タブークラッシャー

破天荒な人生が想像を絶するドラマを演出する。 善も悪も決めるのは自分自身、「だからなんだ?」と居直る自分が滑稽だ。

カテゴリ: ハードボイルド小説

love3
ラブホの駐車場に着いた。
クランク型の進入路を入って行くと3箇所に駐車場が分かれていた。
一番空いているコーナーの壁際に車を止めた。
春奈は躊躇することなく着いて来て、ラブホの開いた自動ドアに吸い込まれるようにロビーの中に入った。
こんな田舎町でも愛欲を貪る男女の多いことには驚いた。
部屋のセレクトパネルには、20室もある部屋が3室しか空いていない。

純平は、春奈にどの部屋にするか目配せでセレクトをさせた。
春奈が207号室のキュートな洋室のボタンを押した。
プリプリと印字の音がして、選んだ部屋の号室が書いてあるプリントが出てきた。
それを持って左手の昇り専用のエレベーターに乗った。
純平は、春奈を抱きしめてキスをしようとしたが、頭上に監視カメラがあるのでよした。

ホテルに出入りする瞬間は、秘め事をする男女が一番緊張する瞬間だ。部屋に入ってしまえば誰に見つかることも無い。
車のナンバーを見られてもホテトル嬢を買って遊んだと言えばいい訳などどうにでもなる。
火遊びには危険が付き纏うから部屋に入ってからの行為に刺激が増す。禁断の果実を食べる喜びは、経験したことのない男女にはその味が分らない。
モラルを脱皮した淫欲の世界が正しいとは言えないが、それ故にドラッグのような官能の世界が体験できる。

2階でエレベーターを降りると207号室の赤いランプが点滅して、ここですよと言っているようだった。
春奈は物静かに純平の開いた部屋のドアの中に入った。
靴を脱いで部屋に入った瞬間に純平は春奈を抱きしめキスをした。
ラーメン屋で食べた餃子のニンニクの匂いがしたが唇の奥は甘い味に満ちていた。

初めてのエッチの前に会話など要らない。
なまじ会話をすると余分な不安が脳裏を遮り決心がぐらつく時がある。
狙いすましたハンターのように照準を合わせたら一瞬のうちに引き金を引かなければせっかくの獲物を逃がすことになる。
そうはならないとは思いながらも純平は春奈の戸惑いを無くすために春奈のハートを目掛けて一瞬のうちに引き金を引いた。

抱き合った二人は互いのドクン・ドクンと響く心臓の高鳴りを感じていた。
そのまま春奈をゆっくりベッドの方向に体を移動させ、愛欲を誘うベッドに押し倒した。
春奈の豊かな胸の膨らみが衣服を通して、純平の胸板に伝わってくる。
春奈の唇から離れた純平の唇は、優しく顔中にキスの雨を降らして、耳からうなじへと移動する。
身を任した春奈の体には何の躊躇いも抵抗もなかった。

ブラウスのボタンをひとつずつ丁寧に外す純平の手は、手馴れたハンターが獲物を解体する作業のようで手際が良かった。
白い胸に可愛らしいピンクのブラが覗いた。
首から鎖骨のあたりを唇で愛撫すると、春奈は「あっ、あ~う」と密かに体の中に火がついていくのを覚えた。
ブラのホックを外し、カップを優しく外すと春奈の豊かな乳房がプリンと飛び出した。
お椀型の丸い乳房は弾力があって手の平に納まり切れないほどの大きさがあった。

手の平でその豊かな乳房を弄んだ純平は、初めて口を開いた。
「春奈ちゃんのおっぱい柔らかくて気持ちいいよ」
右手の乳房の愛撫を続けながら純平は春奈の左の乳房を唇で吸い込み、乳首を舌先でコロコロと回した。
春奈の乳首が硬直して立ってくるのが分るほど春奈の乳房は敏感だった。
脇の下からくびれたウェストの辺りまで、丹念に手と唇の両方を駆使して器用に愛撫を続けた純平は、春奈の下半身の大事な部分までに辿り着くまでには相当な時間を費やした。両脚の足首から太腿までの流れるラインを楽しむようにじっくりと両脚の外から内にかけて愛撫を続けた。
そして、焦らしにじらした純平の手は、春奈の敏感な場所に辿り着こうとしていた。

ミニスカートを優しく巻くり上げ、中を見つめると黒いストッキングのセンターラインが春奈のパンティに食い込んでいるように見えた。
ミニスカートのホックを外し、静かにゆっくりとスカートを脱がせ「ちょっと、お尻を上げて」と純平が言うと、春奈は従順に腰を持ち上げた。
お尻の背後に両手を回し、スルリとパンストを脱がす様は獲物の腹を解体ナイフでスッと割くようだった。

ブラとお揃のパンティは、ピンクの生地に刺繍が施してある。
若鮎の履くパンティは、やはり新鮮味に溢れて可愛らしさがあった。
そして、秘密の部分からはしっとりとした愛液が滲み出ていた。
欲情した純平は、思わず春奈の股間の中に顔を埋め、確かな女のアロマティな香りに酔いしれた。
すべすべとした若い女の肌は、やはり感触と弾力が違うと脳みそまでが勃起した。
戯れの愛欲とは言え、純平は禁断の果実をかじり始めていた。
<続く>


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office四十歳とは思えぬ美貌と聡明さを兼ね備えた通販会社社長・美和。彼女と一夜を共にした純平は、その後の展開に不安を拭えなかった。相手はただの女性ではない。もし妊娠でもしたら、同棲中の恋人・佳奈との関係はどうなるのか。佳奈は自動車販売会社で働く明るい女性で、二年前から純平と同棲している。ゴルフの研修生として貧乏暮らしの純平を、献身的に支えてくれていた。美和との一件さえなければ、佳奈との慎ましい生活に心から満足していたのに……。

美和との情事から三日後、純平の不安は的中した。美和から呼び出しの電話がかかってきたのだ。

「羽鳥君、明日の二時に会社に来て頂戴。会社では羽鳥君と呼ぶから、あなたも美和と呼ぶのは控えてね。急ぎで重大な話があるの。都合があっても必ず来て。絶対にね」

美和の強い口調に、純平は言いようのない不安を感じた。

翌日、純平は港区青山の美和の会社へと向かった。約束の時間に遅れないよう、一時間前に近くの駐車場に車を停めた。美和の会社は、十二階建ての新築ビルの最上階にあった。ダークスーツに身を包んだ純平は、近くの喫茶店で時間を潰しながら気を落ち着かせようとした。重大な話とは一体何なのか。まさか三日後に妊娠が発覚するはずもない。美和の真意が全く読めず、不安は募るばかりだった。

約束の三十分前、純平は美和の会社が入るビルへと足を踏み入れた。華やかな通りを闊歩するビジネスマンたちを横目に、純平は敗戦に向かう兵士のように重い足取りで歩を進めた。普段は楽天的で明るい純平も、この日は気分が晴れない。壮大なビルのエントランスの自動ドアが、まるで彼を嘲笑うかのように誇らしげに開いた。

「咲くも散らすも出たとこ勝負、やる気あるなら前に出ろ!」

心の中で北島三郎の歌を口ずさみ、純平は覚悟を決めた。強姦したわけではない。美和の誘いに乗ったのだ。ただ、避妊をしなかったのは純平の落ち度だ。しかし、美和だって純平の行為を拒否しなかった。責任は純平だけにあるわけではない。

それでも、結婚まで貞操を守るというポリシーを持つ美和が、なぜ純平を受け入れたのか、その理由は謎のままだった。あの日の朝も、二人はそのことには触れず、慌ただしく身支度をして別れたのだ。

受付カウンターには、気品のある受付嬢が二人。笑顔で「いらっしゃいませ」と挨拶された。純平は柳沢社長に二時に面会のアポイントがあることを告げた。受付嬢は内線電話で秘書に連絡を取り、左のエレベーターで十二階へ案内された。エレベーターを降りると、豪華な社章が目に入った。

「夢の通販革命 MIWAコーポレーション」

年商六十億円を誇る会社らしい、大胆で誇らしげなキャッチフレーズだ。

ここにも美人の受付嬢がいた。名前を告げると、すぐに「どうぞ、こちらへ」とオフィスの中へと案内された。最新鋭のOA機器が整然と並び、三十人以上の女性オペレーターが忙しそうに働いている。ゴルフ場の事務所とは比べ物にならない、見事なオフィスだった。

入り口から右手にある社長室は、イタリア製の豪華な赤い絨毯が印象的だった。応接セット、社長のデスク、部屋のインテリア全てが品性と貴賓に満ち溢れている。大きな社長デスクに座る美和は、まるで女王陛下のようだった。今日の彼女は白いスーツを身に纏い、眩いばかりに輝いている。

「俺はとんでもない場所にきてしまった」

純平は一瞬たじろいだ。

「羽鳥君、いらっしゃい!先日はレッスンありがとう。楽しかったわ」

美和の冷静な挨拶に、純平は唖然とした。

「いつもお世話いただきありがとうございます」

丁重に挨拶を返し、美和の次の言葉を待つ。

「純平君、今日はあなたにぜひ会わせたい人がいるのよ。もうすぐ来るからお茶でも飲んでお話しましょう」

「会わせたい人ですか?」

「そう、あなたにとってはいいチャンスになるかもしれないわよ」

「チャンスですか?何でしょうね?」

「まあ、会ってからのお楽しみってとこかしら……」

美和はあの日のことには一切触れず、純平の目を見て微笑んだ。純平はこの女帝の目論見が全く読めなかった。<短編小説ランキング
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<続く>

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