ダンス亭日乗

日乗=日記の意。 Y(踏歴19年)とK(踏歴5年)の
ボールルームダンスにまつわる日々つれづれ。JDSFスタンダードA級

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2017年11月

祖母が他界した。


生前の職業はピアノ講師。

クラシックやジャズが好きで

ショパンとエラを好み

入院しても尚

病院のロビーに置かれたピアノを奏でていた。


ダンスも好きで

若い頃はダンスホールで踊っていたという。


ミュージカルやバレエを

よく2人で観に行った。

その中でも

オペラ座の怪人とジゼルは

2人のお気に入りの演目だった。


一緒の夏は

テレビでシンクロナイズドスイミングに釘付けになった。

冬になると

チケットを2枚手に入れ

フィギュアスケートの大会を観に行った。

平昌はもちろん、東京をその目で見るのだと笑っていた。


最近は

浮世離れしたドレスとメイクで見た目3割増しの

競技ダンスに打ち込む自分を

心から応援してくれていた。


告別式の翌日が競技会だった。

今年最後のエントリー。

周囲に背中を押され

出場を決めた。


フロアの

高い高い天井のずっとその先で

良い音を聴き

イマイチの踊りを観てくれていたと思う。

生涯、音楽と芸術を愛した人だった。


K


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「もう70歳だと思っていた…
でもまだ70歳だった」

皆さんもご存知かもしれない。
こんなCMが、少し前にテレビで流れていた。

最近、流れていないのか、
見る機会がなくて寂しい。

渡辺哲さんという体格が良い
俳優がお年寄り役で出てくるCM。

ちゃぶ台のある自宅でしょんぼりと
テレビを見ながら晩酌していると、
社交ダンスを華麗に舞い踊る女性がアップで登場する。

しょぼい顔してテレビを見ていた渡辺さんの顔が
驚きの表情に変化したと思ったら、
次の画面が面白い、面白い。

そこには、しょぼくれたお年寄りでなく、
ピンと胸を張ったキラキラ光り輝く
ラテンウエア姿の渡辺さんが立っている。
まるで、僕らのヒーロー、ウルトラマンみたいだ。

超高齢社会の日本。
65歳以上が全人口に占める割合はなんと約4分の1。
これから少子高齢化が加速して
日本の人口は減るのに、この割合は次第に高くなる。

ジャズボーカルを習い始めたという
今年、古希(70歳)を迎えるシャレた男性と知りあったけど、
どう見ても、70歳には見えなかった。

「もう★歳、まだ☆歳」
同じ年なのに、気の持ちようで、
若くなったり老け込んだりするのだろうか。

ちなみに、CMの渡辺さん本人の実年齢はまだ67歳だそうだ。

Y


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一度だけ、

個人レッスンの最中に泣いてしまったことがある。

このことを仲良しのダンス仲間に話したら、

「強いね。」

と言われた。

「弱いのでは?」

と返すと、

「強くないと悔し涙は出ないのよ。」

だって。

そうなのか?


あの夜、

前週のレッスンで掴みかけていたところが、

元に戻るどころか、悪くなっていた。


何度も、何度でも

繰り返し同じステップを踊ってくださるコーチャー。

何度も、何度やっても、できない自分。

諦めないコーチャー。

できない自分。


悔しさと情けなさと申し訳なさで、涙が溢れた。

踊っていても、意に反して

無表情な頬をポロポロと伝うので、

隠そうにも隠せない。


結局、掴みかけていたものは見つからず、

帰り道のなんとか橋を、泣きながら渡った。

子供か。


幼い頃、ピアノレッスンで、

赤鬼みたいな女先生に

手の甲を叩かれて泣いた。

バレエでは、

雪女みたいな先生の

容赦ない股割りに泣いた。

あの頃は、ただ痛くて怖くて帰りたくて、泣いていた。


大人になって、

痛くも怖くも帰りたくもなく、

淡々と在る無雑な思いに泣かされることを知る、

強いのか弱いのかわからない自分です。


K



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タイトルが変。
そう思う貴方は正しい。

そう、これは皆さん
ご存知の映画「ロッキー」に
出てくる主人公、ロッキーが愛する女性の名前。

「イタリアの種馬」と周囲に揶揄される
無名のボクサー、ロッキーがチャンピオンと闘う
千載一遇のアメリカンドリーム、そのチャンスを得る。

乱打されまくり、ほとんど負けかけた試合で
劇的に勝利した後、感極まってリング上で叫ぶ。
それが「エイドリア~ン!」

昔、週末に早朝テニスをしていたときのこと。
お隣のコートにいた青年がスマッシュを決めた瞬間、
ラケットを振り上げて青空に向かってこう叫ぶではないか。

「エイドリア~ン!」
テニスはボクシングじゃないし、意味不明なのだが、
今もこの時の青年の声が耳の奥から離れない。
しかも、声がロッキー役のシルベスター・スタローンそっくりだったのだ。

できれば、自分もいつかコートで
お茶目にまねして叫びたかったけど、
恥ずかしかったし、次第にテニスから遠ざかっていた。

いまはダンス。
できれば、競技フロアで
もろ手を挙げて衝動的に叫びたいときがある。

しかし、そこは紳士淑女のスポーツ。
心の中で、「エイドリア~ン!」と叫んで
深々とお辞儀をし、「熱闘のリング」を静かに退出している。

Y


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競技会セカンドチャレンジで、

優勝というご褒美をいただいた。

もちろん、リーダーの力によるものだけど。


「C級のオナーダンスは、

タンゴを踊っていただきます。」

アナウンスに激しく狼狽。

「オナーダンスって何!?ムリムリムリ。」

そう訴える涙目の自分に、

同じく決勝に残られていた初対面のカップルが

「おめでとう。いつも通り踊れば大丈夫。」

と、声をかけてくださった。

うーん、大きい・・・。


最上位区分の優勝カップルだけでなく、

各区分にオナーダンスの時間を

設けている競技会があるということは、

知ってはいたけど、まさか。


容赦無くコールされ、罰ゲーム状態。

ぎこちなく出て行き、踊りは一部自分が勝手に失敗。

締めのお辞儀も、一昔前のロボットを彷彿とさせる。

それでも、物凄く貴重な経験をさせていただいた。

ゼッケンを付けたままだったのも、いい思い出。

(外すんだったのね。)


で、1/2昇級×2回=・・・、

どうやら翌年B級昇級とやらを決めたらしいンデス。


送った報告LINEが

既読にならないことは知っていた。

9度目のブラックプールで舞っている

コーチャーへの。

K


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