2005年11月15日 23:00 [Edit]

フリーターという既得権

ratio - rational - irrationalさん経由で見つけたblogにて見つけたblogにて。

Webマガジンen
彼らが「需要はあるが、供給の少ない業種」を就職希望に挙げる例を私はほとんど知らない。

という意見に、「フリーターが語る奉公人」さんが「反対」している。

フリーターが語る渡り奉公人事情:反対しますよ
というわけで、このエッセーには反対。反対。ボク、反対、絶対反対、ハンタイ、ハンタイ、ハンターイ!!!(知り合いの日教組教員のマネ(笑))

反対ハンタイはいいのだけれども、代案はどこだろうか?

何かあればまずアルバイトからクビにされるんだから。

申し訳ないが、「クビ」程度でいいのだから気楽なものだと思えてならない。雇用側は創業時や業績不振の際は自分の給与も出ないなんてざらである。フリーター諸氏が起業するより正社員を選ぶというのもむべなるかな。

アルバイトには、たいていがサーヴィス業ということもあって、明るさが求められる。

ガテン系のバイトだって山ほどあるのだが、アウトオブ眼中?

正社員という既得権を、半場諦めながら羨望しつつも批判するフリーターの諸君というのは、自分達も大いなる既得権を持っているということに気がついていない。

自分達が、先進国に生まれ育った、という事実である。

日本の一歩外に出てみないとわかりにくい事実だが、よく目をこらせば日本の中にいても気がつく事実でもある。フリーター達が猫またぎにしている仕事を、今誰がやっているか?

今日はたまたま松屋で牛丼を食べたが、そこに詰めていた二人は外国人だった。「マッサ―ジ、イカガデスカー」と終電間際にかけよってくる、どこをマッサージするのかいまいち不明な客引きも外国人。もし日本に本当に雇用がないとしたら、なんで彼らがこんなに沢山いるのだろう?

こういった仕事まで経験してからハンタイを叫んでもいいと私何ぞは思うのだけど。

私は家出少年だった時分、しょっちゅう新聞にくるまって寝ていたので、今でもダンボールハウスを見るとマジで「いい物件っすねー」と思ってしまう。冷暖房ブロードバンド付きの部屋からのハンタイの声が聞き取りにくいのはそのためかも知れない。

土方をやっていた頃は、自分の肩ほどまでの背丈のオバチャンがひょいひょいスコップでアスファルトを動かして行くのになかなか追いつかず、自分がいかに役立たずなのかを文字通り身を持って知った。待遇改善以前に、まずあのおばちゃん達に追いつきたかった。

一週間ほどすると、オバチャンたちの秘密がわかった。スコップは、腰で持つものなのだ。若い私は腕力に頼っていたが、腰はずっと強くて長持ちする。体がそれを会得してしまえば、今度は若い体力がものをいう。私はちょびっとだけ賢くなった。

あるとき、高校の玄関の補修の仕事が入って来た。その時にばったりと中坊の頃のクラスメイトに出逢った。とはいっても私は中学もろくに通ってないので相手が声をかけてきたのであるが、この時の彼の蔑むようなまなざしは今でもはっきり覚えている。私はその視線を哀れみをもって受け止めた。「こいつはこんなところで役にもたたない授業を学習だと勘違いしている」、と。

そんな私も、いつのまにやらバイトを家庭教師そして塾の講師に変えて行ったが、「やりがい」という点では土方は優るとも劣らない。まだまだ現場のオッサンやオバチャンから学ぶべきことがあるような気が今でもするのだ。しかし、「講師系」の方が明らかに儲かったのだ。そう。私は金に目がくらんで仕事を変えたのだ。

そして、そこにも学ぶべきことが沢山あった。そこでは、生徒達が先生(文字通り「先に生まれたもの」の意味でもある)であった。私は彼らに「教える」のではなく、何を教えて欲しいのかを教わった。また、私が知らないことも臆面もなく尋ねた。「"progressive"って日本語でなんて言うんだっけ?」。私が日本語で「進行形」と言えるのは彼らのおかげだ。

....をっさんらしく昔話をしてしまった。

どうも私にはフリーター諸君の態度に、あの時のクラスメートの視線と同じものを感じてしまうのだ。もちろん私だって今のままがいいとは思わない。ここで取り上げた同書を読めばわかるが、日本の若年失業者対策は、先進国としては非常におそまつなものだ。他方、雇用保護規制が高い国ほど、新規採用が少ないということも本書は教えてくれる。裏を返すと正社員になりやすくする最も手っ取り早い道は、正社員を不安定にすることなのだとも言える。フリーターの皆さんは、妻子持ちの正社員に向かって「そこは私の椅子です。どいてください」と言えるのだろうか?また言ったとしたら、何をもってその正社員よりも自分の方がその椅子にふさわしいと雇用主の口説くのだろうか?

人の既得権をうらやむ前に、まずは自分の既得権をめいっぱい活用したらいかがだろうか?

つまらない仕事はなく、あるのはつまらない仕事人だけなのだから。

Dan the Self-Employed


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この記事へのコメント
しかもいまや、サービス業に留まらず、製造業、事務職にまで、アルバイト・パート待遇の置き換えが進んでいます。つまり合法的な賃下げが現在進行形ですすんでいます。管理人氏は“昔はよかった”式にご自分のお話をなさっていますが、そんな牧歌的な時代はすでに終わったと言いたい。私に言わせれば、かつてないほど雇用側に有利になった時代が現在という時代に思えてなりません。管理人氏は何ゆえに雇用側に同情を寄せるのでしょうか?クビ程度?職業を失うないしその脅迫に絶えずさいなまれることが、どれだけのアイデンティティクライシスになるかをご存知なのでしょうか?
これらの事情を知らないで、フリーターを論じているのであれば、ご自身の無知をさらすだけです。即刻このエントリーの削除を求めます。
Posted by 匿名 at 2005年11月20日 12:42
だいたい、フリーターの既得権を外国人労働者との比較で指すこと自体、フリーターを目をそらさせる(下には下がいる!)暴論としかいいようがないですな。管理人氏は、フリーターと外国人労働者のバトルを“上から”優雅に見たいんでしょうか?フリーター層が(ここではアルバイト・パート層としておきます)正規雇用の補完業務として“創設”され、時給算ゆえに不安定な立場におかれ(やらなければその分、給料は減算)、もろもろの権利を与えられず(例えば法律上は半年以上雇用されれば、有給手当てが与えられるにもかかわらず、実際は行使されない)かつ、(これが重要ですが)仕事の割り振られ方で、正規雇用の社員とは見えない格差を抱えていることとかをご存知なのでしょうか?
Posted by 匿名 at 2005年11月20日 12:41
このエントリ自体フリーター層の意図的な誤解からくる“ためにする議論”以外の何者でもないと思います。管理人氏は(ちなみに現在は何の職業にお就きで?)「正社員という既得権を、半場諦めながら羨望しつつも批判するフリーターの諸君というのは、自分達も大いなる既得権を持っているということに気がついていない。」とのたまいますが、そうまでおっしゃるなら、いま就いているご職業をお辞めになって、フロムAを開くことをお勧めします。
Posted by 匿名 at 2005年11月20日 12:41
んー、弾さん <ス キ> !
Posted by オルハリコン at 2005年11月19日 10:54
よく分からないのは、彼らが卑屈と屈折を表に出して恥じないという点です。
私にもそれらはありますが、表に出すくらいなら武士は食わねど高楊枝。
いつの間に世の中にはこんなにシニシズムがはびこったのかなあと。
Posted by Aa at 2005年11月16日 21:15
同じことが正社員の間でもいえますね。

「あんな仕事俺にもできる」とか言っちゃって。
Posted by もも at 2005年11月16日 09:30
経済イス取りゲームは本当に面倒だ
Posted by ニートって at 2005年11月16日 09:01
なぜ英語が若い時からそんなに得意なんですか。
そこが不思議。
Posted by ごろー at 2005年11月15日 23:55
身近に「フリーター」がいないのが残念ですが、このエントリはフリーターに読ませたいです。
日本に生まれたという既得権は、よく考えると大きいと思います。
Posted by ひろ at 2005年11月15日 23:33