2005年05月05日 00:00 [Edit]

Geekの皮を被ったSuits

私は「オープンソース・プログラマー」名乗っている。梅田氏の分類では、「ギーク」(geeks)という分類になるだろう。しかし、"Open World"でも見て頂ければわかるが、収益から見たら「スーツ」(suits)ということになってしまう。サスペンダーはとにかく、一着もスーツを持っていない私が、である。

My Life Between Silicon Valley and Japan
僕はギークではなくてスーツである。だからスーツを想定読者とする「日経ビジネス」や「フォーサイト」で連載をしている限り、ギークは何も言ってこない。たとえ読んでいて何か言いたいことがあっても、絶対に何も言ってこない。関係ないからである。でもネットでは違った。ということは、そこに「対話」や「理解」が生まれる可能性があるではないか、と思ったわけである。

対話や理解に必要なもの、それは「共通言語」である。そしてそれは何かというと、「数学」である。「数字」と「論理」、これだけ。スーツ語とギーク語はずいぶんと異なって聞こえるが、実は根は同じであり,どちらから入っても習得は容易である。

なのになぜ「わかりあえない、なんて生易しいものではなく、互いに憎しみあっている場合も多い」のだろう?スーツはギークが、「自分たちを理解力0の阿呆だと思っている」と信じてるし、ギークはスーツが、「自分達を酷使したあげく、美味しいとこだけもってく狡い輩」だと思っている。

なぜだろう?


あえて断言しよう。

それはギーク搾取が続いているから、だと。

理系白書」を持ち出すまでもなく、ギーク受難の時代がもうずいぶん長い事続いて来た。そしてそれは日本においてよりむしろアメリカの方が強い。にも関わらず,

そして、そういうことを学んでから、改めてシリコンバレーという土地の「面白さ」を考えたとき、やはり日本よりも、スーツとギークが語り合う共通言語のようなものがあることに気づいた。そしてそういう言葉が、英語圏のBlogには溢れているのである。

となったのには理由がある。

アメリカは自国で不足したギークをいくらでも輸入出来るからだ--いや、出来たからだ。ロシアから。インドから。中国から。9.11を境に、アメリカも自分で自分の首を絞める自虐プレイに目覚めたようでもあるが。

しかしそんなギークの娘や息子達は、ギークになろうとしないのだ。スーツが供給過剰なのを知っているのに、それでもスーツを選んでしまう。

誰が好き好んで搾取されるものか。

だから、そういう言葉をできるだけたくさん同時代的に集めながらスーツとギークの接点を探すことはできないかというのが、「英語で読むITトレンド」という連載の主旨として定着していったのである。

「接点」といえば聞こえはいいが、「スーツによる裁定機会の洗い出し」と言い換えてしまうのはあまりに皮相的だろうか?梅田氏には申し訳ないが、現時点でギークがスーツに抗して行くには、ギークがスーツ語を話す場合があるのみで、スーツがギーク語を習ったという例はほぼ皆無である。ギークが作った Do no evil な会社が、ギークbloggerをどう扱ったかというのはその一例に過ぎない。

私がいくばくかの富を得た過程も、その例外ではない。私はスーツを着る事は拒否しているが、スーツ語は覚えた。デーモンと闘うため、デビルマンとなったわけだ。

日本で、スーツとギークがお互いをかなり深く理解しあう場があるとすればそれは共同体の内部においてである。一つの会社に一生勤めるという暗黙の了解を結びながら、互いに親しい友人になる。そういう関係を結んだ上でスーツとギークが信頼しあっているというのは、日本企業の強さの源泉のひとつである。しかし「古い日本」的要素が少しずつではあるが「新しい日本」に置き換えられていく過程で、共同体に依存しないスーツとギークの相互理解がこれからは求められていて、それは言葉によるコミュニケーションによってしかあり得ず、そこには経験が不足している。

はっきり行ってしまおう。

足りないのは経験ではない。

報酬である。

同情するなら金をくれ。
上場するなら株をくれ。

ってなわけである。

Dan the Suites in Disguise


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最近、交流会とか勉強会を通じて、他社のエンジニアさんとも話す機会が増えてきました...
スーツかギークか言っている場合ではない【hachimitu blog】at 2008年08月02日 17:19
 私は「主婦」も名乗っている。西原理恵子氏の分類では、「割烹着」(kappou-gi)という分類になるだろう。しかし、”自己紹介”でも見て頂ければわかるが、収益から見たら「ギーク」(geeks)ということになってしまう。コカ・コーラはとにかく、一着もサスペンダーを持ってい...
[Geekと割烹着]割烹着を着たGeek【Geekと割烹着】at 2008年04月03日 11:28
ほんとにもう、Googleは何で強いのかを折に触れて考えてたりするのですが、 そうすると必ず「ギークとスーツ」の話が気になります。 ギークとは技術者っぽい人で、スーツは営業職っぽい人といっておけばいいでしょうか。 で、どこでもそうだと思うんでしょうが、この二....
ギークとスーツの落としどころ【広告β】at 2007年01月15日 02:07
 『Geekの皮を被ったSuits』や『Geekくずし』を読んで「搾取されてるのはギークだけなの?」とか「そこまで言ったら単に『上司が部下から搾取してる』ってだけの話じゃないのか」とか思ったわけですが。  んでも、好んで搾取されている、プライドのために自分を安売りして
「役に立たないプライドなんて捨てちまえ」と先輩は言った【浅倉卓司のログ@WebryBlog】at 2005年05月24日 23:07
この日記は「佐渡秀治」と同じくらい「小飼弾」で検索してくる方が多いわけだが、その原因であるトラックバックを辿っていくとこんなところにたどり着いた。梅田氏についてはせいぜいCNet JapanでGoogleのことをよく書いてた人かなぁという認識しかないので何ともだが、小飼
スーツとギーク【佐渡秀治:OSS Journal】at 2005年05月07日 01:27
姉さん大変です。よく見ると小飼弾さんからTBを頂いているぢゃないですか。小飼弾さんと言えば元オン・ザ・ ロック エッジの取締役最高技術責任者の方で、最近はサンデージャポンでの出演で一躍露出が増えてきた、あの方である。  ブログタイトルが404 Blog Not Found、 
絨馽弱湿【アニメプロデューサー/Anime Producer】at 2005年05月05日 19:22
この記事へのコメント
>同情するなら金をくれ。
>上場するなら株をくれ。

うまいですね。
Posted by shin at 2006年05月20日 01:10
御意禿同なんですが・・・
闘わないんですよぎーく
ぎーくくらい露骨な搾取許している人たちはいない
取れる単価が高い分搾取の対象になりやすい
先物屋さんに回る電話番号簿すら高値がつく。
搾取されながら大尽ぶってて闘おうよと誘っても
逆に攻撃されたりしますあまりに度を超えた寛容もまた
迷惑になりうるということを知り
TPOにあわせてスーツ語も二枚舌でこなす
ふてぶてしさとワルさをもってもらわないと困ります・・・

と言い続けてはや10年。
あまり好かれてもいないらしいので
バカバカしくなってきました(笑)。
Posted by bun at 2005年05月05日 16:11