読者の皆さま、超多忙のため最近更新ができず、ご心配をかけたかもしれませんが、ちゃんと生きてますよ~(笑)。

片隅の二人4



(2016.6.9読了)

往路の車中で読んだ本がこれ。

この1〜2年間というもの、読書量が激減。

この本も読みかけのまま、3年越し(「後から前から!!??」以来)でようやく読み終えることができた。

交通事故で加害者となった若者・千歳と被害者の妻・澄子の物語。

常識ではあり得ない、そして許される筈のない禁断の恋。

しかし澄子の周りには、厚意を装って肉体を狙う隣人、建前を訴えながら示談金に目がくらむ義兄が暗躍。

偽善とエゴに息が詰まりそうになる中、唯一心を許すことができたのは加害者の千歳しかいなかったという現実。

孤独な現代社会への強烈な風刺が込められた作品だと感じた。


既に絶版となっているこの作品を探して読もうと思ったのは、中学生の頃に見たNHK銀河テレビ小説「ひそやかな日々を」(主演:高橋洋子丹波義隆)の原作だったから。

タイトルとは裏腹な展開に、「全然ひそやかじゃないやん!」と思いつつ、ドラマに引き込まれていった。

そして、二人が結ばれるシーンではホッと安堵した記憶が残っている(高橋洋子の妖艶さに魅了された記憶も)。

男と女の関係ってホント、理屈だけでは説明がつかないよね。

4年ぶり

ポートアイランドに訪れるのは4年ぶり。

前回は第29回日本TDM学会・学術大会で「抗菌薬TDM ガイドライン」の発刊という歴史的な節目に立ち会った訳だが、今回はその改訂版の発刊に立ち会うこととなった。


平日の朝のポートライナーは通勤ラッシュ。

ここに来ると、何だか「すし詰め」というキーワードが頭に浮かぶのだが、気のせいかな?(それともトラウマ?)

市民広場駅にたどり着けば、あとは勝手知ったる道のり。

無事神戸国際会議場に到着〜。

神戸国際会議場


抗菌薬TDMガイドラインの再考

1.「抗菌薬投与における腎機能評価」
平田 純生(熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター臨床薬理学分野)
2.「バンコマイシン:変更点を中心に」
松元 一明(慶應義塾大学薬学部実務薬学講座)
3.「テイコプラニン:高用量初期投与設計」
高橋 佳子(兵庫医科大学病院薬剤部)
4.「アミノグリコシド系薬:腎機能低下例も含めて」
笠原 敬(奈良県立医科大学感染症センター)
5.「ボリコナゾール:小児および造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防投与の適応追加とTDM」
浜田 幸宏(愛知医科大学病院薬剤部・感染症科)

最初のセッションは、迷った末にシンポジウム1をチョイス。

何せBig nameの揃い踏みだからだ(笑)。

1は腎機能評価(腎機能推算値)の話。

体表面積補正eGFR(mL/min/1.73屐砲CKDの重症度診断のための指標であり、薬物投与設計に用いる場合には体表面積未補正eGFR(mL/min)を用いること、海外で汎用されているJaffe法によるCcr≒未補正eGFRであることから、腎機能評価には未補正eGFRが適している(特にハイリスク薬では)。

痩せた症例では血清Cr値が当てにならない(0.6に補正)とは言いつつも、腎機能が低下するほど血清Cr値の信頼性は増してくるため工夫(血清シスタチンCを用いたeGFRの算出等)が必要。

患者の体格(volume status)と活動度を「自分の目」で確認することが肝要。

2はVCMに関する変更点ついて。

・肥満患者:1日4gが上限(血中濃度の予測が困難であり、腎障害が発現しやすいため)

・小児:トラフ値10-15μg/mLで十分(AUC>400を十分達成可能)

・CHDF:欧米推奨量は過量投与となる危険性(日本800mL/h、欧米2000mL/h)

なお、腎機能低下患者におけるローディングドーズの是非(※減量すると血中濃度の上昇が多いので必要にも思える)について質問があったが、エビデンスに乏しいため今回は勧告しなかった由。

3のTEICは6日ぶりにお会いする我らが高橋先生の登場。

目標トラフ値の変更(15-30μg/mL)に伴い初期投与設計の見直しの必要性が生じ、高用量レジメン(400mg×2×3日間や1回600〜800mg)を提示することとなった。

混乱を防ぐためloading doseという言葉を避け、初期投与設計(最初の3日間)と維持投与設計(4日目以降)に分けて表記した。

4はアミノグリコシド系薬、特に腎機能低下例に関して。

「実際に現場で使えるもの」という配慮から、MIC別の用量、TDMに基づいた投与量の調整の目安、腎機能低下例についてeGFRとMICに応じた用法・用量などが追加された。

また、TDM適応(予定使用日数の制限撤廃)や腎機能低下例におけるTDM(ルーチンのピーク値測定の非推奨)など、変更が加えられた。

5はボリコナゾール、特に予防投与に関して(ZZZ・・・ハッ!)

学会を支える「気配り力」

抗菌薬TDMガイドラインがテーマのシンポジウム1の参加者は、当然ながら薬剤師がメイン。

とすれば、医師以上の参加者数を見込んで大きな会場を用意しておくべきなのに・・・。

「もう何度も言わんぞぉ(・・・●●●を舐めんなぁぁぁ)」

開会まで30分以上も前だというのに、会場は既に満員。

「はぁ、初っ端から2時間も立ち見かぁ・・・」と心の中でボヤいてると、聞き覚えのある声が。

「椅子、後の方に置けないか?通路は?ああ、通れなくなるか」

そう、竹末先生だった。

すぐさま椅子が用意され、何とか「2時間立ち見」は回避(竹末先生、ありがとうございます♪)。

しかし、それもすぐに埋まり、会場にすら入り切れない程の人出となったのだった(涙)。


シンポジウムを聴き終わり、入り口で抗菌薬TDMガイドライン(改訂版)を購入。

「あと、術後感染予防抗菌薬のガイドラインも買わないと」

そう思い、総合受付に移動すると、そちらにも竹末先生の姿が。

うん?竹末先生が見守る中、声を張り上げてガイドライン売ってる女性って?

何と高橋佳子先生なのであった。

地元とはいえ、こんなお手伝いもされてたんですね〜。

高橋先生からガイドラインとお釣りを手渡された私は、後で「どうせならサインももらいたかった」などとアホなことを考えたのだった(←「アイドルか!忙しいのに怒られるわ!」)。


そんな感じで、竹末先生の気配りが学会を支えている(逆に、いない時には締まらない!?)ことを実感するエピソードだった。

カルバペネムを再考する

教育セミナー1

教育(ランチョン)セミナー1のテーマはカルバペネム系薬。

志馬先生のお話の前半は奈良(第36回抗菌薬適正使用生涯教育セミナー)で聴いたのとほぼ同じ内容。

後半はカルバペネム系薬の回避方法を模索する内容。

「中等度広域(CMZ・FMOX)」「De-escalation」「早期終了(≦7day)」がキーワード。

清田先生のお話は尿路感染症を対象とした内容。

カルバペネムの好適応となる重症の「結石性腎盂腎炎」「気腫性腎盂腎炎」の症例が提示された。

教育セミナー1

お弁当、ご馳走さまでした(^^♪

PK/PDに着眼した抗感染症薬の副作用マネジメントの再考

1.「小児のバンコマイシン過量投与に伴う聴毒性」
宇田 和宏(東京都立小児総合医療センター総合診療科)
2.「Vancomycin注の目標トラフ値の設定変更が投与量、投与期間、および腎障害発現に及ぼす影響:抗菌薬TDMガイドライン前後の比較」
植木 哲也(北九州市立医療センター診療支援部薬剤課)
3.「LZD に対するTDM を活用したRFP併用療法時のマネジメント」
山本 善裕(富山大学附属病院感染症科)
4.「ダプトマイシンの使用評価 投与方法と治療効果について」
太田 登志子(東邦大学医療センター大橋病院薬剤部)
5.「高齢肺炎患者におけるPIPC/TAZの腎毒性発現と薬物動態の関連性」
西村 信弘(島根大学医学部附属病院薬剤部)
6.「ガンシクロビル誘発性の血小板減少および白血球減少のリスク因子解析」
茂見 茜里(鹿児島大学病院薬剤部)

ワークショップ2(要望演題)

1は小児でのVCM過量投与(桁間違い)と耳毒性を検討した初めての報告。

(結果)43時間までの中毒域(≧80μg/mL)曝露で不可逆性の耳毒性は認めなかった。

2はガイドライン発表前後におけるVCMの投与量・投与期間・腎障害の発現率の変化について。

(結果)投与量(1日量↑・総投与量↓)、投与期間↓↓、腎障害の発現率→

3はLZDの副作用マネジメントとしてのTDM活用について。

(結果)RFP(相互作用でLZD血中濃度↓)併用&トラフ値10μg/mL以下に調節することで、臨床効果を落とさず血小板減少を回避できた。

4はDAPの投与間隔と治療効果の関係について。

(結果)投与間隔48時間(重症腎機能障害例・透析例)では無効例が有意に多かった。

※以後第1会場(シンポジウム2)に移動。

カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)について多方面から捉える

1.「我が国におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の現状」
鈴木 里和(国立感染症研究所細菌第2部)
2.「微生物検査におけるCREの検出方法とピットフォール」
中村 竜也(神戸大学医学部附属病院検査部/感染制御部)
3.「遺伝学的背景」
石井 良和(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
4.「兵庫医大病院におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌のアウトブレイク事例」
中嶋 一彦(兵庫医科大学感染制御部)
5.「長崎大学病院におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌によるアウトブレイクと散発例への対応」
泉川 公一(長崎大学病院感染制御教育センター
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座臨床感染症学分野)

シンポジウム2は、CREに関する発表をしたばかりの自分にとってHotなテーマだ。

1では届出基準が決まった経緯(現状の検出体制を考慮)やJANISとのデータ比較(E.coliやKlebsiellaで発症例多い?)について解説された。

国内はIMP型(関西:IMP-6、それ以外:IMP-1)が多い。

海外型の大半は持ち込みだが、NDM-5の国内発症例があり、今後要注意。

E.aerogenesにCPE(MBL産生型)が少ないという事実が興味深かった。

2・3は難解過ぎてZZZ・・・(涙)。

4は兵庫医大病院におけるアウトブレイク事例について。

消化器外科(ストマケア室)でのアウトブレイクではシンク・トイレ、急性期医療センターでのアウトブレイクではシンク・配管の改修によりようやく終息を見ている。

標準&接触感染対策に加え、環境汚染に対する施設改修が必要であることを印象付けた。

5は長崎大学病院におけるアウトブレイク事例について。

NICU・GCUでのアウトブレイクに対し、調乳・おむつ交換の手順やゾーニングの明確化(視覚化)など多彩な対策を講じている。

「災い(アウトブレイク)転じて福(感染対策の徹底)となす」姿勢がたくましく感じた。

抗真菌薬を再考する−国内外のガイドラインをふまえて−

教育(イブニング)セミナー2(第4世代セフェム系薬を再考する)が会場にすら入れぬ程の超満員だったので、N澤さんと一緒にこの教育(イブニング)セミナー4に移動。

あれぇ、何だかまたデジャブ

内容は真菌症フォーラムのガイドライン(深在性真菌症の診断・治療ガイドライン)と国内外のガイドラインとの比較。

慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA)やムーコル症に対する治療成績が紹介された。

神戸牛を堪能

今日のプログラムは全て終了。

会員懇親会にK文さん・N澤さんと参加した。

荒川会長、門田理事長のご挨拶の後、第64回総会の会長が決定している「エンターテナー」草地先生の乾杯の音頭で開宴となった(来年の懇親会はどんな趣向があるか楽しみぃ♪)。

会員懇親会

(出自は聞きそびれたが)綺麗どころの優雅な演奏と歌をBGMに、神戸牛・明石焼きなど地元グルメを堪能した。

神戸牛


神戸サウナ&スパ4



今日の宿は4年前と同じここ。神戸の「常宿」だ。

クリーニングサービス(しかも半額セール中!)があるので着替えを何着も持って来なくていいし、無料PCコーナーがあるのでカプセルホテルとはいえブログの更新もできた。

カプセル内で充電もでき、コーヒーも飲み放題で朝食付き。

4年ぶりに訪れたが、ますます快適になっていた。

2016年06月04日

CREとの遭遇

※第31回院内感染対策研究会の骨子を考え中です。

昨年、当院では13例のCRE検出症例を経験しました。

本日はその分析結果からわかったことをご報告します。

背景

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)。

腸内細菌科細菌に属する菌は、大腸菌をはじめ多岐に渡ります。

それがCREになると、本来効く筈のカルバペネム系抗菌薬が効いてくれません。

2000年に入ってから散見され始め、2010年頃よりCREと呼ばれるようになりました。

わが国では、2014年9月よりCRE感染症が5類感染症に指定され、届出が義務となりました。

難点1:「切り札」の抗菌薬が効かない

そう、CREの難点は、何といっても「切り札」的存在であるカルバペネム系薬が効かない点です。

通常ならば効いてくれていた、これらの抗菌薬。

・ゾシン
・第1〜4世代セフェム系
・カルバペネム系

ESBL産生菌でもカルバペネムならば効きました。

しかし、CREには何も効かなくなった。

代替薬とされているチゲサイクリンやコリスチンにしても、その有効性は未知数である一方、安全性は確実に下がってしまいます(当院でも使用経験はありません)。

・尿路感染
・胆道感染
・腹腔内膿瘍
・肺炎
・カテーテル関連血流感染
・創部感染

そのような菌がこれだけの感染症を引き起こす訳ですから、もし蔓延すれば、どれだけ深刻な事態になるかは想像に難くありません。

いかにして防ぐか?

それをお話している時間は今日はありませんので、キーワードのみご紹介しますと・・・。

・標準予防策+接触予防策
・スクリーニング検査
・地域サーベイランス
・新薬の開発
・ワンヘルス・アプローチ

既に深刻な状況にある米国では、2014年3月、オバマ大統領が国を挙げた耐性菌対策を宣言。

不必要な抗菌薬の処方の削減と新薬開発の促進に乗り出しました。

これに対し、安倍首相は先週の伊勢志摩サミットにおいて、国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョンを宣言。

薬剤耐性対策の強化を訴えました。

衝撃の結果

CRE感染症が届出対象になったことを受け、当院では翌年の4月よりCREを検出できる体制を整えました。

するとそれ以降、昨年中に計13例のCREが検出され、うち2症例について届出を行うという結果となりました。

日本ではまだ稀な耐性菌と思われていたCREが、僅か9ヶ月の間にこれ程検出されたことに、我々は少なからず衝撃を受け、より詳細な調査と監視体制の強化を行うこととなりました。


耐性菌対策の基本

それは抗菌薬の適正使用と耐性菌の伝播防止です。

今回我々は、CREの発生動向を確認するため、当院の検出症例を検証したので報告します。

一つ目は全国データとの比較。

国立感染症研究所発行の「IASR」をもとに、感染症法に基づくCRE感染症の届出状況と当院の検出症例を比較しました。

二つ目は耐性菌産生の可能性。

CRE検出以前のカルバペネム系薬の使用状況(投与期間・投与量)を検証しました。

三つ目は院内伝播の可能性。

患者間のCRE伝播の可能性を検証しました。

検証1:全国データとの比較

CRE感染症が届出対象に追加されてから約1年間に計1,321例の届出がありました。

先述の通り、当院で届出を行ったのは9ヶ月間で2例でした。

患者の年齢層は、検出例も含め全国平均より高めとなっています。

診療科も主病名もご覧の通りバラバラです。

CRE検出症例の検体は、症例2が血液、症例3が腹水ということで届出対象となりましたが、それ以外は保菌と見なされたため、届出は行われませんでした。

検体の内訳を全国と比較すると、当院では血液が1例しかありませんが、それ以外は大差ありませんでした。

菌種の内訳も、ご覧の通り全国とほぼ同じでした。

注目したいのが薬剤感受性です。

CREの判定基準は、MEPM耐性かIPMおよびCMZ耐性とされています。

しかし、,諒法だとこの2例が、△諒法だとこれらがCREと判定されないことになってしまいます。

難点2:見落される危険性がある

そう、CREの2つ目の難点は、見落としの危険性です。

最近の報告では「ステルス型CRE」というタイプが報告されており、メタロ-β-ラクタマーゼを産生するのにIPMが感受性と判定されるため、CREであることが見落とされてしまう危険性があります。

これはIMP-6というタイプのメタロ-β-ラクタマーゼで見られる特徴で、西日本で多く報告されています。

逆に、メタロ-β-ラクタマーゼを産生しないタイプのCREも存在することが知られています。

これらのことが、CREに対する理解を余計に難しくしています。


ここまでをまとめます。

・CREの検出動向は全国と同様と考えられました。

・薬剤耐性のパターンが多様であり、判定方法によってはCREを見落とす可能性が懸念されました。


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