2005年11月21日 17:02 [Edit]

書評 - 風雲児による風雲児たち

前から欲しかったのだけど、歯抜けがいやだったので最近大人買い。

cover
風雲児たち

(全20巻;幕末篇1-23巻以下続刊)
みなもと太郎

いやあ、大人って本当にいいものですね。


それにしても、自分がここまで江戸時代を知らなかったのかと目から鱗が落ちまくり。田沼意次が蝦夷地直営まで考えていた事とか、解体新書の「本当の著者」は杉田玄白ではなく前野良沢だったとか、黒船騒動はペリーの時よりプチャーキンの時の方が大きかったとか....

しかし、はじめからこれほどの大作にする意図はみながわ氏にはなかったようなのである。あくまで彼が書きたかったのは幕末。それは第一巻の冒頭にきちんと明記してある。しかし幕末をきちんと書くには関ヶ原の戦いをきちんと書かねばならず、(まだ出ぬ)戊辰戦争の伏線のため保科正之を外さざるを得ず、幕末前にも改革の試みと挫折があったという点を示すのに田沼は外せず....という具合で、四半世紀かけてやっと本題に入ったというところである(連載開始が何と19811979年)。著者流に言うとまさに「龍馬は一日にしてならず」といったところか。

あくまで幕末がメインテーマであることは、第一巻冒頭の記載の他にも、元禄がほとんどすっとばされていること、幕末の主な藩以外の藩の人物がほとんど出てこない(というより余裕がない)ことからも明らかで、幕末外のおもしろエピソードを書こうとしては、編集に尻をたたかれる筆者が何度も登場するぐらいだ。

恐ろしい事に、この物語、現在進行形であり、やっとペリーがアメリカに戻ったところ。安政の大獄はまだ始まっておらず、松下村塾はまだ開塾していない。このペースで行くと、おそらく明治にお目にかかるにはあと10年、いやもう四半世紀ぐらいかかるかも知れない。まさにライフワークである。1947年生まれの作者の寿命が志半ばにして尽きぬ事を祈らずにはいられない。

Dan the Rolling Stone


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この記事へのコメント
(誤)みながわ氏
(正)みなもと氏
Posted by 11031 at 2008年04月08日 21:20
こわそうなTB欄なので、コメントします。
「大人買い」が作者への応援になればいいですね。いつまでも読んでいたい作品なので、完結しなくてもいいか、という気分です。
Posted by quimito at 2005年11月22日 18:53
「ホモホモ7」のみなもと太郎がこんなもの書いていたのですね。絵のイメージが違うので最初同姓同名の別人かと思ってしまいました。確かにみなもと氏は崩してはいたけど絵は上手かった印象がのこっています。
Posted by 半日庵 at 2005年11月22日 13:44