2006年01月27日 13:57 [Edit]

技術者は不遇か?

それは少し違うように思われる。

Hardcoded: 技術なヒトが陥ったワナ?
私はそこに、「不遇な技術者」という立場を見て取るのだ。

技術者を社畜にすることは不可能だ。どれだけ高額の報酬を払っても、どれだけ輝かしい名誉を与えたとしても、それが優れた技術者であればなおのこと。

私自身が、その生きた証拠だ(苦笑)。

技術者を会社につなぎ止めるのは、実は技術力とは無関係だ。その技術者が会社に残るかどうかは、その技術者が職の安定をどれだけ重視するかという「リスクに対する考え方」であって、技術力の多寡ではない。もちろんあまりに技術力が低ければ今度は会社の方がその技術者を慰留しなくなるので、一定レベル以上の技術力は必要だが、それより上であればあとは技術者の「個性」しだいだ。

さすれば、「入りたいものは拒まず、去る者は追わず、残りたい者にはフェアな待遇を」というのが、技術者たちに対する戦略になる。そして入ったものにはそこにいる限り力の限りを尽くせる環境を整える。技術者を鎖でつないではならない。しかし自らの意思で留まっている間は、発揮した力に応じた待遇をする。

そういう会社に私はしたかったし、その後の経過を見る限り、それには成功したのだと自負している。人はどんどん入れ替わっても、技術がそこに残ればいい。もちろんそのためにはその技術を残すために「残る人」も必要で、実際私の入社する以前から今も勤務している社員もいる。IT企業というエコシステムには、留鳥も渡り鳥も双方必要なのだ。

圏外からのひとこと(2006-01-26):ライブドアが意外と技術系っぽいことについて
オン・ザ・エッヂ、オープンOS「FreeBSD」の普及を目指し米社に出資

オン・ザ・エッヂ(4753)は、9月4日の取締役会でオープンソースOS「FreeBSD」大手ディストリビューターである米Berkeley Software Design(BSDi)に対して500万ドル出資することを決めた。

ACさんのコメントで知った。寄付ではなくて出資だけど、「500万ドル」は偉い。

実はこの話しを取りまとめたのは私である。これは秘密でもなんでもなく、当時のBSDi社のプレスリリースにもオン・ザ・エッヂ側の担当として私のコメントが載っている。しかし、私が行ったのはあくまでも「とりまとめ」であって、それにGOサインを出したのは当時の取締役会だ。その中には堀江さんももちろん、宮内さんもいた。

もう一つエピソードを紹介しよう。上場まもないある日、顧客のサーバーのデータを上書きしてしまうという事故が起きた、取締役会ではすぐに関係者の処分まで含めた事故のレポートを作成し、東証にも直ちに開示した。その時の処分者の中には、堀江さんも私も入っている。当時の会社の規模からしてもこの事故の影響は軽微で、開示の必要性は疑問でもあったのだが、当時「開示する必要ない」と言った者は取締役会の中には誰もいなかった。この時の開示の姿勢は、人づてに東証の関係者も褒めて下さったと伺っている。

だからこそ、今回の事件は不可解である。「金融系が技術系をそそのかして勇み足を踏ませた」という紋切り型の見立てには、あまりに反証も多いのだ。

naoyaのはてなダイアリー - ライブドアの技術の話
自社でサーバーを設計するなどレイヤ0から独自の技術を持っており、連日のテレビ放映による影響でも落ちないサイトを維持し、オープンソースの自社製フレームワークで大規模なサイトを超短期で構築して自分たちで運用している。オープンソースのライブラリ開発者、メディア執筆者を多数排出した企業であり、特に Lightweight Language を活用するウェブプログラマに与えた影響は非常に大きい...ライブドアはそういう技術的な側面を持っている企業です。

こういった技術というのは、ことITに関しては言えば人にはついても社にはなかなかつかない。キーパーソンが抜けたとたんに技術ががたがたになってしまう企業が後をたたない中、現ライブドアがその轍を踏まなかった理由の一つには、技術者の特性に合わせた体系を早期に確立できたからだと考えている。

それを示す一番よい方法は、キーパーソンが抜けてからどうなったかを見ることだ。技術者というのは、鋳型であり足場である。その真価を問われるのは形を抜き、足場を外してからなのだ。

それにしても、自分のことを書くのは何とも気恥ずかしいものだ。この点は「留鳥」にも「渡り鳥」にも共通して言える特徴かも知れない。

Dan the Ex-CTO Thereof


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今日は広義のハッキングをまとめてみました。ソーシャルからCSSまで
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この記事へのコメント
「金融系が技術系をそそのかして勇み足を踏ませた」のでなければ、「技術屋だったホリエモンが金融屋に変節した」って解釈でいいんでしょうか?
Posted by ncd108 at 2006年01月29日 02:21
>こういった技術というのは、ことITに関しては言えば人にはついても社にはなかなかつかない。キーパーソンが抜けたとたんに技術ががたがたになってしまう企業が後をたたない中、現ライブドアがその轍を踏まなかった理由の一つには、技術者の特性に合わせた体系を早期に確立できたからだと考えている。
>それを示す一番よい方法は、キーパーソンが抜けてからどうなったかを見ることだ。技術者というのは、鋳型であり足場である。その真価を問われるのは形を抜き、足場を外してからなのだ。


人が入れ替わってもライブドアに技術が蓄積されていたのはトップが技術屋のホリエモンだった事もあるんじゃないでしょうか
むしろ、技術屋のトップがいなくなったこれからも蓄積技術の流失を押さえられるかに、その体系が本当に確立されているのかどうかを見たいですね
Posted by qp at 2006年01月28日 08:50
>だからこそ、今回の事件は不可解である。「金融系が技術系をそそのかして勇み足を踏ませた」という紋切り型の見立てには、あまりに反証も多いのだ。

ここのところもう少し具体的に分かりやすく、サンジャポでも朝まででもいいので語っていただけると、視聴者は期待しているのですが…
Posted by さんじゃぽ視聴者 at 2006年01月27日 22:27
>pさん、
「BSD」ってどんな会社ですか?
「株価」を交換?ってどんな手法ですか?
Dan the Confused
Posted by at 2006年01月27日 14:38
BSDに投資したときも,やっぱり株価を交換して,それを息がかかった投資事業組合に買いとらせる,という手法ですか?
Posted by p at 2006年01月27日 14:30