2008年07月29日

ワン、ツー、スリー ラブ・ハント作戦 4

one, two, three

ワン、ツー、スリー ラブ・ハント作戦 61年 アメリカ
監督・脚本:ビリー・ワイルダー 脚本:I・A・L・ダイアモンド 原作:フェレンツ・モルナール
出演:ジェームズ・キャグニー ホルスト・ブッフホルツ パメラ・ティフィン アーリン・フランシス

コカ・コーラの西ベルリン支社長のマクナマラは出世しか頭にない男。そんな彼が重役令嬢のお遊び旅行の世話をすることになった。昇進には持ってこいと喜んで引き受けたものの、じゃじゃ馬娘の令嬢は姿をくらまし、戻ってきたときにはなんと東ドイツ出身の共産主義の若者と電撃結婚していた…!このことが重役に知れたら即クビ、出世もパー!人生最大のピンチに直面するマクナマラ。重役のベルリン到着は明日に迫り、さあ、この始末どうつける!?(20世紀フォックスHPより)

この映画、はじめて知ったのだけど、監督がビリー・ワイルダーと聞いて飛びついた。しかも、脚本は「アパートの鍵貸します」「お熱いのがお好き」などでコンビを組んだI・A・L・ダイアモンドとの共作。この2人が揃って面白くないわけがない!

物語はドイツが東西に分けられていた時代。資本主義である西側の人々、共産主義である東側の人々、双方への皮肉を込めたユーモア。今見ると笑えるけど、当時はかなり際どいブラックな映画だったんじゃないかな〜と思う。だいぶ戯画化して描かれているんだけど。ついつい笑わされてしまう。

とにかく、マシンガンのように矢継ぎ早に繰り出されるセリフにビックリ。登場人物たちはひと時も休まず喋りっぱなし、あっちへこっちへ動きっぱなし。見ているこちらは字幕を追って画面も追って…。とにかく忙しい忙しい。「ヒズ・ガール・フライデー」という映画を見た時も、その超高速なセリフに驚いたけど、本作も目まぐるしさでは負けていない。

個性的で面白いキャラクターがたくさん登場する。特に気に入ったのは、ナチの親衛隊上がりだというマクナマラ支店長(ジェームズ・キャグニー)の部下。命令されると、ついつい昔の癖が出て「アイアイサー」といった具合に靴の踵を鳴らしてしまう。見た目はひょろりと華奢な男なのに。何度注意されても靴を鳴らす(笑)

令嬢が連れてきたオットー青年のガッチガチな共産主義者っぷり、そんな彼にゾッコン(←死語)なお嬢さんにも笑ってしまった。オットーを演じるのは、ホルスト・ブッフホルツ。「荒野の七人」に出ていた俳優で彼自身も東ドイツの生まれ。

散々のドタバタの後、結果オーライなハッピーエンド。とりあえずみんな幸せそうでよかった(笑) ラストのオチもナイス。コカコーラとペプシはやっぱり永遠のライバル!
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2008年07月07日

醜聞(スキャンダル) 3

醜聞


醜聞(スキャンダル) 50年 松竹
監督:黒澤明 脚本:黒澤明 菊島隆三 音楽:早坂文雄
出演:三船敏郎 山口淑子 桂木洋子 千石規子 小澤榮 志村喬 日守新一 三井弘次 清水一郎 岡村文子 清水将夫 北林谷榮 青山杉作 高堂國典 上田吉二郎 左卜全 殿山泰司 増田順二 神田隆 千秋實 

久々の更新です〜。映画は一応見てはいたのですが、忙しくて感想を書く時間が持てずにいました。取り急ぎ、おととい放送していた黒澤明監督の「醜聞(スキャンダル)」の感想をアップ〜。

特異な画風とオートバイ愛用者で有名な青年画家・青江一郎は、美貌の声楽家・西條美也子と伊豆の旅館に居る所を写真に撮られた。その写真は雑誌「アムール」にスキャンダルとして掲載され、雑誌は煽情的な見出しとともに爆発的に売れた。捏造に激怒した青江は、雑誌編集長と裁判で争うことになるが、そこへ蛭田という弁護士が名乗りを上げる。(松竹HPより)

黒澤監督の現代劇のなかで未見だった作品のひとつ。ようやく見ることが出来ました。社会派作品ではあるけれど、同時に人情劇としての味付けもされていて、なかなか面白かったです。もっとお堅い内容かと思ってたら、意外にコミカルさも感じましたね。主人公を取り巻く人々がどこか滑稽で。しかし、当時からパパラッチみたいな人間はいたんですねー。スクープ写真を撮られるくだりは、山口淑子扮する声楽家はスターなのにガードが緩過ぎるのでは…と思ったけど、まぁ写真を撮られないと物語が始まらないですからね…仕方ないかな。

主演は三船敏郎ながら、貧乏弁護士を演じる志村喬が実質的な主役といっていいほど異彩を放っていました。いつもボソボソ喋りの志村さんが、冒頭からやけに饒舌で珍しいなぁと思っていたら、中盤から後半はすっかりショボくれてしまい、まるで「生きる」の課長さんの姿とダブって見えてきました。あの深海魚のような顔がなんとも言えぬインパクトです…(笑)

すっかり喰われてしまった三船敏郎ですが、この頃の三船さんはほ〜んとに惚れ惚れするほど男前!画家にはちょっと見えないけど(笑) でも、珍しくアクが強くないというか、ごく普通の青年といったキャラで新鮮でしたね。志村喬の娘で病床の桂木洋子のために、クリスマスツリーを贈ったり、オルガンの伴奏をしてやったり、とても心優しい人でした。山口淑子は歌うシーン以外は、ほとんどセリフも出番も少なくて意外。むしろ桂木洋子や三船の友人役の千石規子のほうが出番が多かった。

ところで、ラストで三船と山口を取り囲む報道陣の中、三船の真後ろにいるやたら鼻筋の通った俳優が平田昭彦にそっくりなんだけど、本人でしょーか?調べてみたら、当時はまだデビュー前だけど新東宝で助監督見習いをやったりして、既に映画製作には携わっていたらしい。でも本作は松竹なんですよねー。あの彫りの深い顔、平田さんに間違いないと思うのだけど…。
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2008年04月18日

男はつらいよ 5

男はつらいよ


男はつらいよ 69年 松竹
監督・原作・脚本:山田洋次 脚本:森崎東 音楽:山本直純
出演:渥美清 倍賞千恵子 光本幸子 笠智衆 志村喬 森川信 前田吟 津坂匡章 佐藤蛾次郎 関敬六 三崎千恵子 太宰久雄 近江俊輔 広川太一郎 石島房太郎 志賀真津子 津路清子 村上記代 石井愃一 

記念すべき「男はつらいよ」の第一作目。実は寅さんシリーズって初めて見ました。というのも、今年の初詣は柴又帝釈天へ行ったんです。んで、その時に寅さん記念館、江戸川河川敷なんかも見て歩いたりして、一度映画の方もきちんと見てみたくなったのでした。

いや〜、さすが国民的人気を誇るシリーズだけに、ただひたすらに素晴らしかったです。これまでテレビで何度も放映されているにもかかわらず、一度もじっくり見たことがなかった…。なぜか興味が沸かなかったんですよね。こんなに素敵な作品だったとは…!見なかったことを心から後悔です。

物語は15歳で家出した車寅次郎が、20年ぶりに故郷の葛飾柴又に帰るところから始まります。冒頭で江戸川の河川敷が映し出されるんですが、40年も昔なのに現在とほとんど変わらぬ風景に感動。矢切の渡しの寂れ具合までそのまんま!(笑)

この映画はやはり寅さんこと渥美清の魅力に尽きますね。唯一無二!伝説の役者!寅さんの一挙一動、歯切れの良いべらんめえ口調、全てが素敵すぎる。コミカルなんだけど、どこか切なくて孤独で哀愁漂う寅さん。ちょっとチャップリンの姿とダブります。

ダメ兄貴を暖かく迎える妹さくら(倍賞千恵子)、おいちゃん(森川信)とおばちゃん(三崎千恵子)、御前様(笠智衆)、そして特別出演・志村喬の圧倒的な存在感、脇の俳優たちも涙が出るほど素晴らしかった。第一作目なだけに、寅さんはじめ出演者たちがみんな若々しい!津坂匡章(現・秋野太作)がめちゃくちゃ若くて少年みたいだったのにはビックリした。

しかし、困った。第一作目を見たことで、残りの作品を全部見たくなってしまった〜。全作品レンタルするのは大変だろうなぁ。たしか一昨年にBSで「男はつらいよ」の全48作を放送してたよなぁ。NHKさん、もう一度やってくれないかしらね…。
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2008年03月27日

黒薔薇昇天 3

黒薔薇昇天

黒薔薇昇天 75年 にっかつ
監督:神代辰巳 原作:藤本義一 
出演:谷ナオミ 岸田森 芹明香 山谷初男 高橋明 東てる美 谷本一 庄司三郎 森みどり

法の網をくぐりながらブルー・フィルム作りに涙ぐましい努力をはらう男たちの哀感を描く。原作は藤本義一の『浪花色事師=ブルータス・ぶるーす』。

「恋人たちは濡れた」を見てからだいぶ時間があいてしまいましたが、2本目の神代辰巳作品の鑑賞です。75年製作のにっかつロマンポルノ。すごいタイトルです(笑) でも、これはかなり見たかったんですよねー。なんといっても怪優・岸田森さん主演ですから!

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今村昌平や大島渚のような芸術映画を目指すブルーフィルム監督・十三(岸田)。「最も美しいものは人間のFUCKや!」を信念に、ブルーフィルム製作に情熱を燃やす男の姿を滑稽に描いたコメディ。もうとにかくおバカですね〜。ポルノには違いないけど、ついつい笑っちゃうシーンがいっぱい。「わいら芸術を作ってるんやでぇ〜」と、エロへの道を真っ直ぐに突き進む岸田森。とにかく真剣で命賭けてます!ことの最中でもエロへのうんちく垂れまくりでうるさい岸田さん。怪奇映画ばりの絶頂の雄叫びが耳にこびりついて離れません…(笑) 岸田森ファン必見。

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ブルーフィルム撮影の舞台裏が見れるのも面白かったりして。といっても、十三の作るものは低予算B級…いやC級フィルムばかりだけど。女優、男優兼スタッフ、照明、カメラマン、監督だけの撮影隊だものね。みんなで撮影地まで機材抱えてえっちらおっちら歩いていくシーンが好き。

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ケッサクなのが、色んな音声を加工してエロテープを作る過程。犬の荒い鼻息、猫がミルクを舐める音、動物園のアシカの鳴き声、挙句の果てには大相撲力士の勝利者インタビューのフーフー言う息づかいを録音。それらの音をつぎはぎして、上手い具合に作り上げるのです。おバカというか、手が込んでるというか。てか、普通に人間にやらせたほうが手っ取り早いだろー、みたいな。

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主演女優(芹明香)が妊娠したことから、新しい女優を探さなければならなくなった十三。通っている歯科医院で目を付けた和服の人妻(谷ナオミ)を騙し、まんまと新たな「芸術作品」の撮影を成し遂げる。谷ナオミ、この当時27歳ってマジっすか?絶句。かなり年季の入った熟女に見えたんですが…。何でしょう、このねちっこいいやらしさは(笑)

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当時の大阪の町並みも昭和丸出しでイイ感じでした。道頓堀(?)を(なぜか)びっこを引きながら歩いていく岸田森と、彼を見て何かいけない物でも見てしまったかのような通行人(ホンモノ)の冷ややかな反応がたまらない(笑) 主題歌の「賣物ブギ」(ダウンタウンブギウギバンド)も最高。エッチシーンの最中に突如♪花も嵐も〜、と「愛染かつら」のテーマが流れるのもシュールすぎるー。
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2008年03月24日

朝を呼ぶ口笛 4

朝を呼ぶ口笛

朝を呼ぶ口笛 59年 松竹
監督:生駒千里 原作:「新聞配達」吉田稔 脚本:光畑碩郎 音楽:鏑木創
出演:田村高広 瞳麗子 加藤弘(劇団こまどり) 井川邦子 織田政雄 殿山泰司 山内明 沢村貞子 吉永小百合 田中晋二 真塩洋一 土紀洋兒 井上正彦 人見修 清水幹也 川金正直 佐山彰二 村上記代 今井健太郎

新聞配達をしている稔(加藤)は父母、弟妹の5人暮らし。病身の父にかわって、母親の内職で細々と生計をたてている。そんな稔の楽しみは新聞配達で貯めた金で高校へ進学することだった。そんな彼を励ましてくれるのは夜間大学に通っている隆司(田村)と稔の配達受持ちに住む美和子(吉永)だった。彼女は何かにつけて稔に好意を示し、あたたかい声援を送ってくれていた。だが母親が過労で倒れ、入院したために稔は高校進学を諦めなければならなかった。(松竹HPより)

読売新聞社の全国中小学生綴方コンクールで文部大臣賞を受賞した「新聞配達」(吉田稔)の映画化。「綴方」とは「作文」のこと。なんだか昭和の香りのする懐かしい言葉ですね。イイ響きです。60分ほどの短い作品ですが、松竹らしい良品でした。

主人公の稔は中学三年生。苦しい家計を助けるために毎朝欠かさず新聞配達をしている。彼の勤める新聞販売店はもちろん「読売新聞」。読売が募集した綴方コンクールの受賞作ですもんね(笑) これ見よがしに「読売新聞」という大きな看板が映し出されるのが宣伝めいていて、ちょっぴり可笑しい。販売所のある場所は「葛飾区下千葉」となっています。下千葉。東京だけど千葉。現在は存在しない地名ですよね。一体どこなのだろう?と気になって調べてみたら、現在の葛飾区お花茶屋や堀切辺りを指すようです。京成バスが走っているところを見ると、どうやら間違いなさそうですね。

田村高広と加藤弘

当時は稔のように学生服姿で新聞配達をする少年が多くいたのでしょう。新聞の拡張の仕事も任されているようで、大人同然の立派な働き手として雇われていたようです。販売店を切り盛りするチャキチャキの女主人(沢村貞子)がイイ感じ。近くに都営アパートが出来たと聞きつけ、販売員総出で勧誘に出かけるシーンが面白かったです。頼まれてもないのに入居者の引越作業を手伝って、そのドサクサで勧誘してしまうという…。なんとまぁ強引な!(笑)

サユリさま14歳

稔の配達先の裕福な少女・美和子役に、なんと当時14歳・映画初出演の吉永小百合。いやぁ〜初々しい!その可憐な美少女っぷりといったら。登場シーンは短めだけど、ばっちり印象に残りますね。彼女の飼っている白い犬は懐かしのスピッツかしら??こちらもとてもカワイイ。

定時制への進学を夢見る稔だが、母の胆石の手術費1万円が必要となり進学を諦めることに。河原で一人ポツンと落ちこむ稔。そのそばを、なんの苦労も知らぬ美和子ら少女たちがにこやかに歌を口ずさみながら通り過ぎるシーンが何とも切ない。

田村高広と瞳麗子

最後は、稔の窮状を知った同僚の販売員たちが稔のためにカンパをしてくれて、とりあえずメデタシメデタシとなるのでした。同僚の中で、とりわけ熱心に稔の世話を焼いてくれる優しいお兄さんが田村高広。新聞の仕分けの合間に数学を教えてくれたのも、誰よりも先にカンパを申し出たのも彼でした。そんな彼は目下就職活動中ですが、最近受験した本命の就職試験に失敗、残された就職先は東京から遠く離れた秋田の企業のみとなり、すっかり意気消沈。あまりの弱気っぷりに、京成バスのバスガールをする恋人(瞳麗子)からも愛想を尽かされかけますが、2人仲良く秋田へ行く事になり、何とか元の鞘に収まります。この頃の田村さん、若いですねー。ちょっぴり頼りない青年役だけど、私だったら相手が田村さんならたとえ火の中水の中、どんな僻地だろうが喜んでお供しますとも〜!

新聞少年

大阪へ引っ越すことになった美和子と稔のちょっぴり切ない別れのラストシーンがいいですね。美和子のくれた手袋と添えられた手紙、中には「ガンバレ!吉井君」の文字。(あらまー、引越し先の住所ぐらい書いておいてくれればイイのにぃ…笑) つかの間の甘酸っぱい初恋の余韻を噛みしめながら、稔は今朝も新聞配達に町を走り抜けるのでした〜。
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2008年03月19日

陽のあたる場所 3

陽のあたる場所



陽のあたる場所 A Place in the Sun 51年 アメリカ
監督:ジョージ・スティーブンス 原作:セオドア・ドライザー 音楽:フランツ・ワックスマン
出演:モンゴメリー・クリフト エリザベス・テイラー シェリー・ウィンタース レイモンド・バー

ジョージ(モンゴメリー・クリフト)は叔父の援助を受けて、出世や成功を掴もうと意欲を燃やしていた。職場仲間のアリス(シェリー・ウィンタース)とつきあう一方で、社交界の花、アンジェラ(エリザベス・テイラー)にも心を惹かれていた。アリスの妊娠、そして愛し合うジョージとアンジェラ。やがて3人の運命を変える不幸な出来事が待ち構えていた。(パラマウントHPより)

始まって1時間と少し経った頃だろうか、M・クリフトとS・ウィンタースがボートから落ちるシーンを見てハッとした。この映画、見覚えがある…。たぶん7〜8年ほど前に見てますね、深夜のテレビ放映か何かで。それをすっかり忘れて、また見てしまったみたい。まぁ、ほとんど忘れていたし、見始めてしまったので最後まで見ました。

しかし、これは悲劇的な青春映画だなぁ…。貧しい家庭の出身である青年が上流階級へ向ける羨望、劣等感がよく描かれていました。モンティの影のある美貌がそれをさらに悲劇的に見せます。当時19歳のリズの輝くばかりの美しさも見どころのひとつ。

モンティは勤務先の工場で知り合った素朴な工員S・ウィンタースと深い仲になるが、同じ頃、とあるパーティーで富裕の令嬢リズと出会う。しかも彼女が絶世の美女ときた!おまけに、彼女のほうもモンティにひと目惚れで、お互いに結婚を約束する。貧しい彼にとってそれまで接することのなかった上流社会は憧れの場所、その上、リズのような美女に言い寄られたら、もう選ぶ道はひとつしかないよねぇ…。しかし、妊娠が発覚したシェリーはモンティに結婚を迫るが、リズとの結婚を夢見るモンティはシェリーに殺意を抱きはじめる。

嫉妬心剥き出しでモンティに結婚を迫るシェリー、いつ殺られるのではないかとドキドキしてしまいましたよ。でも、結局自分でボートの上でバランスを崩して湖に落ち溺死してしまうのですね…。逮捕されたモンティは有罪、そして死刑判決を受ける。うーん、なんてあっけない…。あの敵意むき出しの検事(レイモンド・バー!ヒッチコックの「裏窓」の不気味な殺人犯ですよね)の鬼畜っぷりがめちゃくちゃ怖かった。電気椅子に向かうモンティのアップで映画はエンドマーク。アメリカ映画って、この時代の方が悲劇が多かった気がする。とにかく悲運の美青年を演じたモンティの存在感と演技力が際立つ作品でした。リズは綺麗だけど、役柄としては脇役だったかな。むしろシェリー・ウィンタースの演技が印象的だった。ちょっと気の毒な女性の役だったけど。
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2008年03月16日

ビルマの竪琴 4

ビルマの竪琴



ビルマの竪琴 56年 日活
監督:市川崑 原作:竹山道雄 脚本:和田夏十 音楽:伊福部昭
出演:三国連太郎 安井昌二 浜村純 内藤武敏 西村晃 春日俊二 中原啓七 伊藤寿章 土方弘 青木富夫 沢村国太郎 中村栄二 佐野浅夫 小笠原章二郎 登内朋子 北林谷栄 特別出演:三橋達也、伊藤雄之助

こちらもBSにて。市川崑監督の追悼で放送されたものを鑑賞です。リメイク版は地上波でもやっていたけど、どうしても古い方を先に見てみたかったんですよね。ちなみに、4月から黒澤監督の没後十年特集が放送されるし、また録画がたまっていきそう…。とりあえず、未見の「醜聞」と「白痴」「蜘蛛巣城」の3つはおさえたいなぁ〜。

ということで、「ビルマの竪琴」。
ビルマで終戦を迎えた音楽学校出の井上大尉(三國連太郎)率いる小隊は、どんな時にも歌を忘れていなかった。戦地で「旅愁」を歌い、イギリス兵と「埴生の宿」の合唱の交換をする。小隊で竪琴を得意としたのが水島上等兵(安井昌二)。ある日、終戦を知らず三角山に立て籠っている部隊の説得にいった水島は、戦闘に巻き込まれ行方不明となる。(日活HPより)

直接的に戦争を描いたものではないけれど、静かに淡々と心に響く作品でした。ビルマで散った同胞の魂を弔うために、僧侶となってビルマに残る水島上等兵。彼がいた隊の仲間たちは、戦死したと思っていた水島の竪琴の音を聴き、水島が生きていると確信する。「おーい水島!一緒に日本へ帰ろう!」という言葉をオウムが喋るシーンに思わず涙…。日本へ引き揚げる仲間たちに、水島が言葉を発さず「仰げば尊し」を弾いて応えるシーンも感動的だった。最後に託した手紙の朗読にもウルウル…。まぎれもない反戦映画であり、「埴生の宿」などの音楽の使い方が素晴らしく、どこか幻想的な印象さえ受けました。ビルマの僧侶の、あの独特の装束がまたイイんですよね。

現地の物売りのお婆さんを演じた北林谷栄、リメイクでも同じ役を演じてるのか…すげー!(笑) 大阪弁を話すビルマ人、イイ味出してました。伊藤雄之助も現地の村長(?)役で出てましたね。かなりメイクしてたけど、あの特徴のある声とデカイ顔ですぐに認識しました(笑)
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2008年03月14日

アラバマ物語 4

アラバマ物語


アラバマ物語 To Kill a Mockingbird 62年 アメリカ
監督:ロバート・マリガン 原作:ハーパー・リー 音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:グレゴリー・ペック メアリー・バダム フィリップ・アルフォード ロバート・デュバル 

久々の映画鑑賞!忙しくて、全然見れてませんでした〜。ぽちぽち録画してはいるんだけど、HDDにたまっていく一方。そろそろ見ていかないと…。ってことで、NHKでやっていたアカデミー賞特集から「アラバマ物語」を見ました。

アラバマ州の小さな街に住む弁護士アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)は、妻を亡くし、子供たちと暮らしている。彼は、ある婦女暴行事件の容疑者にされた黒人青年の弁護を担当することになり、人種差別と偏見に立ち向かいながら、青年の無実を晴らそうと奔走。町民たちはこれを快く思わず、アティカスや子供たちへの風当たりは強くなる。それでもなお信念を貫くアティカスの姿に、子供たちも正義の尊さを学び、次第に人間として成長していく。(ユニヴァーサル映画HPより)

この作品は人種差別を扱った社会派映画であり、子供たちの成長物語であり、父子の絆の物語でもある。人種差別を声高に訴えるのではなく、子供たち(兄妹)の無垢な目線を通して静かにこちらに訴えかけてくる素晴らしい作品だった。

賢いお兄ちゃんとお転婆な妹。2人のやんちゃなやり取りも微笑ましい。のどかな南部の田舎町で毎日走り回って遊ぶ姿が逞しくてイイんだな〜。オーバーオールもカワイイ。謎の怖〜い(?)隣人のエピソードにもドキドキ。そういえば、子供の頃ってあんな感じで怖い話を面白おかしく話したっけ〜。肝試しなんかしたりして。しかし、あれだけ平和そうな田舎町にも根強い黒人差別が蔓延っていることが何よりショッキングな事実。

弁護士の父(グレゴリー・ペック)は黒人容疑者の弁護を務めることになったことで、町の白人たちから脅しを受ける。何かと苦境に立たされる父を守ろうとするお兄ちゃんの姿がまたいじらしいこと。どんな困難にあおうとも、決して誇りを失わない父と、そんな父へ向ける兄妹の尊敬の眼差しが素晴らしい。真面目で正義感あふれるキャラを演じたら、グレゴリー・ペックの右に出る者はいないなぁ。ジェームス・スチュワートと並ぶ「アメリカの良心」だよね。

最後に姿を現した謎の隣人「ブー」。演じている俳優(セリフなし)がどこかで見た顔だと思って、あとでクレジットを見たら、な・なんとロバート・デュバル!クレジット見なかったら絶対気付かなかった〜。若い!!
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2008年02月02日

昭和の美男

昭和の美男

「文藝春秋」の二月特別号に「昭和の美男ベスト50」が載ってました。
文藝春秋なんてマジメな雑誌、一度も買ったことないけど、今回ばかりは即購入。
カラーグラビアも何ページか載っていて、昭和のエエ男たちに惚れ惚れ〜。
俳優だけじゃなくて、色んな分野からピックアップされているんですけどね。
しかし、白洲次郎って顔も生き様もめちゃくちゃカッコイイですよね。
もちろん愛しの田宮二郎サマもランクインされてました♪

ベスト50をザーッと眺めて、ひとつ疑問が。
あれー?阪東妻三郎サマが選外とはどーゆうコト!!?
息子の田村正和なんかが入っていて、阪妻サマが入っていないとは!
ちょっと納得いかないですなぁ〜。
「あら?」って感じの人がランクインされているのに…。


とりあえず、ベスト20をご紹介。

1位 長谷川一夫 
2位 上原謙
3位 石原裕次郎
4位 市川雷蔵
5位 加山雄三
6位 白洲二郎
7位 高倉健
8位 三船敏郎
9位 佐田啓二
10位 長嶋茂雄

11位 鶴田浩二
12位 吉田茂
13位 石原慎太郎
14位 佐藤栄作
15位 大川橋蔵
16位 池部良
17位 田宮二郎
18位 沢田研二
19位 王貞治
20位 高橋英樹

ちなみに、同じ号に載っている「ドキュメント 見事な死」という特集も興味深かったです。著名人の死に際を近親者が語ってます。丹波義隆(息子)が書いた丹波哲郎の生前の逸話が楽しかった。
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2008年01月30日

喜劇 爬虫類 3

喜劇 爬虫類

喜劇 爬虫類 68年 松竹
監督:渡邊祐介 脚本:田坂啓 音楽:八木正生
出演:渥美清 西村晃 大坂志郎 小沢昭一 森下哲夫 賀川雪絵 田原久子 田武謙三 若水ヤエ子 上田吉二郎 清川玉枝 諸角啓二郎 大屋満 北竜介 高木信夫 光映子 樫明男 小森英明 川島照満 テリー・エンジェル 伴淳三郎(特別出演)

金髪の超グラマー、メリィ・ハロー(テリー・エンジェル)を看板スターに、関(渥美清)、山口(西村晃)、露木(大坂志郎)、佐倉(森下哲夫)の五人は一座を組み、外人ヌードの全スト公開ということで、北陸の田舎町を本拠地に稼ぎまくっていた。今日も満員の場内に県警風紀係の米田(伴淳三郎)が来ていたが…。(松竹サイトより)

左から、大坂志郎、渥美清、西村晃

「金髪娘をひんむいて 稼ぎまくる4匹のヒモ師」。
これまたスゴイ宣伝文句ですね(笑) 金髪アメリカ人を率いて、温泉地などのストリップ小屋をドサ回りツアー。あらすじにある「全スト」とはなんぞや?と思ったら、全部脱ぐストリップのことなのね。残念ながら(?)、ショーのシーンは肝心なところを映していないので、ガッカリした人も多いはず?!てか、メリィ・ハローことテリー・エンジェルさんがオバサン臭くて、ちっとも可愛くないんだよね…。メリィの後釜の賀川雪絵のほうが、ずっとキュートだった。

渥美清&テリー・エンジェル

メリィの出演中、舞台の袖から渥美清がマイク片手に「こちらはペンシルヴァニア大学の正真正銘現役女子大生メリィでございます」って感じで、嘘八百のナレーションをするのが楽しい。渥美さんの歯切れの良い口調がまたイイんだよね。渥美さん自身、下積み時代はストリップ劇場でコメディアンとして下積み修行をされていたそうで、これも経験に基づいた演技だったのかも?

小沢昭一

他にも、西村晃、大坂志郎、小沢昭一、伴淳三郎などいかがわしいメンツが揃っていた。それぞれの役者はやはりさすがの芸達者ぶり。小沢昭一、やらしいなー(笑) しかし、どうも話のテンポが悪いような。せっかくのキャストなのにもったいないなぁ。もっとハジケて、とことんドタバタで良かったのに。クレジットに「新人」と書かれていた森下哲夫、当時23歳、若いなぁ〜。でも、曲者役者たちを前にすると、ただでさえ影が薄いのに、ますます存在感が薄まってる(笑)

伴淳三郎(右)
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