2005年04月22日 05:54 [Edit]

原罪

およそ「建設的誤解」ほど、物書きにとってうれしい事はなく、私はそれをNifty時代から「娯解」と呼んでいる。そんな娯解TBが一つ来たので,返礼させていただく。

読書感想日記 - 電波男 (9)
小飼弾氏のところ。ああ…ひどいのを見てしまった。しかしこのひどさは問題の核心をあらわしている。このひどい視点のズレ方こそが最大の問題なのだ。

社会性のある考え方というのは次のどちらかだ:
* 俺は他人に迷惑をかける!だからお前らも俺に迷惑かけていいぞ!
* 俺は他人に迷惑をかけない!だからお前らも俺にできるだけ迷惑をかけないでくれ!
どちらも社会性を持っている。どちらを選ぶのも自由のはずだ。

ヒトとは、ただそこにいるだけでド迷惑な存在なのですがなにか。


ゾウの時間 ネズミの時間

この本によると、現代人というのは、環境に対する迷惑度はゾウに匹敵するのだそうだ。それが63億である。その上「地球にやさしい*0」とのたまう猛々しい盗人、それがヒトである。

本田氏はこの点をイタいほど自覚している。宮澤賢治も。我々はよだかどころか鷹もはだしで逃げるぐらい近所迷惑な存在なのだ。

本当に誰にも迷惑をかけたくないのであれば、たったひとつの冴えたやり方はもう自明だろう。


    ||     ⊂⊃
   ||    ∧ ∧  
   ||    (  ⌒ ヽ  
 ∧||∧   ∪  ノ
(  ⌒ ヽ 彡  V
 ∪  ノ  フワーリ
  ∪∪

これとて、残された者が屍体を片付けるという迷惑が発生するのではあるが。

さて、オタクはセクシュアリティ、アイデンティティのありかただ。しかし恋愛資本主義下においては、オタクはイヤな部分とされている。恋愛の相手がイケメンでも金持ちでもないオタクというのは迷惑だ。本田はまず、女たちからそこを拒否された、つまり女が後者の態度をとったと判断したんだな。だから本田も後者の態度を取る。小飼は前者だ。小飼は他者のイヤな部分を許す方向で努力するし、本田は自らのイヤな部分を出さない方向に努力する。

本田氏が「女達から拒否された」わけではなく、「脳内彼女を優先して現実彼女をソデにした」という指摘は元Entryで指摘したとおり。

考えるやつは行動する前にまず考える。あらかじめ迷惑がかかると分かっていることを行動に移すのは苦痛だ。だから行動しない。考えればすぐわかるような迷惑を、他人から甘んじて受ける必要はない。

もっと考えるやつは、行動しない迷惑まで考えに入れる上、「考えればすぐわかる」というのがどんなに甘い考えかを知っている。もし人生全てが「想定の範囲内」でだとしたら、その人は人ではなくラプラスの悪魔の駒の一つに過ぎない。

考えないやつは考えないで行動する。だから他人に迷惑をかける。でも、考えないやつが考えようと努力することは苦痛だ。それを知っている。だから他人からの迷惑を甘んじて受ける。「他人の迷惑を甘んじて受ける」のは「考えること」を放棄した代償なのだ。

考えようが考えまいが、行動は迷惑を伴うものなのだ。そしてその区別は実は本質的には不可能なのである。あなたが火田七瀬でもない限り。そして、「何もしない」というのも実は立派な行動であることは、アセンブリープログラマーみんな知っている*1

本田にとって、そしてオタクにとって、意識的に他人を傷つけることに何の意味があるんだ。 そして、なぜ前者を選ばされなくてはならないんだ。

「行動しない」という行動もまた他人を傷つけるのだという意識は、オタクにもDQNにも意味があると考えますがなにか。

その説明がまったく足りていない。

この点は禿同ゆえ本Entry。

では俺も聞きたい。小飼はいままでに誰か一人でも、自分の主張でオタクを救ったことがあるのか。自分の主張で、というのは実際に女を紹介することなく、という意味だ。そしてオタクを、というのは脱オタクをさせない、という意味だ。それがないなら、この主張は make test されていないし、移植性がないことになる。

あります。と主張してもいいし、陪審員を納得させる程度の証拠もあるのだけれども、根源的に「救われた」かというかは本人のみぞ知ることなので、「あると思う」ぐらいにしておく。

代わりに私を救ってくれたあまたの文章の一つをここで紹介しておく。

実はこれの翻訳許可をもうずっと前にもらったのだが、まだ約束を果たせていない。翻訳できたら本blogでも紹介するつもりだ。

本田がやろうとしていることは(単体テストどまりかもしれないが)自分自身でテストした実績のある方法だ。そして本田はオタク全体を救おうとしているし、実際に救われたという人達もいる。移植性の実績もあるのだ。

誤読が2つ。

まず一つは、なされるべきテストの内容。こと本件に関しては、「単体テスト」では不足。「一回り以上も年下のロリ系巨乳ギャル」テストは欠かせないところだろう。また、本田氏自身「沢村優羽」タンを救おうとするあまり、三次元彼女をソデにしている点においてmake test失敗ケースをはからずも披露しているともいえる。

もう一つ。本田氏が救おうとしているのは何もオタクだけではない。「DQN男以外の人類全て」だ。オタクにだけ読ませておくのはあまりに惜しいではないか。

もし脱オタクさせなければ救えないのであればオタクのセクシャリティとアイデンティティを踏みにじっているし、主張だけでは救えないのであれば議論などまったく無駄で実際に具体的な手段で救済するしかない。

私自身がオタクですがなにか。

そもそも「救う」というのはずいぶんとおこがましい言葉ではある。本田氏も含めて、我々が出来るのは「呼びかけ」に過ぎない。本田氏は今回素晴らしい呼びかけを行なった。それに応えるのはやはり呼びかけをもってするのが礼儀だと考える。

To err is human, to forgive, divine.
--Alexander Pope

Dan the Happy Sinner


  • 0 「地球に愛想をつかされない」ぐらいにしとけよゴルァ
  • 1 nop

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わざわざ回答していただいて申しわけない。なお、文中では敬称を略させていただいた。 さて、4/21 で俺が言いたかったのは、お互いの立場が違うということ、それからゾーニングという解決策についてだ。しかしそれに対する小飼氏の回答は、立場の違いなどないということ、
返礼に返礼いたす【読書感想日記】at 2005年04月23日 02:47