2005年10月29日 17:43 [Edit]
軍略⊆戦略⊆政略
昨晩首尾よく手に入れたので、やっぱり宿題を先にやっとくことにします。
404 Blog Not Found:11人のイカれるbloggersまいったなあ。この本ハードカバーなので買ってないし。一応今から近所の書泉に行ってみて、それでもNGならAmazonで手に入れてみるけど、一応げんこつを覚悟しておきます:)
この本の名前が「戦略の本質」でなければもう少し好意的な評価が出来るのだけれども。「本質」というのは弾的にはクソ本キーワード。「本物」以外はぜんぶクソ。内容がそぐわなければ避けるべき単語だ。副題の「戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ」ぐらいの方がよかったのではないか?
本書が退屈な本かといえば、そんなことはない。「軍略」あるいは本書で言うところ五段階の戦略構造のうちの三段階目の作戦戦略のレベルなら合格点だと思う。しかし、本書はそこで止まってしまっている。ケースとして上げられている6つの事件は、すべて「戦闘」(battle)ではあっても「戦争」(war)ではない。評点を高く出来ない理由のこれが一点。
もう一点は、戦における兵站(logistics)の役割の扱いがあまりに小さいこと。終章の10の命題の「戦略とは」の中に入ってすらいない。しかし、私に言わせればこれこそが戦略のアルファにしてオメガだ。本書で取り上げられた6つの戦いの帰趨も、おおかたこれで説明がついてしまう。この中で兵站線が攻守ともほぼ同じ「長さ」なのは、朝鮮戦争(といっても本書が主に扱うのは仁川上陸のみ)と第四次中東戦争(本書の扱いは緒戦のみ)だけ。あとはいづれも兵站線の「短い」方が勝利を収めている。
ここでいう兵站線の長短は、物理的距離のみを差すのではない。例えば中共軍は農村そのものを兵站基地に出来た事で、格段にこれを短くした。国連軍は、日本を兵站基地にすることで兵站線をイーヴンまで持って行った。当然軍略における工夫というのは、兵站のよしあしに繋がる。本書でも、軍略レベルでの兵站は一応きちんと触れてはいる。
しかし、本書では兵站はあくまでも脇役。その点では数ある戦史研究から一歩も出るものではない。このレベルで「本質」といわれてもしらけてしまう。
兵站がどれだけ重要かというと、シュワルツコフ将軍が、直属の少将たちの喧々諤々の要求を鎮めるのに、補給担当者だけ中将に昇格したというエピソードを上げるまでもないだろう。しかし、重要だ重要だということは喧伝されても、実情はどうかというとこれらの解説が実に少ないのが現状で、本書にもそれを期待したのだがその点では期待はずれだった。
ただし、個人的には感銘を受けたケースが一つだけある。第四次中東戦争のサダトだ。すごい奴だとはおぼろげに知っていたが、私の年齢だと第四次中東戦争も「時事」ではなく「歴史」であり、オイルショックの陰に隠れてこの人のことをあまり知らなかった。もしかして日本があの時したかった戦争はこういう戦争だったのかも知れない。握手するためにケリを入れる。常人にはとても出来ない技だ。
この人がもし暗殺されず、またラビンも暗殺されずにいたとしたら、今の中東はずっと平和だったかも知れない。双方とも卓越した軍事指導者であり、それでいてノーベル平和賞受賞者であり、そして自国の原理主義者に暗殺されている。
これほどの指導者達をもってしても、せいぜい勝ち取れるのは寸土であり、10年かけて養った兵を二週間で「すって」しまうというのが戦争でもある。これだけでも戦争の非効率がわかろうというものだ。しかしそれを知るものにしかもたらされない平和があるというのが悲しい現実でもある。
「天国へ行くのに最も有効な 方法は、地獄へ行く道を 熟知することである」のではなくて、それは唯一の方法なのかも知れない。
Dan the Strategic(?) Critic
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これがタラレバだということ
> そして自国の原理主義者に暗殺されている
この事実が人というものが極めて愚かだと証明してます
いってもなんの意味も、なぐさめにもならないけど...


