2006年01月13日 01:53 [Edit]

社会あるところにイジメあり

私はブラジルのどこに行けばイジメがあるかを知っている。

ブラジリアン・ガールと不器用な俺の物語 | いじめは日本だけの現象かもしれない
うなのだ。ブラジル人は自分が幸せになるので手一杯なのだ。他人を不幸にすれば相対的に自分が幸せになるとは考えない人たちだ。その点日本人は逆で、他人との相対的な関係性でしか幸せを自覚できないのかもしれない。だから次々にいじめのターゲットを作り出すのだろか。

刑務所、だ。


おそらく刑務所内でイジメがない国というのは、全員独居房に入れでもしないかぎりおよそ存在しないと思われる。暴動の多さから考えると、もしかしてブラジルの刑務所の方が日本のそれよりもひどいかも知れない。

奥田健次の教育改革ぶろぐろ部: いじめの国際文化比較
ちなみに、日本に限らずアメリカやカナダやイギリスなどで世界を驚かせるほどの悲劇に至った、いじめが原因で引き起こされた事件が多数みられる。desclassifica氏の記事は、こうした国際文化比較という側面で、われわれに大きな示唆を与えてくれるものだ。

私は各国の相違点よりも、共通点の方に目が向く。イジメがどんな時にどんな場所で起きるかは、それほど各国に差はないと思われるのだ。

イジメはまず「社会」を構成するメンバーのうち、その社会のオピニオンリーダーに当る人物が、特定の誰かを「いじる」ところから始まる。イジメの対象は弱い者であったりまつろわぬ者であったりすることが多いが、誰でもそうなりうるしその事自身はあまり重要でない。

重要なのは、その「イジメの種」が育つかどうかだ。その種が育つかどうかは、「取り巻き」、すなわちイジメる者とイジメられる者以外のものが、イジメに参加するかどうかで決まる。彼らがそうするのは、イジメる不快感を「社会から排除される」不安が上回った時だ。「イジメに参加しないと今度は自分がイジメの対象となる」と判断した時、人は人をイジメるようになる。

そして最も重要なのは、その後だ。イジメたものが簡単に社会の外に出て行けるような社会では、イジメはそれ以上発展しない。イジメられる不快感を、「社会にもういられくなる」不安が上回った時、イジメられっ子はそこに残る。そしてイジメは拡大再生産される。

そう。イジメを発展させるのは、実は社会に対する依存心なのだ。ここで言う「社会」とは、小は家族から大は国家まで、人間の集まり全てを指す。いじめが最も横行する場所が刑務所であり、その次が学校だということもこれで説明がつく。

よって、イジメをなくすには、社会の寛容性を高めるか、社会の流動性を高めるかどちらかを行えばいい。社会の寛容性を高めるということは、「いじめに参加しなくてもいじめの対象にならない」ということにつながり、社会の流動性を高めることは「いじめられてもすぐ別の社会に移転できる」ことにつながる。

どちらが容易なのか、私はわからない。しかし寛容な社会の流動性は高く、流動性の高い社会は寛容であることは確かだ。その逆に流動性クランチが不寛容を招き、そして不寛容が流動性低下をもたらすというスパイラルは世界のあちこちで見られるというのは確かだ。

こういうと驚く人も多いかも知れないが、長い目で見て日本のイジメは減って来ているのではないか。社会の流動性が上がったからだ。「村八分」や「隣組」という言葉に代表されるように、かつての日本における社会というのは、「脱出速度」が非常に高く、いじめようがいじめまいが抜けがたい社会であった。その結果広義のイジメによって傷つけられ命を落としたものの数は、現代の比ではなかったはずなのだ。

ただし、短期的に見れば日本のイジメは増加しているというのもまた事実だろう。これもまた流動性で説明がつく。不況のおかげで会社をはじめとする「社会」の力が増し、社会を移転する物理的心理的コストが増大すれば、流動性は当然下がる。そして、流動性がないところにはイジメがかならず現れるのだ。

重要なのは、我々はきっかけさえあればイジメる動物であるときちんと認識することだろう。我々がイジメが好きなのは、我々が肉が好きなのと同じぐらい「自然」なことなのだ。そう。イジメは人間社会だけの特徴ではない。社会を構成する動物の世界で一般的に見られる現象なのだ。

イジメそのものは無くせない。それはおそらく我々の遺伝子のどこかに書いてある。しかしイジメの発展と犠牲を最小限に抑えることは可能なはずなのだ。

Dan the Rolling Stone


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「社会あるところにイジメあり」への反響のあり方には考えさせられる。これだけ多くの人にブックマークされながら、これほどTBやcommentが少ないというところに、いじめ問題の特徴が透けて見えるようだ。 ES[エス] ブラジリアン・ガールと不器用な俺の物語 | ....
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一昨日書いた記事「いじめは日本だけの現象かもしれない」にはかなりの反響があったようで、書いたものとしては素直に嬉しく思っている。 この記事には、奥田先生ご本人と、404 Blog Not Foundの弾さんから、わざわざこれをネタに記事を書いていただいた上でTBをいただい...
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大変、興味深い記事だ。 当ブログの記事を読まれた上で、「いじめは日本だけの現象か
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この記事へのコメント
内容が難しいわ
Posted by ゆうい at 2009年06月22日 22:05
今晩は。TBさせていただきました。ご一読頂けましたら幸甚です。
Posted by 嵐風人 at 2006年02月12日 18:53
子供にとっての学校って流動性低いですよね。うちの娘の人はそーいうのとはまだ無縁なのですが、親としてできるだけ別の社会・価値観に触れる機会を増やしてあげたいなーとか思います。
Posted by hiroyuki oyama at 2006年01月13日 16:47